ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】   作:オレの「自動追尾弾」

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#03/グロウン・キッド①

「この先を左だったわね!アスナ!?」

「ええ!それが一番『近道』よ!」

 

先頭を走る明日菜は、ティアナに聞かれて振り返りながら返答をする。彼女は麻帆良(ここ)の地理に詳しくないティアナたちのために、道案内をしていた。ネギは、明日菜いわく『おまけ』みたいなものだ。

 

先ほどのアラートは、「麻帆良公園」に機動兵器――通称『ガジェット』が20機近く現れたというものだった。麻帆良の「魔法使いたち」はガジェットとの『戦い方』を知らない。そのために、スバルたちフォワードが出動した訳である。ヴィータも、上空から向かっている。

 

「いい!?さっきも言ったけど、あんたたちは到着次第、どっかに隠れてんのよ!」

「は、はい!」

「分かってるわよ!相当『危ないん』でしょ!?」

 

ティアナは、確認をとるように、明日菜とネギに言う。

ネギは「魔法使い」とはいえ、ガジェットの『AMF(アンチ・マギリング・フィールド)』の対抗策を知らないし、明日菜は一般人であるためだ。

 

「ほら!この道を左よ!」

「分かった!」

 

明日菜に言われて曲がる4人は、「麻帆良公園」へと駆け抜けていった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

『グリーンドルフィンストリート麻帆良』 206号室

 

 

カーテンを閉め、証明を落としたリビングは、「司令室」と化していた。

中央にはモニター、テーブルにはコンソールが『浮かび』、そこにリインとシャーリーがついている。

なのはとフェイトは、後ろからガジェットの動きをみていた。リインは今、どこかと連絡しているようだが。

 

「フォワードの皆さんと明日菜ちゃんたちは、最短距離で『麻帆良公園』へと向かっています。ガジェットたちは、公園の『中央広場』へと集まっているみたいですが……」

「…そこに、『レリック』級の『ロストロギア』があるってことかな?」

「多分…まさか『矢』がそこに?」

 

憶測を立てる二人。そこに、通信を終えたらしいリインが、なのは達に言う。

 

「なのはさん!『学園側』が、麻帆良公園に『結界設置』を承認してくれたです!」

「ありがとう。シャーリー!スバルたちに連絡を!」

「はい!……え?」

 

振り向き、通信をしようとしたシャーリーは、信じられないものを見た。

 

「そんな……どうして……!?」

 

 

 

 

 

#03/グロウン・キッド ①

 

 

 

 

 

麻帆良公園 中央広場

 

 

「やれやれだわ……何だったのこいつら?」

 

徐倫は、自分たちを襲ってきた機械の『残骸』を見て呟いた。周囲にいた千雨や、中等部の制服を来た「二人」も機械を倒したらしく、徐倫の周りに集まってくる。

 

「はぁ、『矢』のこともあるのに、何かスッゲー面倒なことに巻き込まれたんじゃないか?私ら」

 

かったるそうに、千雨は手に持った『透けている小太刀』を弄びながら愚痴る。

 

「……長谷川、そう言わない方がいいよ。こいつら、『矢』が絡んでいるかもしれないし。」

 

制服の少女のうち、黒髪の少女が千雨に注意する。彼女の両手には、野球のボールほどの大きさの『鉄球』が二つ、『回転』していた。すると、もう一人の少女――髪を左右で留めている――が、左手の平を見て、何か話し始めた。

 

「どうしたの………え!?うん、わかった………徐倫!誰かがこっちに向ってきているって………5人くらい!」

「何………?」

「…『こいつら』のご主人様か?」

 

話を聞いて、機械の残骸をつま先で小突きながら千雨が言う。

 

「どうする?全員で出迎えるか?」

「……いや、『こいつ』で十分だろ。」

 

徐倫は、髪を左右で留めた少女を指しながら言った。

 

