ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】   作:オレの「自動追尾弾」

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#26/エヴァンジェリンが来る ②

「ふふ…十歳にしてこの『魔力』………さすがに『ヤツ』の息子だけはある………」

(……『ヤツ』……?ネギくんのお父さんのこと?確か『サウザンド・マスター』って…………)

「な……何者なんですかあなたはッ!?僕と同じ魔法使いなのに、なぜこんなことを!?」

 

エヴァンジェリンに向けて杖を突きつけ、問いかけるネギ。ティアナも、待機状態の『クロスミラージュ』を取り出す。

 

「簡単なことだ……この世には……『いい魔法使い』と『悪い魔法使い』がいるんだよ……先生。」

 

言うと、エヴァンジェリンは懐から小さなフラスコと試験管を取り出す。中には、それぞれ違う『薬品』が入っている。

 

氷結(フリーゲランス)武装解除(エクサルマテイオー)ッ!!」

 

それを投げつけ、魔法を発動させる!

 

「うあっ」「きゃあッ!」

パキィィイイイン

 

『武装解除魔法』を何とか防ぐネギだが、服の一部が『凍り付き』そのまま砕けてしまう。ティアナはクロスミラージュを落としてしまい、それどころか―――

 

 

「て、ティアナさん、大丈夫で……ってわあっ!?」

「って!デバイスはともかく、何で服まで脱がす必要があるのよォォォオオ!?」

 

のどか共々、『全裸に』なってしまった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

#26/エヴァンジェリンが来る ②

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜通り近くの道

 

 

「うちのクラスの出席番号26番『エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル』………そいつが『吸血鬼』の正体か!」

 

バイクを脇に止め、またがりながらネギからの電話で吸血鬼の正体を聞いた仗助。どうやら、エヴァンジェリンはこちらに向かって逃走中らしい。後から来た明日菜やスバル、徐倫たちにのどかとティアナを任せて、ネギも追跡しているとの事だ。

 

「分かった、オレもそっちに向かうぜッ!!」

 

そう言って携帯電話を切ると、桜通り方面へバイクを走らせる。

 

しばらく走らせると、歩道橋から『黒マントの少女』が飛び降りたかと思うと、そのまま飛んでいったのを見た。後ろからは、ネギも走ってきている。

 

「ムっ、あれだな!ネギッ!!」

「仗助さん!」

「そのまま杖で『飛べ』!オレも()()()()()()ぜ!!」

 

ネギは躊躇うも、言われた通りに飛んだ。心配になって仗助の方を見ると、彼はスタンド『クレイジー・ダイヤモンド』を出していた。

ネギは最初、仗助が『クレイジー・ダイヤモンド』を出した意味が分からなかったが、すぐに分かった。何故なら―――

 

「ドラァッ!!」ドン!

「ええッ!?」

 

バイクから、ネギの杖まで『跳び』、そしてそのまま杖をスタンドで『掴んだ』!操縦者を失ったバイクは、そのまま壁にぶつかり、大破する。

 

「うわっとと……な!何やっているんですかッ!?」

「ああ、バイクなら気にしなくて平気だぞ。中古だし。」

「ちっがーーうッ!!」

 

バランスを保ちながら、仗助の的違いな返答に思わず叫ぶネギだった。

 

「で、あいつ、エヴァンジェリンが吸血鬼なのか?」

「え、ええ。でも、何かおかしいんです………」

「『おかしい』?」

「はい……スゴ腕の魔法使いにしては、魔法の威力が弱かったんです。それに、さっきから魔法の発動にわざわざ魔法薬を触媒に使っていました……何でか分かりませんが、あの人は魔力が全然弱いんです………」

 

仗助には魔法のことは分からないが、力の弱さを理由に『勝利』を確信しているネギを心配する。ふと見ると、振り返ったエヴァンジェリンが不敵な笑みを浮かべていることに気が付いた。

 

「(こりゃ、何かあるな………)ネギよぉー、『魔力』とやらが『弱い』からって、油断したらケガするぜェ……ドラァッ!!」

ブオンッ

 

言うと、仗助はクレイジー・ダイヤモンドに『何か』を持たせて、それを投げさせた。

何かはヒュンヒュンと音を立てながらブーメランさながらに回転し―――

 

