ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】 作:オレの「自動追尾弾」
麻帆良学園の湖に浮かぶ『図書館島』は、明治の中頃、学園創立と共に建設された、世界でも最大規模の『巨大図書館』!
二度の大戦中、戦火を避けるべく世界各地から様々な貴重書が集められたここは、蔵書の増加に伴い、『地下』に向かっての増改築が繰り返され、現在ではその全貌を知るものは誰一人いない!
「―――そこでこれを調査するため、麻帆良大学の提唱で発足したのが、私たち、『麻帆良学園図書館探検部』なのです!」
「中・高・大合同サークルなんよ。」
「「うわーっ!?」」
夕映に解説されながら一同がたどり着いた扉を開けると、目の前には本、本、本―――見渡す限りの巨大な本棚と、それに収まった大量の本だった。
#10/ウルトラセキュリティ図書館①
「私たちがいるここが地下3階、中学生が入っていいのはここまでです。」
夕映が、『抹茶オレンジ』という謎のジュースを飲みながら、説明する。そんなとき、ネギはある本に目が留まる。
「わ、見てください!すごく珍しい本が!」
「ん?……「緋色の研究」?……あ、“初版”じゃねーか!こんな所に………」
「あ、先生、ここは「貴重書」狙いの盗掘者を避けるため―――」
夕映が言い終わる前に、『バシュッ』という音とともに、『矢が』飛んできた。
ガシィッ
「うわッ!?」
「あ、………危ねーーーー!」
「―――罠がたくさん仕掛けられていますから、気をつけてくださいね。」
「え゛え゛え゛え゛ーーーーー!?」
「ウッソーーーーッ!!??」
「いや、死ぬってそれーーー!」
間一髪で徐倫が矢を掴んだから良かったが、今度は何が起こるか分からない…………全員の気が引き締まった。
「えぇ!?読めば頭の良くなる魔法の本!!?」
「そーらしーえー。」
「手伝ってネギくーーーん。」
ようやく自分が置かれている状況を聞いたネギは、明日菜と徐倫の元に駆け寄る。
(あ、明日菜さん、僕に「魔法に頼るな」ってあんなに言ってたのに……!空条さんも……!)
「「うっ……」」
言葉に詰まる二人。明日菜は謝るポーズをとって、
「ゴメン……でも、今回は『緊急事態』だし、許してよ……」
「学年最下位だと、大変なことになるらしいしな。」
『大変なこと』と聞いて、自分の「最終課題」のことであると気付いたネギは、少しウルッとした。実際は違うのだが…………
☆★☆★☆★
「うひゃーー、広っ!?」
「こんなに本あってどうするんだよ…?」
ある部屋に着いたネギたちは、無駄に広い部屋に大量の本を見て、そう感想を漏らした。
「へー、「本棚の上」を歩くんですかー?」
「何考えて作ったんやろね、ホント。」
「ここ、結構高いよー……落ちたら怪我じゃすまないんじゃ…」
「そこ気をつけてです。」
夕映が注意をするのと、
バコンッ
まき絵のいる「本棚と本棚の間の足場」が開いたのは、ほぼ同時だった………
「えっ……キャーーーーーーー!」
「まき絵!!?」
「まき絵さーーーーん?」
落ちていくまき絵を見て、驚くネギたちだが………
「えいっ」
シュルルルル…ビンッ
まき絵は、袖の下に装備していた「新体操のリボン」を振るうと、リボンはインディー・ジョーンズよろしく、天井の「ハリ」に巻きついた!
「あわわわわ~~~~~、びっくりしたーーーー」
キリキリとリボンを巻き取り、本棚の上まで上ってくるまき絵。
一同がホッと胸をなでおろす中、ふとネギはあることに気付く。まき絵の持つリボンが緑色なのだ。
(あの、空条さん、もしかしてまき絵さんのあの「リボン」って……)
(……ああ、お察しの通り、『グロウン・キッド』が取り付いている………)
そう、あのリボンは「布製」だ。それなら、あんな芸当ができてもおかしくはない。有効に使っているのか、無駄な使い方なのか……ネギと、肩の辺りを浮かぶ「スタンド」には分からなかった。
そんな風に考え事をしていると、足元で「カチリ」という不吉な音と、ほんの少し床が下がる感覚が………
「え?」
一拍置いて、頭上の本棚が倒れて中に詰められていた本と一緒に落ちてくる!
「ハイヤァアーッ!!」
ドガァッ
「うわぁあ!?」
しかし、倒れかけた本棚は古菲の飛び蹴りで元の位置に戻り、落ちてきた本は楓が素早く受け止めた!
