IS学園の言霊少女(本編終了・外伝スタート)   作:ひきがやもとまち

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今書いてるバケモノ最新話でもそうですが、今話は悪役側のお話です。
なんかどっかで見たことある人達が出てきますがネタキャラです。お気になさらずに。

それから読者様の一人の要望を受けて私も書いてみたいと思い、「ネギま!」の二次創作を書いてます。完成したら一時的に期間限定で投稿しますので、宜しければ読んでご意見やご批判をして頂けたらと思っております。

今話、ついにセレニアのライバルが現れる・・・!(要するに似た者同士なクズですけどね)

追記:先ほど書き忘れたので追記します。
以前にもお伝えしましたが「言霊少女シリーズ」はギャグ作品です。リアリティとか求めていません。別に予防線を張るとか言い訳ではなく、単に作者はバカで無知な為、リアルの話は大部分を想像やラノベに頼っているので責任を負いかねるのです。
学習しているとは言え独学ですので、習得速度は滅茶苦茶遅いです。なので早期に解決する見込みはありません。
今シリーズをお読みになられる方はくれぐれも「ギャグ作品」である事と、作者がとてつもなくバカで無知である事をどうかお忘れないきようお願い致します。

いや本当、マジで成績超悪かったものですから・・・。


38話「第三の男(転生者)」

 『エクスカリバー撃墜事件』に端を発する一連の争乱は、一ヶ月以上の時を経てようやく終息の見込みを見出すことができていた。

 

 もっともそれはアメリカを含む一部大国と戦略的にも政略的にも価値の低い、戦場にする以外には使い道の見つからない無価値な場所のみに限定されており、それ以外の場所、国や地方などにおいては未だに混乱の収まる兆しすら見えない状況にあると聞いている。

 

 下手にISなどという世界最高戦力を世界平和の要に据えたのが裏目に出たのだろう。

 戦争という政治的外向的問題の最終解決手段を奪われた世界は、争乱や内乱の火種を抱え込んだまま表向きの世界平和に貢献せざるを得なくなった。

 

 経済格差、民族紛争に宗教対立、長らく続いた伝統的既得権益層に対する被支配階級の憎悪。これら負の感情を力づくで押さえつけられていた世界は、箍のはずれた途端それまで積もり積もったうっぷんを一挙に解消しようとするかの如く世界中で暴発しはじめた。

 

 ISの登場による恩恵を得られた者たちと得られなかった者たち。奪われてきた側と奪ってきた側。殺す者と殺される者。殺した者と殺された者の遺族たち。

 

 話し合いで解決できることは少ない。

 これら時代の蓄積と共に積み重なってきた諸問題を解決するのに世界最高戦力ISを用いて良いのか否か、決断できない世界国家は混迷の度合いを深める一方であった。

 

 そんな中、事態の急変に対して計画を前倒しせざるを得なくなった我々アメリカ合衆国内部においても、思わぬ問題が生じていた。

 

 

 陸海空、三軍参謀本部の首脳より提出された『日本再占領プラン』がそれである。

 

 

 

 

「ーーつまり、今こそ日本に攻勢をかける好機であると君たちは言いたいのかね?」

「攻勢ではありませんわ大統領閣下。大攻勢です」

 

 招かれざる客人の一人、海軍参謀『ノーマ・アレキサンダー・ベイツ』少将が上品さを装いながら、過剰な形容句で訂正した。

 お嬢様ぶった口調と金髪巻き毛のロングヘアーがイギリス代表候補のセシリア・オルコット嬢を彷彿とさせるが、明らかに無理して演じている感が拭いきれない辺りが成り上がり者の限界と言うべきか。本物の貴族とは物が違う。ハリボテのお嬢様とでも呼ぶべきなのかな。

 

 

「さきの京都炎上事件によって日本軍はなすところを知らないでしょう。まさにこの時期、合衆国軍の誇る専用IS部隊が威風堂々と進軍し、自由と正義の旗をかかげて進むところ、勝利以外の何者もありえないのです」

 

 自らが書いたという太字だらけの作戦計画書を指さしながら、自己陶酔の彩り強く語りだすのは二人目の人物、陸軍参謀『バスタ・オム』大佐。

 常用しているゴーグル型のサングラスは新品に交換したばかりらしく、無闇やたらと光り輝いては威圧感を相手に押しつけてくる。軍人は大きな声が出せればよいと言う思想の生きた見本と呼ぶべき木偶の坊だ。相手を威嚇するために鍛え上げた筋肉など、IS操縦者にとって動きを阻害するだけなのではないだろうか?

