IS学園の言霊少女(本編終了・外伝スタート)   作:ひきがやもとまち

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別に新作候補とかではなくて、ただ単に以前アイデアを頂きましたとき思いついていた話を形にしてみたくなっただけで書いたお話です。適当に読み飛ばしてください。

あと、自分なりに女尊男卑社会の成り立ちを考えてみましたので話の後の下の方に記載しておきます。バカ話の種にでも使っていただけたなら幸いです。


IS学園の言霊少女姉妹

 ーーあなたは、夜空の星を取ろうと手を伸ばした経験はありますか?

 

 私はあります。おそらくはきっと誰しもが一度は経験したことのある、子供時代のよい思い出ではないでしょうか?

 

 ーーでは、伸ばしていた手が星に届かず「自分の手は星に届くほど長くはないのだ」という事実に気づき、うつむきがちに地面を見つめながら通学路を歩んだ経験は?

 

 これは私には、ちょっと分かり難くて答えづらい疑問です。なぜなら私には、そう思った経験がないからです。誰しも知らないことまでは答えようがありません。だからこそ私には、どうお答えしたらいいのか分からない。

 

 

 

 ーーーーーきっと、それこそが私を歪めた原因の最たるモノ。姉から言われた言葉を実行し続けてきた理由の根元にあるナニカ。

 

 凡才の私が、「天才児、神童」として取り扱われ続けた姉に対して隔意を抱かず率直な気持ちで賞賛し続け憧れ続けられてきた歪んだ誠意の源。

 

 だから。私は。今の自分が大嫌いで、今の姉を尊敬してて大好き過ぎてる変な女の子になってしまったんだと、今になってようやく理解することが出来ました。

 

 ーーすべてが手遅れになった今になって、ようやく・・・・・・・・・。

 

 

 

 

「あの人たちはダメね」

 

 ある日のこと、部屋に戻ってきた姉が私に対してボヤくように愚痴をこぼしました。

 そんな彼女に私は、いつもの通りにいつもの如く平坦な口調とぼんやりとした無表情を変えようとしないまま確認のために問いかけました。

 

「・・・また何かあったのですか? お父さんたちと・・・」

「何もないわ。なにも起きてないし、起こそうともしない。

 それが“あの人たち”が持っている最大にして最悪の欠点だというのに、認めようとせず気づくことさえ拒もうとする。だから変われない今を嘆くことしかできないまま・・・。

 あの人たちはまるで、今の世界そのものの縮図を表してるみたいね」

 

 姉はいつ頃からか両親のことを「お父さん」「お母さん」と呼ばなくなったと聞いています。私が物心つく前での出来事だったため記憶に残ってはいませんがね。

 少なくとも私がもつ最も古い記憶のなかでも彼女は父と母のことを「あの人たち」と呼んでいました。ーーー心の底から侮蔑しきって見下している感情を隠すことなく傲岸不遜な態度で堂々と。

 

 ふつうの家庭の普通の子供だったら決して許されないであろう親への態度でしたが、この家に限り彼女だけには許されて当然の特権として認められている行いでもあったのです。

 

 それは姉が特別すぎたから。そして両親たちが普通過ぎたからという、圧倒的な力関係により強引に成立されている歪な家族関係に由来するもの。

 

 父は『白騎士事件』が起きる前の男尊女卑時代に、一般中流家庭の次男坊として生を受けた人です。

 臆病なくせに夢見がちで、自分より弱い立場にいる相手にしか強気な態度で臨めない。にも関わらずプライドだけは高く、人に見下されている今の自分の境遇を受け入れられなくて先見性も持ってないくせに美味しい商談話があると飛びつきたがるから借金ばかりを増やしていく禄でもない中年男性。

 

 母の方はどうかと言えば、こちらも似たり寄ったりの同水準。

 幼い頃に両親が他界したことで親戚中をたらい回しにされたあげく、猛勉強して入学できた奨学金付きでの学校生活をたまたま合コン先で知り合った父との出会いを機に退学してしまったダメな人。

 自らの抱く劣等感を人から愛されることで補おうとしておきながら、本質的には人から与えられる愛情を信じきれなくて下心ありの打算に基づいた愛でなければ安心して信じることの出来ない心が弱い人。

 他者依存の傾向が強く、誰かに虐げられながらでも守ってもらえている境遇に永住したいと希求するコンプレックスの持ち主。

 

 

 

