IS学園の言霊少女(本編終了・外伝スタート)   作:ひきがやもとまち

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本当だったらマイントイフェルによる「戦争と平和論」を語らせる予定が、思いのほか長すぎてしまって行き付けませんでした。マイントイフェルさんメインの回となります。

種ガンダムの敵キャラみたいな名前のキャラが大勢出てきますが、大半が今話内で殺されます。マインさんに。

ガンダム世界に限らず、「艦隊世界」以外にはいちゃいけない人マイントイフェル三軍参謀の凶弾が、味方に対して放たれまくる悪意の回!

・・・ナチスは本当にヤベェ連中だなーと書いてて思った回でした。色々貢献してるのに不思議ですよね。悪のカリスマとしか思えませんわ。好きだけど。


56話「天使をよそおう悪魔の嗤い声」

 日本への砲撃開始から20分ほど前。

 東京湾上に浮かぶ米軍艦隊総旗艦『テルアビブ』の艦橋は荒れていた。

 

「総司令官閣下! これは一体どう言うことなのか、説明していただきたい!」

 

 扉をぶち破るような勢いで殴り込むように怒鳴りこんできた青年に、司令官席に座って読書を楽しんでいた艦隊司令官ワルター・G・F・マイントイフェル准将は特に不快さを表に出すことなく、優雅で気品漂う貴族的雰囲気を漂わせた瀟洒な仕草でもって静かに本を閉じ、相手の男に目を向けてからゆっくりと体を向け合う。

 

 それだけの仕草でマイントイフェルは相手の青年、分艦隊の一つを指揮する司令官にして、今回の侵攻作戦を立案したジャミトフ退役元帥の甥でもあるフリューゲル少将の勢いを殺して蹈鞴を踏ませる事に成功してしまう。

 

 生まれと家柄を誇ってきたフリューゲルに対して真なる貴族としての礼儀作法を見せつけたからと言うのも大きいが、それ以上に彼が圧倒されている要因は彼らの存在そのものが持ち合わせている威圧感の差それだけであった。

 

 物が違う。器が違う。本質的に彼らの存在自体が立っている高さに圧倒的と呼べるほどの差が有りすぎるのだ。所詮、一族の威光でエバリちらすだけしか脳のないコネ少将と新貴族一の俊英とでは比べるべくもない。

 同じ息子と呼称されているとは言え、能無しのドラ息子と『総統の息子たち』とでは同じ基準で計る方こそ無理があると見るべきだろう。

 

 が、形式上のことでしかないとは言え、彼も同じ遠征軍を率いる提督の一人であり、上位者であり艦隊指揮権を大統領閣下よりお預かりしたマイントイフェルにとっては部下に当たる青年なのだ。粗略なことも出来まい。少なくともこの場においてマイントイフェルは彼に対して一定の譲歩をして見せた。

 

「どう・・・とは、如何な意味合いでの質問ですかなフリューゲル少将。詳しくご説明願いたい」

 

 音楽的な響きを持った美声を耳にしハッとしてから、茫然自失化していた自分の醜態を誤魔化すかのように先ほどにも増した大音量で階級的には格下の司令官閣下に対する弾劾を開始した。

 

「先ほど日本政府宛に送っていた通信文の内容についてだ!

『貴国の海域は我が軍艦艇によって完全に包囲されている。脱出の道なし。降伏せよ。寛大なる処遇を約束ス。尚、この要求が受け入れられない場合には三十分後に攻撃を開始する。速やかに住民たちを避難されたし』だとぅ・・・? ふざけるな!」

 

 マイントイフェルは冷たい視線で相手を見下ろしながら沈黙して小首を傾げる。

 そして思う。

 

 能無しのドラ息子が一度言われただけの内容を、一字一句過たずに復唱できた件について「よくできた」と、笑顔で褒めてやった方がよいのか否かーーと。

 

 無論、そんな見下しの感情は口に出さずとも相手には伝わってしまうもの。

 只でさえ長年、女尊男卑思想が幅を利かせてたせいで表だった乱交に縁遠かった世俗的欲望豊かなバカ息子である。思う存分に羽目を外せると聞かされて遠路はるばる辺境の片田舎まで出向いてみれば、略奪はおろか暴行さえ黙認してもらえない。特権階級の両親に甘やかされてスポイルされた彼には、これ以上の我慢など不可能な状態になっていたのである。

