ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】 作:オレの「自動追尾弾」
炎に包まれた、船の機関室と思われる場所。
そこに、二つの人影があった。
一人は、左肩に「星形のアザ」が見られる大男。
もう一人は、小柄な老人だ。
その老人が、一抱えもあるガラスケースを掲げた。
なかには、ガラスケースを満たす液体と、金髪の男の「生首」が入っていた。
ふいに、生首の目がかっと「開かれる」と、ガラスケースは勢いよく破裂する。
生首は切断面から無数の太い「血管」を伸ばし、大男に襲いかかる。
生首は血管の数本を首に巻き付け、数本を突き刺すと、止めと言わんばかりに、男に突進してくる。
ズドン、と重い音とともに、機関室の至る所で爆発が起こった。
爆発した破片が男の元へ飛んでくると、男はその破片を掴み、突進してくる生首に突き刺した。
瞬間、機関室を大爆発が襲い、船は爆発とともに、ゆっくりと沈没した――
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「―――んぁ?」
気が付くと、見知った天井に窓からの陽の光が差し込んでいる。
青い髪を短く切りそろえたボーイッシュな少女―――スバル・ナカジマは上半身を起こすと大きく伸びをして、軽く目をこすった。
「うーん………なんだか、変な夢だったなぁ………」
妙にはっきりと覚えている夢の内容に、スバルは首を傾げた。しばし不思議に思っていたが、もうすぐ朝の訓練の時間になるので起きて準備をする事にした。
(それにしても………)
練習着に着替えようと服を脱いだスバルは、姿見に映った下着姿の自分の姿を見た。
(あの男の人、『
スバルの左肩には、夢にでてきた大男と同じ『星形のアザ』が見えていた――
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《古代遺物管理部機動六課》
スバル・ナカジマの所属するこの部署は、旧文明の遺物『ロストロギア』を回収することを目的とした部隊である。
ロストロギア『レリック』に関した事件を発端に起こった大規模な事件、通称『JS事件』から約半年、1年間の試験運用期間終了を間近に控えたある日、高町なのは分隊長率いる『スターズ分隊』は、部隊長『八神はやて』に呼ばれ、部隊長室に来ていた。
部隊長室にははやての他にライトニング分隊隊長であるフェイト・T・ハラウオン、そして、部隊長補佐リインフォース
「…捜索任務?」
「第97管理外世界に…ですか?」
着いて早々、はやてから告げられた内容を聞き返すスバルと、相棒のティアナ・ランスター。彼女らに告げられたのは、なのはやはやて達の故郷でもある次元、第97管理外世界、またの名を『地球』へのロストロギアの捜索任務であった。
「うん。みんなに探してほしいんは…」
そう言いながらはやては、コンソールを操作し、全員の前に画面を出す。画面には、古めかしい『石の矢』が映し出されていた。
「この『矢』なんやけどね、数日前に『聖王教会』から盗まれたものなんよ。」
「聖王教会から……!」
はやての話を聞き、スバル達は驚く。
「この矢、かなりの曰くつきでなあ………まあ、ロストロギアなんて大抵は「曰く」が付き物なんやけども………」
「数年前にこの矢を見つけた時、教会の人が2人、矢の「鏃」で手に怪我をしたんだけど、その後、二人は原因不明の病気に感染して死んじゃったんだ…」
はやてに次いで話すフェイトの説明に、息をのむ3人。
「二人は全身に水泡のような腫瘍ができて、四十八時間以内にトマトソースのようになって死亡したって報告があった。医師団は『矢』でついた傷口から血液に『なにか』が入り、二人にウイルスを感染させたんじゃないかって断定したそうだよ。」
「うげ………」
思わず顔をしかめるティアナ。なのはとスバルも、顔をしかめていた。
「しかも、二名中一名は、信じられない事に意識のない状態で突然、指先からスタンガンのような火花を放電し、治療する医師の指を焼き切ってしまったって報告も残っている…
この事件から、この『矢』には『人の肉体を変質させる』力があるのではと考えられて、ロストロギアとして認定されているんだ…」
フェイトの話を聞き、黙り込む3人。ふと、ティアナはある事に気が付いた。
「…ちょっと待って下さい!その矢が盗まれたって事は、盗んだ犯人は…」
「うん、『矢の使い道を知っている』可能性が高いねん!そして、どう言う訳か犯人は、わざわざ足取りを『残しとる』!」
はやてはそういうと、再びコンソールを操作し、画面を切り替える。
切り替わった画面には、三つの映像が映し出されていた。
一つは顔写真で、網のようなものの付いた帽子をかぶり、顔に奇抜なメイクをした若い男のものだ。
