IS学園の言霊少女(本編終了・外伝スタート)   作:ひきがやもとまち

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ようやく新作になりそうだと確信できる言霊作品が出来ました!先行投稿させて頂きますね!観てもらえるだけでも幸せです!

ほぼ完全なオリジナルです。言霊前半の雰囲気を再現してます。
時間軸は臨海学校終了直後で、夏休みに入る前。原作3巻と4巻の間の幕間回です。

注:途中にある一夏VS鈴の件でセリフの一部を変更させて頂きました。
注:水銀ニートと箒の遣り取りにも一部+αしておきました。

追加要素:タイトルの見分けが付き辛かったので『』を付け足しました。


IS学園『寮』の言霊少女

 それは夏休みを前にした一日。

 臨海学校から帰ってきてから最初の日曜日。

 

 

 真面目な顔したデュノアさんによる、この一言から始まりました。

 

 

 

「愛って・・・なんだと思う?」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

 ・・・この場合、常識的に考えて正しい対応は、

 

「ためらわないこと、振り向かないことです」

 

 ーーと、お答えするのが正道なのだと思います。

 

 が、今この場に集っている面々は正道とか常識とかの世間一般的概念とは懸け離れすぎてる存在ですので、恥ずかしげもなく堂々と応えられます。

 ほぼ同時に口を開いて、内容は揃えずバラバラに。

 

 

「俺はセレニアのデカパイを見て運命を感じた・・・。

 この気持ち――まさしく愛だっ!!」

 

「百合同人こそ至高の愛! リアル恋愛などクソゲーですわ!!」

 

「愛Love全裸! 世界は神の愛と全裸に満ちている!!」

 

「諸君、私は戦争を・・・・・・心の底から愛している!!」

 

 

 

 ・・・・・・だそうです。

 

 完璧すぎるほどに、問いかける内容と聴く相手とがミスキャスト過ぎてましたね・・・逆完全犯罪ですよ、これは本当に・・・。

 

「すいません、デュノアさん。状況が混沌化して意味不明になってきちゃったので、1から順を追って説明しながら話していただいても構いませんでしょうかね?」

「・・・うん、そうだね・・・。僕の方こそ気を使わせちゃってゴメンね、セレニア?

 このバカな面子を相手に単刀直入すぎる聞き方をした、僕の方がバカだったんだよ・・・」

 

 おおぅ、穏和なデュノアさんですら『バカ』と評されざるを得ない列強各国の代表候補生な皆さん。・・・ハイスピード学園バトル『ラブコメ』は本当にどこ行ったん・・・。

 

 

 ーーあ。私も説明し忘れていましたけど、ボーデヴィッヒさんは私の腕の中でゴロゴロしてます。比喩ではありません。

 膝の上に乗って頭を撫で撫でされながら、猫みたいに目を細めてゴロゴロ鳴いているのです。

 ですので先ほどの一斉返事には参加していませんでした。ラブリー♪

 

 

「実は昨日、学校に行ってたときに掲示板でこんな物を見つけたんだけど・・・」

 

 そう言って差し出してきたのは、一枚のポスター。

 書かれているのはカラフルでメルヘンチックな絵面とフォントの文字。

 内容はーー

 

 

『『『全日本恋愛小説コンクール少女の部?』』』

 

「『ビギナーでも大歓迎。うまい下手は関係なし。優勝賞金100万円』ですの?」

 

 

 如何にもデュノアさんらしい内容のポスターを読み上げる皆さん(英国貴族令嬢だけは除く)。

 そして、会社経営者らしくシビアなお金の話を重視しているらしいオルコットさん。

 

 ・・・ヒロインなのに俗っぽいです・・・。ラブコメは今、何処に・・・。

 

 

「うん、そうなんだ。佳作でも10万円もらえるらしいし、やってみようかなって。

 ・・・僕の実家、倒産しちゃったから帰る家がなくて・・・今から貯蓄し始めておかないとなんだか不安で・・・10万円が今だとスゴく大きく感じられてるんだよ・・・」

 

『あ、ああーーー・・・・・・』

 

 俗っぽくなった代わりにシビアさが増しすぎました! 大増量です! 当社比ではなく、誰がどう見ても深刻なお金の問題です! お願いだから帰ってきてくださいラブコメさん! ラブコメ・カームバーック!