 

「こんな舐め腐った条件が飲めるものか! 認めん! 私は断じて認めないぞ司令官! 私だけではない、軍需産業理事会に連なる家柄出身の分艦隊司令官全員がだ!」

 

 奇妙な糾弾だと、その場にいるほとんどの者たちが思っていた。

 敵に通達した無条件降伏の勧告を、友軍の提督が受け入れないなど聞いたこともない。

 おまけに司令官閣下の降伏勧告は(この上官殿にしては非常に珍しく)自分たちでも納得して検討する余地は十分に有りすぎるほどに至極まっとうな内容が書かれていた。

 

 にも関わらず、彼より4つも年上な少将閣下が意味不明な理屈でもって弾劾なされている。それこど、これは一体どう言うことなのだろうか? 説明していただきたいと思ってしまうブリッジ要員のクルーたち。

 

 が、どうやら艦隊全体の中にあっては彼らの方こそ少数派であるらしく、扉が開いて次から次へとワラワラ入室してくる分艦隊司令官殿たちの登場にブリッジ内における数の差が逆転してしまう。

 

 それが彼らバカ息子たちだけなら問題ないのだが、今時作戦計画ではジャミトフ閣下の強いご要望にお応えして、何処からかかき集められてこられた産業理事会所属の増援部隊として送ってこられた白人主義者の皆様方が彼らの貴下に割り当てられており、割合としてはおおよそ120パーセントぐらいと言ったところだと聞いているから、我々は我々以外に味方がいそうにないなぁ。

 

 派遣軍の本体であり、EOSの熟練操縦者を多数備えた空母を二隻持つ航空艦隊であり、全艦隊の最後尾を守っている我々マイントイフェル艦隊以外に味方はいないのか、そこいら中が敵だらけか。じゃあしゃあないな、弾でも積めて友軍艦艇でも狙っておこう・・・。

 

 ーー司令官の人格感染によるものなのかどうか判然としないが、彼の艦隊に所属している末端の兵士に至るまで、味方を味方と思わぬ軍隊が出来てしまっていることに多少の不安を覚えぬでもないーー。

 

 

「聞いたぞ、マイントイフェル提督! ここまで来て、なぜ戦わない! なぜ攻撃命令を出そうとしないのですか!?」

「最初から守りを固めようともしていない奴らなど蹴散らしてしまえばよいではないですか!」

「敵と対峙し、数の上でも圧倒しておきながら動かぬとは武人の名折れ! それとも臆されましたかな!?」

「戦わせてくれ! 今すぐ日本を攻撃させてくれ! 今すぐに!」

 

 騒々しいが、騒々しいだけの雑音を右から左へ聞き流しながらマイントイフェルは従卒に、集まった提督たちへコーヒーを用意するよう命じると、再び本の中へと視線を戻した。

 

 完全に無視された形の提督たちはいきり立って怒鳴りだし、興奮のあまり言語にさえなっていない言葉もどきを発する者さえ出てくる始末。

 さすがに辟易してきたブリッジクルーを前にして彼らの視線でも意識したのか、有力者の一人ムルタ・ジブリールの側近で実質的には分艦隊司令を務めている初老の司令補佐サザーランド中佐が、主の威を借る狐らしい嫌味な笑顔を浮かべながら司令官閣下の前に進み出る。

 

 その手には鈍色に光る鉄の塊ーー拳銃が握られていた。

 

「なんの真似かね? サザーランド中佐」

「この期に及んで取り乱そうとしないのは、さすがと言うしかありませんな閣下。その気骨、軍人としては尊敬に値しますよ。やはり、温室育ちで生まれながらに選ばれていた方々とは物が違う。実に嬲り甲斐がありそうだ」

 

 サディスティックな欲情を隠そうともしない下卑た発言に、マイントイフェルは頓着することなく中佐の目を見つめ返す。

 その視線を中佐は嘲笑で報い、更なる罵倒を浴びせ続ける。

 

「しかし、そのような蛮勇が意味のある時代は終わったのですよ。あなた方が終われせてくれたのです。感謝しておりますよ、心の底からね。これでまた再び、我らが偉大なる大米帝国の時代が始められる。