 

 

「そもそも、この再占領計画は帝都大空襲を指揮されたカーチス・ルメイ将軍の故事に習うもの。アメリカの正義を体現する快挙と呼ぶべき偉業でしょう。

 これに反対する者は結果として日本に味方するものと言わざるを得ません。小官の言うところは誤っておりましょうか?」

 

 薄い頬肉をぴくぴく震わせながら神経質そうな秀才型の美女軍人は、己の内なる不安を私に悟らせないためにか必要以上に居丈高な態度と口調で堂々と言ってのける。

 三人の中ではもっとも『彼と酷似した』容姿を持つ彼女の名前は、空軍参謀『ワイアット・フォープ』准将。

 

 この三人が陸海空それぞれの参謀チームを束ねる実質的参謀総長で、将来的にはアメリカ各軍において最高位につくことを期待されているエリート中のエリートたちだ。

 少なくとも世間ではそう噂されている。

 完璧すぎる人生の輝かしい未来予想図と呼ぶべきだろう。

 

 彼女たちの人生計画には一部の誤りもない。完璧すぎるほど完璧に計算し尽くされた隙のない理想的な計画書と言っても過言ではない。

 

 ーーなぜなら計画というものは如何なるものだろうとも、実行する前に失敗することは不可能だからだ。

 失敗していない計画は必然的に成功することを前提に立てられているのだから、実行前の企画段階においてでさえあれば、たとえどんなに穴だらけだろうとも完璧なのは当然の事だ。

 

 現時点において彼女たちの計画に失敗の二文字はない。実行していないのだから、失敗できるはずがないのだから。

 

 

「それで? 君たちは日本を再占領していったい何がしたいのかね?」

「我々は軍人です。あえて政治のことは申し上げませんが、戦いには機というものがあることをご理解いただければ幸いであります」

 

 フォープ准将が私に向かって、とくとくと持論を説明しはじめた。

 

「たとえ敵に地の利あり、大兵力有り、あるいは想像を絶する新型ISがあろうとも、それを理由として怯むわけにはいきません。我々は正義の軍隊であり、白人主義の絶対正義を敷かんとする大儀に基づいて行動し続ける限り、合衆国国民は歓呼して我々を讃え、進んで協力するに違いないのです。さすれば・・・・・・・・・」

 

 フォープの演説が続いている。

 

 想像を絶する新型IS・・・あるじゃないか既に。日本には二機も。

 世界中が血眼になって開発に勤しむ第四世代『紅椿』、それをも遙かに越えて桁が違う超性能を発揮している第六世代『ラスト・バタリオン』。

 この二機だけでアメリカ全土を灰燼に帰すことが可能なのだと言う事実を、未だに彼女たちは理解できていないのか? まったく呆れた道化ぶりだな本当に。

 

 

 彼女たち三人は、アメリカが世界に誇る国家代表選手として第一回モンド・グロッソに参加した上位入賞選手という経歴を持つ国家的エリート集団である。

 育成においては最大限の便宜が図られ、アメリカ全軍を通じて優秀な人材を広く募集し、集められた数名を専門的に教育。各分野のプロフェッショナルとすることで格闘・射撃・近接・飛行すべての種目で優秀な成績を叩き出させることに成功した。

 

 

 

 ーーが、この後からよろしくない風向きへと変わる。

 社会的地位と名声を得た彼女たちは更なる地位の向上と手柄を求め、積極的に敵勢力のあぶり出しや半ば非合法な殲滅戦に手を出し始めた。

 証拠不十分であり、世間に与える影響が大きいからと『仲間同士のかばいあい』により内密の内に片づけられた事件の中には民間人や捕虜殺害の嫌疑までもが含まれている。

 

