ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】   作:オレの「自動追尾弾」

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#24/星のアザを持つ少女

1時間ほど前―――

 

 

 

ミッドチルダ 海上隔離施設

 

ここでは、数ヶ月前に起きた『JS事件』で保護された戦闘機人『ナンバーズ』の内、管理局に協力的な七人に加え、『レリックウエポン』とされた少女、ルーテシア・アルピーノと、『ユニゾンデバイス』アギトが、『更生プログラム』を受けていた。

現在は昼休み。ナンバーズとスバルの姉ギンガは、昼食をとっていた。

 

 

 

「そうか、スバルは今97管理外世界にいるのか。」

「うん………なのはさんが負傷したって聞いているし………心配で食事ものどを通らなくて…………」

「………いや、そんだけ食べられれば十分だと思うけど…………」

 

ギンガと同席する三人は、冗談のように山盛りになったナポリタンスパゲティを見て、そう呟くしかなかった………

 

「しかし、管理局も認知していなかった能力、『スタンド』か……」

 

銀髪の長い髪に、右目につけた眼帯が特徴のチンクが言う。

10歳ほどにしか見えないが、(チンク)という名前の示すとおり、更生プログラムを受ける七人の中では一番()()なのだ。

 

「私たちのインヒューレント・スキルは、スタンドを目指して生まれたっていうから、ドクターは知ってたのかな?」

「さあ………?今、フェイトさんたちが調べてるみたいだけど…………」

 

隣に座る、長い茶髪を後ろで止めた少女『ディエチ』に、少し曖昧な答えをするギンガ。

 

「まあ、知っていたにしろ、ドクターの場合は―――」

 

水色の髪のセインが言おうとするが――――――

 

 

 

ズドオオォォォン

「「「!!?」」」

 

突然発生した爆発により、遮られた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

#24/星のアザを持つ少女

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆発の40秒前―――

 

三階 女子トイレ

 

 

ガチャ

「う〜〜ん………」

「ん?ノーヴェ、便秘ッスか?」

「ちげーよッ!!いや、なんか今朝変な夢見てさ〜……それがなーんか気になるんだよ…………」

 

トイレの個室から出たノーヴェは、今朝見た夢が気になっていた。

 

 

 

なお、後日談になるが、このことをスバルに話したところ、スバルが以前見た夢と同じ内容であることが判明した……

 

 

 

「夢ですか?」

「ああ…………なんか不気味でグロい夢だったんだが、全部覚えてんだよ………いやな夢なのに…………」

 

洗面台にいた短く切りそろえた茶髪のオットーと、オットーの髪を伸ばして、胸を大きくしたようなディード―――2人は『双子』なのだ―――にも話すノーヴェ。側には、赤い髪を後ろで束ねたウェンディもいる。

 

「で、どんな夢だったんスか?」

「出来れば食事の後に話させてくれ………思い出しただけで吐きそうだ…………」

 

ノーヴェが気持ち悪そうな顔をしていると、トイレのドアが開いた。

入ってきたのは、薄い紫色の髪をした、10歳位の少女だ。前髪を左右で止めており、額にはなにやら紋章のようなものが描かれている。表情は乏しく、見ただけでは感情を読みとることができない。

 

ルーテシア・アルピーノ

 

それが少女の名前だった。

 

「あ、お嬢様。アギトは?」

「先に食堂に行った。」

 

淡々と言い、ルーテシアが個室に入ろうとした時――――――

 

 

 

 

 

 

ズドオオォォォン

 

 

「「なああああッ!?」」

「「「!!?」」」

 

便器が爆発した!それも、全部の個室の便器がだ!

ノーヴェたちは咄嗟に身をかがめて難を逃れ、爆発から身を守った。

 

「……くっ、お前ら!無事かッ!?」

「だ………大丈夫ッス……」

 

爆発であたりに蔓延していた煙が窓から逃げていき、床一面水浸しになったトイレで、ノーヴェが全員の安否を確かめる。

 

「ディード、平気……?」

「うん…………お嬢様はッ!?」

 

ディードが気付き、全員がルーテシアのいたほうを見ると―――――――

 

 

 

 

 

 

「……………」

「「ってどういう事ォ!!?」」

 

便器が頭にすっぽりと『ハマった』ルーテシアがいた………

 

 

 

「いきなり爆発したと思ったら………うまい具合にトイレが飛んできて………そのままガポっと…………」

「あーー、言わなくていいッスよ……」

 

便器で顔が見えないが、心なしか涙声のルーテシアをなだめるウェンディ。ノーヴェは何とか便器を引き抜こうとするが、うまい具合にはまっているらしく、なかなか抜けない。

 

「だめだ、抜けねぇ……こりゃギンガを待ったほうがよさそうだな……」

「私………一生このままなの………?」

「いや、そんなことないから………ギンガなら一発で粉々にできるから……」

 

本来ならノーヴェがやったほうがいいのだが、施設内での『力の使用』は禁じられているため、現在施設内で破壊できるギンガを待つことにした。

 

ノーヴェがそう決定したときだった…………

 

「ん………?」

 

オットーは、水浸しの床に、何かを見つけた。それは、まるで『鮫の背ビレ』のようなものであり、その背ビレには、小さい『人間』らしきものが『掴まっている』が見える…………

 

「………?」

 

オットーが何だろうと思ったとき―――――

 

 

 

 

 

ガブゥッ

 

 

 

 

 

「「「「!!!?」」」」

 

鮫が飛び出して、ディードに『食らい付いた』!!

