ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】   作:オレの「自動追尾弾」

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長らくお待たせしてすいませんでした。


#20/田中 かなた(ハイ・ステッパー) ②

時間は少し戻って、14時50分

 

一通り、自分たちがよく使うであろう場所を紹介し終えたネギは、仗助と話しをしながら廊下を歩いていた。

 

「仗助さん、これから予定ありますか?僕この後、アスナさんたちに街を案内してもらいに行くんですけれど、仗助さんも一緒にどうですか?」

「うーん、今後の話もあるし、同席するべきなのかなぁー?」

 

ネギに誘われて、少し悩む仗助。ネギとは違い、なんとなく女子中学生と一緒に歩くことには抵抗があった。

 

「ネギならまだ大丈夫だろうがよぉー、オレみたいなのが一緒で肩身狭くなんないかなぁ………ん?」

 

ふと、仗助は何か『不思議な感覚』を、丁度『左肩の付け根辺り』に覚えた。まるで、すぐそこに何かがあるような感覚であった。

 

(何だ、この感覚………?今までにないような…?)

「あ、仗助さん!」

「え?」

 

仗助が不思議な感覚に首を傾げていたためか、目の前の小さな人影に気が付かずドンッ、とぶつかってしまった。

 

「うわッ!?」

「おっと?」ドギュンッ

 

ぶつかった小さな少女は衝撃で倒れそうになるが、咄嗟に仗助が『スタンドの腕』で引き寄せて、自身の腕で抱えたため事なきを得た。

 

「大丈夫か?悪かったな、考え事しててよぉー」

「え、………あ、ああ………」

 

仗助は抱きかかえた少女に聞くと、少女はきょとんとしていた。

見たところネギと同い年くらいだろうか。腰まである銀髪に金色の目を持ち、右目に黒い眼帯をつけていた。シャツの上から袖なしのパーカーを着て、下はスカートにニーソックスという服装であった。

 

「見た所、小学生くらいか?今日は中等部の見学か何かか?」

「いや、私は………」

 

仗助に聞かれた少女はむっと不機嫌な顔になった。ネギが不思議そうにしていると、

 

「あ、テメェ!『チンク姉』に何してんだッ!!」

 

いきなり背後から怒鳴り声がしたかと思うと、赤い短髪に同じく金色の吊り上がった目をして、黄色く太めのゴシック体で「6251」とプリントされた赤いTシャツにハーフジーンズの少女が、ズカズカと歩いてきていた。

 

(あれ、この人どこかで………?)

「悪りぃなぁ、ちょいとよそ見してて……ん?チンク()だと?」

「ノーヴェ、私は大丈夫だぞ。」

 

チンクと呼ばれた少女は仗助の手を離れると、ノーヴェと言うらしい赤毛の少女の元にトコトコと速足で行く。仗助は、明日菜たちくらいの少女が小さい少女を『姉』と呼ぶことに違和感を覚え、聞いてみた。

 

「あの~、失礼とは思うけどよぉー、そのちっこいのって、お前のねーちゃんなワケか?」

「あ?姉だと悪いのかよッ!」

「こら、ノーヴェ!すまない、妹は少し短気な所があってな………」

 

ケンカ腰に仗助に食って掛かるノーヴェをチンクがなだめる。仗助とネギは、顔を見合わせた。

 

「グレート………ま、アネキが知らない男に支えられてりゃ、警戒もするわなぁ~………変わった姉妹もいるもんだ………」

「確かに………けれど、そういうこともありますよ。」

 

ネギと仗助がそういうと、ノーヴェはむっと顔をしかめた。

 

 

 

この時、ノーヴェが仗助の事を知っていたら、この後起こった事にはならなかっただろう。

 

だが、起こってしまった事を後悔しても、仕方がない事だろう。

 

 

 

「何だよ!変わってるのは、アンタの頭も一緒だろうが!何だよその髪型!」

「ノーヴェ!」

「えッ」

 

チンクはノーヴェに注意をするが、ネギは今の一言に仗助の先ほどの会話を思い出し、嫌な予感がした。恐る恐る仗助の方を見ると―――

 

 

 

プッツーーーーーン

 

 

 

普段の温厚で人懐っこい雰囲気がなくなり、まるで封印を解かれた大魔神のごとく怒りを露わにした仗助が、そこにいた!

