この話は、地霊殿編が終わった後の話である。byTrip辻上
迷いの竹林
此処の竹林は一度踏み入れると脱出が困難になる事で有名である。また、幻想郷で唯一の診療所、永遠亭はこの竹林の中にある。その場所から離れた場所に、一軒の小屋がある。其処に住んでいるのが…藤原妹紅である。彼女は人間である。しかしただの人間ではない。不老不死なのである。犬猿の仲である蓬莱山輝夜が月の都に帰る際に残した(というより忘れた)蓬莱の薬を服用し、不老不死となった。その為人とはあまり接さずにこの迷いの竹林で小屋を建てて暮らしているのだ。また寺子屋の教師、慧音とは仲がいい。そんなある日の事…
「ヒーロー…?」
妹紅は文々。新聞を見ながら顔を顰めた。その見出しには…
『ヒーローサイタマ!妖怪の山に吹き出た間欠泉の原因を探り解決!』
と、書かれていた。そしてサイタマが写った写真も掲載されていた。
「ヒーローね…」
妹紅は興味なさそうに呟く。妹紅は慧音と違って情報や流行に乏しい上に興味事がほとんどない。その理由で慧音とは話が噛み合わない事がたまにある。
「幻想郷も変わったもんだな。異変は博麗の巫女が解決してたのに今はヒーローのハゲが解決してんのか」
妹紅は寝転がりながら言う。その時
「へーくしょん!!」
大きなクシャミが鳴った。サイタマである。
「誰か俺の噂でもしてんのか…?」
サイタマは辺りを見渡しながら言う。サイタマは幻想入りしてから様々な異変や事件を解決した為幻想郷中にその名が広まっている。おかげで声をかけられたり、強者から勝負をしかけられたりする。自身が元々いた世界では無かった事だ。彼は今散歩をしていた。普段ヒーロー活動時に着るヒーロースーツを着て。
「ヤッベェ…道迷った…」
サイタマは髪の毛のない頭をかく。散歩に来たのはいいものの迷いの竹林に踏み入れてしまい出られなくなったのだ。
「まだ買い物もしてねぇのに…」
サイタマは愚痴を零す。その様子を見ている影が…
「あいつがサイタマか」
妹紅である。散歩しているサイタマを見つけ、隠れながら後を追っていた。
「ん?」
サイタマは振り向いた。妹紅はすかさず隠れる。
「なーんか見られている気がするけど気のせいか?」
サイタマは立ち止まって考えるが気のせいだと思い。再び歩き出す。一方妹紅は
「危なかった…」
妹紅は胸を撫で下ろす。サイタマに気づかれたかと思ったからだ。
「けど何処へ行くつもりなんだ…?」
妹紅は再びバレないようにサイタマの後を追う。その時
「ん?」
妹紅は何かに気づいた。何やらおぞましい呻き声に…妹紅は後ろを振り返ると…案の定、怪物がいた。
「グルルル…」
怪物は妹紅に顔を近づけて唸る。その距離30cm程。
「ヤベェ!"不死「火の鳥~鳳凰天翔~」"!」
妹紅は怪物に目掛けて鳳凰の形をした炎をぶつけた。だが
「キカヌ」
「何だと!?」
怪物は無傷だった。動揺してしまった妹紅の隙をついて怪物は拳を入れた。
「ガッ!!」
妹紅は飛ばされ太い竹にぶつかってしまった。
「身体が…動かない…!このままじゃ…殺られる…」
不老不死とはいえどもダメージは普通に通るし怪我もする。今の妹紅は怪物に殴られたのと竹にぶつかった衝撃のダメージが蓄積されている。更に血が流れている。妹紅は逃げようとするが身体が思うように動かない。その姿の妹紅に容赦なく怪物は追い打ちをかける。その時
「なんだコイツ」
突然サイタマが怪物の目の前に現れた。
「お前…大丈夫か…?」
サイタマは心配そうに妹紅に声をかける。
「大丈夫…けどアンタも逃げないと…」
妹紅は残る力を振り絞ってサイタマの後ろにいる怪物を指を指す。
「大丈夫」
サイタマは妹紅からの"逃げろ"を無視し怪物を近づく。サイタマに気づいた怪物は襲いかかる。
「煩い、寝てろ」
サイタマは怪物を殴り飛ばした。そして空中で爆発して消えた。
「また…ワンパン…か…」
一撃で終わってしまった事にサイタマは項垂れる。妹紅は半信半疑の状態だった。サイタマが去ろうとした時
「待って!」
「ん?」
妹紅がサイタマを呼びとめる。
「私はこの迷いの竹林で1人暮らしている藤原妹紅という者です!貴方の弟子にしてください!」
「いいぞ」
妹紅はサイタマに弟子入りを志願した。サイタマはそれを許可する。その数秒後…サイタマは"え?"と聞き返した。
数日後…
妹紅はサイタマの家の扉の前に立ち、ひと呼吸してから
「師匠!」
と呼んだ。その時扉が開きサイタマが現れた。
「マジで来やがったよコイツ…」
サイタマはウンザリしながらも妹紅を自身の家に入れた。
詳しくは四十九撃目で
実は寝落ちしてしまった…