「1発1発が痛い!」
「もろにくらうお前が悪いんだよ」
夢の空間ではドレミーとバットの勝負が続いている。共にボロボロではあるがバットの方が若干有利である。
「次で仕留める!」
「そう言ってますけど貴方の身体はボロボロですよ?」
「うるせぇ…気合いがあれば大抵どうにかなるんだよ!」
そして2人は再びぶつかり合う。一方霊夢達は
「霊夢さん、バットさんの援護するのはどうでしょうか?」
「その手段もあるけど…乱入するタイミングがわからない…」
霊夢と早苗はいつ乱入するかタイミングを図っていた。
「あのー魔理沙さん?」
「鈴仙どうした?」
「サイタマさんの姿が見当たらないのですが…」
「そんなわけ…っていない!?」
魔理沙は辺りを見る。サイタマの姿がないのだ。
「アイツ!何処に行きやがった!」
「まさか逃げたのでは!?」
「いや、サイタマはそんな奴じゃない」
「けどいないのはおかしくないですか!?」
魔理沙、鈴仙だけでなけ霊夢、早苗もサイタマを探す。(ちなみにドレミーとバットには聞こえてない)
一方サイタマは…
「此処は何処だ…?」
サイタマは1人知らない場所にいた。夢の空間の禍々しい場所ではない。
「確か…ドレミーとか言う獏は"私に勝たないと出れない"とか言ってた気がするが…」
「私が出してあげたのだ」
サイタマは声がする方に向ける。其処には銀髪で口に手を当てており、薄橙の服の下に紫の服を着ており、背中には翼が1つある。
「え?誰?」
「私は稀神サグメ。月の民であり、月の賢者でもある。……君がサイタマ君かな?」
「そうだが…此処は?」
「月の都だ」
「はぁ!?」
サイタマは驚く。なんと自分だけ月の都に来ていたのだ。何故か。
「いや待て!俺はドレミーの夢の空間にいた筈だぞ!?しかもアイツに勝たないと出れないって聞いてたのになんでいるの俺!?」
「それは私の能力で君を夢の空間から出してあげたのだ」
「あ、そうか」
サイタマは納得する。サグメの能力は"口に出すと事態を逆転させる程度の能力"である。その為サグメ本人はなるべく喋らないようにしてる。
「その時私はドレミーの夢の空間の様子を見ていてね、その時に"サイタマ君はドレミーに勝たないと夢の空間から出られない"と言い、逆転させたのだよ」
「それでか、けど結構便利だなその能力」
「便利?何を言ってるのかな?この能力は危険だから私はあまり喋らないようにしてるんだよ」
「そう言ってるけど…そんなに喋って大丈夫なの?」
サイタマは恐る恐る聞く。サグメ本人があまり喋らないようにしてると言ってる割に喋ってるからだ。
「大丈夫だ、問題ない」
「いや…大有りだから」
サグメの発言にサイタマは背筋を凍らせる。
「サイタマ君、先に行くならこれだけを言わせてもらおう。………"月の都を幻想郷に遷都する計画は成功し、嫦娥に怨みを持つ者達の侵略も成功する"」
「そうか」
サイタマは気にすることもなく先へと進む。
「サイタマ君…頼んだぞ」
サグメはサイタマを見送った後、去っていった。
夢の空間では…
「どおりでいないと思った…!」
霊夢達は未だ夢の空間にいた。そして唯一月の都にいるサイタマの様子を見ていた。
「おい!勝ったから此処から出しやがれ!」
「だ、出しますから首締めないで!」
勝負の結果、バットがかろうじて勝利した。ドレミーは首を締められながら夢の空間から出し、月の都に送った。
「此処が月の都か…」
辺りを見渡す。何やら昔を感じさせる場所だった。
「サイタマも行ってる筈だ、行くぞ!」
バットが先頭に進み、霊夢、魔理沙、早苗、鈴仙も後を追う。
サグメの能力ってややこしいんだよね