ゴキンッ☆

「タコスッ!?」

 

完全に油断していたエヴァンジェリンの脳天に命中し、エヴァンジェリンそのまま近くの建物の屋根へ落下していった。

 

「油断していると、ああなる………あいつ、何か企んでて、それにお前があっさり引っかかった事で油断してたみてーだ。」

「い、意外と無茶するんですね……」

 

 

 

二人はエヴァンジェリンが落ちた建物まで降りると、エヴァンジェリンは後頭部にできたマンガみたいなタンコブを、涙目で押さえていた。

周りには、割れた瓶やフラスコが散乱し、マントもどこかへ飛んでいってしまっていた。

 

「くっ……東方 仗助かッ!貴様、この私に何てことを………っ!?」

「へっ!不良生徒に『教育的指導』だよ!!『PTA』には内緒だからな?」

「内緒ならやるなよッ!?冗談抜きに痛かったんだぞッ!!」

 

さっきまでのシリアスな雰囲気はどこへやら、涙目で叫ぶエヴァンジェリン。完全に子供にしか見えない。

 

「え、……ええと、もう『マント』も『触媒』もないあなたに勝ち目はありません。教えてもらいますよ……何でこんなことをしたのかを……!」

 

少し入りづらい雰囲気だったが、エヴァンジェリンに再び左手の杖を突きつけるネギ。

だが、エヴァンジェリンは冷静な顔に戻ると――

 

「ふ……『これ』で勝ったつもりなのか?」

「!そうだ……ヤツには二人の仲間が……!」

 

仗助が言うと同時に、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボンッ

 

 

 

 

 

「「!!」」

 

杖を持ったネギの左手が『切断』された!いや、切断ではない!

良く見ると、断面に『金具』がいくつもついており、その先には『取っ手』らしきものもある。そう、これは―――

 

「じ…………『ジッパー』……?はっ」

 

見ると、建物の屋根にも同様に『ジッパー』がひっついており、そこから腕―――いや、『男』が出てきた。

 

おかっぱに切りそろえた黒髪に、両コメカミにはヘアピンをつけている。顔立ちは整っているが、一目で『日本人』ではないことが分かる。ジッパーがそこら中に付き、オタマジャクシのような水玉柄の白いスーツを素肌に着ている。見たところ、二十代ではないだろうか?

 

「てめぇ…………スタンド使いかッ!」

ドバババ!

 

返答を待たずに、仗助は『クレイジー・ダイヤモンド』の拳を放つ!だが、男もスタンドを出して防御する!

まるで、目元まで帽子をかぶったような頭部に、拳や首、腰や足にまでついたジッパーが印象的なスタンドだ。

 

「ネギッ『(タスク)』だ!タスクで狙い撃て!!」

「は………はい!」

 

ネギは残った右手の爪を回転させて、エヴァンジェリンを狙う。

だが!

 

 

 

ガシィッ

「なっ!?」

 

いきなり後ろから右手を掴まれた。そちらを向くと、緑色の長髪に、機械的な耳飾り(?)をつけた少女がいた。

 

「き…………君はうちのクラスの…………」

「すみませんネギ先生…………『マスター』の命令なので…………」

「く……どういうことだてめぇら………」

 

驚愕する二人に、エヴァンジェリンの『勝ち誇った』声が聞こえた。

 

「ふふ、紹介しよう先生方。私の従者(パートナー)の『絡繰 茶々丸(からくりちゃちゃまる)』とブ」「『ブローノ・ブチャラティ』だ。エヴァたちが世話になってるみたいだな。」

 

エヴァンジェリンの言葉を遮るように、男―――ブチャラティは自己紹介をする。

 

「ってブチャラティ!私を差し置いて自分で言うなッ!!」

「文句を言うんじゃない。こんなことに付き合ってやってんだ。」

「こ………『こんなこと』だと…………?私はこいつの親父、『サウザンド・マスター』に魔力を極限まで封じられたうえに………もーーーーーー『20年』もあのお気楽なクラスでお勉強させられてんだよ!!どーしてくれるんだッ!!!」