 そんな二人にとって8才でIQ240と言う記録を叩き出した姉はまさに『金の卵を生む鶏』で、一家の家計を支える一本だけの大黒柱そのものでもあったのです。

 誰しも社会生活する中では、お金なしで生きてはいけません。

 借金総額は膨大なれど収入は女尊男卑政治家への合法献金仲介業者でしかないから乏しい父と、義務教育分までしか学校に通ってないから世間知らずでボロ箱入り育ちの母では借金を返済しつつ一般家庭と同じ生活水準を送るのは不可能であり、『万能の天才』である姉が色々なところから色々なことして稼いでくる大金あってこその普通水準な暮らしが送れてる。

 

 その事実を盾にして、姉は幼い頃から両親に対しては徹底的に高圧的で傲岸不遜な物言いと態度で接し続けてきており、両親は保身のためにやせ我慢し続け、当時幼稚園生だった私を虐待することで憂さを晴らし、事実を知った姉によってお財布の紐を支配されていると言うのが、私の愛する麗しい家族の肖像画。

 

 

 そんな彼らは姉にとって「同じ人間であること自体が汚らわしく感じられる存在」であり、「自らを豚に貶めた家畜のような人間もどき」とさえ言い切って見せたことがあるほど憎悪と嫌悪の対象でしかあり得なかったようでした。

 

 

「勝てない相手を前にしたとき悔しく思う気持ちがあるならば、どんな形でもいい。挑みかかってくるのが人として正しい在り方なのに、あの人たちは『どうせ勝てる見込みはないのだから』と負ける前から逃げ出す自分を正当化することしかしようとしない。

 支配されている自分たちの境遇を哀れみこそすれ、抜け出すための努力はしたくないからしたがらない。

 出来ることしかしない、したくない自分たちの怠惰を『自分なりに出来ることを一生懸命に』なんて一般論でくるんで誤魔化せたと思い込みたがってる」

 

「いい? これらの行為はね、支配されることを受け入れた人たちのやること『ではない』の。

 支配されながら守ってもらいながら、支配されている自分たちの低い身分に対してだけ文句を言いたい。

 支配者に叱られながら心の中で舌を出し、聞こえないところで悪口を言い合い、悪の独裁者を正義の味方が倒しに来てくれるのを待ちわびながら『まだか、まだ来ないのか!』と助けが来るのが遅い救世主にさえ悪口を言いたいから居座り続けている特権階級にいる人間たちのみが行う最低最悪の行為なのよ」

 

「支配者に対して権利を主張するのは非常に尊い行いなのに、彼らはそれを自分たちを正当化するためだけに用いようとする。

 人は、他人を否定し侮辱することで自身のちっぽけな自尊心を守り抜いたのだと誤解することができる。

 ただ一時の安心だけを求めて赤の他人を傷つける行為を正当化する自分たちを『弱い人間だから』と言い訳することで美談っぽく飾ることが出来てしまう。

 ――でも、そんなの今の世界とまったく同じ。卑しい在り方しか出来ていない・・・。

 人の可能性はこの程度の物でしかなかったと言うの・・・?

 私たち、たまたま才能を持って生まれただけでしかない天才たちによって支配され、目下の者たちばかりを見下して上に位置する人たちを見上げようとはしない生活がそんなに良い物なの・・・?

 私には・・・IQ240の超天才児である私の持つ頭脳では、彼らの気持ちを理解することはどうしても出来ない不可能事なのに・・・」

 

 

 ーー小学生にあがったばかりの妹に対して、一学年上の姉が言うべき内容ではなかったのかもしれませんが、当時の私には不思議と反発する心を抱くことなく姉の言葉を聞き入れられ、姉は姉で女尊男卑に移行してからの世界に対する愚痴を私相手に言い続ける毎日を送り続けていました。

 今になって思い返してみると、とてつもなく頭のおかしい小学生姉妹だったことがわかり冷や汗が吹き出しそうな心地です。

 

 

 やがて女尊男卑による支配が制度化され、女性であれば誰だろうと優先的に援助が受けられる世の中になると、姉でも私でもなく母が父の憂さ晴らし対象として目の敵にされるようになりました。