 

「今までは考えてる余裕がなかったことなんだけど、ISが兵器じゃないなら僕たちIS操縦者ってスポーツ選手って枠組みに入る訳なんでしょ?

 ・・・漫画家さんと同じくらいに保証がなくて不安定な仕事だし、夢だけでやってくのはちょっと・・・ね」

「おう! 漫画家は連載会議を通らない限りは無職でニートだぜ!

 連載とっても売れない漫画家が生きてくためには夢を食って生きてくバクマンになるしか手はないぜ!」

 

 織斑さん、えばれる事じゃないですよそれ・・・。あと、亜城木夢叶に謝ってください、好きなので。

 

 ちなみにニートは本来の意味だと三十代半ばぐらいまでの就職してない、職業訓練校などにも通っていない若者のみを指して使う言葉です。

 そのため、サイコーの叔父さんはニートではなく無職の冴えないオッサンです。

 

 

「スポーツ選手なんて一生続けられる仕事じゃないし、見た目も重要な僕たちなんかは年齢だって人気を維持するためには重要な要素だ。流行り廃り立って無視できない。

 おまけに、IS総数に対して操縦者数が供給過剰すぎてるから、代表になれたとしても故障した時なんかには補償してもらえるかどうか不安で不安で・・・国益最優先の国家に飼われてる職業な分だけ何を提示されても空手形で終わらせられる可能性は常にある・・・正直、戻れる実家がなくなっちゃった今になって色々不安になってきてるんだよ・・・。

 だから、小説書いてお小遣い稼ぎできたら貯金もできて嬉しいのになーって、そんな都合のいい夢を見てみたくなっちゃったりして・・・」

 

 ・・・・・・お、重い・・・。これは年頃の私なんかにしても他人事じゃないので重すぎます・・・。心にズシリと来そうですぅ~・・・(ToT)

 

「アルバイトとかは、しちゃダメなのですか? 皆さん、見目麗しい容姿をもった若い女の子さんたちな訳ですから、需要は十分すぎるのでは?」

 

 国立IS学園生徒の肩書き持ってれば、いけないバイトの勧誘員さんも二の足を踏みそうですしね。仮に強硬手段に出てこられたとしても、片手で一個師団を殲滅できちゃいそうな化け物女子が二名ほど紛れ込んでますからたぶん大丈夫だとも思いますし。

(ちなみに内一人はデュノアさん自身だったりします)

 

 私が日本の女子高生的に見た場合には当然の質問をしてみると、デュノアさんは困ったような表情で微妙な笑みを浮かべながら頭を振り、

 

「さすがに一国の国防を担う兵器の操縦者が、他国人の民間人に1時間幾らで雇われるのはちょっとねー。

 問題扱いされそうだし、何より僕は少し前まで他国から来ているスパイだったわけだから、そうそう簡単に職業選択の自由なんか与えてもらえない。国に飼われて犬になるって、そう言うものでしょ?」

 

 日本人ではない外国の女子高生さん的に見た世界観はシビアでした。

 

 重い・・・重すぎます・・・誰か・・・たす・・・テ、ケ・・・・・・。

 

『ふ~ん? 大変そうだな(ですわね/そうねー/なようだね)頑張って』

 

 

 ・・・悲壮な表情で吐かれた友人の陥ってる惨状を聞かされても、狼狽えるどころか小揺るぎもしてくれない『事を成せねば死あるのみ』で生きてる人生背水の陣ロードなキチガイ高校生さんたち四人は平然とした態度と表情で応えられてました。

 同じ背水の陣なら、調虎離山の方を取り上げて頂きたかったです。

 

 

「にゃん♪ にゃん♪」

「よーしよし、ボーデヴィッヒさんには当分かかわり合いにならないことなので気にせず遊んでいましょーねー?」

「んにゃう♪ んにゃう♪」

 

 うん、最近では私もずいぶんとダメ人間化が進んだものですね。朱に交われば赤くなるのは道理なのです。(言い訳です)

 

 

「それで参考までに、僕だけじゃなくて皆にも恋愛経験とかあったら聞かせてほしいなって思ったんだけど・・・このメンバーで恋バナは難易度高すぎだったね。ごめん、今回のことは綺麗さっぱりあきらめるよ――」

 

 

 

 

 

 

「ふっふっふっふ・・・。我が愛しの女神よ。大本命を忘れてはおりませんかな?

