IS学園の言霊少女(本編終了・外伝スタート)   作:ひきがやもとまち

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他の方からアドバイスをして頂きまして、本編完結してからに拘らずに「IS戦争編」執筆開始以前に想定していた本来の言霊ISを書いていきたいと思います。

今回のは原典版の19話に当たります。議長とかトリューニヒトとか出てこないバージョンの言霊です。

注:増えすぎた言霊ISシリーズのアイデアを纏めるため本編ギャグルート一択に絞らせて頂きました。以降の更新は今シリーズが基本となります。
他のをいだすとしたら別作品として出そうと思ってます。


19話「学園祭準備は遊びじゃない。混沌さ!」

「巨乳喫茶がいいと思うんだ」

 

 織斑さんが言いました。

 IS学園1年1組の教室で。放課後の特別HLの最中に。一週間と数日後に迫ってきているIS学園学園祭の出し物を決めるための意見を徴募し。生徒それぞれが個人的趣味趣向を交えた提案をしている中で。

 

 堂々と片手を上げて挙手して指名されて立ち上がり、胸を反らしながら堂々とのたまってくれやがりました。

 

「巨乳喫茶がいいと思うんだ」ーーと。

 

 ・・・・・・本気で言葉もありません。彼をこんなにしてしまった責任を、私は取ることができるのでしょうか? 取れるレベルの被害額なのでしょうか?

 いえ、そもそも責任さえとれば許してもらえるほど軽い罪なのか否か、それすら不明でお先真っ暗な彼の将来設計。

 

 ・・・・・・あぁー・・・割れるように胃が、痛いぃぃー・・・・・・。

 

 

「ーー織斑さん、そのようなアイデアを出されても困りますわ。物事には限度という物があるのですわよ?」

「ふむ・・・やはりダメなのか?」

「ええ。さすがに巨乳喫茶ではいささか間口が広すぎますので、貧乳好き普乳好き奇乳好きと多種多様なニーズに対応し切れません。ニッチ産業だからといって、買うべき所で爆買いするオタクたちのマニア心は侮るべきではありませんわよ?」

「そっちなんですか・・・!? そっちなんですか心配してたの・・・っ!?」

「ええ、もちろんですわ。ーーむしろ、他に何がありますの?」

「いや、最後だけいきなり鬼の仮面付けた人みたいな口調で聞かれましてもね・・・」

 

 なぜだかイギリス貴族の御令嬢が、アメリカ軍人の侍青年を真似しだす場所。それこそが現在のIS学園1年1組、私が所属する《インフィニット・ストラトス》物語の舞台です。・・・なぜだか悲しくなってきたんですけど、泣いていい?

 

 

「しかしなセシリア。他のにしても禄なのが出ていないのだが?」

「そうなんですわよねぇ・・・」

 

 はぁ、と溜め息をつく実質クラス委員長を勤められてる副委員長のセシリア・オルコットさん。教壇に立ち会議を主導していらっしゃる指揮官殿です。

 そして私の隣の自席に戻り座りながら議場を睥睨していらっしゃるのは織斑一夏さん。このクラスの委員長でありクラス代表を務められてる男性で・・・って、おい。働けよアンタ、副委員長に仕事押しつけてないでさー。上がそんなだと下の者まで士気が落ちちゃうじゃないですか。まず隗より始めていただきたいのですが?

 

「ふっ。安心しろよセレニア。トップはいつだってナンバー2に仕事を押しつけて、責任もとらない。それが日本人の大好きな、争い合わずに保身を謀って他者へと押しつける平和的外交のあり方ってものだろう?」

「・・・・・・あなた、どこの海洋国家からきた狸さんなのですか・・・」

「向こうが数を頼むイギリス狐なら、こっちは日本らしく狸に化けるしかないだろう?」

 

 ・・・こうして現代イギリスと古式日本による戦いの幕が上がり、ルメリアナ大戦っぽくない理不尽そうな大戦がはじまったのでした。できればイスラム系国家の代表候補もヒロイン枠にいて欲しかったです。

 真面目そうなのでね。ムハンマド君風に。

 

「『男装女子たちによるホストクラブ』『水着でツイスターゲーム』『指名した相手との有料ポッキー遊び』『王様の仕事は接待ゲーム』・・・・・・どれも文化祭でやる出し物としては、ありふれてる物ばかりですしねぇ・・・」

「ありふれてるんですかね・・・? それらって・・・」

「ええ。二次元世界の学園祭では定番な物ばかりです」

 

 ゲームじゃねぇか! ゲームの話じゃないですか! リアルと二次元混同するなよですイギリス人!