 ーーですが、私如き平民出身者がオコボレを頂戴させていただくためには、どうしても他の誰かの犠牲が必要不可欠でしてね。つまり、日本再占領派遣艦隊総司令官ワルター・G・F・マイントイフェル准将閣下、貴方という生け贄が!」

「ーーつまり」

 

 静かに。そして、面倒くさそうに中佐の言葉に反応するとマイントイフェル准将は相手の要求になど興味を示すことなく、自分にとって重要な確認事項についての質問だけをする。

 

「反乱行為に荷担する。そう解釈して構わないかね? サザーランド中佐」

 

 その冷静すぎる対応がサザーランドの癇に触った。

 この場における優位者は自分の方だ。コイツは格下で、俺の方が上なのだ。

 それなのに何故、コイツは俺を見下すように見つめてくる? 何故、這い蹲って命乞いをしようとしない? 何故、俺のことをゴミ同然のクズの如く興味を示そうとしないのだ。

 ふざけやがってふざけやがってふざけやがって糞野郎めが。テメェもIS操縦者どもと同じだ。エリート様だ。俺たち下っ端をゴミ同然に使い捨てることしか考えちゃいない。だったら今度は俺がお前等の生殺与奪件を握ってるんだって事を証明してやる!

 

「この若造めg・・・・・・っ」

 

 彼の言葉を最後まで聞き終えることは出来なかった。

 

 銃声が轟き、銃床で殴りつけようと右腕を振り上げた姿勢のまま眉間を撃ち抜かれて倒れ伏して、一度か二度ほど痙攣してからは二度と動かない冷たい死体となって処理されてしまったからだ。

 

「副官、すまないがゴミを作ってしまった。片付けておいてもらえないかな?」

 

 自ら部下を処刑したマイントイフェルがハンカチで手を拭きながら放った暴言を耳にした提督たちは、ようやっと自失状態から回復して怒りの声を上げながら銃を抜いて四方八方から狙いを付けようとする。

 

 ーーが、しかし。

 それは余りに遅すぎる動作であり、無駄だらけの素人にしか通用しない動きでしかなった。

 艦橋に常時配置されているブリッジクルーたち、マイントイフェル艦隊の最精鋭を相手取るには十年程度では到底足りない。せめて、後百年は早い無謀な行為なのだよ。

 

 

 

 ーーざざざっ!!!!

 

 

 ISには及ぶべくもないが、風の如き迅速な仕草で銃を抜いたブリッジクルーたちは頼りになる我らが司令官閣下を守る形で陣形を敷き、代わって反逆者へと成り下がった頼りにならないお飾り提督たちへと銃口を突きつける。

 練度、経験、実績。どれをとっても彼らに遠く及ばない提督たちは、肩書きでのみ彼らの上位者足り得ていられたに過ぎない。

 上位者が更なる上位者に刃向かったのである。公然と処刑する口実を得た将兵たちの瞳には、迷いや躊躇いなど一分たりとも見いだせなかった。

 

「な、なにをする? 上官にたいして無礼ではないか!」

「失礼しました、大佐殿。我々にはアメリカ軍人として司令官閣下のお命を守る義務があるのです。ご了承ください」

 

 謝罪の言葉を発しながらも銃すら下ろそうとしない兵士たちの瞳には、まぎれもなく狂気が宿っていた。今まで行ってきた非道な作戦が、彼らを一端のゲルマン軍人に仕立て上げていた。仕立ててしまっていたのである。もはや彼らに戻るべき道はない。このまま進んで地獄を創ろうジーク・ハイル。

 

 

 明らかにまともじゃない眼をした兵士たちを前に恐れ慄く提督たちだが、中には別の視点から彼らを見ている若者もおり、彼はむしろ好意的な態度で自らの非を詫び、謝罪をし、拳銃を兵士の一人に預けてからマイントイフェルに歩み寄る許可を求めて許される。

 

 穏やかな笑顔を浮かべながら、彼パトリック・デュランダルは心からの賞賛を持って彼らと彼らの上官を称える。貴方たちこそ、次の次代を担う者ーーと。

 

「閣下。私は確信しました。あなたならば、今の腐った世の中を終わらせられると。貴方こそが全人類に希望をもたらす英雄なのだと」

「・・・・・・」

「我々は何度も誓ってきました。もう二度と悲しい戦争を繰り返させはしない、と。

 ですが現実はどうでしょう? 戦争は再び起きているではありませんか。

 人は忘れる生き物であり、繰り返す生き物でもあります。だからこそ、次の世代をいきる子供たちに正しき未来と平穏をーー!」

 

 パァッン!