 病的なまでに過激な白人主義者であり、軍隊至上主義者でもある彼女たちが亡国機業に参加しなかったのは、単に亡国の幹部であるオータム女史と個人的な諍いがあったからに過ぎず、思想的にはさらに過激なものだった。

 

 そんな彼女たちが今になって日頃から「惰弱」だ「ひ弱」だと陰口をたたいている私の元へわざわざ乗り込んできたのは戦争を求めてのこと“ではない”。

 手っ取り早く効率の良い“手柄”を立てられる場所を求めているだけの事だった。

 

 野心家は安定より変化を、平和よりも乱世を好む。それが栄達の速度を速めて、その幅を大きくすることを彼女たちは過去の歴史から学んでいたからだ。

 が、一方で彼女たちはIS世代の人間だ。戦争を知らないナショナリストで楽天的に戦争を語り、戦争を論じたがる。その延長線上として戦争に興じると言う概念があると信じて疑わないのである。

 “その為人、戦いを嗜む風を装いたがる”である。要するにファッション感覚で戦争したいだけの苦労知らずどもなのだ。さっさと処分してしまいたかったのだが、モンド・グロッソで得た声価が思いの外高く、なかなか決断を下すことができなくなっていた。

 

 せめて何かしらの大きな失敗をするか、公私混同のスキャンダルでも明らかになるまで放っておくかと、暫くはそれを待つつもりでいたのだ。

 

 なにより、混迷の渦中にあったのはアメリカ国内も同様であり、治安維持と緊急時に対応して用意しておいた法整備等に時間をとられてしまい、とてもではないが彼女たちごとき愚物の処理に専念していられるような状態ではなかった。

 

(そのツケを今になって払わされるというわけか・・・いささか皮肉な話ではあるがやむを得まい。どのみちいずれはバレるのだから、今この場で所信再表明をしたところで問題はなかろう)

 

 そう決意した私は彼女たちに向かってこう言った。

 

「日本を攻撃すると発表はする。だが、実際に攻める気はない。日本への攻撃発表と亡国機業残党に対する殲滅戦を見せしめとし、以降は交渉の場こそが私の戦場となるだろう。もう一度言う、日本も世界も私は軍事的に攻撃して占領する気は微塵もない」

「「「なっ!?」」」

 

 大きく目と口を開いて私を見つめる三人の美女たち。それぞれに色の異なる瞳を真っ直ぐ見つめ返し待ち続けていると、最初に復帰を果たしたフォープ准将が神経質そうな顔立ちに額に青筋を立てながら私に詰め寄った。

 

「なぜですか大統領! あなたは以前より主戦派の筆頭で、穏健派の巨頭たるゴップ議長とは対局に位置する鷹派の巨頭でもあったはずだ!

 そんなあなたが今更になって平和論者にすり寄ろうというのか!? マニュフェストにも檄文めいた内容を記しておきながら、我々純粋に祖国を憂える愛国者を騙し続けていたとでも言うつもりなのか!?

 答えろ! ヨブ・トリューニヒト!」

 

 

「その通りだよフォープ君。私は君たち主戦派のバカどもを騙して、ずっと利用し続けてきた。権力の座を手に入れるにはそれが一番手っ取り早く、確実だという事を事実として知っていたからだ。

 ああ、君たちは大変よく踊ってくれた。運命の掌の上で踊り狂い、途中で足を踏み外して転落死するまで、ずっと踊り続けさせて上げたいと願ったほどだよ。

 本当に、ありがとう諸君。君たちバカが支持してくれたおかげで私は再び権力の座に返り咲いた。これでもう、君たち用済みの道具には守る価値はなくなった。どこへなりとも行ってアメリカの正義とやらを唱えてくるといい。

 『良い民衆は生きて私を支持してくれる民衆だけだ。生きていても私を支持しない民衆は必要ない。無論、選挙権を持たない死体は論外だ』韻を踏んでいて、なかなかに良い響きの言葉だろう?」