 この世界でーーいや、この宇宙が始まる前より生きとし生ける全ての者たちの中で私ほど恋愛経験豊富すぎる者など誰一人として生まれ出たことなど在りはしないと言うのに」

 

 

 ーーああ・・・この人出てきちゃったんだ・・・黙ったまま終わってくれても良かったのに・・・。

 

 まぁ、出てきちゃったものは仕方がありません。どこの誰かは未だによく分かりませんけど、少佐殿の二番目の人格さんにもご意見を伺うだけ伺ってみましょうか。

 

「はぁ・・・では少佐殿(?)。あなたの持つ恋愛観についてご意見をーー」

 

 

 

「あっはっはっは。任せてくれたまえよ、マルグリッド。

 伊達に永く生きてから死んで蘇り、繰り返される永劫回帰の遙かな果てで我が愛しの女神に愛の言葉をささやく日に備え続けていたわけではないことを証明して差し上げましょう・・・。

 それでは皆様、ご静聴を。これが私の、女神へ捧げる愛の言葉――」

 

「ああ・・・我が愛しのマルグリッド・・・。あなたは何故そうも可憐で美しいのか・・・。

 砂地に残った足跡も、微かに香る残り香も、体温の残滓さえ感じられる『使用済みパンティー』までもが、私には至上至高の『性』遺物・・・。

 無垢に輝く深海の宝石よ、その『後ろ尻』を眺めるだけで、私は歓喜に包まれながら崩れ落ちては打ち震えるのだ・・・。

 故にいつまでも見守りたい・・・。そして眺め続けたい・・・。それこそ那由多に至ろうと・・・私はあなたを愛しているから・・・。

 今この時も、この身はあなたの愛の奴隷・・・どうかその抱擁で我が生涯に幕を下ろしてくれないか、マルグリッドよ。

 ああ・・・スゥーーー、ハァーーー、スゥーーーー、ハァーーーーー・・・・・・。

 多元宇宙に留めておいた生パンティの残り香が・・・・・・ああぁぁぁーーーーー」

 

 

 

 

 すぱこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっん!!!!!!!!

 

 

 

 

「宇宙の彼方でタコ星人にでも抱きしめられてこい! この変態キモヲタストーカー眼鏡めがぁぁぁぁぁっ!!」

 

 あ、篠ノ之さんだ。いつもながら見事な木刀フルスイングですね。

 完全に本来の使い方は見失っちゃってますけども。

 

 

「はぁ、はぁ・・・。まったく! お前らという奴は本当にまったく、どうしようもない連中ばかりだな全く本当にもう!

 口を開けば、胸だの百合だの全裸だの戦争がしたいだのしか言い出さないキチガイどもが、珍しく愛だの恋だの語り出したと言うから来てみれば案の定だったではないか! 少しは真面目にやれないのか、お前たち最強どもは!?

 これでは、力を手に入れる度に流されて失敗しては落ち込んできた私が惨めになるばかりではないかっ!(>o<)」

 

 ーーって、篠ノ之さん! あなた盛大に八つ当たりしにきただけですか!? あなたこそ真面目にやりなさいよ自分と向き合う精神修行を!

 八つ当たりに剣術使ってる時点で、力の使い方最悪すぎてますからね!?

