ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】   作:オレの「自動追尾弾」

39 / 99
#35/ダービー・ザ・リベンジャー ②

ポーカーは、配られた5枚のカードを一度だけ交換して相手よりいい『役(ポーカー・ハンド)』をそろえる、ポピュラーなトランプゲームである。しかし、ゲームに『賭け』の魅力が加わると一変して複雑な心理戦が始まるゲームでもある。

表情が読みにくい『ポーカー・フェイス』とは、このゲームが語源とされている。

 

「……ジョーカーは一枚…カードに異常はない。ごく普通のカードだな。」

「ふふっ、私がカードに細工をすると思った?」

「………いや。ただ、お前のオヤジは『セカンド・ディール』を使うくらいの熟練者だったらしいからな…………やるんなら、お前は技術(わざ)で来るだろう………」

「どうかしらね……ふふっ」

 

徐倫はカードを調べ終えると、カードを集めて(デック)にする。2人の周りには、ダービー側からスバル、ネギとカモ、ティアナ、千雨が囲み、イカサマがないか見張る。チンクは明日菜、ウェンディ、オットーを側のテーブルで寝かせて、3人を介抱していた。

 

「………ナカジマ、先生、もしコイツがなんかやらかすのを見たら、容赦なくぶちのめしていいからな?」

「もちろん、そのつもりです!」

「この子、カワイイ顔してコワい事いうわね……お姉さん、困っちゃうわ~………」

 

千雨とネギのやり取りに、おどける様に笑うダービー。するとダービーは『ポーカー・フェイス』を出し、3人の(チップ)をそれぞれ六つに分けた。

 

「ポーカーには、チップ3枚じゃあ話にならないでしょ?それぞれ6つで一つの魂よ。そして、」

 

ダービーは、何も描かれていない真っ白なチップを六枚、徐倫に差し出す。

 

「その真っ白なチップが、あなたの『魂』よ。私が六枚すべて奪ったら、あなたの魂はなくなるわ。いいわね?」

「………ああ。」

 

徐倫が承諾をし、カードをシャッフルする。適当な位置で2人はカードをめくった。

徐倫はスペードのJ、ダービーはダイヤの5。

 

「ディーラーはあなたからのようね………ふふっ、では、始めましょうか!」

 

ダービーのかけ声で、『魂』を賭けたゲームが始まった!

 

 

 

 

 

#35/ダービー・ザ・リベンジャー ②

 

 

 

 

 

☆第1ゲーム★

徐倫:6―ダービー:18

ディーラー:徐倫

 

 

徐倫がカードを配り、参加料に明日菜を1枚払う。徐倫は手札をみる。カードはダイヤのA、スペードの3、8、J、ハートの6だ。

 

「二枚チェンジだ。」

 

スペードのフラッシュが狙えると思い、ダイヤのAとハートの6を捨て、チップを払う。引いたカードは―――

 

(ハートの3と………ダイヤの8か………)

 

2ペアだが、役はそろった。

ダービーも明日菜をもう1枚払い、三枚チェンジ。

 

「………その顔、いい役でもそろえたのかしらね?様子見で、神楽坂 明日菜をもう1枚賭けるわ。」

「………同じく(コール)。」

(降りなければ、1ゲーム最低3枚必要なのか………)

 

ネギとスバルは、今のゲームから必要なチップの数を再確認する。

いよいよ勝負(コール)

 

「2ペア。3と8。」

「2と6の2ペアよ……運がいいわね。でも、勝負はまだ始まったばかりよ………?」

 

6枚のチップを自陣に運ぶ徐倫に、ダービーは笑いかけた。

 

☆第2ゲーム★

徐倫:9―ダービー:15

ディーラー:ダービー

 

 

互いに明日菜を支払う。徐倫のカードは、ダイヤの4と8に、ハートの4とスペードのJと8。8と4の2ペアができていた。別にイカサマはしてない。

ダービーも二枚チェンジして、とりあえず徐倫は1枚だけをチェンジ。引いたのはダイヤのQだった。

 

「コール。8と4の2ペア。」

「悪いわね………Qの3カードよ!」

「………!」

 

賭けた3枚の明日菜が、ダービーの元に渡る。

 

「………(あーもー!何でトランプなんかで、こんなにハラハラしなきゃならないのー!?)」

 

冷や汗を流しながら、スバルは内心叫びたい気分であった。友達の魂のやり取りというだけでも気分が悪いというのに、それを決めるのがトランプという、文字通り『命を懸けたゲーム』に、気がどうにかなりそうであった。

スバル・ナカジマ。賭け事(ギャンブル)に向かない性格かもしれない。

 

☆第3ゲーム★

徐倫:6―ダービー:18

ディーラー:徐倫

 

カードはAがそろっただけのワンペアだったので、三枚チェンジする。が、思ったようにそろわなかった……

 

「Aのワンペアだ………」

「ふふっ、運がいいわね………Jのワンペア。」

「………ほっ………」

 

明日菜が3枚徐倫の元へと戻り、ほっ、と、安堵するスバルと千雨とネギ。

 

☆第4ゲーム★

徐倫:9―ダービー:15

ディーラー:ダービー

 

 

(今んとこいたちごっこな状態だな………ここいらで勝負に出るか!)