 

 二度目の銃声がデュランダルの胸を打ち抜き、彼はマイントイフェルを『全く理解できない謎の生き物』でも見るかのような目で見つめながら「な・・・ぜ・・・」と疑問をつぶやく。

 

 返答は簡潔であり、簡明だった。無能な将校は我が艦隊に必要ない、だ。

 

「デュランダル准将、君はたしかに予備役だが今時作戦参加に限って限定的にではあるが現役復帰を果たしているはずだな。ならば今の君は、政治家ではなく軍人だ。

 軍人であるなら自己の正しさは実績を持って示すのが筋と言うもの。弁舌で己が主張を通そうとする無能な部下は戦場において邪魔なだけだ。部下の命に対する責任を全うするためにも処刑させてもらうよ」

「や、やめてく・・・れ・・・。私にはまだ、やらなくてはならない計画・・・が残って・・・」

「故郷に未練を残さず出征してくる兵士がいるとでも? 戦争を知らん苦労知らずの若造如きが描く戦後の未来予想図など子供の妄想の域を出はしない。夢を夢として打ち砕かれる前に死ねる自分の幸福を感謝したまえ。アーメン」

 

 パァッン!

 

 

 

 ・・・・・・・・・もはや誰も声を発しないし、発せはしない。

 自分たちがとんでもない思い違いをしていたことに、彼らは今更になってようやく気づいていたからだ。

 

 彼らは今回の遠征を『完全武装のピクニック』だと捉えていた。

 親たちは作戦の勝利によって得た様々な利権や手柄でもって何やら画策しているようではあったが、医学が進んで寿命が延び、自分たちが跡を継いだ後も曾祖父たちがしばらくの間は会社と組織を動かしていくのは確実なんだし、若い自分たちが多少の羽目を外すぐらい構わないじゃないか。

 

 彼らは本気でそう思っていたし、信じていた。自分たち値特権階級が戦時下において当事者になることなど有り得ない、と。

 

 これは長すぎる平和の性でもあるが、それ以上に政治の腐敗が進みすぎていたのが原因となった病理である。

 

 政権を執った直後のアメリカ女尊男卑政党には、人気こそあれ力もコネも政治を行うノウハウすらも蓄積されておらず、旧男尊女卑勢力のご機嫌伺いをしながらの組織運営を余儀なくされていた。

 なんとか彼らを懐柔し、手懐けつつも飼い殺せる手段はないかと考えた彼女たちは一計を案じ、ISによる世界大会モンド・グロッソに目を付けた。

 

 言うまでもなくISは戦争を放棄し、世界平和を実現させた存在であり、モンド・グロッソは各国代表選手が実力を競い合う場であり、政治の場でもあったが戦争を行う場所ではない。

 

 だが、いくらISがスポーツ用品とは言っても武器である。兵器なのだ。世界の主要であるIS産業は軍需産業のことであり、ISによってもたらされる好景気とは戦争特需による戦争景気に他ならない。

 その錯覚を政府は利用し、自らの足場を踏み固めるためにも悪用した。

 

 全体的には損しかしないが、部分的には儲かるのが戦争景気である。世間がIS産業を軍需産業とわけて考えているのを利用した政府は一部大企業への優遇措置を拡大し、事実上の特権階級として飼い殺しするために造られた広大で豪華な犬小屋を建設していくため様々な政策を実行していくことになる。

 その愚考が後の彼らを産み落とす土壌になるなど想像すらしないままで・・・・・・。

 

 

 その結果、現在の米国内部はどうしようもないほどの病理に犯され尽くし、抜本的な外科手術が必要不可欠な病状にまで陥ってしまっていたのである。

 いや、アメリカだけではない。

 世界中のあらゆる国々が『白騎士事件』から始まった急激すぎる時代の変化に対応するために生み出された歪みを内包し続けて、ISの発展とともに育っていく『矛盾』という名の巨大なガン細胞に犯されながら今へと至る時代の濁流に流され続けてきたのである。