 

「じょ、仗助さん………!?」

「おいてめぇッ………今、オレのこの髪の事、なんつったゴラァッ!!」

「え!?」「何………!?」

 

仗助のただならぬ怒りにネギは完全に怯え、チンクとノーヴェは目を白黒させた。

瞬間、仗助の背後から『スタンドの腕』が出現、ノーヴェに向けて拳を打ち出した!

 

「!?」

 

ノーヴェとチンクは咄嗟にバックステップでそれ避けると、仗助は意外そうな顔になった。

 

「コイツ………スタンド使いだったのか……!」

「ほぉーう、てめぇスタンド使いかぁー?だが関係ねーぜ……オレのこの髪を『けなして』ムカつかせたヤローは、誰だろうと許さねぇーぜぇー………!」

 

なんかヤバい。ノーヴェが警戒をしていると、仗助の身体からスタンドの全身が飛び出した。

力強い印象を持つ筋肉質な身体にメタリックブルーのプロテクターを身につけたようなデザインで、兜の頭頂部や肩などのいたるところにハートマークがデザインされ、首から肩にかけて『動力パイプ』らしきものが六本つながっているスタンドだ!

 

「『クレイジー・ダイヤモンド』ォオッ!!」

ドギャンッ

「うおおおお!!??」

 

クレイジー・ダイヤモンドの拳が連続でノーヴェに迫った!ノーヴェはぎりぎりで避けると両の拳は壁をぶち抜いた!

 

「クッソ!」

 

仗助との距離を取ったノーヴェは悪態をつきながら懐を探る、しかし、すぐにあっ、と声を出した。

 

(そー言えば、『ジェットエッジ』はギンガに預けたままだった………ヤッベー!)

 

自身の『得物』がないことに気が付き、仗助の『クレイジー・ダイヤモンド』に対抗できうる手段がない事に焦りを覚える。目の前には、怒りの形相の仗助が迫っていた。

 

「クッ………『逃げる!』」ダッ

「あ、コラ待ちやがれッ!!」

 

仕方なく、踵を返して逃げ出すノーヴェと、それを追いかける仗助。

 

「てめぇ!『学校の廊下は走らない』って教わらなかったのか!!」

「アンタだって走ってるじゃないか!?」

「オメーは『おもひでぽろぽろ』を観たことがねぇのかぁーーーッ!!」

 

2人はそんなやりとりをしながら、その場を走り去ってしまった。

 

「「………」」

 

取り残されたネギとチンクは、数秒唖然としていたが、はっと気づいて追いかける事にした。

 

「………あれ?ノーヴェとチンク姉、こっちにきたッスよね?」

「そのはずだけど………」

「どこ行っちゃったんだろう……ノーヴェはともかくチンク姉まで……?」

 

 

 

 

 

#20/田中 かなた(ハイ・ステッパー) ②

 

 

 

 

 

(―――なんて事があって校内を逃げ回っていたら、さっきの奴にぶつかってスタンド使いに襲われて、現在に至るわけなんだが………)

 

そして現在、14時59分

赤い髪の少女・ノーヴェは、今に至るまでを回想しながら、現状を再確認した。

 

現在、鎧のようなスタンドを身にまとったメイドを仗助と徐倫が押さえつけ、教室の入り口で木乃香と、追いついたらしいネギとチンクが何事かと覗き込んで驚いており、ノーヴェは困惑するかなたの後ろで尻餅をついていた。

メイド、美佳はスタンドを解除すると高くジャンプをして仗助たちから離れ、教室に並ぶ机の上に着地をした。

 

「なんて跳躍力!ただのお付のメイドとは思えない身体能力だ!」

 

徐倫が美佳の身体能力に舌を巻いていると、美佳は仗助たちを睨む。先ほどまでのおっとりした雰囲気は微塵もない、鋭い眼光だ。

 