 

「なら、メイド喫茶はどうだろうか?」

「・・・ボーデヴィッヒさん?」

 

 珍しく軍人らしい口調で意見を発された愛娘ーーじゃなかった。ドイツから来ている代表候補で専用機持ちのラウラ・ボーデヴッヒさんからの提案を耳にした瞬間、アイデア内容よりも先に凛々しい口調と表情に成長を垣間見た思いがして不覚にも喜んでしまった私はもうダメかもしれませんね・・・。

 

「客受けはいいだろう。それに、飲食店は経費の回収が行える。確か、招待券制で外部からも入れるのだろう? それなら休憩所としての需要も少なからずあるはずだ」

 

 おお!と、あのボーデヴィッヒさんがまともな口調で普通に提案してきた事実を目と耳にたクラス中が沸きあがります。「おめでとう! 君ももう一人前の立派なIS操縦者だ!」ーーこら、人の娘をヒステリーでコミュ症の最強ニュータイプ少年扱いしないでください。前まではそれっぽかったですけど、今は違いますから。精神崩壊おこして良い子になりましたから・・・って、あれ? なんか間違えてませんでしたか今の。主に倫理的な問題で。

 

「・・・確かに一般論としてなら、学生が学園祭でやる出し物として喫茶系の軽食店は鉄板であり定番でもあります。単価が安く大量生産も利く、という点から見ても学生には魅力的に写ることでしょう。

 たとえ、素人が一週間かそこらの短期間で作れるようになったにわか仕込みのB級グルメだろうとも『女子高生が手渡しで売ってくれるから』というフレーズだけで購入を決める購買層も多いでしょうしね。

 実際問題、IS学園生徒のプロマイドは他の学校に通われている大きなお友達の方々にも高く売れておりますし。ウハウハです」

「売ってるんですか・・・共に机を並べて学びあう学友たちのプロマイドを・・・・・・」

 

 イギリス貴族で女子校生経営者でもあるオルコットさんは意外とガメツかったようですね・・・。

 

「あら、心外。わたくし許可をいただけた方以外の写真は制作資料としてしか使ったことありませんわよ?」

「許可・・・もらえるんですか・・・? 国立高校の女子高生なのに・・・?」

「無論です。将来的には元IS操縦者という経歴を持つISアイドルとして芸能界入りを目指して入学を決める方も多い学校ですから」

「堀越学園みたいですね、この学校・・・・・・」

 

 まぁ、専用機・量産機あわせても20に満たない数しか保有してない学校に通って国家代表目指して努力するよりは堅実だとも思いますけどね。

 

「話を戻しますが、基本的に学園祭で提供される学生たちの軽食が売れるのは、お祭りムードに当てられたお客様方が財布の紐を自ら弛めてくれてるからであって、儲かる理由も粉物料理は原価に対して末端価格が跳ね上がるからと言うのが実状でしてね。

 売れはすれども、人気投票で良い点を取れるとは限らないのが軽食喫茶経営ですのよ? 特別助成金ほしくはありませんかラウラさん?」

「・・・あぅ~・・・やっぱりダメでしたかー・・・。ラウラ、お母様のお役に立ちたくてガンバってお勉強したんですけどダメだったですぅ~・・・・・・」

 

 ああ、良かった! いつものボーデヴィッヒさんでしたね! 駄目駄目ボーデヴィッヒさんです! やっぱりこっちの方が落ち着きますよね安心できます。世はなべて事もなし!です!