 母は父から毎日のように暴力を振るわれているにも関わらず、「自分が我慢すれば家族みんなが仲良く幸せに暮らせるのならそれでいい」と笑顔を浮かべて私たち姉妹の頭を撫で、姉はそんな母に対して「処置なし」とばかりに見切りをつけて関わろうとしなくなり、私もまた彼女にとっての「拠り所」以上の役割を果たしたいとは思わなくなり、夫婦喧嘩もしくはドメスティック・バイオレンスな光景を姉妹そろって見物しながらお菓子をパクつく日々がしばらくの間続きます。今思うと、狂ってましたよね当時の私たちって。

 

 

「どんなに困難な状況にあっても、周りにいる全ての人間たちが勝負を諦めて絶望し敗北を受け入れていたとしても、貴女だけは『それでも可能性は0じゃない』と思考して立ち上がり、行動できる人間になりなさい」

 

 それが当時、姉が私にかけてくれたなかで一番多い言葉でした。

 

「貴女が私と関わりの少ない赤の他人だったなら、“そうなれるといいわね”程度に抑えたかもしれない。でも、私は言うわ。貴女が私の妹であり、私が貴女の姉である限り声を大にして恥ずかしげもなく断言するわ。

 “絶対にそう言える人間になりなさい”。なれないのなら、なれるように努力しなさい。

 努力することが出来るのは、凡人が持ちうる天才を越えられるかもしれない才能であり、可能性の原石よ」

 

「天才がやれば出来てしまうのは天才だから当たり前でしかない事だけど、凡人が出来なかったことを努力して出来るようになるのは才能を与えられてただけの天才よりもスゴいことなのよ?

 貴女にはそれが出来るかもしれない才能を持って生まれてきた『努力家としての天才』なんだから、「どうせ出来っこないから」と失敗するのを怖がって、負けてプライドが傷つくのをイヤがって不可能事に挑もうとしないなんて才能と可能性がもったいなさ過ぎて資源を浪費する愚考だわ。

 失敗して失敗して失敗しまくって、失敗する度に失敗から学んだことを次へと生かす努力をするよう努力しなさい」

 

「負けず嫌いなだけで頭の悪いバカな子供は上から目線で強く言われると反発することしかしない。プライドに支配されてるバカな大人たちは見下している子供たちに反発されると力で押さえつける以外の対処法を思いつくことが出来ない。

 そんなバカたちの相手なんかしなくていいわ。その代わりに、彼らをよく見て考えなさい。彼等と自分とを比較して視較べる努力をしなさい」

 

「あの人は自分よりもこの点で優れている。だけどこの分野では自分の方が上だ。この戦場で有利なのはあの人のあの能力で、自分が持つ能力ではどう足掻いても勝つことが出来ない。そういう時には、どうすればいいのだろう?

 あの人に勝つには何が必要で、それを手にするには何をしてどうすればいい? 

 自分には何が出来て何が出来ないのかを、果たしてそれは自分にとって必要な力なのか否かを、比べる事で考え出す資料にするの。

 最低な人間にならないためには、最低と見下している人たちと自分自身の長所と短所を較べてみるのが一番効率的だから。

 考えるという行為はね、弱い者が強い敵に勝ちたい時にこそ必要になるものなのよ」

 

「考えなくても勝てる絶対的強者は考える必要がないから考えなくなっていく。

 だから負ける。いつか必ず誰かに負けて滅び去る。

 『絶対に勝てるから』『どうせ負けるに決まっているから』と、考えることを辞めた人間は何もしないためだけに頭を使うようになる。楽するために頑張ってる人を貶すことだけを考えるようになる。

 そんなのは豚よ。人間じゃないわ。自分から人間を辞めて豚になりたがった連中を人と同等に扱うのは、人として生きるために努力している人たちに対する最大限の侮辱と心得なさい」

 

「力を手にしたところで使わなくちゃいけない法律なんてないし、使われるべき時に使われることなくお倉入りした名刀なんて、ナマクラよりもナマクラな鉄屑も同然。

 刀も銃も所詮は武器でしかない。武器は道具よ。持ち主次第で名刀がナマクラにもなれば、その逆もあり得る。

 武器の性能上限は作り手が決めることだけど、武器をどう扱うかは持ち主の工夫と努力次第で決まるもの。大切なのはソフトであってハードじゃない。

 ハードの性能に振り回されることなく、常に自分の判断は正しい基準に則っているものかどうか悩みながら迷いながら考えながら生きて生きなさい。

 それが結果として貴女を勝利に近づけてくれると、私は信じて生きていくから―――」

 

 

 

 

 ーーそんな話ばかりを交わし合うトチ狂った姉妹の時が終わりを迎えてから早三年。

 今日から私も高校生です。頑張らなくてはいけません。

 

