とある宮古芳香の悪戦苦闘   作:ゆっくり霊沙

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敵と味方の整理

【青森城】〔西暦1599年春〕

1年間・・・斎藤家は戦時体制に以降し、全ての産業の効率化をした。

評定会は溜め込んだ金のほとんどを内政と軍事に振り分け、貿易でも新型銃の輸入量増加が目立ち始める。

外交面では奥州秘密同盟の完全締結、豊臣方の切り崩しが激化した。

対して豊臣政権はいきなり下がった経済の立て直しと政権の安定を急いだが、武統派と文治派の争いが激化してしまった。

理由としては朝鮮出兵が原因である。

対外戦で負けてしまい、その条約の負担が斎藤家から支払われていることが宗氏からわかると、揉めに揉めた。

敵に豊臣の負の遺産を肩代わりしてもらっている状態に、権威が地に堕ちたのだ。

 

「なんとか軍の拡充は進んだな。」

 

「ええ、なんとかなりました。・・・ただ、親衛隊はちょっと・・・。」

 

「仕方ないだろ。評定会から2000名の親衛隊(実験隊)を作れって言われたんだから・・・。」

親衛隊とは評定会からつけられた斎藤家直属の部隊である。

どちらかと言えば武装警察に近い。

一応軍が治安を維持しているが、緊急時の時や、軍が住民に害した時、武器の実験等に用いられることとなった。

 

「いえいえ、そういうことではなく・・・人体実験の方でして・・・。」

 

「忍び衆か。」

 

「えぇ、大変だと聞いています。」

忍び衆は親衛隊の約4割りが所属する忍術、医学の専門解析、開発部隊である。

 

「・・・本当はやりたくないですけどね。」

 

「キョンシー技術は北邦の秘術で国外に渡ることを許されてませんからね。」

 

「・・・まぁ大々的にやらなければ問題は無いがな。」

 

「生きてる人間は長生きできるに越したことはありませんし、小さな子供が亡くなり、キョンシーになっても・・・。」

 

「労力不足と本人の申し訳無さが原因で自殺することがあるからな。」

 

「それだけは・・・見たくないものだよ。本当に・・・。」

 

【大坂城】

 

「まだ討伐軍が編成できないのですか!!」

ヒステリックに声をあげ怒鳴り付ける女性がいた。

・・・淀殿である。

彼女にとって武統派だとか文治派だとかは関係ない。

秀頼が馬鹿にされたことに腹をたてていただけなのだ。

対立している両者の共通点はこの女を早く失脚させたいのだが、秀頼の母親ということで粗末に扱えず、秀吉の負の遺産である大勢の奥方を味方につけた第三勢力を築いてしまっていた。

完全に動けなくなった大坂城を見て熱が冷めた三成と大谷、長束の3名はついに自国に帰ってしまう。

永遠と進まない斎藤家討伐についに前田利家は家康に接触する。


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