「まあ、アタシ達アタマ悪い代わりに、運動神経は良いアルから♪」
「は、はぁ………?」
余裕そうに言う古菲と、笑顔で本を下す楓に、ネギは茫然としながらも相槌を打つ。
「……ねえ徐倫?本を受け止める時、楓の腕が『4本』あるように見えたんだけど、もしかして………?」
「……ああ、楓もスタンド使いだ。近いうちに紹介するつもりだったんだけどな………」
「マジで…?」
後ろで明日菜と徐倫がそう話すが、ネギには聞こえていなかった。
☆2時間半後★
魔法の使えないネギをかばいながら、何とか目的地までたどり着いたネギたちバカレンジャー。
そこは、今まで通って来た道と比べると、『神聖』な場所に思えた。
上座にあたるところは台になっており、左右には3m以上はある「石像」が、中央の『本』を守るようにたっていた。
「つきました!ここが『魔法の本の安置室』………!!」
「「「おおーーーーー!」」」
「……なんでこんな場所が学校の地下に………?」
「今は深く考えないでおこうな……」
驚きを通り越して呆れている明日菜と徐倫。ネギは、石像が守っている本を見て、それが何かに気づいた。
「あっ……あれは!?伝説の『メルキセデクの書』!?何であれがこんな所にっ!!??」
「え?って事は本物!?」
「ええ!!確かにあれなら、ちょっと頭を良くするくらい簡単に!!」
「ネギ君詳しいなぁー。」
ネギの言葉に、ハシャギ出すバカレンジャー。そして、我先にと本へ向かい走り出した。
「あ、待って下さい!あれだけ貴重な魔法書です!絶対罠があります!」
ネギが注意するも、台の前にある橋が左右に開き、5人はそこへ落ちてしまう。
ズテーン
「うわっ!?」
「キャアッ!?」
だが、橋の下にはまた『足場』があったため、打ち身程度ですんだ。足場には、64個の円と、文字が描かれていた。
そう、これは――――
「………………ツイスターゲーム?」
そう、ツイスターゲームだ。
全員が疑問に思っていると、本を守るように立っていた石像が『動き出した』!
『ふぉふぉふぉ、この本が欲しくば、わしの質問に答えるのじゃー!』
「うっ、動いたーっ!?」
(ご、『
(………アレ、何だかスッゲー聞き覚えのある声が………?)
石像が動いた上にしゃべり出した事に驚く一同だが、徐倫は石像の声をどこかで聞いた事があるような気がした。
『では第一問、“difficult”の日本語訳は?』
「えぇー!?」
「何それぇー!?」
ゴーレムの質問、というか問題に文句を言うバカレンジャー一同。だが、ネギが全員に言った。
「みなさん、落ち着いて下さい!ちゃんと問題に答えれば、罠は解けるはずです!落ち着いて“difficult”の訳をツイスターゲームの要領で踏むんです!」
「ええーっ!?そんなこと言っても!?」
「デ、『ディフィコロト』って…何だっけ!?」
だが、相手は所詮バカレンジャー。英単語訳が簡単にできる訳がなかった………
「ええっとだなぁ……」
『乗っていない者が答えを教えたら『失格』じゃぞー。』
「うぇ!?い……“easy”の反対です!」
「ええっと、『簡単じゃない』!!」
「そ、そうだ!えーと『む』」
「そうそう!」
「『ず』!」「『い』ね!」
『「むずい」……まあ、いいだろう………正解じゃ。』
「ヤッター!」「本ゲットーー!」
正解に喜ぶ一同。だが、彼女らは忘れていた。さっきゴーレムは『第一問』と言っていたことに。
『第二問“cut”』
「「「「「ってまだあるんかい!?」」」」」
その後も、
『第七問“remember”』
「あ、これわかるよ!『お』…」
「なんかキツいわよこれ…『も』」
バカレンジャーたちは
『第十一問“baseball”』
「うぐぐ…『や』」
「きゅ…『きゅ』〜」
「『う』!」
問題を解き続けた。
『第十九問“massacre”』
「いや、それ中学で習わないだろ!!」
「どこの『灰の塔』!?」
※massacre:皆殺し
高校でも習いませんでした(byオレの「自動追尾弾」)
その結果、ブリッジや右手と左足を上げたりと、めちゃくちゃキツい体制になったが、全員耐えた。
(も、問題に『悪意』を感じるです………)
『では最終問題!!“dish”!』
「あ!分かった!『お皿』ね!『お』!」
夕映が『お』を踏む。
「『さ』!」
楓が『さ』を踏む。そして、
「「『ら』!」」
まき絵と明日菜が『る』を踏んだ。
………………………『
「……………おさる?」
『残念ーー!』
バガァッ
ゴーレムが、手に持ったハンマーを振り下ろし、ツイスターゲームごとネギたちを落とした!
「イヤァァァアア」
「アスナのおさるーー!」
「……やれやれ、やはりこうなるのか……」
「何でジョジョは冷静アルかぁあー!?」
各々がリアクションを取りながら、下へ、下へと落ちていった………
←to be continued...
10話です。
・サブタイトルは「ウルトラセキュリティ懲罰房」から。
・冒頭のナレーションはジョジョっぽさを意識。大川透さんの声で再生されると幸いですw
・まき絵のスタンド活用術や、楓の能力がチラリと登場。楓のスタンドはもう少しお待ちください。
では、次回をお楽しみに!