IS学園の言霊少女(本編終了・外伝スタート)   作:ひきがやもとまち

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昼頃に買ってきた小説版「ターンAガンダム」に影響されて書いてみたところ、何が何だかサッパリわからん作品ができてしまい困っております。
何処に出していいかも分からないほど訳わからん代物ですが、とりあえずは前回と同じで戦記物ISの設定案のひとつとして適当にご意見いただけたら嬉しいなーと思い、出してみました。適当にお読みください。


尚、何度も何度も同じことを申し上げてばかりで大変申し訳ないとは思いますが、今一度言わせていただきますと、私が現実ネタを持ち込んでるのはシリアスギャグとしてです。
本当にそれだけであり、それ以上のことはできないほどに知識も経験も少なすぎる浅はかな身なので、明らかに異常な内容にまじめに返されてしまうと時折困るときがございます。
できれば「適当なこと書いてるなー」と思われた回などでは半笑いになる程度でお許しください。
割と本気で時々反応に困ってます。時々ですけどね?


試作品「インフィニット・ファントム」

 1990年代。日本で宇宙開発用パワードスーツ、《インフィニット・ストラトス》の開発がスタートする。

 同時期に、米国のNASAから技術協力を受けることが決定される。

 

 2007年。日本海上空に突如として謎の人型ロボットが出現。それと同時に世界中の核ミサイル発射施設がハッキングを受け、ロボットに向けて全弾発射されるも全てを撃墜。

 ロボットの確保及び撃墜の任務を帯びて世界中から出航してきた艦隊を半壊滅状態追い込んだ後、出現時と同じように姿を消して失踪。世界は謎のロボットに完敗を喫する。

 この直後、ロボットの開発者を自称する篠ノ之束博士によって24の国々に謎のロボット《IS》が送られ、謎のロボットの名称が《白騎士》であることが判明する。

 『白騎士事件』

 

 2008年。白騎士事件の影響を重く見た各国首脳はアラスカに参集し、ISの軍事利用禁止などを盛り込んだ運用条約『アラスカ条約』通称『IS条約』を締結させる。

 

 2009年。篠ノ之束の出生国日本に対し、各国が共同で圧力をかけることによりIS操縦者の育成機関『IS学園』の建設を約束させる。

 同年、日本政府は開発途中であったメガフロートを学園建設のために改修し、『学園島』と命名。翌年には完成したばかりの仮校舎を用いた運用実験を秘密裏に行っていたとされている。

 

 2012年。ISによる世界大会『第一回モンド・グロッソ』が開催され大盛況となる。優勝者は篠ノ之束の親友でもある織斑千冬。この功績により彼女には『ブリュンヒルデ』の称号が奉られる。

 

 

 

 2020年。沖縄に遊びに来ていた家族連れが所属不明の戦車部隊と遭遇し、その直後に発砲。『幻霊戦争』の幕を上げる狼煙となった。

 

 

 

 

 

 

 ーー同年同月同日。沖縄へと救援に出撃してきた自衛隊所属のIS部隊。

 

『こちらフォックス1。目標地点に到着した。各員、順次状況を報告せよ』

『こちらフォックス3。隊長、なんだかスゴいのを発見しちゃいました! スゴいスゴいスゴすぎです! うひゃー、兵器マニア垂涎の的なあたしだぁー!』

『・・・こちらフォックス1。フォックス3、貴官の趣味に口出しする気はないが仕事中と任務中に出すのはやめてくれ。頭が痛い・・・』

『あ、ああ失礼しました。でも、これ見たら隊長も私と同じ反応しますって絶対に!』

『・・・・・・いったい、何を発見したと言うんだ?』

 

 これ以上言っても無駄かと、若い新入隊員にも多少のわがままくらいは許してやろうと投げやりな調子で尋ねた隊長に、部下のフォックス3は信じられない情報を報告してくる。

 

『戦車です!』

『・・・・・・なに?』

 

 このIS全盛の時代に・・・戦車、だと・・・?

 

 訝しげに部下の指さす先へ視野を広げてハイパーセンサーを向けてみると、隊長は思わずギョッとして言葉を失ってしまう。

 そこには有り得ない光景が広がっていて、フォックス3が楽しげな口調で現実である嘘みたいな状況を的確に表現して解説してくれた。

 

『戦車です!旧式の戦車が大軍をなして真っ直ぐこちらに向かってきてるんです!