 

 人の歩みより遙かに早い時代の潮流、それに対応していくために世界は変革を急ぎ過ぎた。あちらこちらで不満と不正と不公平を溜め込みながら、『憎悪と屈辱』という養分を与え続けながら徐々に徐々に育ち続けることで開花し、世界を滅ぼす巨大な寄生樹へと急速に成長し続けている。

 

 彼らはその樹の末端だ。枝葉の一つである。どのみち最後は伐採して燃やすのだから、今殺してしまっても問題はない。

 マイントイフェルは本気でそう思い、そう考え、実行した。彼の辞書に『口先だけの無能』の下には「組織のガンになる。即刻処刑せよ」としか記されてはいないのだから・・・。

 

「大統領閣下は私に、日本派遣艦隊司令官たれと仰せられた。貴官らは私の指揮に従うことを祖国への義務と責任を果たすことだと認識しなければならない。それが米国軍人として責務ではないか。忘れるな、今だけは私が貴官らの上位にあるということを」

『・・・・・・・・・』

「貴官らに対する生殺与奪の全権は我が手中にある。自ら望んで軍旗を違反するなら、それもよし。祖国より賜った我が職権をもって貴官らの任を解き、戦闘中に流れ弾に当たったものとして処理するまでのこと。そこまでの覚悟が貴官らにはおありかな?」

『・・・・・・・・・』

「返事はどうした!?」

『・・・・・・・・・ございません。閣下の御意に・・・』

 

 不承不承・・・いいや、明らかに殺意と敵意を十二分に滾らせた双眼で自分たちよりも年若い上官を睨みつけながら、未だ拳銃を突きつけたままのブリッジクルーたちに監視されながら返事をしてきた提督たちに、マイントイフェルは殊更やさしい声を出して、天使のようにも聞こえる甘い声音で以て、あやすように言ってやる。

 まるで、悪魔が人を騙すときに化ける天使であるかのように・・・。

 

 

「なに、心配しなくてもいい。私は独裁者になるつもりはないのでね。意に添わないからと言って、役立たずの無能をすぐに処理する愚考はしない。

 飼い犬には飼ってやっている理由と必要性があると言うことはキチンと認識できている。だから安心していたまえ。

 噛みついてさえ来なければ、私は君たち艦隊を動かす為のみに座乗してきただけの生体CPUを壊したりしない。君たちにも立場というものがあることを配慮してやって、花ぐらいは持たせてやるつもりだから安心して家族に聞かせる土産話でも考えておくといい。君たちがどんな話を捏造しようとも、私はそれらを否定しない。

 子供が語る夢物語なんて誰一人真面目に聞いてはいないことぐらい知っているからね。君たちの子守役たちが気を利かせている苦労を無駄にするつもりはないから、安心して担がれてるだけの御輿でいてくれたまえよ、お荷物諸君」

 

「ああーーそう言えば知っているかね? 日本のIS学園には面白い言葉を言った少女が在籍していてね。彼女曰く『自分は無能で臆病だから、後方から指揮棒振って前線に立つ兵士のみなさんに命張らせることしか出来ません。本当に禄でもない人間だと、つくづく私は私を軽蔑してしまいますよ。こんな生き物、生きてる資格もないでしょうに』とね・・・。

 くっくっく・・・はっはっは・・・あーーーーはっはっはっはっはっはっはっは!!!!」

 

 

 この十分後、各艦隊旗艦に戻っていた指揮官たちは暴発した。

 これが、彼らが自らの死刑命令書に行動でもってサイン代わりとしてしまった事の顛末である。

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

セ「言ってない! 私あんなこと一言たりとも言ってませんでしたよね確か!?」

の「ん~・・・、どうなんだろぉ~? セレりんって似たような言葉はしょっちゅう言ってた気がするよー?」

セ「一字一句間違いなくではありませんでした! なので無効です! ドローです! 風評被害で訴えさせてください! セレちゃん、全然まったくこれっぽっちも悪くないですもん!」

蛇「マルグリッド・・・君のためを思って言うが諦めるんだ。第三帝国であろうとも、勝ち目のない法廷闘争というものは存在していたのだから・・・」

セ「どういう意味ですかーーーーっ!!!(*`Д´*)(怒)」

 

注:そう言う意味です。


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