 

「尤も、うちの学校の場合には「見目麗しい女子高生が作ってくれること」それで作られた料理を「手渡しで渡してくれるかもしれないこと」などが人気要因として追加されますが、これは他のクラスとても同じ事。うちだけのメリットとは呼べません。

 美少女率の高さだって個々人で好みがありますからね。あまり油断すべきではないでしょう」

「専用機持ちが多い点は?」

「わたくしたちだけで客寄せするなら、クラス内限定でミスコンでも開催した方が早いですわよ?」

『あ~~~~・・・・・・』

 

 誰もが納得する理屈。プラスです。

 

「なにより厄介なのはこの点です。メイド喫茶の『メイド』の部分。これが非常にいただけません」

「??? なんで? コスプレっぽくていいじゃないの。かわいい女の子がコスプレして接客してくれるなら来てくれた人たち、みんな喜ぶんじゃない?」

「そこです。そこが最大の問題点なのですわ」

『そこって・・・・・・・・・・・・どこ?』

 

 クラスみんなでユニゾン疑問ツッコミ。1年1組は相も変わらず仲良しクラスでした。

 

「皆さん、よく思い出してください。私たちの通う学校の校則を。IS学園の規則を!」

「え~~と・・・・・・生徒手帳はどこ置いてきちゃったんだっけか? 確か三ヶ月前までは内ポケットにあったようななかったような・・・」

「そうなのです! わたくしたちの通うIS学園の制服カスタムは自由!

 スカートをドレス風にして編み上げブーツ履いたまま学校の廊下を闊歩してても何も言われず、女子がズボンを履いて軍服っぽく改造した姿で戦争利用禁止のIS操縦者育成学校内を歩き回っているのに問題視されることは今の今まで一度たりとも無し!

 ドレス! 軍服! 女子高生がこれらを纏った姿を衆目の眼前に晒すこと! それ即ちコスプレ! わたくしたちは日夜コスプレして学校に通うコスプレイヤー女子高生の集団だったのです!

 IS学園は東京ビックサイト以上のコスプレ女子率を誇るオタクの聖地だったのですわ!」

 

 

 

『な、なんだってーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!???』

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

「ーーえ? あれ。もしかして今の今まで皆さん気づいてらっしゃられなかったので?」

『ぶっちゃけ、初耳でした』

「そうですか・・・・・・」

 

 なんかもう・・・どうでも良くなってきちゃったなー、もー。

 

「つまり! わたくしが何を言いたいのかと申しますと、コスプレ姿での通学が当たり前になってるIS学園にわざわざ招かれてきているのに、平々凡々なそこいらの町中でいくらでも見かけられる出来損ないのなんちゃってメイドさんが屯している喫茶経営なんて上手くいくはずも無し。他のクラスでもどっかが思いついてやるのも間違いようのないアイデアですのでインパクトは薄いのではないかなと」

『あー、なるほど。納得できました』

 

 皆さん一斉に頷かれましたね。・・・いいのですかこれ、本当に・・・。なんだか盛大に原作をぶっ壊しちゃった時特有の胃の激痛がスゴくなってきてるんですけども・・・・・・。

 

「できればIS学園にこない限り肉眼では決して見る機会のない出し物なんかが理想的なのですが・・・ないですわよね? そんな都合のいい妄想の産物現象はーー」

「異議あり!」

「ーーぴゃわっ!?」

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シーーーーーーーーーッン・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

「・・・ねぇ、今の悲鳴誰が上げたの? なんか物スッゴく女の子らしくて萌えボイスだった気がしたんだけど?」

「わたくしじゃないですわよ? この程度の不意打ちで驚いてたらスナイパーは勤まりませんから」

「私でもないな。・・・幸いなことに席が遠くて驚くのが遅れた。正直、危ないところではあったが・・・」

「ラウラは爆音大好きです! ドイツは戦車のお国です!」

「う~ん・・・これって夫としてフォローして上げるべきなのかな? どうなんだろうね。本音ちゃんはどう思う?」

「にゃはははは~☆ わたしはいつでもセレにゃんの味方だよ~♪」

「・・・・・・・・・・・・(//////////)」

 

 