「ええっ!?」

「って何でそこでネギに振るんだよ!?」

 

いきなりネギに掴みかかるエヴァンジェリンにつっこむ仗助。だが、これで事情は分かった。

 

「………つまりてめぇは、ネギに親父の尻拭いをしろってのか?」

「…まあ、そんなところだ。このバカバカしい呪いを解くには、『ヤツ』の血縁者の血が必要なんでな。そのために、わざわざ危険を冒してまで血を飲んできた。」

「で、俺はそれにつき合わされてるってわけだ。しかたなくな………」

「大変だな……だがなエヴァンジェリン、こんな言葉を知っているか?」

「?」

 

エヴァンジェリンを見据えて、仗助は言った。

 

 

 

「『相手が勝ち誇ったとき、そいつはすでに敗北している。』!」

「!!」

 

仗助が言い放った瞬間、エヴァンジェリンは『ある男』と仗助がかぶって見えた。そう、減らず口ばかり叩く、気に食わないあの『トッポイ男』と―――

 

 

 

 

 

「!マスターッ!!」

「!?」

 

茶々丸の叫びで我に帰ったエヴァンジェリンは、自分に向かって飛んできた『何か』を避けるも、そのせいでネギから離れてしまう。

飛んできたそれは仗助の元まで行くと、

 

カシィィイン

 

仗助の持っていた『グリップ』と合体して、ようやくそれが何なのかが分かった。

 

「ば………『バイクの』…………」

「『ハンドル』………?」

「ああ……さっきお前に投げたのもこいつだ。オレの『クレイジー・ダイヤモンド』は、『破壊されたものを直す』能力!だがなぁーー、こいつはお前に『攻撃するため』に直したんじゃぁーねーぜぇ~~~」

 

仗助の言うことがいまいち分からないエヴァンジェリンと茶々丸だが、ブチャラティはある仮説を立てた。

 

(『直す』能力?…………『バイクのハンドルを直した』……いや、()()()()()()()………?まさか!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウチの居候に何すんのよォーーーッ!!」

ドグシャァ

「へぶぅッ!?」

「マスター!?」

 

いきなり後頭部(しかもさっきコブができた位置)に跳び蹴りを喰らうエヴァンジェリン。蹴ったのは―――

 

「あ………『アスナさん』!?」

「大丈夫ネギくん…ってその腕!?」

 

来たのは、明日菜にスバル、そして、飛んできた『仗助のバイク』にまたがった徐倫だ。

 

「な、直したのは………「バイクそのもの」か………仲間を連れてくるために!」

「信じてたぜぇ~~徐倫~~!『ハンドルのないぶっ壊れたバイク』を見て!そいつでオレたちのとこに来るってよぉ~~~~~!」

「まあね、振り落とされないように踏ん張ったから大変だったわよ……で、あんたたち、覚悟はいい?」

 

エヴァンジェリンに向けて『ストーン・フリー』の拳を向ける徐倫。完全に、エヴァンジェリン側の旗色が悪かった。

 

「くっ、おのれ神楽坂 明日菜……!今日は引いてやる!!だが、次はないと思えよっ!!」

 

そう言って、ブチャラティが出てきた穴から退散するエヴァンジェリンと茶々丸。だが、ブチャラティは、ネギに近づいてくる。

 

「あ、あんた!ネギに何する気よ!?」

 

明日菜はネギをかばうように身構えるが、ブチャラティは、切断したネギの左手を拾うと、

 

「見せてみろ……今から引っ付けるから。」

「え?」

 

言うと、ネギの左手の切断面同士をくっ付けて、ジッパーを『閉じる』ブチャラティ。「すまなかったな………」とだけ言って、穴へ行くと、同様にジッパーを閉じた。

 

「な………何だったの…あいつ………」

 

誰に言うでもなく呟いた明日菜の声は、夜の闇に消えていった………

 

 

 

 

 

←to be continued...




26話です。
・ブチャラティはエヴァサイド。エヴァに付く理由等は、追々出す予定です。

・バイクに乗って援軍参上!は、「ハイウェイ・スター」を読んで思いついた展開です。結構お気に入りです。

では、次回をお楽しみに!

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