ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】 作:オレの「自動追尾弾」
翌朝
〈期末試験まで後2日〉
2年A組
教室に入ってきたスバルは、隣の席に徐倫がいないことに気づいた。
「おはよー。……あれ?長谷川さん、空条さんは?」
「それが、昨日『図書館島』行ったきり、帰ってこないんだよ。……まあ、あいつなら大丈夫だろうけど………。」
特に心配していない様子の千雨。彼女と、彼女の『ストーン・フリー』を信頼しているからだろうか。
そんな時、雪広 あやかの叫び声が聞こえた。
「何ですって!?A組が最下位脱出しないとネギ先生が『クビ』にぃいーー!?どーしてそんな大事なこと言わなかったんですの裕奈さんッ!?」
見てみると、あやかが裕奈に掴みかかっていた。ふと、千雨は昨日の事を思い出した。
「……なるほど、『大変なこと』ってこれか……」
「ね、ねえ、ネギ君がクビってことは、ネギ君もう………!?」
「………まあ、バカレンジャーがいるとはいえ、学年トップが三人もいるからな、うちのクラス………成績のピンキリが極端すぎだろって毎回思うけど………」
大丈夫だろと言いかけた千雨だが、突然ドアが勢い良く開いたため、途中で途切れてしまう。
「みんなーーッ大変だよーーーッ!!」
「ね、ネギ先生とバカレンジャー達が「行方不明」に………!!」
「……………すまんナカジマ……やっぱダメかもしれない……………」
「えぇ〜〜ッ!?」
#11/ウルトラセキュリティ図書館 ②
午後8時40分
グリーンドルフィンストリート麻帆良 入口付近
「ごめんね千雨、アンタにこんな事任せちゃって………」
「いや、こいつの事だから「先生たちを助けに行こう!」って言いだすとは思っていたし………」
あははー、と後頭部を掻くスバルを横目に、松葉杖で立つティアナは千雨に謝った。
放課後、スバルは自分と千雨で図書館島のネギ達を助けようと提案してきた。無論、千雨は「徐倫や佐々木を含めてスタンド使いが4人いるから」と難色を示したが、スバルは是が非でも助けに行きたいらしく、下手したら何の対策もなしに1人で行きかねなかったため、千雨は仕方なしに同行することとなった。
「でも、本当に2人で大丈夫?やっぱり私も……」
「ティアは安静にしていてよ。足、まだ痛むんでしょ?」
ティアナがホル・ホースから受けた傷は浅かったものの、松葉杖が必要であるためしばらくは前線に出られないでいた。
「そうだ。それに、徐倫が『予防線』を張っていてくれていたからな。大体の位置はつかめそうだ。」
「『予防線』………?」
「流石に私らだけで図書館島行くのは、水も地図もなく『砂漠』のど真ん中歩くようなもんだからなぁー、手の空いている「スタンド使い」に声をかけておいたよ。」
「!?スタンド使いを……!?」
千雨が振り向くと、そこには近づいてくる3人の男女の姿があった。
「…………長谷川、その紹介だと、黒いタンクトップで来ないといけなくなるぞ?」
「あ、な、ナカジマさんに長谷川さんー……と、後ろの方はー?」
そこにいたのは、ウェザーとのどか、そして…
「徐倫がピンチなんだってな!!」
サムズアップするアナスイだった。
「…………………アイツは呼んでないぞ……頼りになるっちゃあなるが……」
「そ、そう……で、でも、何で二人に……?」
「この二人は――まあ、アナスイもだが――『図書館探検部』な上に、『スタンド使い』だからだ。」
「「!!!?」」
☆★☆★☆★
図書館島 裏手 「秘密の入り口」前
「え、…ええっとー、ナカジマさんも、スタンドに近い「能力」を持ってるって聞きましたがー?」
「まあ、ある程度期待はするぞ。」
「あ、うん…」
のどかとアナスイにそういわれ、スバルは返事をすると、隣の千雨にアイコンタクトを送った。
(二人には『魔法』のこと話してないの?)