「それでは、お父さん。お母さん。行ってきますね?」

 

 返事がないのは承知の上で時候の挨拶を告げて家を出ます。今日から三年間を学生寮で過ごすことになる私には、当分のあいだ帰省予定はないので気楽なものです。

 

 黙りこくるか怒鳴って殴りつけてるかしか夫婦間の接触がなくなった彼女たちの仲が三年の間に良くなっててくれるといいですね~。

 

 

「え~、本校の目的は世界の秩序維持のため有能な人材を輩出し続けることにありまして云々・・・・・・」

 

 長いだけで中身空っぽの演説もどきをしに来てくれた政府要人の女尊男卑主義派の議員さんが、入学式会場全体に催眠音波を放ち続けて数十分後、

 

「ーーはい、○○先生ありがとうございました。続いて学園設立時にご支援いただいた○○党の××先生から新入生の皆さんにたいしての贈る言葉です」

 

「え~、私が本校を支援した目的は・・・・・・」

 

 以下同文。ようやく終わって次へとつなげるコンボが後何回続くのか数えてみるのも一興かもしれませんね。

 

 

 退屈きわまる式が終わり、「1年1組」と記された私が配属されたらしいクラス番号を片手に持ち、私は二年生のクラスが並べられている一角までやってきて、それらしい人物に心当たりがないか知ってそうな人を探し歩いていたところーーーー。

 

 

 

「いや~、さっすがセルニアちゃんは仕事が速いし的確ねー。虚ちゃんも感心しきりだったし、やっぱり世間から『天災の卵』なんて言われている子は格が違うのね~」

「あら、ありがと。刀奈から誉めてもらえるなんて光栄だわ。

 もっとも、私はあなたと違って誉められても罵倒以外に返す物は持たない主義だけど」

「・・・いや、そこはせめて何も返さないでほしいんだけど・・・。あと、人目がある場所で刀奈言うなし。表向きの楯無の名前で呼んでほしいんだけどね、全くもう・・・」

 

 曲がり角を曲がった先にある廊下から、聞き覚えのある探し相手の声が聞こえてきたので爪先を向けます。

 その間にも二人(?)の会話は続けられているらしく、女の子コンビらしい華やかな声音でのやりとりが継続されておりました。

 

「天才に生まれついた人間がヘタに謙遜してみせると却ってイラつくだけだろうから、天才らしく傲岸不遜にして見せてるだけよ。

 だいたい、天才なんて上限値とスタート地点が神様の都合で高く設定されてただけの存在であって、天才か凡才かなんて運の善し悪しだけで生まれる前から決められてしまってるものでしかない。人格も努力量も関係なしに神様の気紛れで与えらてもらえる恩恵が、そんなに羨ましいものなのかしら?

 努力で人格者になった人間性の持ち主の方が遙かに優れていると、私は常々思っているのだけれど・・・」

「・・・いやそれは、セルニアちゃんが天才だからこそ言える台詞だと思うんだけど・・・・・・」

「そうかしら? ねぇ、刀奈ーーいえ、楯無。あなた本当にそう思ってるの?」

 

 

 

「他人が作ったISを他人の手から与えてもらい、動かせる才能は天から恵んでもらっただけでしかない乞食みたいな生き方してる女たちが『動かす才能を与えてもらえなかったから』を理由に男性たちを劣っている生き物と見下している、強いだけのIS操縦者たちが人格者だと、あなたは本当にそう思えるの?

 自分の作った発明品で世界がこんなになってるのに、『世の中の連中はバカばっかりだ』とか野次馬根性でのたまってる篠ノ之束が人間的に優れているだなんて、あなたは本気でそう信じることで出来るのかしら?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「結局ね、刀奈。才能と能力に人格は関係しないのよ。あるとしたらそれは優れている場合じゃなくて、劣っている場合に限ってだけ。

 劣等感や敗北感を強敵に立ち向かう勇気に変えることが出来なくて、自分より弱い者にぶつけることで安心したいだけの小物たちだけが才能と能力に人格を左右されてしまう。

 私は、そんな下種どもから妹を守るのに力と権力が必要だったからIS学園への先行入学案を受け入れた。モルモットになることで強い力を与えてもらえるなら利用すればいいと思ったからよ。

 私にとってISは最初から妹を守るための道具でしかなかったの。こんなシスコンで妹バカ姉な私のことを、あなた本当に『天災の卵だから』って理由だけでスゴい人格者だと誉め称えることが可能なのかしら?」

「いやまぁ・・・・・・無理よね確かにそれは。ーー微妙に心と耳が痛いのが辛いし・・・・・・」

「????」

 

 

 ・・・・・・えっと・・・。これって話しかけてもいい場面なの? ダメな場面なの? どっちーーーーって、ヤベ。向こうの方が先に気づいて駆け寄ってきちゃいましたよ。

 

 

 

「セレニア! やっと来てくれたのね! お姉ちゃん嬉しいわ!

