IS学園の言霊少女(本編終了・外伝スタート)   作:ひきがやもとまち

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職場が夏休みなったのでしばらくは執筆に専念できそうです。

それと、そのつもりは全くなかったのですが改めて読み返してみると
どう見ても一夏アンチな作品になっていたのでタグに一夏アンチを加えました。
TSは、一番最初に付けたつもりでいたら付いていなかったので付けました。

気付かなかったとはいえ、ご迷惑をお掛けしました。


8話「IS学園のオタク」

「おっぱいは大きいのに限ると思うんだ」

 

 織斑さんが大真面目な表情で宣いました。

 

 ・・・ロリ巨乳である私に向かって。

 

「大きいことは良いことだ。小さいことは存在そのものが小さいと言うことだ。

 ちっぱいにも需要があるのは認める。だが、あえて言おう。

 貧乳はカスであると!」

 

 織斑さんが宣言しました。

 

 ・・・・・・ロリ巨乳である私に向かって。

 

 

 ・・・あの・・・先ほどからクラスメイトの女子数名が親の仇でも見るかのような視線で織斑さんを睨みつけていますが、大丈夫なんですか? その・・・月のない夜道とか。(説明するまでもないでしょうが、皆さんとても慎ましいお胸の持ち主ばかりです)

 

 

 まぁ、ただ胸のサイズをバカにされたが故の怒りだけではなく、女尊男卑の世界で、ただでさえプライドが高まっているというのに、それをいっさい考慮していない傲慢そのものな物言いに腹を立てている方も多そうですがね。

 

 本当に、ここまで自己主張ができる人は限りなく少ないでしょうねぇ・・・そこはやはり主人公の面目躍如といったところなのでしょうか?・・・・・・・・・未だに主人公で居られているかどうかは知る由もありませんけど・・・。

 

 

 

「そこでだ。3話目で登場する新ヒロインも巨乳キャラにしようと思うんだが、どうだ? イケそうか?」

「たぶん、大丈夫ではないでしょうか。作風的に巨乳キャラ以外はヒロインにしづらいですし、男性の方は小さい胸よりも大きい胸が露出している方が好きなのでしょう?」

「一概には言えないがな。ロリなお色気キャラも間違いなく存在してるし、人気ある奴もいる。――ただまぁ、俺の作品には合わないのも確かだ。よっし、じゃあ今回も巨乳でいくか。さっそくキャラデザ考えないとな」

「締め切りは来週でしたっけ? 頑張ってくださいね、一応は応援しています。ーー夜食は相変わらず焼きお握りでいいのでしょうか? 多少なら凝った物も作れますが・・・」

「うんや、作ってくれるだけで有り難いぜ。色々とありがとな、セレニア」

「いえいえ、お気になさらずに。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・単なる罪滅ぼしでやってるだけですし」

 

 ワイワイとざわめく登校直後のホームルーム前。

 クラスメイトの皆さんがそれぞれの席でそれぞれのグループで集まって雑談している中、私は織斑さんと席を合わせて、ちょっとした打ち合わせもどきの最中です。

 

 なんの話かと言えば、この前織斑さんが某出版社に持ち込んだ作品が雑誌掲載されて好評を博し、編集部から「連載を前提にした作品」を描いてくれるように頼まれたのだそうです。

 

 もちろん私も織斑さんも未成年者。保護者の許可なく収入を得られるような労働は出来ません。

 

 ーーが、ついこの前まで精神虚脱状態が続き、復活した直後に学園の外壁を破壊した責任を取らされて三ヶ月の減棒を命じられた直後の織斑先生には判断能力が残っていなかったらしく、あっさりと許可を出した事を今になって悔やんでいるようです。

 

 織斑先生・・・・・・残念すぎでしょう。ほんとしっかりして下さいよ、第1回モンド・グロッソ優勝者さん・・・。

 

 

 とまぁ、そんな訳でして。

 織斑さんは現在、連載会議に向けた連載ネームの制作にかかりっきりです。本来ならば学校に来ている時間もないはずですが、そこはやはり学生。漫画を描くために休みますは通用しません。

 

 そんな中で、私は主に織斑さんの生活面をサポートしています。

 家事炊事が万能な織斑さんですが、いくらなんでも漫画を描くのと家事を両立させるのはアシスタントのいない現状では絶対不可能です。

 

