IS学園の言霊少女(本編終了・外伝スタート)   作:ひきがやもとまち

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本編終わったばっかりなのに御免なさい。昨日頃から急激にギャグセンスがぶり返して来てまして、言霊ISの方でも書いちゃいました。
『当初』とは微妙に違いますけど、『途中から考えてた』セシリア・鈴ルートに向かう場合の世界観紹介です。

続きは思いついてますが、セレニアの立ち位置を転生者ではなく本当の少女にして一夏の義理の妹設定にするか、それとも普通に適性値低すぎるから珍しくての入学組にするか、はたまた計測値で数値が出ないのにISが動かせるけど超弱いとかの変な設定にするかで悩んでますので今しばらくお待ちください。

なお、本編が終わりましたので今シリーズは純粋なギャグ作品に戻ります。ご承知おきくださいませ。


『鈴・セシリア』ルート
序曲「新たなる戦いの大バカ話です」


 『白騎士事件』。

 今から十年と少し前に起きたこの事件において、日本は世界各国からハッキングされたミサイル数百発による攻撃を受け掛けた。

 

 ーーが。

 

 日本国内で民間人が騒ぎ立てる様子は見られず、テレビや僅かに生き残っていたラジオから避難勧告や非常警報なんかがうるさいぐらいにがなり立てる中を平然とシブヤに行ったり六本木ヒルズへ行ったり東京スカイツリーを観光するため登ったりして過ごしていた。

 あるいは、事件が起きる三日前から『北○○が日本海に向けて弾道ミサイルを発射しました』という報道がテレビで流れ続けていて、その全てが誤報だったと発表された直後だったのが良くなかったのかもしれない。

 

 平和ボケした日本国民に「世界各国の核ミサイルがハッキングされて日本に向かって飛来中。至急シェルターへ避難してください」等といきなり言ったところで信用されるはずもなく。

 世界が驚愕させられた時代を変える大事件の当事国だけが他人事のような気分で、テレビの向こう側の出来事として『白騎士事件』を横目に日常を謳歌し続けていたのである。

 

 事態が変わるのはミサイル落着まで後数秒に迫った頃。

 突如として空に現れた白銀の騎士が、日本の国土を背後にしながら不退転の意志の元『守り抜く為の刃』を抜き放ち、襲い来るミサイル群を迎撃し始めるシーンを『テレビ中継された画面で見つけた子供が』大きな声で叫んだときである。

 

 

「スゴイ! カッコいい! ロボットだ! ロボットがミサイルを切る『アニメ』をやってる!!」

 

 

 彼の悪意ない一言によって日本はようやく騒然となる。ーー超クオリティの高い、新作ロボット映画のPVによって・・・・・・。

 

 

「スゲェな、これ本当にCGかよ。FSXマジパネェ」

「ばーか、こんなにもリアルな映像がCGなはずねーだろーが。どう見たってポリゴンだろ。ファイナ○ファンタ○ーだよ」

「?? どう違うんだ? その二つって」

「いや、そりゃお前アレだよアレ。マジヤバイ技術って奴だよ」

「アホか。ヤバいのはお前の頭ん中身だろうが。ホント、マジヤバイってそれ。ヤバすぎるって。どれくらいヤバいかって言うと超ヤバイ」

「マジで? 来月受験なのに俺ヤバくね? ヤバくね? くね? www」

 

 

 日本が本気でマジヤバイ状況に陥ってる中、日本の若者たちが国内各所で「マジヤバイ」を連発しまくる謎の魔術儀式がおこなわれ、夜になってから詳しい詳細を伝えるニュースをお茶の間で聞きながら、子供はお父さんとお母さんを見上げて不安そうに尋ね掛けるのだ。

 

「ねー、ねー、お父さん、お母さん。カデンリュウシホウってなに?」

「うむ。カデンリュウシホウと言うのはだな。その昔、お父さんたちのお父さんたちがアメリカとかの国と戦争するために作った悪い道具の名前なんだよ。

 だから、戦争をしなくて良くなった今の日本に生きるお前には覚える必要ないから、もう寝なさい」

「お父さん! 知ったかぶって変なこと、この子に吹き込まないでくださいよ!

 それに何よりカデンリュウシホウじゃありません。大型家電リュウシホウです。新発売される大型の家電製品のことですよきっと。ちょうど明後日が休みなんですから、デパートにでも行って見せてもらってきましょう」

「う・・・む・・・。明後日かぁ・・・釣りに行きたかったんだけどなぁ・・・・・・」

 

 

 テレビが伝える兵器の情報に『戦争に詳しい奴はオタクかマニア』という認識しか持ってない大半のご家庭ではトンチンカンなやり取りしかされず、数週間後にアラスカで調印された『IS運用協定』についても注目されたのは一カ所だけ。

 

 

「ISの操縦者育成を目的とした教育機関を設立して、その運営および『資金調達は原則として日本国が行う』義務を負う」

 

 

 アラスカ条約、通称「IS条約」に明記されたこの一文が公開された時には「ふーん」程度の反応しか返さなかった日本国民たちだったが、続いて政府が発表した「IS学園建設に必要な財源確保のための増税」の話を持ち出すと怒り狂って反発しだした。

 

 

 ーーーこれが日本国内で起きた『白騎士事件』の影響による顛末。その全てである。

 

 

 この事件以降、日本を含む世界各国は今までの男尊女卑的思想から女尊男卑へと急激に変わっていくことになるのだが。日本の場合は当時の時点で男が大して強くはなかった。

 

 見せかけだけの勢いならあったが、それらは基本的に地位と名誉に伴う収入の高さによって維持されてきただけのものであり、女尊男卑政党が政権をとってからは女性優遇社会へと日本は変わり、女性の社会進出が加速して一人でも生活していけるだけの収入が得られる女性が多くなると男たちの権威は一気に減衰傾向へと直走るようになっていく。

 やがて、『弱者の立場に慣れること』にかけては世界中の如何なる国にも劣らない国『現代日本の若者たち』は女尊男卑社会にも適応し、逞しくも狡賢く今日という日をそこそこ幸せに生きている。

 

 

 これは、世界で唯一『世界最高戦力IS』を、兵器として見ていない国にある『世界で唯一のIS操縦者育成機関』に入学させられることになった少女と、彼女に惚れてバカになった少女たちとの社会生命を掛けた壮絶な戦いの物語である。


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