 

徐倫はそう思い、カードをめくる。カードはクラブの3、ダイヤの4と8、スペードの5と7と、ストレートが狙える。ダイヤの8をチェンジすると、上手い具合にダイヤの6が来た。

行ける!そう確信し、2枚を上乗せ(レイズ)した。

 

「コール。ストレートだ。」

「……Qの3カードよ……やるわね。」

 

一気に5枚、明日菜3枚とウェンディ2枚をGET!

 

☆第5ゲーム★

徐倫:14―ダービー:10

ディーラー:徐倫

 

 

(ブタか………)

 

今度はうまく札やそろわなかった。三枚チェンジしたら、Qの3カードになった。

 

「コールだ。」

「あら、その役で来ちゃうの?」

『!?』

 

不敵な笑みを浮かべ、ダービーが見透かしたように言う。一瞬居を突かれる一同であったが、徐倫は落ち着いたように言う。

 

「……………何のことだ?」

「ふふっ、とぼけなくていいのよ?私はフルハウスだから。」

「………!」

 

慌てて、ネギたちに目配りをする徐倫。

 

「いえ……今のところ、怪しい動きは………」

「私の方も………」

「手の動きにも注意していたけど、怪しい点はなかったわ。」

「視線や仕草に不審な点は……………」

 

4人は口々に言う。怪しい点はないようだった。

 

(だが、ただのハッタリ(ブラフ)かもしれない…………ここは、まだ様子をみよう………)

 

☆第6ゲーム★

徐倫:11―ダービー:13

ディーラー:ダービー

 

 

(ヤツがイカサマしている証拠はない………それに、ポーカーは相手の「役」が見えたとしても意味はない。自分の役は変えられないからな……………だが、何か引っかかるな……さっきの行動…………)

 

カードはQとAの2ペア、十分に勝てる役であった。

 

「コールだ。」

「ふふっ、『()()()()()()()』ね。」

「!?」

「こいつ…………」

「だが、今のに怪しい点は…………」

 

ダービーも手札を見せる。役はジョーカーを交えたストレート。3枚がダービーの元へ渡ってしまう。

 

(どうなっているんだ…………?ヤツは私の役が見えている上に、ヤツの方が役が上…………?やはり、ヤツはイカサマをしているのか!?だが、方法は?どうやって私の手札を見て、なおかつ自分の役を勝たせている?)

 

 

 

☆第7ゲーム★

徐倫:8―ダービー:16

ディーラー:徐倫

 

 

そう思って迎えた第7ゲーム。ふと、ダービーの手が山札へ延びたとき、徐倫の目に『あるもの』が見えた。

 

(そうか!あれなら、自分の手札を勝たせることができる!だが、どうやって私の手札を…………?それがきがかりだ。)

 

徐倫はダービーのイカサマの糸口を掴んだものの、ゲームに集中できず3枚取られてしまった。

 

「あらあら、手が疎かになっているわよ?ゲームを諦めてしまったのかしら?」

「徐倫………」

 

徐倫が考えていると、ダービーが挑発するように笑う。

ふと、徐倫はダービーの手元にある明日菜とウェンディの『(チップ)』を見た。そして、閃いた。これしか、考えられなかった。

 

 

 

現在7ゲーム終了

徐倫:5―ダービー:19

 

ダービーが優勢。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

廃ビル1階

 

のどか、夕映、ルーテシア、アルフ、アギト VS.マイク・O

 

 

「『イノセント・スターター』ッ!!」

 

のどかは自分たちに迫るバブル犬に向かい、近いほうには拳を、遠い方へは子亀を放つ!だが、バブル犬はふわりとそれを避けて、その内の一匹が夕映に迫り―――

 

ガブゥウッ

「なあっ!?」

「ゆえッ!!」

 

夕映の足に『噛みついた』!だが、噛みついただけには止まらず、噛みついた先から夕映の足から血管へと進入してきた!

 

「こ……これは!わ、私の体内に!?」

「ゆえッ!!」

 

のどかは夕映に近づこうとするも、バブル犬が容赦なくのどかに迫る!