 その為に部屋は荒れ放題。

 そこで、定期的に私が出向いて掃除洗濯をし、毎晩夜食を届けているというわけです。・・・え? 理由ですか? だから、言ったじゃないですか、罪滅ぼしだって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・いや、マジでこれぐらいしないと罪悪感で押しつぶされそうなんですよ、本気の本気で・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 私は無言で、周囲に誰も人がいないエアポケットと化した空間を見渡します。

 

 

 元々が女子校らしく華やかな雰囲気のあるIS学園全体においてーー“此処”だけは暗くて重いです。

 

 周囲の誰からも視線を向けられません。

 周囲の誰からもお声が掛かりません。

 周囲の誰からもーー存在を認識されていません。

 

 完全にいない子扱いです。ひねくれぼっち先生です。

 

 ・・・・・・おかしいですね、この世界は《インフィニット・ストラトス》のはずなのですが・・・『やはり俺の青春ラブコメは間違っている』ではありませんよね?

 

 なのに、なんで織斑さんがヒキタニ君になってしまっているんでしょうか・・・?

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・はい、ごめんなさい。現実逃避してました。十中八九私が原因ですよね。ええ、勿論分かっておりますとも。ーーただ、認めるのが胃に辛かっただけです。

 

 

 いやね、本当に私には、今も昔も他意や悪意はまったく無いんですよ。

 ただ、ふつうに行動していたら、なぜだか知らないうちに原作を改編してしまっただけで。ーー原作を読んだことがないので、おそらくという注釈はつきますが。

 

 

 とまぁ、そう言う事情で、こうなった以上は多少でも彼の負担を軽減することで私の胃の負担も軽減しようと、そう思い立ったわけです。

 

 現在のところは上手くいっており、特に問題は起きていません。

 

 ただまぁ、一つだけ微妙に気になる点がある事はあります。

 

 それはーー

 

「でさ、2話5ページ目のイサミちゃんのおっぱいを揉むシーンなんだけど、どうだ? なかなか良く描けてるだろ? 渾身の力作だぜ」

 

 そう言って取り出した原稿用紙に描かれているのは、織斑さんの作品のメインヒロイン「イサミ・セリシア・ハート」さんです。

 

 年の割に低い身長と大きい胸が特徴の銀髪碧眼美少女で、性格は礼儀正しく世話焼きで、ちょっと毒舌。丁寧な口調で相手の心に言葉の刃を突き立てて来る毒舌キャラでありながら、変なところでチョロチョロとしたチョロインでもある主人公のクラスメイト。

 

 基本的には常識人であり戦闘力はない。

 その代わりとして、その豊満な胸を揉ませることによって主人公をパワーアップさせることができ、毎回必ず乳揉みシーンがあります。ーーしかも、かなり濃厚に精密にリアルに・・・お色気要素満載で。

 

 

 ・・・・・・なんでしょう。なんとなく、どこかの誰かさんを連想してしまいそうなキャラ設定ですよね。

 

 いえ、分かってますよ? 作品と作者の願望は別物だと言うことくらいは、ちゃーんとね。

 

 別にエロコメ作家が日常的にセクハラしている訳などなく、バトル作家が格闘技しながら執筆している訳でもないことくらいは、よーっく分かっておりますとも。

 

 だから、気にしません。ええ、気にしませんとも。

 たとえ、イサミちゃんが胸を揉まれるシーンの監修を毎回任されて悶々としてしまいそうになっても、まーったく気になりませんよ私は。

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・て言うかこれ、セクハラじゃないですかね?

 

 変態会長に続いて、身近な人から変態さん二号が誕生してしまったようです。

 

 

 ・・・・・・あ、ミレニアさんを忘れていました。じゃあ、織斑さんは三号さんですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーその情報、古いよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・は?

 

 突如として掛けられた意味不明な言葉に、クラスの皆さんも困惑気味です。

 

 

 ーーえ?情報?

 

 ・・・・・・・・・・・・なんの?

