東方一撃男   作:つじかみーん

132 / 183
中編です。


百三十二撃目:歯なしにならない日和(中編)

朝、紅魔館

「……………」

フランは黙り込んでいた。右頬を当てながら。

「フラン、どうしたの?」

レミリアが問う。

「何でもない!」

「まっさか虫歯じゃないでしょうねー?」

レミリアは笑みを浮かべながら言う。

「そんな事ないもん!」

フランはそう言って牛乳を飲む。すると

「痛いー!痛い痛い!歯にしみる!」

フランは飛び上がり床に落ちて暴れる。それをレミリアは"ざまあみろ"という気持ちで笑う。同じ頃、命蓮寺では…

「痛いよー!」

ぬえが右頬を当てながら言う。こちらも虫歯だ。

「だから言ったろ、歯磨けって」

「なら言ってよ!」

「言ったけどしなかったのは何処の誰で?」

ゾンビマンの一言に言葉は詰まったぬえ。確かに言われたがしなかったので単なる自業自得とか言いようがない。

「仕方が無い、永遠亭行くぞ」

「え!?」

 

 

 

 

 

「永遠亭!?」

「それいか無いわよ!」

「やだ!絶対に行かないもん!」

フランは自身のベッドに張り付く。レミリアはそれを引っ張る。これもぬえと同じだった。

「ぬえ、行くぞ…!」

「やだやだー!」

ぬえは柱しがみつく(しかも泣いてる)。ゾンビマンがそれを引っ張る。

「嫌でも行くぞ!」

「絶対に行かない!」

「ほっとくと余計に痛くなるぞ!!」

「歯医者の方が痛い!」

「どんな理屈だよ…」

ぬえの言ったことにゾンビマンは呆れる。と、そこに聖が

「ぬえちゃん、もし永遠亭に行ったら欲しい物買ってあげますよ」

「聖本当!?ヤッター!」

その時、ぬえが柱から手を離した。すかさずゾンビマンと聖が

「その代わり」

「永遠亭ね」

「え…?」

ぬえは逃げ出そうとするががっちり掴まれている為逃げる事ができずそのまま永遠亭に連行された。

 

 

 

 

 

「行くわよフラン」

「うう…やっぱり行かない!」

フランは逃げ出してしまった。

「あー本当に意気地無しね…」

レミリアは追いかける。何やら怪しい物を持って。

「やだやだー!……あ!何するの!?」

レミリアはにとりから貰った特注のアームでフランを掴む。

「お姉様!それでも私の姉なの!?」

「はい!!」

レミリアは率直に答え、フランをアームと一緒に付いてた筒に入れる。

「お姉様のバカ!バカー!」

フランは抵抗するもなく永遠亭に連行された。それを見ていた美鈴は苦笑いで手を振るしかなかった。

 

 

 

 

 

永遠亭

「い゛た゛い゛ー゛!゛い゛た゛い゛よ゛ー゛!゛」

治療室ではクラウンピースが悲痛な叫びを上げていた。それを聞いたぬえは

「やっぱり帰る!」

「おい!ぬえ!」

ぬえは出口から出ようとする。すると

「いた!」

ぬえは何かとぶつかった。フランだ。

「あら、妖怪寺の子も虫歯なの?」

「ああ、そうだ。俺と聖はコイツの付き添いだ」

ゾンビマンはぬえを掴む。

「あら、奇遇ね。私の妹も虫歯なのよ」

レミリアもフランを掴む。しかも笑いながら。

「ぬえちゃん!先に行ってもいいよ?」

「いやいやフランちゃんが先でいいよ?」

ゾンビマンとレミリアから開放されたフランとぬえは治療室のドアの前で譲り合っていた。だがどちらも入る気がない。その時

「何してるの2人共、席は空いてるわよ?」

「「ヒイイイイィィィィ!!」」

フランとぬえは永琳により、強制的に治療室に入れられて椅子に座らされた。治療室からはへカーティアとクラウンピースが出ていく。虫歯は治ったもののクラウンピースの目には涙が。

 

 

 

 

 

治療室

「鈴仙、その子頼んだわよ」

「はい!師匠!」

永琳はフラン、鈴仙はぬえを担当した。

「じゃあ、始めますね」

鈴仙がドリルのスイッチを明日と回転し始めた。それを見た2人は震えてしまった。

「わ…私は…大丈夫…もう痛くないから…」

フランは逃げ出そうとしたその時…

「あれ…?動けない…」

フランは逃げ出せなかった。

「言う事を聞かない悪い子には拘束させるわよ?」

「鬼!!」

実は永琳は逃げ出す患者対策ににとりに頼んで椅子を改造してもらっていたのだ。

「フランにとってはいいかもね(笑)」

笑うレミリアにフランは睨む。一方ぬえは

「あがががが…!」

鈴仙に虫歯の治療をされていた。

「はい!嗽して!」

「痛いよー…」

「まだ始めたばっかりですよ」

「まだ続くの!?もうヤダ!!」

そう言うとぬえは逃げ出して薬棚を荒らす。

「あった!」

「それは師匠の薬!触っては…あ!」

ぬえは歯の痛みを止める薬を見つけて飲む。鈴仙は止めようとしたが時は遅し。すると…

「痛くない!やったー!治った!」

ぬえは喜んで永遠亭から出て帰った。

「じゃあ私も!」

フランもぬえが飲んだ薬を取って帰った。

「仕方が無い子ね…これは虫歯の怖さを思い知らせるしかないわね…」

永琳は呆れて言う。

 

 

 

 

 

 

一方サイタマは…

「今回、俺の出番なくね?」

「作者(※Trip辻上)に訴えますか?」

「やめろ」

神子は訴えようとしたがサイタマに止められた。




次回番外編完結です。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。