 好き好き大好き愛してる! 月がとっても綺麗ですね! アイラブユー!

 妹のことが嫌いな姉など存在しない! ギャルゲーはもっと実妹エンドを増やすべし!」

「あは、あはははー・・・・・・」

 

 久しぶりに姉からの過剰すぎるスキンシップを喰らわされ、適当な笑い声を上げてみることしかできない無能妹な私。

 

 天才でアルビノな姉と、凡才で銀髪碧眼妹の私とがIS学園にやってきた日より止まっていた世界は周りだし、悪意と言葉によって人との関係が切り離されたり繋がれたりするようになるのですが、それはまた別の物語と言うことでーーーーーーー。

 

 

キャラ設定:

異住セルニア:

 二つに別たれて転生してきた場合のセレニアの片割れ。姉の方。アルビノ。

 セレニアが持つ攻撃的な部分全てを引き受けている存在。合法ロリ。

 攻撃的であるが故に才能面でも突出していて、子供ながらに束と同等の能力を有している。

 ただし「天才性を見せすぎるとバケモノ呼ばわりされるだけだから」と手加減しているため世間からは「天災の卵」だと思われている。

 民主主義右翼とでも言うべき過激な論調が特徴の少女。

 ラインハルト的な考え方をする、ヤン・ウェンリー思想の持ち主。妹以外の相手には口が非常に悪い。

 

 身分は日本代表補欠。

 実力では楯無と互角の強さを持ちながら、アルビノ故の肉体的脆弱さが原因により体力が続かず戦い終えられる保証がない。それ故の補欠扱い。

 ISが持つ操縦者保護機能は、外的要因による身体以上に効果はあっても生まれながらの遺伝的要因からくる体力不足まではフォローしていない。

 

 

 

異住セレニア:

 姉と同じく二つに別たれたセレニアの魂の片割れ。妹の方。

 見た目はこっちが引き継いでるので名前も同じ。銀髪碧眼でロリ巨乳。

 二つに分かれてるので魂強度が低下し、転生者としての記憶は失われている。

 穏やかな部分を引き継いでるため悪意による攻撃はあまりしたがらない。

 

 身分は普通にIS学園1年1組の新入生。

 適性値は低いし能力も然してないが、学力は高い。

 のほほんさんと同じで、実技ではなく筆記の方で受かったタイプ。

 戦いよりもコミュニケーション面を担当する。

 

 

 

 

 

 

ダークな《インフィニット・ストラトス》世界での女尊男卑オリジナル設定

 

 

 IS。正式名称『インフィニット・ストラトス』。

 『白騎士事件』と呼称される一連の事件とともに登場した機械の鎧。

 

 たった一機でもあれば他国の軍事力を凌駕できる新兵器の登場により、世界の有り様は一変する。

 

 女性しか動かすことのできない世界最高戦力の登場によって『女尊男卑』が台頭し、男尊女卑を零落させられた。

 優れたIS操縦者の保有数が即その国がもつ軍事力という認識が生まれたことにより、各国は国防の必要性から女性優遇制度を次々と試行していく。

 

 その反面、女尊男卑政党は自分たちに媚びを売ってくる男たちを優遇し、例外的に特権を与えて大半の男性たちから反感を買うことになるのだが、それこそ彼女たちの仕掛けた罠であり新秩序構築のためには必要不可欠と考えたプロセスだった。

 

 ーー大部分の男たちが落ちぶれてゆく傍らで、権力に媚びを売って栄達してゆく屑どもが我が世の春を謳歌する光景を見て男たちがどう思うのか・・・。女性権力者たちにとっては比を見るより明らかな結末は、やがて現実となる。

 

