どこからもなく声がした。その方向に一同は顔を向ける。其処には…屠自古と布都が言う太子様、豊聡耳神子がいた。
「貴女達は何をやっているのですか?」
「た、太子様!これは!その…」
「布都、貴様!太子様にわかるように話せ!」
「それを言うなら屠自古!お主もじゃ!」
屠自古と布都は神子に今はどういう状況なのかをわかりやすく説明しようとするが周りから見れば言い合ってるようにしか見えない。
「もういいです。貴女達は其処の方々と戦っていたようですね。理由もなく」
「「太子様!ちゃんと理由があります!」」
「ならばその理由をわかりやすく言いなさい」
「「…………」」
2人は黙り込んでしまった。それを見たのか神子はサイタマに近づいた。
「貴方がサイタマさんですね」
「おっ!オレの事知ってんのか」
「勿論です。貴方の噂は耳に入ってますので」
神子は微笑みながらサイタマと話していた。
「もしや太子様は…」
「サイタマ殿の実力を認めているというのか…!?」
屠自古と布都は驚いているがゾンビマンはそうでもない。神子は自分が認めた者にしかあの喋り方をしない。普段は威厳のある喋り方である。その為屠自古と布都に対してもあの喋り方をしたのはサイタマがいたからである。
「ところでこの神霊廟にどんな御用で?」
「あっ、そうだった。お前さぁ、神霊の事でなんか知らない?」
サイタマは神霊の事を聞いた。
「貴様!太子様に何だその態度は!」
「屠自古、お前は黙っておれ」
「はい…」
屠自古がサイタマの態度を注意するが神子に止められてしまった。
「神霊の事ですか。その事を説明しますがよろしいでしょうか?」
「いいけど俺でもわかりやすく述べてくれ」
「わかりました」
神子はサイタマにでもわかるように神霊の事を話した。
「…というわけです。って、サイタマさん?」
「悪ぃ…俺長い話苦手なんだわ…」
サイタマは疲れていた。長い話が苦手である為聞いただけでも疲れたのだ。
「その事は早めに言っておいて下さいね」
「お…おう」
神子はクスッと笑って言う。サイタマは申し訳なさそうに謝る。それを見ていた屠自古と布都からは妬ましい光景だった。
「何故あの者が太子様に認められるのだ…」
「我らは長年太子様の元にいるのいうのに…」
「お前ら落ち着け」
屠自古と布都はサイタマを妬んだがゾンビマンに注意された。
「その神霊を消してほしいとの事ですね」
「おう、気になってしょうがないんだわ」
「わかりました。ついてきて下さい」
神子は出口へと向かった。サイタマは神子の後をついていく。と、其処で
「サイタマ!?」
「あ、霊夢」
神霊廟に向かってる霊夢達と会った。
「お前ら何してんの?」
「神霊の事が気になって此処に来たのよ」
「そうか」
霊夢は理由を話した。サイタマは納得する。
「サイタマさん、お友達ですか?」
「いや違うけど」
「そうですか…君達ちょっと退いてくれないか?」
神子は態度が変わった。
「ちょっと待て!なんでサイタマには敬語で私達にはそうじゃないんだよ!」
「我は我が認めた者にしかその喋り方はせぬ」
「そんなの不公平すぎます!」
「耳障りだ。其処をどけ」
「いえ、退くわけにはいきません!」
魔理沙、早苗、妖夢は反発し構える。
「そうか…それが君達の答えか」
神子も戦闘態勢をとった。が
「おい、神子。時間ねぇんだわ。さっさと終わらせてくれ」
「あ、すみません、では行きましょうか」
サイタマに止められて神子は霊夢達を退かして出口へ向かった。
「「妬ましい…」」
「お前ら…」
サイタマを妬む霊夢と早苗に対して呆れる魔理沙であった。そしてサイタマと神子は神霊廟に繋がる洞窟の入口にいた。と、其処に青蛾が来た。
「あら、太子様。お久しぶりです」
「青蛾、お久しぶりです」
「神子、あの邪仙とどんな関係なの?」
サイタマが神子と青蛾の関係が気になったので聞いた。
「「ちょっとした事でです♪」」
「お、そうか…」
サイタマは青ざめた。これは気にしたら負けだと思った。
「けど神霊が見当たらないな」
サイタマは辺りを見渡すと神霊の姿はなかった。そして神子の耳元で
「なんかしたか?」
「秘密です♪」
「あ、そーすか」
神子は秘密と言って答えなかった。
「けど…これで解決だな!」
サイタマは言い切った。
「あっ、サイタマさん。後で貴方の事を聞かせてくれませんか?」
「おう、いいぞ」
「ありがとうございます」
「太子様、私も」
サイタマ、神子、青蛾はある意味楽しそうに話していた。
一方神霊廟に続く道では…
「お前ら何してんだ」
帰る途中だったゾンビマンが見たのは…絶望している霊夢と早苗、それを見て呆れる魔理沙と、必死に慰めようとしている妖夢の姿のだった…
「「なんでいつもサイタマ(さん)が優遇されるのぉ!?」
霊夢と早苗の悲痛な叫びが響き渡った。
神霊廟編はまだ続きます