 

「が………こ………これは……………?」

「ディードッ!!」

 

オットーがディードを掴もうとするが……

 

ザブゥン

 

鮫に引きずり込まれて、ディードは水に『沈んでいった』!引き上げようと手を伸ばすオットーだったが、今度は鮫ごとディードが消えてしまい、救出が不可能となってしまった!

 

「そんな………こんな………『1mm』あるかないかの水に………?」

「ディード………ディードォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」

 

ギンガたちが駆けつけたのは、オットーの叫びが、狭いトイレにこだましたときだった…………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

その後、はやてに通信をしたギンガは、ちょうど同席していた承太郎により、外観と能力から『オエコモバ』を始末した『スタンド』と同一である事が判明した。この事から、現在麻帆良で起きている『矢』の事件と関連していると考えられた。

 

そこで、六課にディードの捜索を依頼しようとしたのだが、ここで問題が起きた。『ナンバーズ』たちが、自分たちに捜索させてほしいと願い出たのだ。

 

「『妹』であるディードが連れ去られて黙ってはいれない」とは、ノーヴェの談だ。特にディードとは『双子』であるオットーは、自分の目の前で妹が連れ去られてしまった事が悔しいのか、その目には無表情ながら『怒り』が籠っていた。

 

はやてが上層部(うえ)に申請したところ、人手不足だからか、『更正プログラムの一環としての『奉仕活動』』という名目で許可が下りた。

 

こうして、ナンバーズ6名にルーテシアとアギト、そして『見張り役』を加えた計9名が、承太郎、フェイト、ギンガとともに、麻帆良に降り立った。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

現在

麻帆良学園 学園長室

 

 

「まあ、そんなわけだ。こいつらの妹探しに協力してやってくれ。」

 

承太郎がそういってしめた。周りにはナンバーズや六課、そしてスタンド使い組やネギ、明日菜、あやかと、かなりの大人数だ。

普通ならガヤガヤとうるさいものだが、なにやら全員静かだ。特に普段からやかましいウェンディやセインは、借りてきたネコよりもおとなしい。

というのも―――

 

(え?あんたたちも承太郎さんに?)

(ああ…………うっおとしいって怒鳴られた…………)

(…………『うっおとしい』?)

 

まあ、承太郎が原因な訳で…………

 

「現在、麻帆良学園内外の魔法使いに加えて、スピードワゴン財団も動いている………ディードが発見出来次第、連絡が来るだろう。」

「よろしくお願いします………」

「で、『見張り役』ってのが―――」

 

千雨がそちらを向くと、ネギや明日菜もそちらを見る。

視線の先には―――

 

「………犬?」

 

そう、犬だ。

オレンジの毛並みで、額には宝石のようなものが着いている。大きさは子犬ほどで、床にべったりと寝そべっている。

その犬が、千雨たちに顔を向けたかと思うと、

 

「『狼』だよ!」

「あ、そうなの?ごめんね。…………………って!」

 

 

 

 

 

「「「「「喋ったァァァアアアアアッ!!?」」」」」

 

いきなり犬、いや、本人曰く狼が喋ったため、スタンド使い組+明日菜は、驚愕の声を上げた。

 

「あ、紹介がまだだったね。私の使い魔のアルフ。今回は見張り役ってことで、来てもらったんだ。」

「え?所●ョージ?」

「そっちじゃないよッ!!私メル○ック星人じゃないからッ!!」

「あ、アルフ、落ち着いて………」

 

明日菜のボケに律儀につっこむアルフ。

ふと、仗助はソファーに腰かけて俯くオットーが目に入った。

 

「……………妹、『ディード』っつったか?そいつのことが心配か?」

「………………………はい」

 

仗助はオットーの隣に座り話しかけると、小さく頷いた。

 

「………ま、SPW財団が動いてるんだ。すぐに見つかるぜ!」

バシィッ

「うっ………は…はい…………」

 

仗助はオットーの背中をたたき励ます。強すぎたのか、オットーは痛そうな顔をしているが………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「しっかし、なんだか賑やかになったわねー?」

 

帰りの道中、明日菜とネギは、スバルと話していた。

 

「せいたいへーき、って言われたときはびっくりしたけれど、みんな普通の人と変わりないじゃないのよー」

「そう、だね………」

 