「………『スタンド使いはぁ~』」

「?」

 

不意に、美佳が腰に左手を当てたポーズで口を開いた。

 

「『スタンド使いと、無意識のうちに引かれあう』………って、聞いたこと、ありますかぁ~?最近、麻帆良で『矢』を使ってスタンド使いを増やしている人がいるみたいでぇ~、私も仕事がしづらくて困りますぅ~………」

「そのしゃべり方よぉー、()でやってんのか?それとも演技か?この際どっちでもいいがよぉー………」

「何か、演技っぽくはないな………やれやれだわ……「田中かなた」()()()()()、メイドの方がスタンド使いだったとは………」

 

少し間延びした話し方をする美佳に対して、少しあきれ気味に言う仗助と徐倫。

 

(メイドさんが、スタンド使い………!?)

(ノーヴェを狙ったというのか?しかし、何故………!?)

「え?なにー?何がおこっとるのー………?」

 

一方、ネギとチンクは美佳に警戒とノーヴェを襲った事に疑問を抱き、木乃香は何が起きているのか分らない様子で、キョロキョロと美佳や仗助たちを見ていた。すると、同じように困惑していたかなたが、口を開いた。

 

「な、何が起こっているの………!?美佳さんや空条さんから()()()()()()()()()………!?」

「!?」「……え?」

 

突然の言葉に、木乃香以外の全員が反応を示した。

 

「何!?お前も………!?」

「かなた様……?いつの間にスタンド使いに……?」

「まさか………スタンド使いは()()()()………!?」

「え?え?」

 

戸惑うかなたに、各々が声を出す。すると、美佳はストン、と床に降りた。

 

「驚きましたねぇ~………今まで()()()()使()()()()()()()()はずなのにぃ~……まあいいです………」

 

そういうと、美佳はスタンドを発現させた。先ほどは突然の事でよく見えなかったが、今度は細部のデザインを見ることができた。

いぶし銀色の鉄板を(リベット)で留めた、本体の頭部を覆い隠す頭巾のような兜には1つ目を思わせる青いレンズがついており、美佳の顔がそこから覗いていた。肩から先を武骨な甲冑で覆い(よく見ると肩に『EotU』という赤いエンブレムらしき物が見える)肘から先は地面に着く程巨大な腕になっている。手の甲はサーフボードのような形の『盾』になっており、指は筒形の銃身だ。

 

「ひい、ふう、みい………7人とかなり多いいですがぁ~、我がスタンド、『エッジ・オブ・ジ・アンノウン』で()()()()()()()、何の問題もないですからぁ~~」

「おいおいおいおいおいおい、何か物騒な事言ってやがるぜぇー、このお方はよぉー…!」

 

相変わらずおっとりとした口調で、物騒な事を口にする美佳。

 

「7人って……『このかさんも』入っているじゃないですか!?み、………美佳さん………!?」

「お前ら、こっちに集まれ……武器がミサイルってのは厄介だなぁ~~……物が破壊されていない所を見るに、人体にのみ作用があるのか?仗助おじさんよォー、この状況どう切り抜けるよ……?」

 

徐倫が、戸惑うネギやかなた達を自分たちの元に集める。仗助は徐倫の言葉に対して、不敵な笑みを浮かべた。

 

「『切り抜ける』?切り抜けるってぇのは、ちょっと違うぜぇー?」

「「「?」」」

 

すると、仗助は『クレイジー・ダイヤモンド』の拳を振り上げ、

 

「ドララララァアーーーッ!!」

ドガァアンッ

「え!?」

 

拳の連打(ラッシュ)で床をぶち抜いて大穴を開けると、そのままネギたちを連れて下の階に降りて、というか『落ちていった!』

 

()()()()()()()……!」

「「「わーーーッ!?」」」

「だと思った………」

 

突然のことで悲鳴を上げるネギたちに対し、徐倫はやれやれと呆れ気味であった。困惑する木乃香やかなたを引き寄せて着地をすると、頭上で走る足音が聞こえた。美佳が追いかけてきたのだ。

 

「逃がしませんよぉ~!」

「駄目だ!追ってくる!!」

 

美佳が仗助の開けた大穴に飛び込もうとしている事を察知して、かなたが声を上げた。しかし、仗助は冷静であった。

 

「……いや、()()()()()()()()()()()()()ぜ………『遠回り』になるからよぉー……今のうちに逃げるぞ。」

「え?!」「?」

 

仗助がそう言った瞬間、美佳が大穴に飛び込んでくる。しかしその時、ネギ達にとって信じられない出来事が起こった!

