ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】 作:オレの「自動追尾弾」
ポーカーは、配られた5枚のカードを一度だけ交換して相手よりいい『役(ポーカー・ハンド)』をそろえる、ポピュラーなトランプゲームである。しかし、ゲームに『賭け』の魅力が加わると一変して複雑な心理戦が始まるゲームでもある。
表情が読みにくい『ポーカー・フェイス』とは、このゲームが語源とされている。
「……ジョーカーは一枚…カードに異常はない。ごく普通のカードだな。」
「ふふっ、私がカードに細工をすると思った?」
「………いや。ただ、お前のオヤジは『セカンド・ディール』を使うくらいの熟練者だったらしいからな…………やるんなら、お前は
「どうかしらね……ふふっ」
徐倫はカードを調べ終えると、カードを集めて
「………ナカジマ、先生、もしコイツがなんかやらかすのを見たら、容赦なくぶちのめしていいからな?」
「もちろん、そのつもりです!」
「この子、カワイイ顔してコワい事いうわね……お姉さん、困っちゃうわ~………」
千雨とネギのやり取りに、おどける様に笑うダービー。するとダービーは『ポーカー・フェイス』を出し、3人の
「ポーカーには、チップ3枚じゃあ話にならないでしょ?それぞれ6つで一つの魂よ。そして、」
ダービーは、何も描かれていない真っ白なチップを六枚、徐倫に差し出す。
「その真っ白なチップが、あなたの『魂』よ。私が六枚すべて奪ったら、あなたの魂はなくなるわ。いいわね?」
「………ああ。」
徐倫が承諾をし、カードをシャッフルする。適当な位置で2人はカードをめくった。
徐倫はスペードのJ、ダービーはダイヤの5。
「ディーラーはあなたからのようね………ふふっ、では、始めましょうか!」
ダービーのかけ声で、『魂』を賭けたゲームが始まった!
#35/ダービー・ザ・リベンジャー ②
☆第1ゲーム★
徐倫:6―ダービー:18
ディーラー:徐倫
徐倫がカードを配り、参加料に明日菜を1枚払う。徐倫は手札をみる。カードはダイヤのA、スペードの3、8、J、ハートの6だ。
「二枚チェンジだ。」
スペードのフラッシュが狙えると思い、ダイヤのAとハートの6を捨て、チップを払う。引いたカードは―――
(ハートの3と………ダイヤの8か………)
2ペアだが、役はそろった。
ダービーも明日菜をもう1枚払い、三枚チェンジ。
「………その顔、いい役でもそろえたのかしらね?様子見で、神楽坂 明日菜をもう1枚賭けるわ。」
「………
(降りなければ、1ゲーム最低3枚必要なのか………)
ネギとスバルは、今のゲームから必要なチップの数を再確認する。
いよいよ
「2ペア。3と8。」
「2と6の2ペアよ……運がいいわね。でも、勝負はまだ始まったばかりよ………?」
6枚のチップを自陣に運ぶ徐倫に、ダービーは笑いかけた。
☆第2ゲーム★
徐倫:9―ダービー:15
ディーラー:ダービー
互いに明日菜を支払う。徐倫のカードは、ダイヤの4と8に、ハートの4とスペードのJと8。8と4の2ペアができていた。別にイカサマはしてない。
ダービーも二枚チェンジして、とりあえず徐倫は1枚だけをチェンジ。引いたのはダイヤのQだった。
「コール。8と4の2ペア。」
「悪いわね………Qの3カードよ!」
「………!」
賭けた3枚の明日菜が、ダービーの元に渡る。
「………(あーもー!何でトランプなんかで、こんなにハラハラしなきゃならないのー!?)」
冷や汗を流しながら、スバルは内心叫びたい気分であった。友達の魂のやり取りというだけでも気分が悪いというのに、それを決めるのがトランプという、文字通り『命を懸けたゲーム』に、気がどうにかなりそうであった。
スバル・ナカジマ。
☆第3ゲーム★
徐倫:6―ダービー:18
ディーラー:徐倫
カードはAがそろっただけのワンペアだったので、三枚チェンジする。が、思ったようにそろわなかった……
「Aのワンペアだ………」
「ふふっ、運がいいわね………Jのワンペア。」
「………ほっ………」
明日菜が3枚徐倫の元へと戻り、ほっ、と、安堵するスバルと千雨とネギ。
☆第4ゲーム★
徐倫:9―ダービー:15
ディーラー:ダービー
(今んとこいたちごっこな状態だな………ここいらで勝負に出るか!)