 

 

「ーーそこを言うなら君もだろう? 篠ノ之箒よ。基本、凛々しい侍風の泰然とした態度を装いながらも、いざ幼馴染み男子が絡む話題になると、酷く痛痛しすぎるほどハッチャけるではないか。

 それが証拠に時間をさかのぼって見てきた君がやらかしていた諸々については、この私からしてドン引きだ。

 変態なのは別に構わんが、常識度が足りん。病んでいる行為が多いあたり、危険な臭いがプンプンする。ここに元ゲシュタポ長官閣下がいないのが残念でならないくらいだよ」

「なっ!? 更識簪! もう復活してきていたか、このボウフラゾンビめっ!」

「まったく・・・よりにもよって実の姉たち二人が写っている写真を折り曲げて意中の男とツーショット写真を捏造とはな。呆れて物も言えん。

 この、家族の絆よりも男を優先する悪女の典型お色気巨乳キャラめが。

 その上、いい歳して幼い時分に出会った少年への想いを忘れられずに恋煩い拗らせてきた正太郎コンプレックスの変態女子の分際で人の恋愛観に口を差し挟むか。貴様こそ出るところへ引っ張り出されて、精神鑑定でも受けさせられて来るがいい。

 何年間も会っていない幼友達の顔を子供時代の記憶から妄想で補完できるあたりヤバすぎるのだよ、貴様たち今時の犯罪者系変態女子と言う生き物は」

 

「へ、変態女子!? 久しぶりに再会した幼馴染みが初恋相手の男の子への想いを捨てずに持ち続けてきた女子力の超パワーを、貴様は変態趣味と同じだとでも言いたいのか!? 恥を知れ!」

 

 

『デッカい胸は良いものだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!』

 

 

「バカ者共、今度はなんだ!?」

「・・・本当にね・・・。今度はいったい何なんでしょうかね、いやマジで・・・・・・」

 

 何本もの匙をまとめて全部放り投げ、ボーデヴィッヒさんと遊ぶことに逃避している私には関わり合いの無いことでもありますけどね。

 

 ちなみに今やってる遊びは私が持ってる猫じゃらしを振って、ボーデヴィッヒさんが飛びついて捕まえようとする完全に猫相手にするときの遊び方。

 

 ・・・よく知らないですけど、これって虐待に該当しないんでしょうかね・・・? 本人が望んだからと何でもしてあげるのは教育上よくないと聞きますし、後で図書室で調べてみると致しましょう。

 児童育児に関する書籍はあ・・・ったら問題ありすぎますね。図書館の方を頼ることに致します。

 

 IS学園は国立の元女子校で、約15歳から18歳までの少女たちのみを対象とした教育機関であり続け、つい最近世界で初めてISを動かした男性IS操縦者さんが入学された以外で男子生徒は在籍してはおりません。あと、全寮制なのもお忘れ無きように。

 

 

「巨乳は素晴らしいものなのです! 大きな胸を気にしている年下少女の妹系・・・萌えますわ!」

「やかましいわ! そう言う知り合いに心当たりなどない! どいつもこいつも胸のデカさは自慢にしか使っておらん!

 ――同級生になら似たようなのが一人いるがな! 今もすぐ側に!」

「む、胸の話に私を巻き込まないで頂けませんっ!? 不意打ちでエッチな話題はいけないと思いますっ!(赤~/////)」

「逆に、慎ましやかなサイズのお胸を気にされている完璧超人のお姉さんヒロイン・・・これも萌えますわ!」

「知らんし分からん! あと、そう言う奴も知り合いにはいない! 私たちの知り合いの大半は、どういう訳だか胸が大きい!」

「ああ! 何というコンプレックス萌えへの格差社会! わたくしは人類の行いに恐怖しました!」

「勝手にわめき立てまくった挙げ句、貧血起こして倒れるなーーーっ!!!!!」

 

 ・・・はーい、ボーデヴィッヒさん。次はボールで遊びましょーねー。「にゃっ♪ にゃっ♪」

 

「胸のデカさは乳心! 揉めば命の泉涌く! 胸のデカさこそ世界を征するのだぁぁぁっ!!!」

「お前もやかましい! お前以外全員年頃乙女の女子寮で変な台詞を大声だして叫ぶな! 殺されるぞっ!?」

「だから何だ!? それがどうした!! 世界の中心でなければ叫べない愛など本当の愛ではない! 何時どこで誰の前だろうと、恥ずかしがらずに堂々と断言できてこそ誠の愛!

