とある宮古芳香の悪戦苦闘   作:ゆっくり霊沙

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西暦46年~

〔西暦46年秋〕

約1年半もかけて構想を決め、作り始めたのは結局146年目の収穫も終わった晩秋になっていた。

 

「あそこを深く掘ってくれ。固い地盤が出てくるまで掘るのじゃ!!」

木造の家とかはそこまでする必要がないのだが、レンガや石材等を使う場合建物が崩れることは許されない。

そのために地震が多いこの土地ではしっかりとした地盤が出てくるまで掘り下げ、そこに建物を建てる方法を考え出した。

これは鉱山で働く者達の知恵だった。

鉱山ではしっかりとしたところに木で補強していかないと崩れて生き埋めになる可能性があるため、何人も犠牲にしながら(後々回収されてキョンシー化)技術を高めていった経緯があった。

建物の下敷きになるのが自分達の子供だと嫌なので、私達に計画途中に直訴したのだ。

彼らの意見を取り入れつつ、地盤を固めるのだけでも100人かがりで1ヶ月、木材で形だけ作るのにさらに3ヶ月かかってしまった。

雪の中での作業というのもあるが、大型建造物に対する経験が皆無だったのが一番の原因だった。

 

(困った。農業をする時には人を割くことができん。・・・また私だけでやるのか。)

農業の時に私がやることは田植え、種まき、苗植えをそれぞれ3日間・・・計9日参加することで、手入れはそれ専門の者達がやることになっているため、私は暇になるのだが、他の者達はそれぞれの仕事、物の運搬、開拓、勉強と忙しいため私だけでやることになる。

 

(まぁ私の仕事のようなものじゃな。・・・建築以外だと道の舗装かたたら吹き、磁器作り・・・あれ?けっこう忙しいのじゃ?)

そんなこんなで1人でレンガを積んではセメントで接着する作業を繰り返した。

 

〔西暦47年春〕

結局1年かかってやっと屋根の手前まで進めることができた。

 

「いやーーー!!疲れたのじゃ!!秋と冬に手伝ってもらってこれじゃ。・・・さて、一番難しい屋根はまずコンクリートで固めるのじゃ。」

私はセメントを固めて薄いコンクリートタイルを作り、土台の木上に並べて、そこにコンクリートを流して固めていった。

 

「乾く前に最後のレンガタイルを並べて・・・できた。・・・おっと!?落ちる・・・あぁぁぁ!!」

25メートルの高さから落下し、私のつけていた補助装置の左腕の部分が破損してしまった。

これにより左腕が曲がらないので仕方なく今まで貯まったグローブンと壊れた左腕の補助装置を神界に送って修理してもらうことになった。

 

「あ、安全第一じゃな。」


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