ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】 作:オレの「自動追尾弾」
図書館島 第62閲覧室 日本の文学エリア
「さてと、そろそろあいつらと合流するぞ。」
「は、はいー………」
アナスイが後ろに着いてくるのどかに言うと、発現した『イノセント・スターター』はバイザーを下げ、『索的モード』に切り替えた。千雨に付けた「子亀」を探知するためだ。
のどかの『前髪』の内側に「レーダー」が映し出され、千雨たちの位置を表示する。今の自分たちから、100mくらい離れているようだ。
「ルートは外れてないみたいだな…よし、そっちに向かうぞ!」
「は、はい………えっ?」
「どうした?」
のどかが何か感づいたらしく、アナスイは聞いてみた。
「あっ、あの……長谷川さんが―――」
☆★☆★☆★
「あー宮崎、聞こえるか?いや、私は聞けないから、一方的に話すぞ…」
子亀を掴んで、トランシーバーのように話しかける千雨。
「しばらく私らに『近づくな』!………ナカジマが、ヤバい状況にあるらしい……」
そういう千雨とウェザーの視線の先では、
天井まで届くような巨大な『本棚』が
『浮かんでいた』……
#12/ウルトラセキュリティ図書館 ③
「くっ、リボルバーシュート!!」
カードリッジを一発消費し、飛び掛ってくる男に衝撃波を放つスバル。男はスタンドの腕――筋肉質で、手首に球体が付いている――で防御するが、無重力下のため、後ろに吹っ飛んでしまう。撃ったスバルも同様で、本棚に叩きつけられてしまう。
「ちぃ、てめえはもう始末したが、今ので下の二人に気付かれたみたいだな……」
「?」
男の言うことが分からないスバルだが、ふと、自分の背後に気配を感じた。振り向くと、いつの間にかウェザーと千雨が『立っていた』。
「ふ、二人とも!?いつの間に!!??」
だが、二人は答えない。男がスタンドの全身を出したからだ。
まるで月面や火星のような無機質な肌に、ロケットのような模様が入った胴体。顔は円柱の一部をカットしたような形で、口に当たる部分に呼吸用の穴が数個あいており、目の部分にはベルトが巻かれている。
そして、先ほどの腕の球体が『回転』していた。
「『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』!」
「二人とも!こいつの能力は「重力」をなくす!重力がない場所でどんな攻撃や動きをしていいか分からない。それに、やつの飛ばすものに触れてはいけない!『無重力に』される!」
「なるほど…『
小太刀を構え、何故かフランス語で感謝する千雨。
「『無重力』……おまえらもスタンド使いなんだろうが、それがどんなことを意味するのか……お前らに見ることができるかな?」
男が言い終わると、回転している球体から、何かが「発射」され、ウェザーに迫る!
だが!
グオオオオオオオオオ
「「!!?」」
ウェザーの周囲に「雲」が発生し、弾丸の軌道を『逸らした』!
「飛ばしたのは………ガラクタの部品か……」
「く……空気の層で弾の軌道を……!?」
「ああ、そして、敵の『攻撃手段』が分かった!『遠心力』だ!『重さ』がないというなら、回転する力でどこまでも加速できる!」
今のをみて、即座に分析する千雨。
男は、ウェザーに近づき、戦闘体制をとる。そして!
「『ウェザー・リポート』!!」
「『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』ッ!!」
二人が、同時に拳を振るう!だが、男の腕がウェザーの雲に突っ込んだ瞬間、『炎上した』!!
「こ、この炎はッ!?『空気抵抗摩擦』か!マズイ!どんどん燃え移ってくる!『無重力解除』だッ!!」
ドグシャア
男が周囲の無重力を解除すると、浮かんでいたハードカバーの本が十数冊、一斉にウェザーに降り注いだ!
本の落下のダメージで、ウェザーは倒れ込んでしまう。男は、腕を振り、腕の炎を消すと、ウェザーに狙いを定める。
「とどめだッ!!」
そして、男は弾丸を放とうとすると――――
ドグオォオン
「「「!!??」」」
男の両腕が『爆発』した!
だが、爆発の原因はすぐに分かった。男に向かって、『子亀』が飛んできたからだ!!