 セレニアーーっ!! 俺は巨乳が好きだぁぁっ!! 巨乳の彼女が欲しいぃぃぃっ!!!」

 

 ・・・ちょっと、ボーデヴィッヒさん。私の上に乗っからないでください。甘えてきてもいいですけど、頭の上に顎を乗せてゴロニャンしないで。潰れる潰れる、小柄で体重軽くても人一人分の体積バカになりませんから。一般人には辛いから。頑張って倒れないように支えるの大変ですから、少しだけでもいいんで離れてください。おねが・・・い・・・。

 

 なんとなく大戦中にグリズリーを飼っていたソ連兵の方を思い出しました。

 

 

「いぃぃぃぃぃちかぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!

 裏切り者は死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!!!」

 

 

 ズドンっ!と、破砕音がしたかと思うと扉が壊されて、外の廊下から凰鈴音がこんにちは。後で修繕用に書いた書類を虚さんに届けに行かなくてはね。今日のお茶菓子はなにが出るのかな~?

 

「食らいなさい! 第三世代IS武装《衝撃砲》!!」

「ふっーー」

 

 凰さんが最近だと定番になってきてる衝撃砲を発射すると、織斑さんは不敵に微笑み右手を掲げて手刀を作り、振り下ろすのとほぼ同時に返す仕草で横にも一閃。十文字を形成しました。

 

 するとーー。

 

 

 っーーーーぱぁぁぁぁぁぁっん!!!!

 

「なぁっ!? 目で見えない空気の砲弾を素手で切り払ったぁぁぁっ!?」

「俺の心眼で視えぬ物など存在しない!

 心を空にしてデカい乳を見詰め、己の理想とするオッパイ妄想に全神経を集中させるのだ!

 相手の胸を見ただけで敵の行動の根幹を司る『理』を視るに至りさえすれば、天然自然すべての理までもが視えてくる!

 鈴! 俺を倒すのに必要不可欠な『無意識・無殺意・無巨乳の極意』による武の境地に至るには、お前はまだ未熟!」

「くぅっ! それでもあたしは自分の存在意義を守るためにアンタを討つわ! 小さいことは個性なのよ! 希少価値なのよぉぉっ‼」

「個人的な私怨だな! だが、悪くない! そう言うのは嫌いじゃないぞ鳳鈴音!

 何故なら戦いのはじまりは常に怨恨に根ざしているのだからな! 当然のこと!

 しかし、怒りや憎しみだけで戦いを支える者に俺は倒せない! 何故なら俺は義によって立っているからだ!

 そう! 『巨乳こそが絶対正義!』とする、地球人類すべての男たちが信じ貫く絶対不変の最胸大儀によってなぁぁぁっ!」

「いつまでも減らず口をぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーっ!!!!!!!!」

 

 

 ・・・人の部屋の中で全力バトルを始める中国代表候補生と、日本のオタク。

 家具とか食器類とかが壊されまくりますが、慣れてるので対策は万全です。大半はプラスチック製品かアルミ製のに換えてありますから壊れませんし、壊れちゃっても買い換えられます。

 どうしても換えの利きづらい大きな家具類は留め具や緩衝材を設置済みですし、ベッドとかは備品ですので私が気にする事じゃありません。壊れたときには布団を借りに生徒会室まで出向くだけです。

 

 

「ねぇねぇ、シャルロットちゃん。その恋愛小説って主人公たちの年齢制限とか設定されてるの? ほら、少年少女向けって事で学生主人公限定とかの縛りはあったりする?」

「あ、会長さん・・・。いいえ、そう言う縛りはないみたいです。もちろん、共感しやすい話作りや主人公でなければ評価されづらいとはネットでも囁かれてますけど・・・」

「あは☆ よかった。それならお姉さんも力になれるかも♪」

 

 今度は更識会長がデュノアさんに話しかけていました。一番年上で一番上位にある変態さんは、なにをほざき出すんでしょうかね・・・?

