とある宮古芳香の悪戦苦闘   作:ゆっくり霊沙

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総統

【ドイツ】〔7月22日〕

ドイツは北にあるノルウェーとデンマークの両国が宣戦布告してくるタイミングを見計らいヴェーザー演習作戦を発動した。

計画は成功し、北の驚異を瞬く間に打破したことにより戦略的な再配置をするための時間が確保された。

イギリスではチェンバレンから労働党の党首が首相となったが、戦局の悪化からジョージ6世は議会に現首相を解任すべきではないか?と投げ掛けたことをきっかけに内閣は辞職し、チャーチルが戦時内閣首相の地位に就任した。

 

「ジークハイル!!」

 

「よろしい。補佐、ポーランドの話を聞かせろ。」

ヒトラーが補佐と呼ぶ人間は全てが平均でできたような男で、声がよく裏返る癖がある人物だった。

しかし、思考は過激だ。

 

「現在ポーランド人の労働によりⅤ号パンター、Ⅵ号ティーガー戦車の量産は進んでおります。試作時におこった問題点も改善されており、フランス戦車と互角以上の戦えております。」

 

「・・・補佐、参謀総長を呼んできてくれ。」

 

「ハイル!!」

 

〔3分後〕

 

「ジークハイル!!」

 

「よせ、グレーナー・・・お前に言われると気持ち悪い。」

 

「上がやらないと下がやらないんだよ。で、総統、用件は?」

 

「今後の戦争のビジョンについてだ。勝てる、勝てると国民には伝えているが、軍人としてはどうなんだ?それを知りたい。」

 

「いまのところ五分五分・・・今年は蓄えの年です。フランスの方が我が国よりも遥かに国力は大きいですが、近代的な攻撃のドクトリンが敵には存在しません。」

 

「防御に徹しても昔のように補給切れになることはないな。・・・戦略物資の備蓄も3年分はある。」

 

「しかし、守りだけでは勝てません。なので国防軍では以下の計画を準備しています。」

 

ゴト

置かれたのは表紙が青い計画書であった。

 

「イタリア方面を来年の夏までに片付けるので、来年の秋にこの作戦・・・青色作戦を発動します。」

 

「概要を教えてくれたまえ。」

 

「A、B、C、Dの4つの軍に分けAは赤色計画のルートをそのまま使うのでアンデンヌの森をⅣ号戦車やレオパルド等の速度が出るのを中心に使用します。Bはルール地帯から進行します。戦車は最新の物を中心に編成し、ルールから叩き出すことを目的としています。言い方を代えれば陽動です。Cはイタリア北部からフランスに進行します。山岳兵と空軍の空挺により立体的な攻撃をおこない、突破口をこじ開けます。Dはイタリア方面の押さえです。ここには88ヘッツァーを配備して迎撃します。」


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