「え?私!?」

「ああ、おまえの『グロウン・キッド』なら、「5人」くらい楽に倒せるだろ?一応、ウェザー先生に連絡は入れておくからよぉー」

「………う~~、わかったよ~。」

 

渋々承諾した少女は、鞄から『布』を取り出した。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

この時、徐倫たち4人は気づいていなかったが、彼女らを陰で見ていた者たちがいた。

 

「もしもし、リーダー?」

「聞こえる、リーダー?」

 

黒い服を着た少年と、白い服を着た少女は、1台の携帯電話を2人でもって、交互に話す。

 

[―――聞こえている。]

「「ガジェットは、みーんなやられちゃったよ!」」

 

少年と少女の二人が、同時に言う。完全に息がぴったりだ。

 

[それは確認済みだ。私の『アンダー・ザ・レーダー』の能力を、忘れた訳ではあるまい?]

「それはそうだけどさ、」

「監視をしている私たちも、任務を果たさないといけないからね。」

「「………おや?」」

 

そう話していた2人だが、ふと、少年の右手に握られていた『矢』が、何かに引っ張られるように先端が持ち上がり始めた事に気が付いた。

 

「リーダー、『矢』が反応したよ!」

「リーダー、近くに「才能」を持った人がいるよ!」

[そうか………誰を指すのか、見てくれ。]

「「了解!!」」

 

2人はそういうと、矢の先端が指す方を探す。すると、遠くのほうからこの公園に向けて駆けてくる一団を見つけ、更に、その中の『1人』を指したのを見て、2人は意外そうな顔になった。

 

「………おやおや、これは………」

「………あらあら、これは………」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

司令室

 

 

「フェイトさん…わ…私はち…ちょいと目を離したんです…………あなたもそばにいました。リイン曹長やなのはさんもそばにいました。でも……誰も見ていないんです…」

 

シャーリーは言い終わると、気を落ち着かせようと、ガタガタ震えながらコーヒーを飲もうとする。だが、

 

「飲んどる場合ですかシャーリーッ!」

ガシャン

 

何故かリインに怒鳴られ、カップを落としてしまう。

 

「リ、リイン、落ち着いて、ね?」

「……どうなってるの?」

リインを宥めるフェイトと、シャーリーに聞くなのは。

 

「ほ…ほんの少しの間でした……私が目を離していたのは、たったの数秒だったんです……でも、あそこで何が起こったのか分かりません!信じられません!

ほんの数秒目を離したうちに!『20機近くいた』ガジェットが!1機残らず『破壊されていた』んです!!」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

麻帆良公園 中央広場

 

 

「な……何だよこれ…?」

「誰がこんなに沢山のガジェットを……?」

 

スバルたちの目の前に広がるのは、破壊されたガジェットが『散らばる』中央広場だった。

 

何発も殴られたようなヘコミがあるものや、輪切りや袈裟掛けに斬り裂かれたもの、何か『球体』をぶつけられたものに、強い力で『締め付けられた』ようなもと、様々な壊され方をしていた。

 

「…これだけ『壊され方』が様々なのは、『集団で戦った』ってことでしょうか?」

「多分ね。それも、『魔力を持たない連中の』ね。」

 

推測するネギと、それに付け足すティアナ。そこに、明日菜の疑問が飛ぶ。

 

「え?なんで『魔法使いじゃない』って分かるの?」

 

明日菜の質問に、球状のヘコミのついたガジェットⅢ型の装甲を拾うヴィータが応えた。

 

「…ガジェットには、「AMF」という、魔力を消すフィールドを発生させることができんだ。『こちらの』魔法使いたちは、AMFの環境に慣れていないから、『魔力強化していないただの刃物や拳でこれをやってのけた』ことになる………」

「……ふ、ふ~~ん…?」

「……その様子じゃあ、あんま分かってないわね……」

 

明日菜の反応に、ため息をつくティアナだった。呆れながらもガジェットの残骸を見ていると、ふと、視界の端で動くものを見つけた。

 