 ティーゲルがいます! チャーチルもいます! イタリアのP40もアメリカのシャーマンも皆います! スゴい! まるで動く戦争博物館みたいだ! 撃ちまくり甲斐がありますね!』

 

 途中までは現実が否定してくれて脳まで届かなかった隊長だが、部下のはなった最後の一文は聞き捨てならないものがあった。

 このバカ、寄りにもよって命令もないまま所属不明の未確認戦車に向かってIS武装を発砲してしまうつもりなのだ!

 

『バカ!やめろ! まだ発砲許可は出ていないっ!』

『敵さんはもう撃っちゃってるんですから、下手な言い訳はできないっしょ!?

 撃たれたからには攻撃されたと判断して撃ち返す! 兵隊の基本です!』

 

 私たちは兵隊じゃなくて自衛隊で、日本の自衛隊は如何なる攻撃を受けようとも攻撃と判断する自由を許されてはいないのだ!

 

 ーー隊長がそう発声しようとしたときには既に一発目が放たれた後であり、戦車のうち一両が砲塔の近くに着弾して被弾していた。

 

 

 

「やった!あたしは偉い! ・・・さ~て、次の獲物はぁーと」

 

 初の実戦参加であり、ISの前では通常兵器は鉄屑以下の思想が埋め込まれている彼女は、一発で戦車の中心部近くへと命中させたことで勝利を確信し、ライフルに備え付けられたスコープを覗く眼を視線ごと動かそうとして、はたとその動きを止めてしまう。

 錆び付いた胡桃割り人形のようにぎこちない動作で照準を元の撃破済み戦車に合わせ直してみたところ、被弾して中破し移動不可能にされた戦車の砲塔が自分の方へと向けられており、その黒くて暗い穴の淵から自らを冥府へと誘う死の一弾が放たれる瞬間をしかと捉え続けていた。

 

 発砲。着弾。撃墜。

 攻撃を回避することを前提としている高機動兵器ISの最新鋭装甲は、試合用としてのIS武装に対応しているものであり既存の戦車砲直撃の前では紙の壁に等しい脆さを発揮し、操縦者一人を残して御空の上の更に上へと消え去ってしまった。

 

「フォックス3! くそぅっ! アハトアハトか! 味な真似をしてくれる!

 こうなったらやむを得ない。総員突撃! 中古品を墓場へと送り返してやれ!」

『了解!』

 

 隊員たちを引き連れ突撃していくIS部隊の隊長機。

 このとき彼女の心に怒りはあっても、警戒心は無いに等しかった。なぜなら既存の通常兵器はISには敵わないから。そう教えられてきたし、長い間ずっと信じてきた事実なのだから。

 

 

 ーーだが、当初の予定は大きく裏切られる。

 味方の半数以上が失われ、残りも戦闘続行不可能な負傷を強いられるという惨憺たる有様にまで陥らされたのだ。

 

 それでも彼女たちが絶望を味わうには、まだ早すぎた。

 降伏勧告を受け入れず、最後の一輌が全滅するまで戦い抜いた敵戦車群の指揮官機のハッチを開けて中にいるクソッタレ野郎を引き吊り出してやろうとしたところ。

 

「・・・え?」

 

 彼女がそこに見出したのは誰もいない操縦席と、人がいた痕跡も自動操縦に使えそうな最新機材すらもない、正真正銘本物の混じりっけのない『太平洋戦争中に使用されていた旧式戦車』が無人のまま行軍し、日本上陸と民間人への警告無しなままで砲撃してきたと言う事実の証明だけであった。

 

 

 どう報告すれば信じてもらえる内容なのだろうか・・・?

 隊長が頭を悩ませる必要性はそもそもに於いて無かった。

 

 

 なぜならば、ほぼ同時期の世界各国各場所にて様々な戦時中の亡霊兵器による攻撃と侵略が行われていて、国防の最前線に建たつべき存在IS操縦者が駆り出されて現実の異常さを思い知る羽目になっていたからだ。

 

 

 既存兵器による攻撃で、ISの絶対性が崩れた瞬間である。

 

 

「目標地点接近。いいか? 絶対に敵からの攻撃は避けるためにも、一定距離まで接近したら完全ステルス機能を発動させてレーダーを無力化させるんだ。わかったな?」

『イエス・マム!』

「よーし、行くぞぉぉっ! ーー今だ! 完全ステルス機能発動! 姿を完全に消して謎の敵艦隊に急速接近し攻撃を掛ける! A隊は支援を。B隊は・・・」

『た、隊長! 奴ら撃ってきました!』

「・・・??? だからなんだと言うんだ? 敵が見えない状態で精密射撃も砲撃戦も成り立たなーー全機散開! 全力で逃げろぉぉぉっ!!!」

 

