ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】 作:オレの「自動追尾弾」
茶道部部室前
「ネギ・スプリングフィールドに『助言者』がついたかも知れん。お前たちを襲ってくる可能性もある。しばらく一人で行動するなよ。」
「はい、マスター。」
「……………」
部活を終え、迎えに来たブチャラティと茶々丸に注意を呼びかけるエヴァンジェリン。その時、後ろから声をかけられた。
「おーい、エヴァー」
(うっ…………タカミチか……)
呼びかけてきたのはタカミチだ。エヴァはウンザリしながらも、振り返って応えた。
「…………何か用か?仕事はしてるぞ。」
「学園長がお呼びだ。『一人で来い』だってさ。」
「………………分かった。すぐ行くと伝えろ。茶々丸、すぐに戻る。ブチャラティ、茶々丸を頼んだぞ。後、必ず人目のある所を歩くんだぞ。」
「分かった。」
「お気をつけて、マスター。」
そう言うと、エヴァンジェリンはタカミチとともに歩いていった。
この様子を、一匹の『亀』が見ていたとも知らずに…………
#29/アルティメット・クライシス ①
「よし、兄貴、二人がエヴァンジェリンから離れた今がチャンスだ!一気にボコッちまおうッ!!」
「う〜〜〜………ダメだよ〜〜人目につくとマズいよ〜〜、もう少し待って〜〜〜〜」
カモに頼まれて、『イノセント・スターター』でエヴァンジェリン達を見張っていたのどかから連絡を受け、茶々丸たち二人に追いついたネギ達。二人の後方の草むらに隠れて、様子をうかがっていた。
なお、メンバーはネギ、明日菜、徐倫、千雨、スバル、仗助、カモに加え―――――
「―――で、何でおめーまで付いてきたんだ?『チンク』………」
仗助の目の先には、白いゴシックロリータ調のワンピース(ナカジマ姉妹+セインやウェンディがノリノリで選んだもの)を着たチンクがいた。何故か彼女は、仗助たちに同行を申し出たのだ。
なお、ナンバーズたちはアルフやギンガ、そして六課のメンバーと同行する事を条件に、買い物や見回り、『戦闘』が許可されている。
「……………少し、気になることがあってな………それに、スタンド使い同士の戦いも、見ておきたいからな………」
「……ふぅん。」
少し思いつめたような顔のチンクを見て、仗助はそれ以上追求しない事にした。
(話を聞いて『もしや』と思ったが……………やはり―――――――)
「………何か、『辻斬り』みたいでイヤね……………しかも片方は『クラスメート』だし……………」
「ま、ネギやまき絵の他にも、何人かを襲った奴らだし、どちらにしろ何とかしなくちゃだし…………ん?」
徐倫の目線の先では、ブチャラティたち二人の前で、木に風船を引っかけてしまったらしい小学校低学年くらいの女の子が、えんえんと泣いていた。
ブチャラティがしゃがみ込み、女の子に泣き止むよう慰め始めると、茶々丸は―――
バクンッ
ボッ
ドドドオォッ
背中の『ハッチ』を開き、背中と足からの『ジェット噴射』で低空飛行し、風船をとってあげた。とる際に枝に頭を当ててしまうが、そんなに痛みはないようだ。
女の子は、茶々丸にお礼を言うと、何度も振り返り、何度も手を振りながら、帰っていった。
『…………………………』
一部始終を見ていたネギ達は、しばらく口をポカンと開けていた。
「そ……そういえば、茶々丸さんって、どんな人なんです…………?」
「えーと…………あれ?」
「あんまり気にしたことなかったな…………」
ネギの質問に、うまく答えられない明日菜と徐倫。答えたのは千雨たちだった。
「いや、ロボだろ。」
「さすが『日本』だよなーー、ロボが学校通ってるなんてよぅ。」
「まあ、ロボが学校通うのか?って疑問はあるけど…………」
「ええっ!?じゃあ茶々丸さん人間じゃないのッ!!?」
「か、変わった『耳飾り』だとは思ってたけど…………」
「『関節』とか変だなぁって思ったが…………」
「「「「いや、気付よォォォォッ!!?」」」」
「つーか徐倫!何でお前までッ!?」
ネギや明日菜ならともかく、徐倫まで気づかないのに納得のいかない千雨だった…………
☆★☆★☆★
その後も二人を尾行する一行は、二人の『人間性』を目の当たりにする。
歩道橋を上るおばあさんを茶々丸が負ぶったり、
不良に絡まれる女子中学生をブチャラティが助けたり、
ドブ川に流される仔猫を茶々丸が助けたり、
気弱な大学生に絡む当たり屋を、ブチャラティが話しかけただけで退散させたりと、
そして、猫にエサをやっている所も見た。
結論
「「「「―――いい人たちだ………………」」」」
「「っておおおおいッ!?」」
「ネギ、この光景を目に焼き付けとけよォォォォ…………成績表書くときの参考になるから。」
「『教師目線』ッ!?」
涙を浮かべるネギ、明日菜、スバル、徐倫につっこむカモと千雨。仗助に関しては、茶々丸の成績表の『校外活動』の欄の参考にしようとしていた。
「と、とにかく!人目のない今がチャンスっすよ!心を鬼にして、一丁『ボカーッ』っとお願いしやす!」
「で、でもー………」
「…………やれやれだわ。」
かなりやり辛くなったが、二人は仕方なくやることにした。
☆★☆★☆★
茶々丸が猫のエサを片づけていると、ブチャラティがある方向を見つめているのに気づいた。
「………どうかしましたか、ブチャラティ?」
「誰かが付けてきているとは思っていたが、お前等だとはな…………」
見ると、杖を持ったネギと徐倫、そして、バリアジャケットに身を包んだスバルがいた。彼らの後ろでは、仗助たちが見守っていた。
「………油断しました。ですが、相手になります。」
「で、『後ろの連中』はかかってこないのか?」
「………後ろのみんなは『付き添い人』だ。私らの戦いを見届けるだけで、手出しはしない…………」
「そうか………(しかし、後ろのあいつ…………どこかで会ったか……………?)」
ブチャラティがそう考えていると、ネギの申し訳なさそうな声がした。
「あの、お二人とも…………僕を狙うのはやめていただけませんか………?」
「………申し訳ありません、ネギ先生。私にとって、マスターの命令は『絶対』ですので。」
「オレも、あいつには『恩』があるからな…………やりたくはないがな…………すまない。」
「うう…………仕方ないです………」
(く、空条さん、あのブチャラティって人、任せて大丈夫なんだよね?)
