とある宮古芳香の悪戦苦闘   作:ゆっくり霊沙

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5年目秋~

〔秋〕

ロボットを張り付けた結果2組の男女を連れてくることに成功した。

 

「まさか生存しているとは・・・。」

彼らの話によると他の村の侵略に負けた村人は奴隷のように使われたらしい。

それを嫌った数人が海の向こうに見える陸地に儀式で行った人が住んでいることを願って海を渡ったらしい。

12人いた村人も船が転覆したり、熊や猪に襲われて残ったのがこの4人だった・・・とジャギが通訳してくれた。

私もさすがに古代の言葉はジャギの奥さんから教えてもらった簡単なものしかわからないからだ。

 

(・・・統一語として近代日本語と近代ドイツ語を使うことになるのじゃ・・・雛苺は大丈夫じゃがジャギの子はちゃんと教えればいけるかの?)

悩んでいる私だが近いうちにこの問題は解決するのだった。

 

〔収穫期〕

昨年のような豊作・・・とはいかなかったものの、それなりの収穫量で飢える心配はなかった。

人数も少ないので食事の時は全員が集まって一緒に食べるようにしていた。

私は笑顔で食事をしている彼女らを見て不安に思うことがあった。

 

(・・・今はコントロールできておるが・・・私以外は故郷を隣の村に滅ぼされたことになるのじゃ。・・・コントロールが効かなくなった時が一番きつい時期になるのー。まぁその前に手をうつとしようか・・・。)

私は集落の掟の構想を考え始めるのだった。

 

〔冬〕

5年間で一番の大雪、大寒波が到来した。

 

「鹿や牛を凍えさせないようにするのじゃ!!」

 

「俺達に任せろ!!」

動物達が凍えないようにジャギと奥さんが見守り、残りの私達は子供達が凍えないように薪や木炭、牛糞ステーキを使って室内を温め、病気が蔓延しないように湿度にも気をつけた。

 

〔6年目 まだ冬〕

その日はそこまで寒くはなかった。

私は熊をスコップで撲殺し、集落に戻ると水銀燈が慌てて何かを探していた。

 

「お母さま!!ちょうどよいところに!!」

 

「何かあったのか?」

 

「ジャギと奥さんがいないの。朝に牛乳を倉庫にしまっていたのを見て以来・・・。」

 

「なんじゃと!?」

金糸雀と子供達以外の全員で彼らを探した。

・・・見つけたのは3日も経っていた。

発見した場所は鹿を囲っている柵の近くで、自然の窪みがある場所だった。

窪みには下に奥さんが、上にジャギが雪に埋まっていたので、窪みに落ちた奥さんをジャギが助けようとしたが、雪に覆われて見えなかった窪みの深さは予想より深く、ジャギも一緒に落ちてしまい、その勢いで雪が崩れ、ジャギ夫婦を覆ったと思われる。

 

「事故じゃな。」

私は仮定を考えてそう呟いた。




住人 12人

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