「この前の事大きく書かれてまっせ、師匠」
「だろうな」
妹紅はサイタマに新聞を広げる。記事には魔界での出来事が書かれていた。
「てか、文はどうやってこの写真撮ったんだ?」
「聞くには烏天狗のライバル同士でありながらも互いに情報交換してるらしく、それでだと思います」
「そうか」
サイタマは納得する。
「けどまさか聞かれるとはな…」
あの事件後、烏天狗達に捕まってしまい、記者会見らしきものを無理矢理されてしまった。ヒーローである貴方が何故妖怪と手を組んだとの事を聞かれた。これに対しサイタマは
「害がなさそうだから協力してやった。第一妖怪と手を組む気は無いし、怪しい行動をすれば正義執行する。それだけだ」と言った。それがそのまま新聞に載ってしまったが、誰もサイタマに対して敵意を持つことはなく、逆にサイタマを支持するものが増えたとも言える。らしい。
「てかあの舟はどうなったんだ?」
サイタマは星達が乗っていた星蓮船に疑問を持つ。これに妹紅が答える。
「何か星蓮船を命蓮寺という寺に変えたそうです」
「寺か…何か持ってってやろうぜ」
「わかりました!」
妹紅は立ち上がり、持ってく物を探そうとした時、
「てか師匠…何か持ってる物とかあるんすか?」
「あるよ」
サイタマはそう言うとクローゼットを開ける。其処には山積みのダンボール箱が大量にあった。
「何すかこれ…?」
「人里の連中から貰った物質とか色々」
サイタマが幻想郷に来てから数々の異変を解決し、多くの正義活動をしたため、人々から支持されるようになった(。霊夢と早苗が嫉妬するくらい)その為沢山の物質が届くようになった。
「師匠…すごいっすね…」
「まあそんなにもいらんから霊夢とかにあげてるけどな」
「確かにこれだけあれがいらないのも当然すね…」
「とりあえずこれとこれと…これ持ってくか」
サイタマは適当に選び家を出た。妹紅もついていく。
道中…
「てか師匠…」
「なんだ」
「何処で買ったんすかその服…」
妹紅はサイタマの服装を見ながら言う。ヒーロースーツではないからだ。
「あ、これ?安かったから買った」
「………そうですか」
妹紅は納得した。サイタマはファッションに関しては壊滅的で、よく変な柄の服を着ている事が多い。しかし当の本人は全く気にしていない。ちなみに今の服装はOPPAIパーカーと長ズボンである。2人は会話をしている内に…
「あれが命蓮寺です」
「霊夢の所より綺麗だな」
その先には綺麗な木造建築の寺があった。門も立派である。2人は門に近づいたその時、
「おっはよーごさいまーす!!」
突然大声で挨拶をしてきた竹箒を持った少女が現れた。耳と尻尾が生えている。
「アンタ誰?」
サイタマは単刀直入に聞く。
「私は幽谷響子と言います!つい最近聖様に弟子入りをした山彦の妖怪です!」
「え?聖いるの?」
「はい!奥の方にいます!私が案内しますのでついてきて下さい!」
サイタマと妹紅は響子に言われるがままについていく。その途中、
「響子ちゃん、誰だいその人達は?」
宙に浮いた少女が近づいてきた。背中には赤い釜のような羽と青いぐねぐねとした矢印の羽が生えていた。
「あ、ぬえさん!今この方達に聖様のいる所に案内してるとこです!」
「あ、そうかい。…と、アンタサイタマでしょ?」
「知ってんのか?」
「あれだけ新聞に載ってて知らない奴なんていないよ。あ、私は封獣ぬえ。鵺の妖怪で響子ちゃんよりも先に聖に弟子入りしてる者だよ」
「そうか、宜しくな」
サイタマは軽く挨拶をする。そして何故かぬえも同行した。その様子を隠れて見ている怪しい影が…
「見つけたぞ、サイタマ」
次回皆さんが知るあの男が登場します。