後の二つは、多分監視カメラの映像と思われるもので、写真の男が写っていた。
「男の名前は『オエコモバ』!爆破テロをいくつもの世界で起こしたテロリストや!何故こいつが矢を盗んだかは本人を捕まえてから聞けばいいとして、やつはわざわざこれを残したうえに、行き先も既に分かっている!しかも!向かった先は管理局にとって重要な場所で、97管理外世界にいくつかある『魔力溜まり』ポイントの一つなんや!」
「魔力溜まり………」
はやての言葉に、スバル達は気を引き締める。
「あと、あまり公表はされていないが、97世界では2年前、小規模の『次元震』が観測されとる………関連はあるかわからないけれど、念のために頭にいてれおくように。」
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いつの時代も、昼休みの学食とは賑やかなものである。特に女子校ともなれば、尚更の事であろう。
『第97管理外世界』は日本の麻帆良学園では、一棟が大きな学食棟となっており、そこの一席では、2人の女生徒が向かい合って昼食をとっていた。
「………ん?」
向かい合っていた2人のうち1人は、震えた携帯電話を開くと、受信したメールの内容を見た。もう1人の眼鏡の女生徒は、彼女の表情が変化したことに気づき、聞いてみた。
「ん?どうかしたか?」
「いや、なんかオヤジが、近いうちに
その答えに、眼鏡の女生徒は怪訝な顔になった。
「本当かそりゃ?なんでまた………?」
「そこまでは書いてないわ。まったく、来るのはいいけど、いつも突然なのよねぇー、あのオヤジは………」
少女はウンザリしたように言う。すると、眼鏡の女生徒は、少し顔を曇らせた。
「………それでも、会えるのは今だけなんだから、話せることは話したほうがいいぞ……?」
「あっ………」
少女はしまった、と慌て、眼鏡の女生徒に謝る。
「ご、ゴメン千雨、アタシ………」
「いや、気にしなくていいぞ?私が余計な気使われるの嫌なの、知ってるだろ?」
「けど………」
千雨と呼ばれた眼鏡の女生徒はそういうが、もう一人の少女はだけど、と言いよどむ。すると、彼女の背後から3人の女生徒が近づいてきた。
「やっほージョジョ!」
「隣、いいアルカ?」
「あいあい♪」
「うお!?お前ら………」
3人の女生徒はそれぞれそう言うと、ドカドカと空いていた席に座り始めた。
「ねえジョジョに千雨ちゃん、聞いた?来週、新しい先生が来るんだって!」
「え?そうなのか?確かに高畑先生って、何だか出張が多いし、ちょうどいいとは思うけど、イキナリだな………」
千雨はそう言うが、ジョジョと呼ばれた女生徒はムキになり、
「おい、ジョジョって呼ぶなって何度言えばわかんだよ!!」
「うぇ!?ご、ゴメン………」
「いい加減、そこは譲ってやれよ………」
「
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イギリス メルディア魔法学校
ここでは、まさに卒業式が行われていた。
そして、卒業した生徒たちは、卒業証書に書かれた修行先で修行を行い、『
さて、その内の一人、赤毛でメガネをかけた少年――ネギ・スプリングフィールドの修行内容は…
「ええー!? に、『日本で先生をやること』ぉぉおお!?」
であった。
「こ、校長!!いくらなんでも先生なんて!何かの間違いでは!?」
ネギが姉と慕う女性――ネカネ・スプリングフィールドは、校長に取り合う。
確かにネギはまだ10歳である。慌てるのも無理はない。
が…
「…しかし、すでに決まったことじゃ。
校長は、そう答えるしかなかった。
「ああっ」くらっ
「あっお姉ちゃん!」
校長の答えに倒れかかるネカネを心配するネギと、幼なじみのアーニャ。
「――まあ、安心せい。修行先の学園長はワシの友人じゃからの。まあ、がんばりなさい。」
不安そうなネギに、校長は、優しく励ました。
「…はい!」
ネギは決心し、力強く答えた。
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スバルは知らない。自分の『星形のアザ』の『因縁』を――
徐倫は知らない。自分が巻き込まれる『事件』を――
ネギは知らない。『黄金の意志』を持つ者たちとの『出会い』を――
そして、「彼女」たちは知らない。『自分たち一族』の『宿命』を――
これは、一世紀以上にわたる、ディオとジョースター家の因縁の物語である…
ストライカーズ・オーシャン
【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】
始まります。
スバルの夢はOVA版のOPが、「矢」の被害を受けた職員は第5部が元ネタです。後、以前とは麻帆良に行くメンバーを変更しました。