まだ息はある方です( ◜ᴗ◝ )
とある森に建つ白い四角の家。その中である男が暇を持て余していた。その男のトレードマークは光り輝く頭をかきながら壊滅的な私服で床に寝転がっていた。その男の正体は…元A級39位のヒーロー協会に登録されていた趣味(※本人曰く)でヒーローをやっているサイタマだった。サイタマのとなりにあるテーブルには弟子と名乗っている小人、少名針妙丸が林檎に苦戦しながら食べていた。
「暇だ」
「ですね」
とにかくサイタマと針妙丸は非常に暇である。理由はこれといった異変や事件がないからである。例え散歩に行った時に妖怪や怪人に出会ったとしてもワンパンチで仕留めてしまうためつまらなかった。
「てか師匠、いい加減私を弟子として認めてください」
「絶対に断る」
「(´・ω・`)」
実は針妙丸はサイタマの弟子ではなくサイタマに保護されている立場である。しかし針妙丸は勝手に弟子と名乗ってる。その為か正式な弟子である藤原妹紅とたまに喧嘩が起こることがある(ちなみに100%の確率で妹紅が勝つ)。またもや断られた針妙丸は落ち込む。
「暇だし…散歩にでも行くか。お前はどうする?」
「お供させていただきます!」
「なんでそんなに嬉しそうなの?」
サイタマは直ぐに立ち直った針妙丸に疑問を抱きながらも壊滅的な私服から普段ヒーローとして活動するスーツに着替え部屋から出ると同時に針妙丸がサイタマの肩に乗り移った。
「さーて今日こそ手応えのある奴らに合わねーかな」
サイタマは背伸びしながら外に出た。しかし…
「あーやっぱツマンネ」
やはり結果は一緒だった。確かに妖怪や怪人は襲って来たもののワンパンチで仕留めてしまった。サイタマはベンチに座りながら欠伸をする。周りには襲ってきた妖怪や怪人の残骸がある。
「もっと手応えのある奴と戦いたいな」
「旧都に行けばいいんじゃないんですか?」
「面倒くさいからヤダ」
「師匠…」
針妙丸は旧都に行けばいいと提案したが面倒くさがり屋なサイタマは行く気がなかった。今サイタマのいる場所から旧都に繋がる穴までは凄く遠い(とはいえサイタマなら直ぐに着くが)。その時
「やっぱり幻想郷はいい所だよな」
「え?」
サイタマはふと口にした。サイタマは普段いい事を口にする事がないため針妙丸は驚く。
「師匠…?」
「俺が元々いた世界では怪人が毎日嫌な程出る世界だったよ。俺は誰に何を言われようが自己満足さえ得られればよくてヒーローをやってた。けど改めて考えて見ると俺って何の為に怪人とか倒してきたんだろうな…」
「それって…ヒーローだからですよ…ね?」
「それはそうなんだが…どうもそれを感じれなかった。元々俺は趣味でヒーローを始めた、けどヒーロー協会に登録しても退屈な日々だった。なんせ強い奴らとあまり合わなかったからな。ガロウに興味を持った際には格闘技大会に出た。けど……何も得られなかった。」
サイタマは悲しそうだった。確かにサイタマが元々いた世界では毎日のように怪人が現れていた。その怪人を倒すのがヒーローの役目だ。しかしサイタマには何も感じなかった。ただ目の前に現れた怪人を倒しているだけなのに…サイタマは自己満足しきれてなかった。また、ヒーロー狩りをしていたガロウに興味を持った際には格闘技大会に出て、格闘家やゴウケツのような超一流の武術怪人と戦ったが何も感じなかった。格闘技大会に出ても何も得られなかったのだ…ガロウの時もそうだ。怪人になったガロウにも当たり前のように勝った。しかしこの際にガロウはこう言った。
「貴様に平和が作れるか?」
「その薄っぺらいマントで世界を平等に救えるか」
「目に届かぬ悲劇を止める手当てはあるのか」
「なぜ貴様をヒーローをっている」
※他にもあります。
しかしそれでもサイタマは「ヒーローは本気の趣味」だと言い放った。それに納得いかなかったガロウはサイタマに再び襲いかかるも殴られ戦意喪失。そしては生きる気力も失い何処か姿を消した。
「師匠…」
針妙丸は心配そうにサイタマを見る。普段滅多に見せない顔だからだ。
「けど…たまには俺が満足できる奴もいた。そいつとは本気で戦えた。満足感もあった。だが…」
「?」
サイタマが言うそいつとはボロスの事である。サイタマが初めて本気を出した相手だ。普段ならばワンパンチで仕留めるのだがボロスはワンパンチで倒せなかった。これに期待したサイタマはボロスと激突した。結果サイタマが勝利した。しかしボロスから最後にこう言われた。
「嘘だな、お前には余裕があった。まるで歯がたたなかった…戦いすら…なっていなかった…………ふふっ やはり予言などアテにならんな……………………お前は強すぎた」
この時サイタマはあまり気にしてなかったものの、後々考えるとそう感じてしまった。だが
「けど…いいか。過去の話だし」
「いいんですか!?」
これまで悲しそうだったと裏腹にヘラヘラと笑うサイタマは針妙丸は驚く。しかし幻想郷で活動していく内に月日が流れているのは無論事実だが。
「けどな、針妙丸。俺は元々弱かったんだぜ?ヒーローになろうと決めてから3年間休まずに鍛えた結果、この強さを手に入れたんだ。これが幻想郷でも通用する事に驚いたよ。お陰様で勇儀や聖とかと対等に戦えたしな。幻想郷に来て正解だった!」
サイタマは昔、今の強さとは想像出来ない程弱かった。だが3年間のトレーニングを休まずにやった結果、この強さを得た。その強さが幻想郷にでも通じた。もし通じなかったら星熊勇儀や聖白蓮とは対等に戦えなかった。
「師匠…!一生ついて行きます!」
「それヤメロ」
針妙丸は涙を流しながらサイタマに「一生ついて行く」と言った。だが聞き飽きたかサイタマは嫌そうな顔をした。
ここ数ヶ月間忙しかったので投稿する暇が無かったです(汗)。
気まぐれ投稿になりますがこれからも宜しくお願いします!