徐倫はそう思い、カードをめくる。カードはクラブの3、ダイヤの4と8、スペードの5と7と、ストレートが狙える。ダイヤの8をチェンジすると、上手い具合にダイヤの6が来た。
行ける!そう確信し、2枚を
「コール。ストレートだ。」
「……Qの3カードよ……やるわね。」
一気に5枚、明日菜3枚とウェンディ2枚をGET!
☆第5ゲーム★
徐倫:14―ダービー:10
ディーラー:徐倫
(ブタか………)
今度はうまく札やそろわなかった。三枚チェンジしたら、Qの3カードになった。
「コールだ。」
「あら、その役で来ちゃうの?」
『!?』
不敵な笑みを浮かべ、ダービーが見透かしたように言う。一瞬居を突かれる一同であったが、徐倫は落ち着いたように言う。
「……………何のことだ?」
「ふふっ、とぼけなくていいのよ?私はフルハウスだから。」
「………!」
慌てて、ネギたちに目配りをする徐倫。
「いえ……今のところ、怪しい動きは………」
「私の方も………」
「手の動きにも注意していたけど、怪しい点はなかったわ。」
「視線や仕草に不審な点は……………」
4人は口々に言う。怪しい点はないようだった。
(だが、ただの
☆第6ゲーム★
徐倫:11―ダービー:13
ディーラー:ダービー
(ヤツがイカサマしている証拠はない………それに、ポーカーは相手の「役」が見えたとしても意味はない。自分の役は変えられないからな……………だが、何か引っかかるな……さっきの行動…………)
カードはQとAの2ペア、十分に勝てる役であった。
「コールだ。」
「ふふっ、『
「!?」
「こいつ…………」
「だが、今のに怪しい点は…………」
ダービーも手札を見せる。役はジョーカーを交えたストレート。3枚がダービーの元へ渡ってしまう。
(どうなっているんだ…………?ヤツは私の役が見えている上に、ヤツの方が役が上…………?やはり、ヤツはイカサマをしているのか!?だが、方法は?どうやって私の手札を見て、なおかつ自分の役を勝たせている?)
☆第7ゲーム★
徐倫:8―ダービー:16
ディーラー:徐倫
そう思って迎えた第7ゲーム。ふと、ダービーの手が山札へ延びたとき、徐倫の目に『あるもの』が見えた。
(そうか!あれなら、自分の手札を勝たせることができる!だが、どうやって私の手札を…………?それがきがかりだ。)
徐倫はダービーのイカサマの糸口を掴んだものの、ゲームに集中できず3枚取られてしまった。
「あらあら、手が疎かになっているわよ?ゲームを諦めてしまったのかしら?」
「徐倫………」
徐倫が考えていると、ダービーが挑発するように笑う。
ふと、徐倫はダービーの手元にある明日菜とウェンディの『
現在7ゲーム終了
徐倫:5―ダービー:19
ダービーが優勢。
☆★☆★☆★
廃ビル1階
のどか、夕映、ルーテシア、アルフ、アギト VS.マイク・O
「『イノセント・スターター』ッ!!」
のどかは自分たちに迫るバブル犬に向かい、近いほうには拳を、遠い方へは子亀を放つ!だが、バブル犬はふわりとそれを避けて、その内の一匹が夕映に迫り―――
ガブゥウッ
「なあっ!?」
「ゆえッ!!」
夕映の足に『噛みついた』!だが、噛みついただけには止まらず、噛みついた先から夕映の足から血管へと進入してきた!
「こ……これは!わ、私の体内に!?」
「ゆえッ!!」
のどかは夕映に近づこうとするも、バブル犬が容赦なくのどかに迫る!
その時!
ドガガガガッ
「え?」
黒い影がのどかの前に現れて、バブル犬を蹴散らした!