 

ドシュッ

「!?」

ドシュドシュッ

「何!?」

 

なんと、クレイジー・ダイヤモンドによって破壊された床の残骸が次々に宙に浮かび、大穴の所に戻っていくではないか!そして、まるでビデオの巻き戻しの如く元の場所にくっついていき、美佳はそれの戻る力に押し返された!

 

「こ………これは………!! ??」

 

押し返された美佳は驚きの声を上げるうちに、仗助によって開けられた穴は、()()()()()()()()()()

 

「ゆ、床が!まるで『()()()()()()()()()()()()()()()()()………』直った……!?これが、あの人のスタンド能力………!!」

 

「オレの『クレイジー・ダイヤモンド』はよぉー、『破壊されたものを直す』能力なんだぜぇー!」

「は、破壊した床を()()()、……逃走ルートを作るとは………」

 

一方、下の階に逃げた仗助は、ネギたちを連れて廊下に出た。穴が開いていない以上美佳は遠回りしなければいけないので、今の内に校舎から出ようという考えであった。

 

美佳は短く舌打ちをすると、校舎を出ると予想して駆けだした。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

15時05分

 

「………なあかなたちゃん………これ、一体なにがおこっとるのー…?」

「ぼ、ボクにも何がなんだか………」

「今は説明できません………とにかく、今は逃げる事が最優先です………!」

 

昇降口に向って走りながら、このかとかなたにそう答えるネギ。一方の仗助は、逃げながら美佳の目的について思考していた。

 

(ノーヴェが田中に『ソソウ』したから………ってぇのは、たぶん違うな……それなら、オレ達や田中自身を襲う理由にはならないもんなぁー………)

 

ちらりと、後ろを走るかなたを見る。

 

(あのメイド……一体何が目的だ……?)

「あ!ノーヴェとチンク姉、こんな所にいたッス!」

「もー、探したよ2人ともー!」

 

下駄箱の前まで来たとき、目の前に赤い髪を束ねた少女と水色のショートカットの少女が、ノーヴェの姿を見て声を上げた。

 

「ウ、ウェンディに、セイン……!?」

「もー勝手に行っちゃだめッスよー!!」

「フェイトさんも心配していたし、早く戻ろうよー!」

「すまん、今それどころじゃあ………」

 

ウェンディとセインと言うらしい2人にチンクがそう言うが、その時、昇降口の方で着地音が聞こえた。見れば、『エッジ・オブ・ジ・アンノウン』を纏った美佳が、静かに近づいてきていた。

 

「あいつ……もう………!?」

「あれ、あの人………?」

 

仗助たちが息を呑み、ウェンディたち2人がきょとんとしていると、美佳は『エッジ・オブ・ジ・アンノウン』の指先を向け、ミサイルを発射した!

 

「!?」

「マズイ……!?」

 

ノーヴェはミサイルを避けようとしたが、背後の木乃香たちに気づいた。このまま避けてしまっては彼女たちに直撃してしまう!そう思うと動くわけにもいかず、その場に固まってしまうノーヴェ。瞬間―――

 

 

 

 

 

「危ないッスノーヴェ!!」

ドンッ

「え!?」

 

ノーヴェはウェンディに突き飛ばされ、横に吹き飛ばされる。

 

ズドォオオオンッ

「ぅおッ………」

「ウェンディ!!」

 

瞬間、ウェンディの身体にミサイルが着弾して爆発、ウェンディは大きく吹き飛んでしまった!