「ーーま、武士の情けならぬ騎士の情けで聞かなかったことにして上げて。・・・あらためまして、異議ありとは何についての事なのでしょうか? 更識楯無生徒会長さん?」

「あらら~、警戒されちゃってるみたいね~♪ 今までが今までだから無理ないことだけど、今回は本当の本気でただアドバイスに来ただけなのヨン?」

「・・・・・・『タダより高い物は無い』・・・日本にはそう言う諺があるとお聞きしましたが?」

「あははー♪ お勉強熱心なのねーセシリアちゃんは☆

 でも、安心して。別にタダで情報提供して上げると言ってるだけで、私個人が得る物の何にもない提案をしに来た訳じゃないから。商談は双方にとってのWin-Winが理想であり基本だものねー★」

「・・・利益? 会長さん個人にとってのですの?」

「そうそう。私が提案したのは・・・・・・」

 

 スタスタスタと。今日は珍しく普通に服来て教室入ってきた楯無会長さん。・・・なんかもう、今の言葉が普通に出てくる時点で普通じゃないって所がね。うん。

 

「ズバリ! これでーーーーーーすっ!!!」

 

 

 

 

 ばばーーーーーーーーーっん!!!

 

 ずばばーーーーーーーーーっん!!!

 

 

 

 ・・・・・・もくもくもく・・・。

 

 

 ーー霧を操り水蒸気を発生させてまで出してきた横断幕に書かれていた文字は・・・・・・。

 

『『IS学園名物、ISスーツ喫茶ぁぁぁ???』』

 

 

 ・・・やっぱりトチ狂っておられましたか、全裸会長さん・・・・・・。

 

 

「そう。ーー何かとエロ規制に厳しい世の中になった現代日本。この中にあって唯一クリーンなイメージを残したまま存在を許されてきたエロ衣装、水着!

 それさえも世間の荒波には耐えきれなくて次々と普段着とあんまし変わんない水着に取って代わられていってる今の世の中で合法的に露出が楽しめる衣装があるとするならば世界中に一つしか残されていないと断言できるわ!

 そう! それこそが水着や下着とあんま変わんない、ぶっちゃけパンツ一丁よりもエッチく見えるときが偶にあるISスーツ姿なのよ!

 ・・・・・・正直、ISスーツがよくて下着がNGという境目が私にはよく理解できないことなんだけどね・・・・・・」

 

 い、いやまぁ・・・そこはほら、あれですよあれ。「そう言う物」だからとしか言い様が・・・。

 

「というわけだから、1年1組の出し物は『ISスーツ喫茶』に決定! 拒否は許さないわ!

 少年法も日本国刑法も憲法すらも対象外な治外法権の地IS学園ロストグラウンドの頂点に立つ、本土から派遣されてきた名門当主の権力を甘く見るな!!

 なんだったらロシア代表としての職権乱用して石油値上げさせるぞこの野郎!」

 

『横暴だ! というよりも暴君だ!!』

 

「私に服を脱がさせろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!」

 

『本音が、出たーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!』

 

 

 ・・・なんとなく懐かしく感じてしまえる阿鼻叫喚地獄。私もずいぶんと染まってしまったものですね・・・。

 

 ーーま、いいでしょう今回は。普通だったら恥ずかしがるところなんでしょうけど、先も言ってたとおり私たちにとってISスーツは普段着同然。寮生活してますから制服の次に着る機会の多い衣服といっても差し支えはございません。

 

 今更人に見られるぐらいで難易度はさして上昇しませんよーーーーーーーーー。

 

 

「・・・よし。ならこうしてはどうだろうか?

 全部くっつけて『ISスーツにメイドカチューシャ乗っけてエプロンを前に巻いた、メイドっぽいナニカさん的な少女たちとゲームして遊べる喫茶』にするというのは?」

 

 

 

『なにソレ。スゴくおもしろそうかも。即採用』

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

「セレニアさん。一人だけサボったりしたら罰ゲームですわよ?」

「そう言うだろうと思って買ってきておいたぞオルコット。ケモノ耳カチューシャと尻尾だ」

「あら、用意がよろしいこと。さすがは雑用担当委員長の織斑さんですわね」

「ふっ。伊達に特別景品として出展されたら拒否されたりはしてねぇぜ!」

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(; ;)ホロホロ」

 

つづく


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