 

「恋愛と言えば経験。経験豊富と言えば年長者。なら答えは簡単、経験豊富な先生方に話を聞かせてもらいに行けばいいじゃな~い☆ その為の紹介なら生徒会長にまっかせなさーい!」

 

 おお! 今までで初めてマトモな提案してきた気がしましたよ! いや本当に! 嘘偽り無く本心からね!

 

 

 ーーでも。

 

「とりあえず服着ませんかね、会長さん・・・。

 まともなこと言ってても全裸で口元と局部を扇子で隠しながら不敵に怪しく微笑んでポージングしながらじゃ、変態度を上げたがってる様にしか見えませんから・・・」

 

 しかも扇子に書かれている文字が『上のお口』と『下のお口』なところなんか最悪すぎます。隠したいのか、隠すことで逆に変態であるところを見せつけたいのか本気でマジ分からない・・・。

 

「ところで、心当たりのある先生には誰がいらっしゃるのですか?」

「そうねぇ~。私的には榊原先生なんかオススメよ? あの人の失恋経験はIS学園教師勢の中でもナンバー2の上位に位置してるんだから」

「喧嘩売りに行きたいんですか、貴女は・・・」

「ちなみにナンバー1は山田先生。恋する度に始まることすらできず終わってしまう、敗北も勝利も知らない無敗の最弱伝説を築きあげたレジェンド。

 振られることすら出来ず、恋に恋する乙女で在り続け、今年ではや二十数年目・・・」

「・・・やめときましょう、絶対に。これ以上は私の胃が持ちそうにありませんので・・・」

 

 少しだけ凄みを利かせながら、私は毎日の日常茶飯事としてキリキリと痛み出してる胃の辺りを押さえながら念を押し、デュノアさんの元へと歩み寄っていきました。

 

 

「どうでしたか? デュノアさん。なにかしら恋愛話を書くのに参考になりそうなお話はーー」

「あったと思う?(に~っこり♪)」

「・・・ごめんなさい。愚問でした・・・」

 

 スゴスゴと引っ込んでいく私。

 

 ーーさて。織斑先生が駆けつけるまで後三十秒。それまで私は何して暇をつぶしましょうかね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日の結末:

 シャルロットは結局、自分で考え自分で書いた恋愛小説を応募して審査員特別賞を受賞した。

 受賞理由は以下の通りである。

 

「恋に恋する女の子として正しく在り続けている、今時珍しいほど無垢で清純な恋物語を読ませてもらえて満足している。

 恋愛小説家たるもの斯く如く恋する乙女の心を持ち続けなくてはならないのだと再確認させられた想いだ。

 上手い下手ではない。ただただ尊い。世の現実に染まりきってはいない無垢なる少女の恋とはこう言うものだと知るためには必須の、我々にとっての教科書なのだ。

 現実の恋愛と、小説の恋物語は別物なのだと言うことを知るためにもこれは読まなくてはならない教本なのである。

 きっと彼女は大成する。いずれ彼女が思い描いている恋を実現できる日がくると無条件に確信できる少女らしいパワーに満ちあふれた作品。

 私は著者の少女が幸せな『恋が出来る』ことを心から願うものであるーー」

 

 

 ーーその夜。送られてきた金一封を握りしめながら肩を震わせている私の嫁を見かけましたが、見ないフリして逃げ出した私には分かりませんね。よくあることです。

 

 今日のIS学園寮で起きた出来事は、こんな感じです。




新作連載に関して:

今作は昨日の晩に突然「見えるぞ・・・私にも言霊ワールドが見える!」な感じで思いついて書き始めたため二話目とかが思いついておらず、すぐには連載につなげられないので先行投稿で今は済ませて起きたと思います。

その内セレニアがチートするオリジナルファンタジーとか書いてみたいですね。
「異世界チート魔術師」大好きなので♪ アニメ化決定おめでとうございまっす!(^^)!

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