IS学園の言霊少女(本編終了・外伝スタート)   作:ひきがやもとまち

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色々あって言霊ISシリーズが増えすぎたため、とりあえずは原作のギャグ展開を優先して書こうと思い『原典』の二文字を取り外しました。
以後の言霊IS本編はこのシリーズで行く予定です。他のは別作扱いですね、多分ですけど。


注:昨日投稿したテスト版と内容は同じです。


21話「そしてシンデレラ(戦争劇場)の幕が上がる・・・」

「あー・・・ヒドい目に遭わされてしまいましたね・・・・・・」

 

 ヨロヨロと。疲れ切った体を無理矢理動かし(精神的に疲れただけですので体力はあるのです。一応はIS学園生ですからね)休憩時間を教室の外で過ごしていると、後方から「セレちゃーん」と、私を呼ぶ声が聞こえてきました。

 この呼び方は・・・・・・会長さん?

 

「やっと捕まえられたわね、探しちゃった。ちょっとだけお話ししてもいいかしら?」

「・・・まぁ、別に構いませんけども・・・」

 

 ちょっとだけ警戒心を示しながら了承する私。

 と言うのも、会長にしては珍しいことにピシッと!制服を着こなしていたからです。・・・制服着てる姿が珍しい生徒会長の時点でダメすぎる気がしますけど、気にしません。切りないですから。

 

「ありがと。ーー実は生徒会主催でやる劇の演目の内容を一部変更したから伝えとこうと思って」

「劇・・・ですか? 虚さんが準備していたシンデレラはやらなくなるのですか?」

 

 あんだけ必死そうに駆けずり回ってたのに可哀想だなーと思っていたところ、楯無会長は頭を振って「ううん?」と私の推測を否定。

 

「少し違うかな。当初に予定していた一夏君を王子様役に据えて花嫁の座をゲットせよ武道大会みたいなのは無理そうだったから、アドリブで大部分は出来そうな別案に差し替えるだ・け♪」

「はぁ、なるほど。ーー参考までにどうして第1案はボツになったのか教えていただけたら嬉しいなとーーー」

「鈴ちゃんと箒ちゃん以外に、一夏君のお婿さんになりたがってる子がいなかったから。

 そんなの三人だけの身内同士で勝手にやっとけーって感じで中止にしたわ。見せられても、ウザいだけだろうし」

 

 地雷踏んじまったーーーーっっ!!! ショックのあまり立ち直れねーーーっ!!!

 主に私が罪悪感を理由とした神経性の胃痛を要因として!

 

 

「で、こちらの方が念のために私が用意しておいた、第2案の内容なんだけど・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 ・・・ブーーーっ!!

 

 ーーー体育館にて、生徒会主催の劇が始まります・・・。

 

 

 むかしむかし、あるところに王子様のお后様になる人を決める舞踏会に出席するため、身分を偽り姿格好さえもを変えて城へと向かう詐欺師の女の子がいました。

 

 その子の名前はシンデレラ。実の母をグランドピアノで殺し、後妻として招いた家庭教師が自分の思っていたのと違ったから恨んでいて、殺害を正当化する後ろ盾として王子様のお嫁さんになろうと企んでいる、殺意にあふれた美少女です。

 

 

「私にとって大切なのは輝かしい思い出だけ・・・それを穢す者は誰だろうと許さん。皆殺しだ。デッド・オア・デス」

 

 

 ーーしかし、王子様のお嫁さんに成りたがっている女の子は彼女だけではありません。恋愛脳で苦労知らずなボンボンのお坊ちゃんに玉の輿したい女の子なんて、この地上にはゴミのように一杯いるものだからです。

 

 

 まずは、戦乱渦巻く中世ヨーロッパ時代に王族でありながら恋愛結婚したいとか抜かす恋愛ボケした王子様を籠絡し、様々な貢ぎ物を献上させようと目論んでいる異国の姫君カグヤ姫。

 

「ほほほほ、今度はなにを貢がせようかのう? 竜の肝かな? 人魚の鱗かな? はたまた持つ者を王にしてくれるという伝説の聖剣エクスカリバーかな?

