「で、何でお前らまでいんの?」
サイタマは後ろを振り向く。菫子だけでなく華扇、神子、マミゾウがおり、そして肩に針妙丸がいた。
「実物を見たいから」
「「「同じく」」」
全員一致だった。
「お前ら…」
サイタマは呆れるが気を取り直してフブキのアジトを探す。
「確か黒色の建物って言ってたから…………あれか」
木々の奥に黒色の建物が見える。しかしまだ距離があり普通の人では見えない。しかしサイタマは視力が非常にいい為見えた。
「サイタマさん、あれですか?」
「あ、うん。あれ」
どうやら神子も見えるらしい。
「あ、確かに黒い建物があります」
華扇も見えた。しかしこの3人は
「全く見えない…」
「視力が良い奴が羨ましいのぉ…」
「師匠…デタラメじゃありませんよね…?」
菫子、マミゾウ、針妙丸は見えなかった。
「じゃ、行くか」
サイタマ一行はアジトに向かって進んでいく。
フブキ組アジトでは…
「フブキ様、サイタマが来ました。例の少女を連れて」
双眼鏡で見ていた眉毛の濃い男が言う。B級2位のマツゲである。
「やっと来たのね」
フブキは待ちくたびれたかのように言う。
「しかしフブキ様、何やら関係の無い奴もいますが…」
フブキの横で岩のような顔をした大男が言う。フブキ、マツゲと同じB級であり3位の山猿である。
「サイタマの知り合いかなんかでしょ、まあいいわ」
フブキはアジトに戻っていった。マツゲ、山猿も戻る。
「悪ぃな、いきなり」
サイタマはソファに腰掛けて言う。
「いいわよ別に。で、まさか自分からフブキ組に加入に来たの?」
「んなわけねーだろ」
フブキはサイタマ自身がフブキ組に入りに来たのではないかと思ったがサイタマは否定する。
「で、貴女が宇佐見菫子さんね」
「は、はい!そうです!」
菫子は酷く緊張している。フブキ本人に会えたからである。
「あの…リラックスしてね…?」
「それが出来たら苦労はしません!」
今の状況、菫子はとてもリラックスできない。今にも気を失いそうである。だが菫子以外は普通にくつろいでいた。
「ところで…フブキ組とは一体…?」
「あ、フブキ組の事ですか?フブキ組とは…私が束ねる派閥の事です。B級のほとんどがこのフブキ組に入っており、皆で協力しあって支えているのです」
フブキは華扇にわかりやすく説明する。と、横からサイタマが
「本当は抜かされないように「ちょっと失礼!」むぐ!?」
何か言おうとしたサイタマにフブキが止めて別の部屋に連れ込む。皆が呆気にとられている。
「サイタマ!本当の事言わないでよ!」
「だってそうじゃん、お前らのやってる事ほぼ無理矢理じゃんか」
「それは私の順位を保つ為よ!」
「そこは認めるのかよ…」
サイタマは呆れる。そして2人は部屋から出る。
「あの…何の話を…?」
不思議に思った華扇が尋ねる。
「特に何もありませんよ」
フブキは笑顔で言う。しかしそれが華扇の背筋を凍らせた。何故ならフブキの左脇でサイタマが苦しそうな顔をしていたからである。それを見た針妙丸が飛びかかろうとするがマミゾウに止められてしまった。
「さ、菫子さん。続けましょ」
「はい!聞きたい事山ほどありますので!」
菫子はフブキに聞きたい事を沢山言うつもりだ。それにフブキは苦笑いをした。
一方外では…
「此処にフブキがいるのはわかっているのよ!」
緑髪で黒い服を着た少女に見える女性が言う。
「待って下さい!此処を通すわけには行きません!」
フブキの部下数人が必死に止める。しかし
「邪魔よ、どきなさい」
緑髪の女性が手を前に出すとフブキの部下は宙に浮き、飛ばされて地面に叩きつけられた。
「さて、邪魔者は消えたし、フブキを連れ戻しましょ」
緑髪の女性はアジトの中に入っていった。
次回あの方登場です。