(ああ、ジッパーの『対策』は考えてある。私ならまず『負け』はない!)
不安ながらも、徐倫のセリフに安心するスバル。
カモが考えた『作戦』は、ブチャラティと茶々丸の二人を徐倫とスバルが攻撃している内に、ネギが魔法の射手を放つという、典型的な魔法使いとパートナーの戦い方だ。
「……では」
「はい。」
「………ごめんね。」
「……行きます!
ファァアゴォオオッ
「んうっ………(擬音大げさじゃね?)」
何やら奇妙な心地よさを感じ、嬌声を上げてしまう徐倫だが、そのままブチャラティに向かって走り出す!途中でどうでもいいことが頭をよぎったが……
ドンッ
(……!何だこれ!?体がまるで『羽根』みたいに軽い………これが『
「わっ、空条さん速っ!?」
パクティオーの効果―――魔法使いからの魔力供給による『身体能力の向上』により、普段よりもさらにスピードが上がった徐倫。そのままの勢いでブチャラティにオラオラを繰り出す!
「オラオラオラオラオラオラァ!!」
「魔法使いと契約をしたか………だが!」
だが、ブチャラティもスタンド―――『スティッキィ・フィンガーズ』を出し、『ストーン・フリー』の両腕を殴り、防御と同時にジッパーをひっつけ、腕を切り離す。
「動きが直線的すぎるな………馬鹿正直に突っ込んでくるだけじゃあ―――」
ズドオッ
「!?がッ………ぐうっ!?」
ブチャラティが言い終わる前に、ストーン・フリーの『手刀』が彼の首筋に叩き込まれ、ブチャラティは膝をつく!
「………お前は『バカな、切り離したはずなのに!』と言う。」
「バ、バカな、切り離したはずなのに!………はっ!?」
「お前の敗因は、『私のスタンドを知らなかった』ことだ。」
言われて徐倫の腕を見ると、ジッパーで切り離された腕が、糸で『縫い合わされて』いた!
「『ストーン・フリー』!糸で切り離された腕を『縫い合わせた』………油断したな………」
「コ、コイツ………(戦いなれてやがる………死と隣り合わせの戦いを、何度も切り抜けているな………!)」
「い…『糸』で切り離された腕を………!」
「あんな荒技で………はっ!?」
離れて交戦していたスバルと茶々丸も驚いていたが、茶々丸は回り込んでくるネギの存在に気づいた。
「
ドババァッ
詠唱を終えて、『魔法の射手』を放つネギ!
「よしっ!あれで決まったな!」
「ああ、徐倫の姐さんの腕が切り離された時はヒヤヒヤしたが、これで!」
(……ブチャラティ、この程度なのか?)
「さて、あいつらの治療の準備を………ん?」
「あれ……?あのあたりの石畳………?」
仗助と明日菜は気づいた。ブチャラティの足元が、『膨らんでいる』?
「!!あれはッ!」
ネギもそれに気づいた時、膨らんだ部分から『腕』が伸び、ブチャラティをつかもうとしていた!
「危ないッ!ま、『曲がれェェエエ』!!」
ギャギャギャアッ
「!!」
ズドドドオッ
茶々丸たちに向かっていた『魔法の射手』を操作し、ブチャラティに迫っていた『腕』へ全弾当てる!
「ネ、ネギくんッ!」
「今の腕は………それにこの『石畳』ッ!」
「こ…………この『柔らかさ』…………この現象はッ!まさかッ!!」
『魔法の射手』が着弾して生じた爆発と衝撃に吹き飛んだブチャラティは、石畳の柔らかさに気づいた。こんな現象を起こせる者は、
「あぐおああああ………な、………なんて事ヲォォォォ………しやがるんだ!!こ、この………ガキィィィィ!!」
ブチャラティたちから少し離れたあたりから、茶色い『ダイバースーツ』のようなものを見にまとった男がでてきた。
スバルと千雨は気づく。この男は―――
「あ、あいつは!」
「『アヌビス神』をつれて帰った!あの時の!!」
「貴様は…………『地面下を進む』スタンド―――『オアシス』のッ!!」
ブチャラティも知っていた。この男は、ローマで戦ったスタンド使い!
「うぐぐぅううっ!だが、ブチャラティィィィィーーーっテメェには会いたかったぜェエエエ!」
男はブチャラティに向け、恨みのこもった言葉を吐いた。
本体名――セッコ
スタンド名――オアシス
←to be continued...
29話です。
・徐倫VSブチャラティ。ストーン・フリーなら、ジッパー喰らっても縫いつけるから無問題だと考えてこうなりました。
・セッコ登場。実はセッコって、第五部ではっきりと死んだ描写がないので、生きていてもおかしくないという妄想から。
では、次回をお楽しみに!