 ふふふ、宝物の匂いに胸が躍るのぅ・・・・・・って、竹捕り物語りはそんな話ではないだろう!?」

 

 

 続いて、自分の脳内妄想だけで一つの異世界を作り上げてしまえる驚異的な想像力とイカレた趣味趣向を持つドリーミー少女、不思議の国から来たアリスちゃん。

 

「うふふふ♪ 王子様の舞踏会ってどんな動物たちがいるんだろうね?

 しゃべる猫さんは何猫さんかなぁ? 衛兵さんはタロットカードで出来てるのかなぁ? 楽しみだなぁ、楽しみだなぁ。

 ボクは夢みたいな物語世界が大好きだから、いつまでもいつまでも夢の世界で暮らしていきたいと願い続けているんだぁ・・・・・・」

 

 

 更には、高い塔からのロッククライミングをこよなく愛する、体育会系お姫様のラプンツェル。

 

「塔と言えばマーリン! マーリンと言えば最後は妖精郷にある塔に囚われての永久投獄エンド!

 わたくしは塔から脱走するため、自由を手に入れるため力を求めた貴族令嬢! 籠の中でのみ美しく輝く、ただ待ち続けるしか脳がない深窓の令嬢はもう古い!

 今の時代のヒロインは、欲しいものが出来たときに銃を手に取り飛び立てなければ幸せになどなれないのですわ!」

 

 

 そして他国に雇われた殺し屋で、毒リンゴを武器にしている、ちょっと危険な女の子の白雪姫。

 

「真っ赤なリンゴの~♪ 爆弾さんは~♪ いっつもみんなを~♪ 吹き飛ばす~♪

 うふふふひひひひ。ねぇ、知ってる王子様。リンゴが赤いのはねぇ? ・・・口にした人の血で真っ赤に染まるからなのよぉ?」

 

 

 最後に、一目惚れした男と再会するためなら自慢の声さえ売り飛ばす、恋に狂った海底の都ルルイエの姫君にして「深きものども」や「父なるダゴン」「母なるハイドラ」さえ使役する深海に潜む狂気、人魚姫アリエル。

 

「ちょっ、なんであたしを最後に呼んだの!? キャラ紹介の順番おかしいでしょ、どう考えても!?

 違うからね! 違うからね!? あたしは他の奴らみたいに頭のおかしい恋愛観持ってないからね!? 人魚姫も普通に大好きだし・・・って、さっきから悪意丸出しの解釈しまくるナレーションやめろーっ! 乙女の夢が壊されまくってんでしょーがさっきから!」

 

 ・・・以上の5人によって争われる、王子様という名の自分に都合のいい夢を見させてくれるドリームマシーンを独占するために行われる儀式『正妻戦争』。

 果たして栄光の座は誰の手に!「やめろー! 夢がー! 夢がブークン・ファンタズマしちゃうからーっ!」

 

 

 ・・・そして王子様の傍らにもまた、怪しい人影たちが二柱ほど・・・。

 

 

「ほぅ・・・どうやら敗北者として定められた運命に勝つまで戦い続ける覚悟をきめた者たちが、この場に集まろうとしているようだぞ我が友よ?」

「そのようだねぇ、我が友よ。うん、実によい覚悟をした顔だ。実によい戦争をしてくれそうな顔をしている者たちだ。私と彼は諸君等を祝福しようじゃないか。諸君らが行おうとしている戦争のすべてを私は肯定する」

『さぁ、殺し合え人間たちよ。運命に抗うために。運命を屈服させるために。運命を軍靴で踏みにじり、泥をかませ、押し潰すのだよ何度でも。

 それをしようと思わずに運命を受け入れる奴隷ごときが生きている資格はない。ここはそういう場所(戦場)になる』

 

 