 それなりの年齢には達していたため敵の意図を悟れた隊長は運が良くて正しかった。

 そして、それは同時に残された者たちは運が悪くて正しくない行動を選んでしまった事をも意味しているものだったのだ。

 

「「「え? え? ええぇ?」」」

 

 命令を出してくれる隊長殿に置いて行かれて、何をすればいいのかさえ判らなくなってる彼女たちの頭上に、隠れ潜む敵を区画ごと吹き飛ばすことを目的とした面制圧砲撃により白騎士事件で世界中を驚愕させたレーダーに映らない完全なるステルス性能も意味を損失し、つづく榴弾投下の雨霰によって撤退を余儀なくされたIS部隊の敗北を政府がひた隠して闇へと抹消する腹積もりだったことはいうまでもない。

 

 だが、幸いにも不幸なことにその必要性は皆無だった。

 

 なぜなら今更隠し立てして守り抜く必要性などないほどに世界では、平和維持に貢献してきたISの絶対性と最強伝説への信仰が打ち砕かれる敗報が続発し続けていたのだからーー。

 

 

 

 ドイツ軍所属の試験IS部隊『シュワルツ・クルッペ』。

 軍港近くで発見された旧ナチスドイツの戦艦ビスマルク相手に善戦するも、火力不足により敗退。ダメージを与えつつも撤退を余儀なくされる。

 

 イギリス沿岸部にて旧帝国海軍超ド級戦艦金剛と、完成したばかりの試作型システムを搭載した試作型ISが交戦。敗退。

 収束率の高さが災いしてビームライフルの攻撃では、被弾箇所の被害を拡大させる事ができなかったことが敗因であると推測されている。

 

 フランス中央部、世界第三位のシェアを誇る量産型IS『ラファール』の開発元デュノア社のテスト飛行場付近にて超重戦車マウスが出現。

 開発工場へと狙いを定めている事を察知した本社からラファール部隊が派遣されたが、動かずに狙いを定める世界最大級の戦車の前では像に集る蚊に等しい戦果しか挙げられず作戦は失敗。デュノア社は主力となっていた開発元を失い、仮の開発工房として別の工場を改築することを決意する。

 

 

 

 ーー人々は、世界中を蹂躙し続ける無人の旧兵器群をファントム『幻影』と呼び、どこかの誰かが敗戦続きの世界を皮肉ったのかブラックジョークに包んだ笑えないホラー話を提供したことで呼び名が変わる。

 

 

 曰く、「ファントムは、ISによって戦場を奪われた戦争を愛してやまない兵士たちの亡霊だ。彼らは戦争をやめない、やめさせない。人類が戦争をやめることを決して認めようとはしないだろう。彼らは亡霊だ。過去の亡霊が、今なお戦争を求めて幻のように兵器の姿をとって現界してくる幻影・・・幻霊だよ」

 

 

 ーーこれ以降、世界ではファントムという単語に幻影ではなく幻霊と言う意味を当てるようになったとされている。

 

 

 

 ISの存在に依存しきっていた世界は、深刻な戦争危機が自分たちの身に襲いかかってきている事をようやく思い知ると急遽の対策案として設備と戦力の充実しているIS学園に指揮中枢を移し、準国家代表候補生を戦力として育成できるIS学園分校を世界中に建設していくことで満場一致の決定をみた。

 

 

 急速に変わりゆく世界の中で、指導要員として各国に派遣されていくIS学園関係者の中に織斑千冬の名前があり、その被保護者として今年高校に進学予定だった弟の織斑一夏の名も記されていた。

 

 行き先はアメリカ、イングリッサ。

 IS分校が建設される事が決定してから改名した地方都市であり、分校に所属する生徒たちには生活費と給料が支払われるが、将来的に軍隊への入隊義務も伴うことになっている。

 ただし年齢に配慮した結果、正規の軍隊ではなく市民軍扱いの遊撃隊として『ミリシャ』の仮称が付けられる予定になっているという。

 

 

 世界は旧兵器群によって動かされ、動かざるを得ない状況へと追い込まれていき、先も終わりも見えない泥沼の戦争時代へ突入していく事になる。

 

 『白騎士事件』によって始まったIS時代は終わりを迎え、『旧兵器群』によって齎された戦争愛の時代が始まる。

 

 

 人類は短すぎる新時代から、何も学ばせては貰えなかった・・・。


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