 

 

 

「「「・・・・・・!!!!!!!」」」

 

 

 唖然とした表情のまま固まって動かなくなる木偶人形たち。護衛のためにと常に張り付けてある例の無個性なIS操縦者に命じて大統領府から叩き出させると、見計らっていたかのようにタイミング良く議長来訪の知らせを受けた。

 

「ふむ、なにかあったのかね? トリューニヒト」

「大したことではありませんよ議長。前々から処分する予定だった豚どもを捨てる好機が来たから実行に移しただけです。政治家たるもの、機を見るに敏でなくてはね」

「尤もな意見だ。ゴミ処理にかこつけて、目の上のタンコブになりつつある三軍司令官たちも適当な口実をもうけて解任させよう。

 “彼”を起用するためには、それくらいの痛みは覚悟せざるを得ないからな」

「分かっております。いかに優秀とはいえ彼は男。IS全盛の女尊男卑時代に軍の高官につけるには、些か以上の無理はどうしても必要でしょうからね。多少の支持率低下は覚悟の上ですよ」

「結構。それで? 彼に通達は?」

「今さっきしましたよ。彼なら後三十分後にはキッチリ来てくれるでしょうね。時間に正確な青年ですから」

 

 満足げに頷いて見せた議長がソファに腰掛けたので、私もそれに習う。

 そのまま彼が来るまでの三十分間、私たちは意図的に勢力を二分させて対立抗争を煽り、自分たちの元に集まってくる人材を一局化していた過去の思い出話で盛り上がり、やがて秘書官が彼の到着を告げる。

 

 時間はきっかり、あれから三十分後。どうやら彼も相変わらずな様で何よりだった。

 

「ワルター・G・F・マイントイフェル大佐、お呼びにより参上いたしました」

 

 うやうやしい口調と人を食ったような表情、そして規律ある軍隊教育を徹底されたと一目で分かる理想的な敬礼が彼の出自をよく表していると言えるだろう。

 

 前世で見慣れた、帝国からの亡命貴族の子弟のみで構成された陸戦部隊の隊長を連想させる帝国人風の雰囲気が私の中のユーモアを微妙に刺激して、合衆国大統領には不似合いな仕草で返礼を返してしまった。

 

「ジーク・ハイル」

「ハイル・アメリカ!」

 

 ぷっと、議長が珍しく本気で吹き出している希少なシーンを視界の隅に捉えながら、私は同じ出自を持つ異世界生まれの青年に向かって両手を広げて見せることで歓迎の意を表わにした。

 

「ーー世界を三局した大勢力、偉大なる神聖欧州帝国覡王陛下の懐刀をお待たせしてしまい、申し訳ありませんでしたな。マイントイフェル大将閣下」

 

 悪ふざけの類で浮かべる笑みを向けながら先ほど注いでおいたワイングラスを掲げながら洒落込むと、相手は微苦笑を浮かべながら肩をすくめて見せる。

 右頬に刻まれた深く大きな切り傷が、欧州風の美麗な顔立ちにやや陰りを生んでいる。

 

「よしてください。私にとって過去の栄光は、前世における人生最大の汚辱でしかありません。

 あの様に自分のしでかした失敗の責任をとることすら出来ないベルリンの伍長に、軍人としての節度を守って忠実に尽くしていたなどという失態はね」

 

 

 ――立案者が誰であろうとも歴史に記されるのは作戦の正否。どれほど地位身分の高い方であろうと、作戦の立案者は責任の一端を担わなければならない。

 変わらぬ忠誠と職務に忠実であることこそ軍人の規範。忠誠に報いる道は職務に忠実に尽くすこと。只それだけだ。

 

 

 常日頃から言い続けている彼の信条だ。

 いかにも生真面目すぎる彼らしい言い分だが、どこかしら私の知っている銀髪の少女と同じ匂いを感じるのは議長も私と同様なのだろう。彼を起用するに当たって一切の反対を示さなかった。

 