「ふーむ、今日の親父は妙にハイテンションだなー。なにか良いことでもあったんだろうか? どう思うよ王子の友達貴族のジェークイズ。・・・ジェークイズ? おーい、ジェークイズくーん、返事しようぜセレニア・ジェークイズ君様ちゃ~ん」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」←男装させられてるロリ巨乳なジェークイズ。

 

 

 

 ーーさて、ここで舞踏会の開かれた理由について説明しなければなりません。

 普段は関係者以外立ち入り禁止の王宮が、招待状を持っていて身なりさえキチンとしてればパスできる、警備体制ホグワーツ以下のユルユル舞踏会を開くのには訳があったのです。

 

 それは王子様がお嫁さんを娶ってもおかしくない年齢になっているにも関わらず、自分にふさわしい理想の女性が国内外の貴族子女の誰を捜しても見つけられなかったからです。

 

 

「ああ! どこかに俺がもっとも理想とする、目つきが悪くてスタイルが良くて胸がデカくて背の高い、世間的な評価は高いのに家に帰ると中年オヤジ並の生活しかできないズボラさを遺憾なく発揮してくれる、弟がいなければ生きていくことさえ出来なさそうな実の姉っぽい赤の他人女性はいないのだろうか!?

 もしいてくれたなら、私はいつ何時でもその人の心と体を受け入れる準備は済ませてあるというのに! 中学生の時からな! 思春期だったし‼」

 

「いませんて・・・。そんな赤の他人で実のお姉さんの代役出来そうな女性なんて、世界中どこを探しても実在できません。血縁関係的な理由によってね・・・・・・」

 

 王子さまの親友、斜に構えた皮肉屋でひねくれ者のジェークイズは今日も冷淡です。

 

「なんでしたら、平行世界なりパラレルワールドなりに探しに行かれてみては如何です?

 こことよく似たといいますか、ここよりももっと格好良くて凛々しい貴方がいる世界に行けば、もしかしたら理想的な妄想姉と実の姉弟している貴方にも会えるかもしれませんが?」

「バカな!? なにを言っているのだジェークイズ! お前らしくないにも程がある!

 実の姉と弟では、法律上の理由によって結婚できないではないか!?」

「・・・さいですか・・・・・・」

 

 王子様は国中で知らぬ者など存在しない超人気マンガ「お姉ちゃんさえいればいい。」の覆面作者でもある『脳内お姉ちゃん大好き人間』な社会不適合者だったのです。

 

 だからこそ父親である王様は、手段を選ばず相手も選ばず危険さえも省みることなく、息子である王子様の花嫁選びに舞踏会という名の歌劇場を造り上げたという訳なのです。

 

 

 

『さぁ、我が息子を巡って存分に殺し合うがいい人間たちよ。

 君たちに物語の主役となるための条件を教えてあげよう・・・。

 ―――《神(作者)の玩具》になることだよ―――』

 

 

 

「・・・む? よく考えてみたら近親相姦モノも悪くはないな・・・。

 全年齢向けの法則に閉じこめられた次元の壁を突き破って、18禁展開のおっぱいハーレム世界が広がる明日へ進めるかもしれないし・・・」

「・・・アンチしたくなるスパイラルな展開になりそうですね・・・」

「俺の・・・いや! 男の性欲は無限だ! 宇宙ぐらいの狭さで収まりきるものか!

 限界はパワーアップする度に超えられる踏み台にすぎない! たかが階段の中二階ごときに俺の欲望を止められるわけがない!

 俺のエクスカリバーは、穴の壁を貫き破るためのカラドボルクだぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

「・・・くっくっく・・・。苦労知らずのガキ共が暢気なお遊戯で遊んでいやがるぜ! この混沌とした混乱の中なら誘拐は容易・・・。ーー見てやがれ!

 この私を女性未満だとか抜かしやがったフランスの小娘も含めて全員に、地獄の苦しみって奴を味わい尽くさせてやる!

 世界に混沌を振りまく亡国機業の恐ろしさってもんを教えてやるからなぁぁぁっ!」

 

 

 

 

 

 ――こうして舞踏会開始の狼煙は上がりました・・・。

 

つづく


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