 

「ヤロオ~~~!」

「向って来るんですかぁ~?まあ、私としてはぁ、大助かりですけれども~~~」

「こ、コイツ………!」

 

セインが気絶したウェンディに駆け寄り、怒りの声を上げるノーヴェに対し、美佳は何て事ないように返事をする。何処と無く天然っぽい喋り方だというのに、その言動は危機感を与えた。

 

(何で?なんでこんな事になっているの………?)

 

向かって行こうとするノーヴェをチンクが止める中、かなたは混乱する頭で何とか状況を理解しようとしていた。いきなり赤毛の少女にぶつかったかと思えば、メイドの美佳や徐倫が奇妙な幽霊のようなもので戦い始めた。これだけわけの分からない状況では、混乱しない方がおかしい。

 

「………大体、そもそもの原因は母さんじゃないか………ボクはこんな学校に通いたかった訳じゃないのに………もうヤダ………なんなの、この訳の分からない状況………」

「かなたちゃん………?」

 

俯いてぶつぶつとつぶやき始めるかなたに、木乃香は少し心配になり肩に手を置いた。

 

この時、スタンド使いではない木乃香は気づいていなかったが、美佳はちらりと見えたそれに気づいていた。かなたの両足に、『赤いオーラのようなもの』が集まり始めていたのだ。

 

「(かなた様のスタンドが目覚めようとしている……?ここでスタンドに目覚められては、少し厄介ですねぇ~………)今すぐ消させていただきますぅ~!」

 

美佳はそう言うと、10本の指先を伸ばして狙いを付けた。指先からはミサイルの先端(ご丁寧にサメの顔付き)が装填された。

 

「!?やばい……!」

「こんなの………こんな所………!」

 

ノーヴェが危機感を覚える中、かなたはこの状況に混乱し、涙目になって顔を上げて、叫んだ。

 

 

 

 

 

「もう逃げ出してやりたいィイイイイイイイイイイイイッ!!」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「それにしても承太郎さん、いつの間に帰ってきたんだろうねー?」

「さあなー?」

「元々、徐倫にもあまり話さない人でござるからなー………」

 

15時07分、昇降口に向かう階段を上るまき絵と千雨、楓は、話していた。承太郎から急に、学園長室に来るように呼ばれたのだ。

 

「徐倫は部活の話し合いあるって言ってたから、来れないとは言ってあるけど………」

 

千雨がそう呟いたその時、

 

 

 

 

 

ドォオオンッ

 

「「「!?」」」

 

突然、昇降口が大きく()()()!千雨たちが驚いていると、もうもうと立ち込める煙の中から1つの影が飛び出してきた!

 

「う、お、お、お、お、おおおおおおおおお!!??」

「きゃぁあああああああああああああ!?」

 

千雨たちの目の前に転がり込んできたのは、仗助と赤毛の少女・ノーヴェ、そして、C組の田中かなたであった。

 

「痛っててて………いきなり後ろから強い衝撃受けて、そのまま吹っ飛んじまったぜ………」

「仗助さん!?」

「いったい何が………む?」

 

その時、千雨はかなたの両脚に『まとわれているもの』を見た。かなたの両脚には、『赤いロングブーツ』のようなデザインのスタンドが、まとわれていたのだ!

 

丸みを帯びた赤い装甲で覆われており、ところどころに銀色の部品も見える。膝には楯のような形状の膝当てが付き、そして脹脛のあたりには、大きめのリボルバーのシリンダーと撃鉄(ハンマー)らしきパーツが見えていた。

 

「こいつ……スタンド使いか!?」

「え………?何これ………!?」

 

千雨に指摘されて、かなたは自身の脚に装着された、時折透ける赤いブーツに気づいた。

 

「透けている………何だ、このブーツのようなものは……!?」

「その様子だと、最近スタンドに目覚めた()()か………」

「仗助さーん!」

 

自身の両足のスタンドにかなたが困惑していると、煙の中から杖にまたがったネギが飛び出してきた。よく見ると、後ろに木乃香とチンクを抱えた徐倫もいた。

 

「あ、ネギ君に徐倫!」

「ネギ!さっきの2人は……?」

 

そばに着地したネギに聞く仗助。ネギが言いよどんでいると、木乃香が困惑と興奮の混ざったような様子で答えた。

 

