とある宮古芳香の悪戦苦闘   作:ゆっくり霊沙

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大坂最終決戦

〔西暦1615年1月〕

パラパラと雪が降り、視界が悪くなった今日この頃、斎藤家では兵達が急いで動いていた。

 

「穴を掘れ!!それを連結させ、手前には土を詰めた俵を置け!!」

スコップとピッケルを振り下ろし、今では1キロに七重にまで延びた強固な防衛陣が出来上がっていた。

 

「体が鈍らないように動かせてはいるが・・・いつまで続くのだろうな。」

 

「おやじ、もう少しで大坂の食料は尽きるだろ。・・・一番怖いのは自暴自棄になって突撃してくることだが・・・。」

 

「まぁ譜代の連中が止めるだろうな。それより忠吉の守りはどうだ?」

 

「双眼鏡で見た感じ・・・こちらほどではないがしっかりしてるだろ。」

 

「箒の奴も来てるんだったな。確か第一子がもうすぐだったな。おちょくりに行くか。」

 

「大将達もいるしな。なんとかなるだろ。」

 

「おではここにいるんだな。」

 

「お前は動け、もう少し!!」

 

「やなんだな。陣中でどれだけ美味しいお菓子ができるか挑戦中なんだな。」

 

「・・・塹壕の一部をくりぬいて窯にしたのはお前か!!」

 

「お前、お前うるさい父親なんだな。別におでだけが使ってる訳じゃないんだな。従軍した料理人も使ってるんだな。」

 

(陣の一部がレンガになってたのはそれか。道元も大変だな。まぁ俺には関係ねーな。)

その時

 

ドン

 

爆発音と共に大坂城の一部の陣か城かがぶっ飛ぶ。

 

「突撃ですな。」

 

「さて、久々の仕事だ。心が躍る!!」

一斉に将官達がどこを攻撃したか話し出す。

 

「たぶんこちらにも来てるだろうな。忠吉様がいるし。」

 

「本命は大御所様だろうな。」

 

「秀忠様のところにも行ってると見て・・・。」

 

「「「あれ?城内空じゃね?」」」

 

「伝令!!明石殿の旗が南にあるとのこと!!」

 

「そうだな・・・道元、龍元に5000と2500を渡すから大御所と将軍を護りに、残りは陽動と思われる部隊を潰してから大坂に入る。」

 

 

 

 

【南側】

196センチ、体重168キロの大きな男が巨体な馬に乗り、槍を振り回していた。

名を秀頼、苗を豊臣。

大坂城では余裕がなく追い詰められたために淀殿の楽観的な見方が無謀だと馬鹿でもわかり、大御所徳川家康の首を取ることだけに突撃を決行した。

 

「私に続け。」

その巨体には似合わない優しい声が兵を励ます。

槍には肉片がついてまるで鬼のようであった。

そのため徳川譜代の部隊は陣の爆発による衝撃と籠っているだけで油断していた譜代の部隊は次々に壊滅。

親族の松平家も3家の当主が討ち取られる被害が出ていた。

 

「勝てる・・・勝てるぞ!!」


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