ネギは昨日、奏汰との騒動にノーヴェやチンクと出会っていたが、聞かされるまでそのような事情があるとは知らなかった。スバルは少し困ったように笑ったが、ネギたちは気づかないでいた。

ふとネギは周囲を見渡して、寮へ向かうメンバーの中に徐倫の姿がない事に気が付いた。

 

「……あれ?空条さんは……?」

「ああ、何か、承太郎さんに呼ばれて、どこかに行ったみたいだけど………」

 

千雨が答えると、スバルと明日菜はふーん、と受け流す。答えた千雨も、少し不思議そうにしていた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「なんだって………!?」

 

一方、承太郎に呼び出された徐倫は、愕然としていた。承太郎から告げられた真実に混乱していた。

 

「スバルが、戦闘機人で………DIOの血が、流れているって………どーいう事だオヤジぃいいいいいいい!!」

「………言ったとおりだ。彼女とその姉ギンガの母、クイント・ナカジマは、ジョナサンの肉体を乗っ取ったDIOの娘である可能性が高い………」

 

冷静に告げる承太郎に対し、徐倫は困惑していた。脳裏に、2年前の『DIOの息子たち』とプッチの顔が浮かび上がる。

 

 

 

―――オレは『アポロ11号』なんだァーーーッ!

 

―――オレはこんなところで終わらない!オレだって幸せになる権利はあるんだッ!

 

―――「どこへ行かれるのですか(ドミネ・クォ・ヴァディス)?」おまえは磔刑だーッ!!

 

 

 

「………あたしはこの1ヵ月、スバルとクラスで過ごしてきた………あいつが、()()()()()であるとは考えたくない………」

「それは俺も同じだ………彼女たちには、少し『注意をしてほしい』という事を伝えたかった………彼女たちに、DIOのような「邪悪な精神」が宿らぬよう………」

「………」

 

承太郎の言葉に徐倫は頷くと、踵を返して寮に向かって歩き出した………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

退院手続きをしたレプラ・ハーパーは、駅に向かって歩いていた。今回の顛末の報告と『報酬』を受け取るために、京都の『篤緒家』へ行くのだ。

 

「………ん?」

 

ふと、自分の行く手の気にもたれかかる1人の男に気づいた。短く切りそろえた髪に、ワッフルや碁盤の目を思わせる剃り込みを入れた髪型とアゴヒゲをしており、白い丸に黒い丸を組み合わせた上着を着た男だ。

 

「レプラ・ハーパーだな…?」

「………どなた、ですかぁ~?私を、知っているなんてぇ………」

 

男にそう聞くレプラだが、男は答えない。レプラは攻撃しようと思い、『エッジ・オブ・ジ・アンノウン』を出す体制を取るが、

 

「おっと、妙な動きはしないでくれよぉ?」

「!?」

 

背後から声がして、何かを突き付けられている事が分かった。レプラは、その声に聞き覚えがあった。

 

「よぉレプラ。久しぶりだなぁー?」

「………覚えていたんですね、ホル・ホース………私の存在は、『消し飛ばした』と思っていたのにぃ………」

「俺は女の顔は忘れない『タチ』なんだよ………美人の顔は、特になぁー」

 

ホル・ホースに苦い顔で言うレプラ。男はレプラに本題を話し始めた。

 

「君のおかげで『田中かなた』………いや、『篤緒奏汰』のスタンド能力を調べるのに、時間がかかってしまった………それを責める訳ではないのだが、君には我々に力を貸してほしい。これは、我々の「主」からの、正式な『依頼』でもある………」

「『依頼』………ですかぁ~?」

 

訝しむレプラに対し、男は1枚の封筒を差し出した。

 

「依頼の正式な内容と、成功報酬が書いてある……受けるかどうかは自由だ………連絡を待っている………」

 

レプラは封筒を受け取ると、男はすれ違うように立ち去った。レプラが振り返ると、ホル・ホースは『皇帝(エンペラー)』をしまい、帽子を深くかぶりなおしていた。

 

「『ウェカピポ』の旦那はああ言っていたが、俺としちゃぁまたお前さんと仕事がしたいって思っているぜぇー?」

「………まったく、調子のいい事を………」

 

ホル・ホースがウェカピポと去っていくのを、レプラは呆れながら見届けていた。

 

 

 

 

 

←to be continued…




24話です。
・サブタイトルは『星のアザを持つ男』から。

・ディード誘拐。それを探すためにナンバーズ(更生組)、麻帆良上陸。アルフ付き。

・スバルたちがDIOの血縁者であることを知る徐倫。プッチたちのセリフは印象的な物を選んだけれど、リキエルはやっぱりアレしかありませんでした(笑)

・ウェカピポ&ホル・ホースと会うレプラ。彼女があちらの陣営に入るかどうかは、今後の動向によります。

・今回で、第1章は終了となります。次回からはエヴァ編になりますので、お楽しみに。

では、次回をお楽しみに!

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