「ん………?」

「ティア?どうかしたの?」

「?」

 

スバルが声をかけると、ティアナの視線の先を見た。ヴィータ達もそれに気が付いて、視線を追った。

 

 

 

見つけたものは、『緑色の布』であった。

 

 

 

大きさはおよそ2.5m四方と、意外と大きい。それが、バサバサと音を立てながら、ヴィータたちから少し離れた場所に落ちた。

いきなり現れた布に警戒するスバルたち。一番近い位置にいたネギとヴィータは、ゆっくりと布に近づいて行った。

 

「……何か妙ですね。誰かに見られているような…」

「確かに……だが、周りに隠れるような場所はない!だが…まさかだよな……!」

 

そう言って、ヴィータが布に手をかけて、めくってみる。

 

 

 

布の下には――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何もなかった。

 

「……だよなぁ~~~」

「そんなことありませんってぇ~~~気のせいですよ~~」

 

ヴィータが布をポイッと放ると、ほっとしたのか、笑い出す二人。

 

だが!

 

 

 

「二人とも!後ろ!」

 

ドギャァアン

「え?うわっ」

「なんだ!?」

 

いきなり、二人の間を『パンチ』がすり抜け、思わず避ける二人!そのままパンチは近くのガジェットの残骸に突き刺さる!

 

「こ、これは!?」

「何だよ!この『腕』は……!?」

 

そこにあったのは「緑色の右腕」だった。肩の付け根に穴があいており、中は『空洞』だ。

 

ふいに、肩が『ほどけた』と思うと、みるみるうちに腕は『布』になってしまった。よく見ると、中央にはエジプトの壁画のような「一つ目」が浮き出て、ぎょろりとこちらを睨んできた。

 

その目のあたりがボコッと膨らんだかと思うと、布はまるでてるてる坊主のような形になり、そのまま頭にあたる部分が「右手」になり、そこから下が腕、二の腕、肩と変形していき、布は再び『右腕』になる。

 

「まさか!?さっきの『布だと!?』」

「他のガジェットも、こいつがやったの!?」

 

変形をした布に、驚愕する4人。右腕は器用に指を地面につけて『立って』おり、今にも飛び出しそうだ。

 

 

ふと、スバルの耳に「バサッバサッ」という音が聞こえた。恐る恐る周りを見ると―――――――

 

 

 

 

 

 

 

「………………嘘でしょ?」

 

スバルの声を聞いたティアナたちは、周りを見て、戦慄した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女たちの周りは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「6枚の緑色の布」に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『囲まれていた』!――――

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

麻帆良公園 入り口付近

 

 

「―――ありゃ~~、バレちったか~~」

「……あれに気づいたのか…やろうと思えば、野生のコウモリにさえ気づかれずに近づける『グロウン・キッド』に対して『妙だ』と思うとはね…」

「勘のいい奴がいるのかもな…」

 

少女が左手の平に浮かんだ『エジプトの壁画のような「一つ目」』を見て言う。『グロウン・キッド』が気づかれたことに感心する徐倫たち。だが、彼女らは冷静だった。

 

「しかし、ネギ君だけじゃなくて、アスナやスバルまでいるなんて………」

「あいつらも『グル』だったのか………?とにかく、連中から遠ざかりながら、目的を聞き出せるようにしておけ。」

「うん、わかったよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「彼女ら」と魔法使いたちの戦いが、ついに始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

能力名―――――グロウン・キッド

 本体―――――不明

 

 

 

←to be continued…

 




3話です。
・メンバー変更に伴い、割と大幅に変更しています。(前はエリキャロもいたけど、六課のメンバーがほとんどいなくなる+あまり絡まなかったからお留守番させてますし(^_^;))

・グロウン・キッドは本体へのダメージがない設定だったのですが、弱点がないのは少しズルいので、左手の平に『本体』を設けました。これで、音声のみですが遠くでの状況を把握できます。

では、次回をお楽しみに!

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