ドガッドガガッ
「何っ!?くそッ!」
「あれって、『宮崎さんの』……?」
「ああ、『イノセント・スターター』の『子亀』だ!多分、私に付けた子亀で狙いを定めて!ほかの子亀を「ミサイル」みたいにあいつに当てたんだ!」
そう言う千雨の胸では、『子亀』の背中の片眼鏡がキラリと光っている。いつの間にか千雨の背中から移動したようだ。
「チィイッ」
男は派手に舌打ちすると、弾丸を推進材に上の階に飛んだ。
「逃げた!」
「マズいぞ…あいつが今飛び込んだ通路は………!」
ジリリリリリリリリ
ウェザーが言い終わる前に、非常ベルがけたたましく鳴り響いた。
「野郎……!『装甲防火扉』を閉めやがったッ!」
「「何でそんなものが図書館にッ!?」」
千雨とスバルがつっこむが、今はそんな場合ではない。
『装甲防火扉』という事は、そう簡単に開くようにはできてないはずだ。スバルの力なら壊せるかもしれないが、今スバルは無重力の支配下にあるため、力を出せない状況だ。
どうしようかとスバルが悩んでいると、
ガッシィィ
「!?」
「確か、お前が触れるものは、全て『無重力』にさせられる……だったな。」
ウェザーと千雨が、スバルを『掴んだ』。もちろん、二人もあのスタンドの能力の影響を受けて『無重力』になる。
すると、足元に『大気』が発生し、それを『推進材』に、三人は閉じていく装甲防火扉に突っ込んだ!閉じていくギリギリだったため、男がいると思われる部屋へ到着した際、スバルのハチマキが扉に挟まってしまう。
着いたのは、ほかの閲覧室に比べると小さい部屋だった。どちらかと言えば、普通の学校の図書室のような場所で、本棚と机がいくつもあり、壁一面本棚になっている。
入り口は四方の壁に一つずつあるが、どれも堅く閉ざされている。
「と…とりあえず、閉じこめられなかったけど…二人も『無重力』の支配を…」
ハチマキを外しながら、二人の心配をするスバル。
「…まあ、いずれあいつは私らも無重力にするつもりだっただろうよ。」
「それに、ここは非常時のシェルターになるようになっている部屋だ。そう簡単に扉を破ることはできない。逆に閉じこめられたのはあいつの方になる。」
ウェザーが説明するが、スバルは『別のこと』が気になった。
「一つ………さっきから困ったことがあるの……ギリギリで防火扉を通り抜けて、さっきの敵が今…ここのどこかにいる……こんな状況でちょっと言いにくいんだけど……個人的な事で…でも、結構切羽詰まったことでかなり困ってて……緊急に解決しないと………その……かなりマズくて……」
「「?」」
スバルが切羽詰まったように言うので、何事かと見る二人。
「私に…なぜ急に起こったかわからないんだけど……えと、その……どこの誰だって起こりうると思う!聖王だって絶対に自分ではコントロールできないはず!」
「いや、さっきから何の話を…………! な、なるほど!分かったぞナカジマ!!私も今『そうなった』!」
どうやら、千雨にも同様の問題が発生したらしい……
「?…どういう事だ?」
「だからさあ、『大きい方』と『小さい方』があって、「シ」で始まる下半身関係の言葉!もう漏らしちゃうよ!」
「いや、『大きい方』じゃなくて本当良かったって思うよ!きっと無重力と因果関係があるはずだ……すぐに解決しないと別な意味でかなり最悪!」
二人の言葉で、ようやくウェザーは言いたいことが分かったようだ。つまり、二人は――――――
「『小便』がしたいのか?」
「顔近づけて言うなや…すげーマジなんだよ…ガマンできない……どうしていいか分からない…」
「…その辺でするしかないな。」
「うぅ~相談しなきゃ良かった…」
ウェザーに相談した事を後悔する二人…
何というか、デリカシーがかけていた。
「オレはもう済ませた。今そこの空中でな。」
「「え?」」
ウェザーの爆弾発言に、信じられないという顔の二人。
「『無重力』になると、体内の血液は急に頭部にたくさん集まってくる。普段は『重力』があるから体の下のほうにある血液がな。」
解説するウェザーがスバルの額を指で触ると、ブヨブヨという触感が伝わった。
「触ってみろ…額の皮膚と骨の間が血液でブヨブヨに膨れている……『ムーン・フェイス』ってやつだ。だが、頭部に血液が行き過ぎると『危険だ』というので、君らの体内の腎臓は自動的に血の量を減らそうと活発に働き始める。それで利尿作用が激しく起こってるんだ。小便で塩分を出して、血を薄くさせようとな。確かにどうしようもない。空中へしろ。オレはもうそこの影でした。」
「おい!何でこういうことになったかは分かったが、今どこで何をしたって!!?」
「心配するな……雲が吸い取ってくれるよ。君らがパンツを下げるなら……」
千雨の言葉を無視して『雲』を出すウェザー。スバルと千雨は顔を見合わせて、仕方なく『する』ことにした………
「うおぉっ!ちょっ、ちょっとぉ!空中に浮いてるこれなにィィイ~~~~~!?」
「こぼれてる!雲からこぼれてるってこれぇぇ~~~~」
「………」
後ろから声がするが、見ないようにするウェザー。デリカシーがあるのかないのか…………
シュン!シュン!シュン!
「「……!?」」
ふと、二人は見た。空中に浮く「水滴」が、壁の溝に『吸い込まれた』!!?
だが、変化はそれだけではなかった。急に鼻血が出始め、溝に吸い込まれていった!
「こ!これは……いったい……!?」
「か……壁がおかしい……溝に…鼻血が吸い込まれていく!」
「オレの……さっきの怪我もだ……血が空中にどんどん吹き出していく…」
「「!!」」
見ると、確かに血がどんどん『溝』に吸い込まれている。それに、スバルは感じた。さっきから、なんだか息苦しい!
そのとき、スバルたちに向かって、弾丸が飛んできた!スバルはあわてて防御するが、腕にかすってしまう。すると、その『かすり傷』からも、血が吹き出していく!?
「き……『気圧』が下がっているッ!」
スバルは気付いた。
『自分が触ったものは全て無重力になる』……ならば、自分は『何に』触った?扉や床……壁にも触った。そして、さっきから触っているもの……「空気」!!
「わ……私、空気にずっと触れ続けている……空気は重力があるから、私の周囲にずっとある……でも、それが無重力になったら……『どこへ行くの』?壁も…床も無重力になっている!『無重力』に囲まれているとしたら……」
「周りの空気は、どこへ行ってしまうの!!?」
スバルの悲痛な叫びが部屋中にこだまするが、その問いに答えるものはいない。
その様子を、男はじっと、影から見ていた………………
←to be continued...
12話です。
・今回は基本的に、「サヴェジ・ガーデン作戦」のストーリーを、図書館島に置き換えただけです…
・のどかのサーチモードは、ディアボロやジャイロからの発想。一番見やすいだろうと思いまして。「小亀ミサイル」も結構お気に入り。『小亀』のダメージ=本体へのダメージではないので、そこに注目した攻撃です。
・ムーンフェイスのくだりは、本当はティアナにやらせたかった(笑)
では、次回をお楽しみに!