人里のとある居酒屋。其処に幻想郷で一生を過ごすと決めた男4人がいた。
「何で此処でやんの?」
壊滅的な私服のハゲた男が言う。
「集まれる場所が此処しかないからだ」
顔が白くゾンビみたいな男が言う。
「で、何の話をするんじゃ?」
銀髪(というより白髪)の老人が言う。
「……………………」
強面の顔をした大男は無言だった。だが彼の心臓音が鳴り響く。その男達の正体は…
"趣味でヒーローをやってる最強の男"サイタマ
"ある意味不死の戦士"ゾンビマン
"銀牙のファイター"バング
"百獣の王"キング
そしてオマケに針妙丸とぬえ。
「針妙丸、あんまり食べんなよ?」
「わかってましゅ!」
サイタマは必死に食べてる針妙丸に言う。
「ぬえ、暴れるなよ」
ゾンビマンはぬえに忠告する。ぬえは"大丈夫!"と言い張るが心配である。
「さて…何から話す?」
「それよりサイタマ氏…周りを見て。何か見られてる気がするんだけど…」
今まで口を開かなかったキングが喋る。確かに周りを見てみると視線がこちらに集まっている。中には変装をした射命丸文と犬走椛の他、相変わらずサイタマに嫉妬してる霊夢と早苗、ぬえが心配で来た聖もいた。
「霊夢と早苗からの嫉妬感がヤバいんだが…」
「あのストーカー並の記者もいるしな」
「じゃあ儂の道場で話すか?」
「いや…とりあえず…店から出よう…」
男4人は仕方が無く店から出た。結局サイタマの家で行う事にした。そして雑談らしきものが始まった。
「率直に聞くけどヒーロー協会から脱退したの?」
サイタマから思わぬ事を聞かれた。
「儂はガロウの件で引退したからな。ゾンビマンとキング君は?」
バングは直ぐに答え、ゾンビマンとキングに向ける。
「俺は命蓮寺の奴らが寝てる隙に協会に脱退するって伝えた」
「俺は博麗神社に向かう前に協会に行って引退すると言ってきた」
ゾンビマン、キングもヒーロー協会から脱退していたのだ。本来ならば協会に登録してないヒーローは"妄言を吐く変態"にしか見られないのだが、幻想郷にはヒーロー協会というものすら存在しない為その事は言われる事はない。
「ところでサイタマはヒーロー協会から脱退したのか?」
「え?俺?俺は…ちょっと待て」
サイタマはスマホを取り出しジェノスに電話をかける。数分後…
「俺、ヒーロー協会から脱退してたわ…ジェノスがしてくれてたらしい」
「そうか」
サイタマもヒーロー協会から脱退していた。しかし当の本人は知らなかった。しかしサイタマは"クビになっても構わない"や"フリーの方が気楽でいい"という気持ちでやってた為、サイタマにとっては良かったかもしれない。
「つまり全員…ヒーロー引退した事になるな…」
「ああ」
全員一致で頷く。
「ま、別にいいか。俺は元々趣味でやってたし」
「幻想郷で活動するからヒーロー協会に縛られる事もないしな」
「儂も格闘家一筋でやれるようになったからな」
「ゾンビマン氏と同じく、幻想郷の方が活動しやすいからな」
全員元の世界に戻れない上に一生を幻想郷で過ごす為、ヒーロー協会は必要なかった。それで開放感が溢れている。
「で、次どうする?」
「俺はいい。ぬえが心配してると思うしな」
「儂もじゃ。弟子達が待っておるからな」
「俺もだ」
「そうか、じゃあな」
男4人による雑談は終わった。ゾンビマン、バング、キングが帰ったのを確認して
「風呂に入るか」
「待って下さい!師匠!」
風呂場に向かおうとした時針妙丸に呼び止められた。
「なんだ」
「師匠…ヒーローを引退したって本当ですか…?」
「本当だけどなんだ?」
「確か師匠って子供の頃からの夢でしたよね…?引退して良かったのですか?」
「いいんだよ別に。俺は元々趣味でやってたから」
「師匠…」
「けどな針妙丸、周りから何を言われ用が俺は趣味でヒーローを続ける」
「師匠…!一生着いていきます!」
「泣くなよお前…」
何で感動したのかわからないが大粒の涙が溢れる針妙丸にサイタマは呆れたものの涙を拭き、針妙丸を肩に乗せた。
「共に頑張ろうな」
「はい!」
こうしてサイタマと針妙丸に新たな絆が生まれた…らしい。
次回新章です。