 賄賂も癒着も最終的な断罪という予定調和に組み込んでしまえるなら、権力機構にとっては都合のいい捨て駒としての道具にすぎない。

 心はともかく、人間の持つ本能的な欲求は格差を付けることによって容易に操作することが可能になるからだ。

 調整され、コントロールされ、悪意と敵意と正義と悪とに夢を抱く世間のバカども(お子さまたち)の心理に訴えかけやすい勧善懲悪の思想は役に立った。

 

『裁かれて当然の悪人たちが逮捕される報道』がなされるたび世間が騒ぎ立てる一方で、『犯人たちの数と特番の数が反比例している』ことに疑問を抱いた少数の者たちは圧倒的な数の差の前に口をつぐむのを余儀なくされる。

 

 誰も自分を犠牲の羊に捧げてまで世を変えたいとは思わない。それが無駄死にで終わることが確定している無謀な挑戦であれば尚更だ。

 

 

 ISを基点として世界の新秩序構築は順調に進められてゆく。現行兵器すべてを凌駕する最強兵器を保有する国同士では従来の戦争は成り立たなくなり、『ISを送られたから保有している21の国と地域で形成されたIS世界』で戦争は起きなくなった。

 

 ーーただし、ISによって作られた新世界秩序の中に、ISが送られなかった世界193カ国の内172の国と地域は含まれていない。

 

 

 戦争目的による軍事利用が禁止されているISによって正式に殺された者たちが一人も存在しないのは事実である。

 だが、『社会の絶対多数の安寧と福祉を守り抜くため、一握りの危険分子であるテロリストを排除する必要性』から、ISが実戦投入された事例は存在していた。

 テロリスト相手に国際法に近い存在であるIS条約が適用されるべき正当な理由はない。

 

 これらに対する非難の声はむろん数多く存在していたが、白騎士事件が証明した『ISを倒せるのはISだけ』という一般論を盾に取った「敵組織もISを保有していたため止むを得ない措置だった」と強弁する政府の公式発表を否定しきるのは不可能だった。

 

 無論、その「絶対多数」のなかにはテロリストとして処分されたIS条約非加盟国住人たちの運命に戦慄して重苦しい沈黙とともに不満の声を飲み込んだIS社会の被害者たちが含まれているはずがない。

 男女比で差はあろうとも、ISによって損害を被らされた者たちは性差別されることなく平等に沈黙を守らされたのだ。 

 

 

 ーーこうして世界はゆるやかに、穏やかに『大した事件もなく』有り様を変えていった。

 

 女尊男卑政党は、女性の社会的地位向上を求める者たちを鳩派右翼派を問うことなく受け入れることで膨張し、数の上でも男性政党を上回る一大勢力となり政権交代する現象が世界各国で連鎖的に続発し、合法的に社会は変革を促されることを強要され、変革を受け入れることなく反抗する『世界最高戦力』を保有しない弱者たちは無視された。

 

 力の差がありすぎる不平等な世界では、歴史が繰り返されることはない。

 一方的に殴れる武器を持っている者たちと、戦う武器を与えられなかったが故に殴られることしかできない者たちとの間では喧嘩すら成立しようがない。ただ一方的に殴られるか殺されるかしか戦う先の未来は存在していないのだ。

 

 

 斯くて世界は『最強兵器』によって歪められ、自分たちが知らない誰かたちの犠牲によって守られる平和と繁栄とを謳歌する歪な社会を形成させてゆく。

 

 犠牲を伴わない繁栄はなく、誰かが勝てば誰かは負ける。

 平和も繁栄も栄光も勝利も、無から有を生み出す魔法ではない。

 今ある限られた物から分配される量に、人為的な偏りを生じさせた結果として得られる物に過ぎないのである。

 

 

 

“ISが登場したことで世の中は一変し、女は偉くて男は奴隷で女に媚びを売って楽するのが今の世の男たち。性差別はあるが、概ね世界は平和で豊かな時代を送れている”

 

 

 ーーそんな幻想を生み出し、人々に信じ込ませること。それがIS世界における政治の在り方。

 

 この世界は、そのようにして動かされているーーーーーーーー。




謝罪解説。
ご指摘いただいて気が付いたのですが、内容的に『ギャグ展開ルート』ではなく『ノリで書いた番外編』の括りに入れるべき作品を一番下に置くために一時の投稿先として斯様な措置を取った事をご説明し忘れておりました。申し訳ございません。

しばらくしたら『ノリで書いた番外編』に移動させて頂きます。
無様を晒してばかりで本当に申し訳ない限りです。

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