 それに何より、この世界で彼女に勝てる参謀が他にいないと言う歴然とした事実がある以上、彼を起用する以外には我々にも道がなかったわけでもあるのだが・・・。

 

 

 

 諸々の就任手続きなどは明日の事とし、私は彼が好みそうな単刀直入な尋ね方で真意を問うてみた。

 

「どうかね、大佐。君なら彼女に勝てるかね?」

「勝つだけでよいのでしたら如何様にもやり様はあります」

 

 即答する彼だが、その顔に意気込みはない。ごく自然に「勝てると思ったから勝てると言った」彼にとっては本当に、それだけのことでしかないのだろう。こういうところも彼女を彷彿とさせるが、セレニアちゃんは間違っても「勝てる」などと断言はしないだろう。必ず不確定要素を考慮して、勝率を低く見積もるはずだ。

 

 だからこそ、彼と彼女が戦う場合には彼の方に一日の長がある。

 

「ですが、閣下が私を氏名して下さった理由が「勝てばそれで良いからだ」等という浅はかなものだとは到底思えません。

 戦略立案とはまず、国家と政府が明確な指針を決定し、国家の進むべき方向を決めた上で明示し、軍部に協力させることから始まります。

 仮に侵略するとして、日本の全領土を焦土と化し、全国民を死滅させるまで戦うのか。それとも講和ないし和平を向こうから申し込ませる事を目的とし、最大限有利な条件での条約締結を目指せと言うのであれば、必要な政治的環境を整えていただけるのか否か。そのための技術的手段として武力の行使を選ぶのか、それとも交渉カードのひとつと捉えてあくまで交渉のテーブルこそが本当の戦場と仮定するのか。

 ここの所を明確に示していただかなければ、我々職業軍人に出番は回ってきませんな。むろん、我々がすべてを決めてすべてを選び、すべてを実行して良いと言われるのでしたらーー平たく言えば私に対して、独裁者になれと仰られるのでしたら話は別ですが?」

 

 我々二人はそろって苦笑し、相変わらずすぎる彼の正論に彼女への思いが強くなる。

 うん、やっぱり似ている。たぶん彼女が男に生まれていたなら、こんな雰囲気の男性になっていたのではないだろうか?

 

 ・・・嫁さんが来そうにないなぁ・・・穀潰しの魔術師でさえ妻の心を射止められたのだから、もう少し頑張りたまえよ?

 

「そもそも政府は、この戦争自体を短期的なものと想定しているのか、あるいは長期的なものになると考えているのか、それすら教えられていない状態では答えようがありませんな。

 勝敗などと言うものは所詮、戦場の勝敗とはまったく無縁なところで決められるものです。一軍人が担当する戦争の一局面など、勝っても負けても大した意味のない些事に過ぎません。

 勝利を得るための条件を整え、戦場の勝利を最大限有効活用して戦争の勝利と成す。これを国家に担っていただかないことには、我々軍人という名の単なる暴力装置に出来ることなどなにもありませんとも。

 所謂、強ければ生き、弱ければ死ぬなどと言う考え方は夢見る子供の妄想に過ぎませんからね」

 

「結構だ。大変に私好みの返答だったよ大佐。

 如何にも軍国主義めいた内容の発言を大声で恥ずかしげもなく叫ぶ輩には、捨て駒としての愛着しか持てない性分でね。君のような人材こそ私の真に求める逸材であり、数少ない対等の友だよ」

「ありがとうございます。

 では、閣下。早速ですが私の友人にお願いしたいことがあります。聞いていただけますかな?」

「ん? なにかね?」

「なに、簡単なお願いです。

 先ほどホワイトハウスから叩き出されていた三人組、どうやら日本に向かう準備を始めたらしいので生け贄として利用したいのです。

 平和のために捧げる貴い犠牲です。彼女たちにもきっと満足していただけるものと確信しておりますよ。ーーあの世とやらでね」

 

 良い笑顔を浮かべる彼に、私も追随してさわやかに良い笑顔を浮かべてみせる。

 

 

「永遠にするつもりのない平和のために」

「次の戦争が起きるまでの平和のために」

 

 

つづく


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