(ああ、いきなり話しても、信じないだろうし…)
(そうだよねー………)
苦笑するスバルと、やれやれと肩をすかす千雨。魔法の事は、後でゆっくりと話した方が良さそうだ。
「よし、ここらで、『捜索手段』を話すぞ。宮崎。」
「はっ、はいー………イッ、『イノセント・スターター』!」
千雨に呼ばれたのどかは、自身のスタンドを発現させた。
現れたのは、人の女性とウミガメを組み合わせたような、機械的な『蒼い』スタンドだ。
頭にはバイザーのようなものが上げられており、耳に当たる部分はアンテナのように伸びている。
肩には、二の腕までを包むような亀甲型の肩アーマーがつけられ、左手には亀甲型の箱のようなものがあり、先端部分は、まるで換気扇やエアコンの口のようなシャッターになっていた。
「こいつの名は『イノセント・スターター』。つい一週間くらい前に『矢』に射抜かれて発現した。能力は、探査機になる『子亀』を発射することだ。」
「探査機?」
スバルの疑問に答えたかのように、イノセント・スターターの左手のシャッターが開き、中から何か飛び出した。
見ると、甲羅が
「ええっとー、こ、この「子亀」のレンズに映ったものや、聞いた事を、私が見たり聞いたりできるんですー。あ、後、子亀の位置を把握できますー。」
少しおどおどしながらも、自分のスタンドの説明をするのどか。
ふと、スバルはあることに気づいた。
「もしかして、ネギ君たちにも?」
「は、はいー、空条さんに頼まれて、『子亀』を一匹付けましたー。」
「そうか!!その位置をつかめば救出『可能』って訳だね!」
「ああ、おまけに、探検部の中等部顧問のウェザー先生が『地図』を持ってきてくれたからな。結構「深い」所にいるみたいだし、とっとと助けて試験勉強すんぞ!」
千雨の一同は図書館島へ入った。
☆★☆★☆★
数十分後
図書館島 地下5階 第78閲覧室
図書館島内部を歩いていた一同は、ふと、視線を感じていた。
(……ねえ、長谷川さん…)
(ああ、私ら以外に誰かいるな……オエコモバの仲間か……?)
だが、周りには人影がない。「イノセント・スターター」で探すことも考えたが、スタンド使いだったら警戒されてしまうだろう。
(………任せろ。『ウェザー・リポート』!)
考えていると、ウェザーの背後に「水蒸気」が集まり、人の形になった。
角が生えたような頭に、マスクをかぶったような外見。体のあちこちからは、『雲』のようなものが吹き出していた。
「先生のスタンドは『天候を操る』―――ウェザー・リポート!」
千雨が言うと同時に、周囲に『雨』が十数秒間降った。
「……………急に雨が降ったから、驚いてのぞき込んだな。」
見ると、水たまりに『男が』映っていた。
☆★☆★☆★
雨に驚いた男が気づくと、追跡対象はすでにいなかった。慌てた男は、対象たちを追うことにした。
カエルのような体制をとり、ヒタヒタと奇妙な歩き方のため少し遅いが、対象のうちの三人――青い短髪の少女と、眼鏡の少女と、変な帽子の男――に追いついた。
追いついた男は、青い短髪の少女に、ツバを吐きつけた。
しかし、角を曲がった際に、再び見失ってしまった。
☆★☆★☆★
「…………何とか撒いたみたいだな。」
「何だったのあいつ…?変な歩き方だったけど……」
千雨たちは、本棚の『上』から、男が立ち去るのを確認して、降りた。
アナスイにのどかを任せて二手に分かれた彼女達は、スバルの固有魔法『ウィングロード』を使い、本棚の上に隠れたのだ。
「まあ、深追いは禁物だな。奴に立ち向かうのは、アイツの力を探ってからだ。」
「ああ、だが、本来の目的も忘れてはいけない。まずはアナスイと宮崎に―――」
そこでウェザーは、スバルの姿がないことに気づいた。
「……ナカジマ?」
「まだ降りてきてないのか?」
恐らく、本棚の死角にいるだろうと考える千雨。
だが、スバルは今、降りるどころではなかった。
「こっ………これはッーー!」
スバルは『宙に浮いていた』!いや、スバルだけではない。周囲にあった『本』も、一緒に浮いている!
スバルが本棚に捕まろうと手を伸ばすも、バランスが取れずに、その場で回ってしまう。
「わっ、わぁあ!な!これは……私が触れたものが…どんどん浮き上がって来ている!私自身も!これが、あいつの能力!?」
ふと、突然弾丸のようなものが飛んできたため、スバルは防御する。が、防御した反動で、さらに回ってしまう!
そして、スバルは気づいた。これは『浮き上がっているんじゃあない』!
「わ、私は今!漂っているんだ!上もしたもなくなっている!私の周りから!私の触れるものから『重力がなくなっている』という事ッ!これはッ!『無重力』だ!」
ふと、ヒタヒタという足音が聞こえ、そちらを向くと、さっきの男が、こちらまで来ていた。
円柱のような奇妙なマスクにゴーグル、ツナギを着て、何故か裸足に足首に靴を縛り付けた男だ。
男は、足に力を込めて、スバルまで一直線に『跳びかかった』!!
←to be continued...
11話です。
・のどかのスタンドお披露目。のどかはサポート系ですが、自分でも戦えるなど、若干変則的です。スタンド名は、無印のOPから。デザインイメージは、電王ロッドフォームを女性的にした感じ。
・ラング・ラングラー登場。ラングラーは図書館島だと絵が栄えるなぁと思いまして。
では、次回をお楽しみに!