その時!

 

 

 

ドガガガガッ

「え?」

 

黒い影がのどかの前に現れて、バブル犬を蹴散らした!

驚くのどかだが、その影をよく観察した。

 

2m近いカブトムシなどを思わせる体に四つの赤い目、首にはマフラーをつけていて、某特撮ヒーローを思わせる。

 

「えと………あ、ありがとうございます……………」

「…………」

 

それは言葉を発さず、ぺこりと会釈した。

 

「あ…………あれは………?」

 

夕映がいきなり現れた人(?)に驚いたその時―――

 

 

 

バァアンッ

 

 

 

「……………え?」

 

噛みついていたバブル犬が破裂して、夕映の足に太い『釘』が突き刺さっていた……………

 

「あ……あああああああああああああッ!!」

「ゆえーーーーーーー!!」

 

部屋中に夕映の叫び声が木霊する。

 

「我が能力『チューブラー・ベルズ』は、金属を膨らまして『動物』の形にし、相手を追跡する……………そして、体内へ進入して破裂する世界だ。」

 

マイク・Oは、静かに告げる。いつの間にか彼は、鉄骨の近くにまで来ていた。

 

「!ガリュー!アギト!行って!!」

「おう!」

「…………!」

 

ルーテシアは黒いそれ―――人型召喚獣『ガリュー』とアギトに指示する。

ルーテシアのポケットから飛び出たアギトは、火球を形成して鉄骨に投げつけ、ガリューはマイク・Oに迫る!

ガリューの攻撃はバブル犬により阻まれるも、火球は鉄骨を熱し、焼き切った。まだ熱いのか、鉄骨は赤く熱されていた。

 

「……考えたな。熱すれば私は膨らませない世界というわけか…………」

 

マイク・Oが静かに賞するも、今度はガリューの回し蹴りが迫る!

 

「!危ないッ!!」

「!!」

 

が、のどかの声に一歩引く。瞬間!

 

 

 

 

 

ズドォッ

「「「!!」」」

 

ガリューとマイク・Oの間に『鉄板』が降ってきた!!ガリューは足を少し切ってしまうが、後一歩前に出ていたら、片足は切断されていただろう………そう思ったルーテシアは、ぞっとした。

だが、恐怖は去った訳ではない。気がつくと頭上には、白鳥の形をした風船が数体いた。

 

「ふむ………すでに鉄板を『バブル鳥』に変えていた世界だが………気づかれたか……………なかなか勘のいい世界だな。だが、我が『チューブラー・ベルズ』は防御シールドにして、君たちへのギロチン処刑の世界を兼ねたッ!!もう後戻りはできないぞ…………すでに許される世界ではない………後悔する世界は与えないッ!!」

 

マイク・Oは、のどかたちに指を指しながら叫ぶ。

 

(な…………何ですかこれは………………さっきから一体何が起こっているですか…………………!?)

 

夕映は混乱していた。

ネギたちを追ってこの廃ビルに入ったら、変な黒人男性が現れて、風船の犬が自分たちに襲いかかり、虫みたいな生物や手のひらサイズの人が自分たちを助け、自分の足には太い釘が刺さっている…………

これが、混乱しないでいられるだろうか?いや、『できない』。少なくとも、今の夕映には無理だった。

 

「…………あきらめたらどうだ?我が『チューブラー・ベルズ』はすでに君たちを包囲している世界だ………………逃げ場はない!」

 

マイク・Oは、のどかたちに言う。すでに勝利を確信している様子だ。

ふと、夕映は入り口をみる。入り口には特に多くのバブル犬がおり、逃げ出せそうにない。だが、夕映は見た。入り口の影に『誰かいる』………!?

 

「あ…………あなたの他に………誰か『仲間がいる』ですか………?あなた以外に……ここに誰かいるですか!?」

「………?いや、このビルには私と上にいる『ダービー』だけの世界だが…………?」

 

『ダービー』が誰かは知らないが、このビルには彼と後一人が上の階にいるだけらしい。

では、入り口の『アイツ』は……?

 

 

 

 

 

『頭脳』と『体力』、二つの戦いは、決着へと向かっていく―――

 

 

 

 

 

←to be continued...




35話です。
・ひやひやしながらポーカーを見守る一同。スバルもそうだけど、ネギまサイドもリリなのサイドも、賭け事向きじゃない面々が多い気がする。

・VSマイク・O。マイク・Oは、キャラクター、能力ともに好きなキャラですし、のどかたちを足止めするには、彼の『チューブラー・ベルズ』は効果的だと考えました。

では、次回をお楽しみに!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。