 

「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には優勝できないから」

 

『・・・・・・???』

 

 クラス全員の頭の上に?マークが浮かびます。

 いや、ほんとに何言ってるんでしょうか? まるで訳が分かりません。誰か説明できる人を求めて周囲の人を頼ろうとしますが、一番情報量をお持ちのはずのイギリス代表候補生セシリア・オルコットさんですら口を開けてポカーンとなっていますから、期待薄でしょうね。

 じゃあ、他に誰かーーあ、マイフレンド本音さんは生徒会役員じゃないですか。こう言うときには頼りになーーりませんでした。

 朝からお昼寝中です。大変良い笑顔でぐっすりと眠っておられます。

 

「ん~、セレり~ん、そのケーキは私のだよ~。代わりに、この毒キノコあげる~・・・むにゃむにゃ」

 

 有り難うございます、本音さん。地獄に墜ちて下さい。

 

「鈴・・・・・・? お前、鈴か? ・・・・・・・・・相変わらず貧相な胸だなぁ」

「そうよ。中国代表候補生、凰鈴音。今日は宣戦布告にーーって、ちょっと一夏!アンタなに言ってくれちゃってんのよ!第三世代兵器『衝撃砲』で粉々にすんわよっ!!」

 

 ・・・・・・国家の代表候補生が、いきなり重要情報を公開した件について。

 

「つか、なによアンタ! 人がアンタに合わせてクラス代表になってまで会いに来てやったって言うのに、なんでデカいおっぱい描いてんの!?昔は胸どころか女に興味なかったじゃないの!

 なのに、なんだってそんなエロ漫画なんか描き始めてんのよ!? トチ狂ったんじゃないしょうね!?」

「心外だな。俺は今でも女に興味はない。俺が興味があるのは二次元の巨乳だけだ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・若干一名、例外有り」

 

 ・・・・・・ん? なんか最後に変なもん付けませんでした?

 

「な、何言ってんのアンタ!? どっかに頭でもぶつけたんじゃないの! とっとと病院行きなさいよ、そして治しなさいよ戻りなさいよ!

 ・・・・・・お願いだから戻ってってばーーーーーーー!!!!」

「知らん。昔の俺は死んだ。もう居ない。今の俺は、生まれ変わったネオ俺だ」

 

 ーーー語呂わる!

 

「なんなのよなんなのよなんなのよーーー!!!

 あたしが、あたしがーーあたしがどんな想いで今まで過ごしてきたと・・・・・・!!」

 

 俯いて震え出す凰さん。

 

 ・・・凰さん?

 あれ、どこかで聞いた記憶がある名前のような・・・・・・誰でしたかね?

 

 

 

「知ったことか。C以下の事など論ずるに足らん」

 

 

 

 

 

 プツンーーーーー

 

 

 

 

 

 あ、終わりましたね。

 主に私の人生が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一夏の・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・超ウルトラメガトン怒級激烈大バカぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 叫びながら展開した凰さんのIS(代表候補生らしいので専用機でしょう。名前は知りませんが)の両肩に取り付けられた巨大な砲から放たれた見えない膨大なエネルギーがクラス丸ごと吹き飛ばし、全校生徒中ダントツの打たれ弱さを誇る私は真っ先に気を失い、気付いた時には包帯まみれで保健室のベッドの上でした。

 

 その頃になって、ようやく思い出しました。

 

 凰鈴音。ヒロインの一人。ツンデレ貧乳ツインテール。

 

 転生時に与えられた原作知識ですが・・・・・・これ、役に立ったことがないんですけど、本当に必要あります?

 

 

 

 

 

 ちなみに、校舎の一部を完全破壊した責任を取らされた凰さんには二ヶ月間の自室謹慎が言い渡され、クラス代表に就任した直後であるにも関わらず、クラス対抗戦に出ることは出来なかったそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 織斑さんですか? 攻撃を受ける寸前に白式を展開して無傷、無事対抗戦にも出場して準決勝敗退。敗因は棄権。

 

 棄権理由は「原稿の締切がさすがにヤバい」だったそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いい加減言い飽きてきましたが、あらためてもう一度。

 この世界、本当の本当に《インフィニット・ストラトス》?

 

つづく




アッサリと終わらせるつもりでしたが、アッサリすぎましたね。ごめんなさい。
基本的に陰謀とか割り込ませる気がないもので。
なにしろ、セレニアじゃあ解決できませんからね。所詮はただのひねくれ者です。

シャル・ラウラ編はもう少ししっかりやりたいです。

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