驚くのどかだが、その影をよく観察した。
2m近いカブトムシなどを思わせる体に四つの赤い目、首にはマフラーをつけていて、某特撮ヒーローを思わせる。
「えと………あ、ありがとうございます……………」
「…………」
それは言葉を発さず、ぺこりと会釈した。
「あ…………あれは………?」
夕映がいきなり現れた人(?)に驚いたその時―――
バァアンッ
「……………え?」
噛みついていたバブル犬が破裂して、夕映の足に太い『釘』が突き刺さっていた……………
「あ……あああああああああああああッ!!」
「ゆえーーーーーーー!!」
部屋中に夕映の叫び声が木霊する。
「我が能力『チューブラー・ベルズ』は、金属を膨らまして『動物』の形にし、相手を追跡する……………そして、体内へ進入して破裂する世界だ。」
マイク・Oは、静かに告げる。いつの間にか彼は、鉄骨の近くにまで来ていた。
「!ガリュー!アギト!行って!!」
「おう!」
「…………!」
ルーテシアは黒いそれ―――人型召喚獣『ガリュー』とアギトに指示する。
ルーテシアのポケットから飛び出たアギトは、火球を形成して鉄骨に投げつけ、ガリューはマイク・Oに迫る!
ガリューの攻撃はバブル犬により阻まれるも、火球は鉄骨を熱し、焼き切った。まだ熱いのか、鉄骨は赤く熱されていた。
「……考えたな。熱すれば私は膨らませない世界というわけか…………」
マイク・Oが静かに賞するも、今度はガリューの回し蹴りが迫る!
「!危ないッ!!」
「!!」
が、のどかの声に一歩引く。瞬間!
ズドォッ
「「「!!」」」
ガリューとマイク・Oの間に『鉄板』が降ってきた!!ガリューは足を少し切ってしまうが、後一歩前に出ていたら、片足は切断されていただろう………そう思ったルーテシアは、ぞっとした。
だが、恐怖は去った訳ではない。気がつくと頭上には、白鳥の形をした風船が数体いた。
「ふむ………すでに鉄板を『バブル鳥』に変えていた世界だが………気づかれたか……………なかなか勘のいい世界だな。だが、我が『チューブラー・ベルズ』は防御シールドにして、君たちへのギロチン処刑の世界を兼ねたッ!!もう後戻りはできないぞ…………すでに許される世界ではない………後悔する世界は与えないッ!!」
マイク・Oは、のどかたちに指を指しながら叫ぶ。
(な…………何ですかこれは………………さっきから一体何が起こっているですか…………………!?)
夕映は混乱していた。
ネギたちを追ってこの廃ビルに入ったら、変な黒人男性が現れて、風船の犬が自分たちに襲いかかり、虫みたいな生物や手のひらサイズの人が自分たちを助け、自分の足には太い釘が刺さっている…………
これが、混乱しないでいられるだろうか?いや、『できない』。少なくとも、今の夕映には無理だった。
「…………あきらめたらどうだ?我が『チューブラー・ベルズ』はすでに君たちを包囲している世界だ………………逃げ場はない!」
マイク・Oは、のどかたちに言う。すでに勝利を確信している様子だ。
ふと、夕映は入り口をみる。入り口には特に多くのバブル犬がおり、逃げ出せそうにない。だが、夕映は見た。入り口の影に『誰かいる』………!?
「あ…………あなたの他に………誰か『仲間がいる』ですか………?あなた以外に……ここに誰かいるですか!?」
「………?いや、このビルには私と上にいる『ダービー』だけの世界だが…………?」
『ダービー』が誰かは知らないが、このビルには彼と後一人が上の階にいるだけらしい。
では、入り口の『アイツ』は……?
『頭脳』と『体力』、二つの戦いは、決着へと向かっていく―――
←to be continued...
35話です。
・ひやひやしながらポーカーを見守る一同。スバルもそうだけど、ネギまサイドもリリなのサイドも、賭け事向きじゃない面々が多い気がする。
・VSマイク・O。マイク・Oは、キャラクター、能力ともに好きなキャラですし、のどかたちを足止めするには、彼の『チューブラー・ベルズ』は効果的だと考えました。
では、次回をお楽しみに!