「あ、あんなー、かなたちゃんが吹っ飛んで驚いとったら、水色の髪の人が、赤い髪の娘持って、床に()()()()()()………!」

「沈んだ……?」

「セインの『固有能力(インヒューレント・スキル)』だ。無機物に潜って移動できる……」

 

仗助が首をかしげていると、ノーヴェが説明した。いまだに何が起こっているのか分かっていない木乃香が徐倫やネギを問いただそうとしたが、その時、煙が晴れてガラスが割れて戸が破損した昇降口から、美佳が歩いてきた。

 

「けほっ、も~、びっくりしましたぁ~……かなた様ったら、いきなり跳び出していってしまうんですもの~………」

「美佳さん……!」

 

スタンド『エッジ・オブ・ジ・アンノウン』をまとった美佳に警戒する千雨たち。美佳が再び指先にミサイルを装填した時、仗助はかなたを立ち上がらせた。

 

「おい、お前のスタンド、さっきみたく跳べないのか!?」

「え!?でも、これって一体、何なのか………!?」

「そこからか……仕方ねえ、『LESSON1』だ!こいつの名称()は『スタンド』!お前の具現化した生命エネルギーの(ヴィジョン)だ!つまり、お前自身の意思で動かすんだ!」

 

『クレイジー・ダイヤモンド』を出した仗助が説明をしたその時、美佳は『エッジ・オブ・ジ・アンノウン』のミサイルを発射!仗助たちに迫った!

 

()()()()()()()()!!ドラララララララァアッ!!」

 

仗助は地面の石畳を『クレイジー・ダイヤモンド』で砕くと、それを『直して』ミサイルを防御!ミサイルは石畳の『防壁』に阻まれて爆発した!

 

「い、石畳を直して防御を!?」

「やはり、厄介ですねぇ~、あなたの能力(スタンド)は………」

 

美佳はそういうと、今度は接近戦に持ち込もうと一気に駆け出す!

 

「ボク自身が……動かす………」

 

一方のかなたは、仗助に言われたことを復唱し、自身の脚に装備されたブーツに意識を集中させた。すると、ふくらはぎの撃鉄がカチン、と起き上がった。

 

「ん?撃鉄が……(そういえば、あのデバイスのカードリッジみてーなパーツ……それに、さっきの跳躍力………もしかして………!?)」

 

撃鉄が起き上がったことに気が付いたノーヴェは、先ほどのかなたの跳躍力を思い出して、その能力に気が付いた。咄嗟にかなたの腕に捕まった時、撃鉄が作動した。

 

 

 

ドンッ

 

 

 

『!?』

 

瞬間、耳をつんざくような爆発音と共に、かなたとノーヴェは『跳び上がった』!!跳び上がった際に地面は少し陥没しており、その威力を物語っていた。

 

「かなたさまーーー!?」

 

跳んで行ったかなたに驚いて、思わず美佳が叫ぶ。

 

「うわ!?わ?わわわ!?」

 

一方、空中のかなた自身も、その跳躍力に驚き、慌てていた。腕を掴むノーヴェも離さないようにしながら、その能力を理解した。

 

「ま、間違いない………こいつのスタンド………爆発的な瞬発力を生み出して、驚異的なジャンプ力を………!」

「そ、それはいいんだけど………これからどうしよう………?」

「………それが問題だな………」

 

とりあえず美佳から離れることはできたが、空を飛ぶことのできない2人が重力に逆らう術を持つ訳もなく、直ぐに自由落下が始まった。そして、着地が予測される地点には教会があった………

 

 

 

 

 

←to be continued…

 




20話です。
・ナンバーズ、リメイク前より早く登場。今回はノーヴェとチンクがメインですが、後から他の娘も出番があります。

・元からスタンド使いだった美佳さんと、最近スタンド使いになったかなた。『エッジ・オブ・ジ・アンノウン』は名前の響きがお気に入り。

・かなたのスタンドはシンプルに脚力強化。爆発力を付加して威力を上げる感じです。

では、次回をお楽しみに!

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