俺、アークプリーストです   作:アリオス@反撃

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これからの方針

 

翌日。ダクネス、めぐみん、モミジの3人が冒険者ギルドに集まった。和真、アクアはまだ来ていない。

 

「うっす。ダクネス」

 

「こんにちは。ダクネス」

 

「うむ、二人とも。二人はよく一緒にいるのだな」

 

「そりゃまぁ、一緒に住んでるからな」

 

「………は?」

 

「こいつ、俺の言うことなんでも聞いてくれるみたいだから、家で雑用やらせてる」

 

「ちょうど、住むところもお金もなかったのでちょうのよかったです」

 

「………お前ら、それ同棲って事になるぞ?」

 

直後、二人ともプフッと吹き出した。

 

「なっ、ななな何を言ってるんですかダクネス!」

 

「だってそうだろう。お前ら歳はいくつだ?」

 

「13です……」

 

「15だけど?」

 

「背伸びした思春期のカップルといった感じだな」

 

「ち、違います!ありえません!こんな男と!」

 

「おいー誰がこんな男だ雑用。あとクソドM、俺がこんなクソガキ相手に欲情すると思ってんのか」

 

「だ、誰がMだ!」

 

「いやそれは無理あるから。とにかく、俺がこの厨二と恋人になるなんてありえない。ここから俺が紙飛行機を放ってそれがたまたま上手く飛んでたまたま風に乗ってたまたま自然の力によって運ばれてたまたま魔王の城に届いてたまたま魔王の部下の目につかずにたまたま魔王の部屋に入ってたまたま魔王のたまたまに突き刺さって仕止められる虚数の彼方のたまたま率だ」

 

「そ、そこまで言われると流石にショックです……」

 

「酷い言いようだな……。ま、まぁでも0%ではないんだし、あまり気にすることないんじゃないか?めぐみん」

 

「まぁそうだな。確率的には0%ではない。………限りなく0に近いけど」

 

「……改めないで下さい」

 

「いや、嫌いって意味じゃなくて」

 

めぐみんがあからさまにショボンと肩を落としてると、和真とアクアがやって来た。

 

「よう、3人とも。お待たせ」

 

「……ほう、見違えたではないか」

 

「おおー。カズマが、ようやくちゃんとした冒険者みたいに見えるのです」

 

ダクネスとめぐみんが感嘆の声を漏らした。そう言う通り、和真はようやくジャージから着替え、革製の防具を身に付けていた。

 

「おお。買ったのか新しいの」

 

「あーまぁな。それより、さっそく何かクエスト行こうぜ」

 

「だな。じゃ、また繁殖期に入ったジャイアントトードをブチ殺しに行こうぜ」

 

「「カエルはやめよう!」」

 

めぐみんとアクアが揃って嫌がった。

 

「大丈夫、今回はお前らを餌にするつもりはねーよ最初は。そこにうってつけがいるしな」

 

「今、最初はって言った!」

 

「何にせよ嫌です!モミジの言うことなんて信用できません!」

 

このまま強行しても、こいつらテコでも動かないと思ったモミジは、和真を見た。

 

「まぁ、確かにトラウマ再発してこいつら使い物にならなくなると面倒だし、別のにするか」

 

そう言ってから、和真は掲示板を見た。

 

「緊急クエストのキャベツ狩りは除くとして、このメンツでの初クエストだ。楽に倒せる奴がいいな」

 

和真の意見に、アクアが小馬鹿にしたように口を開いた。

 

「これだから内向的なヒキニートは……。そりゃあ、カズマは一人だけ最弱職だから慎重になるのも分かるけど、私をはじめ上級職ばかり集まったのよ?もっと難易度の高いクエストをバシバシこなして、ガンガンお金を稼いでドンドンレベル上げて、それで魔王をサクッと討伐するの!というわけで、一番難易度の高いやつをいきましょう!」

 

和真とモミジは黙ると、顔を見合わせ、頷いた。そして、まずは和真から口を開く。

 

「………お前、言いたくないけど……。まだ何の役にも立ってないよな」

 

「⁉︎」

 

ショックを受けるアクアなどどこ吹く風といった感じで、モミジが続ける。

 

「カエル退治むしろ退治され、キャベツの時は他の冒険者に水配ってただけの上、序盤はキャベツに翻弄されて号泣、俺とのタイマンの時は何も出来ずに敗北判定」

 

「うぐっ……!」

 

「戦闘前だけ馬鹿みたいに威勢良くて、いざ戦闘になると勝手に突っ込んで食べられて号泣するじゃん?」

 

「聞いた話だと最初からステータス高いらしいけど、それ使ってるところ見たことないんだけど。つか、そもそもお前なんで宴会芸スキルなんて覚えてるわけ?」

 

「馬小屋でもいつも昼近くまで寝やがってこのフリーター穀潰しの元ナントカ」

 

「わ、わあああーっ!」

 

和真とモミジに交互に言われ、机に突っ伏して泣き出すアクア。それを見て、めぐみんとダクネスが呟いた。

 

「……カズマとモミジが組むと最強最悪の口撃力になりますね」

 

「ストレス溜まってるのなら……アクアの代わりに私を汚く罵ってくれて構わないぞ。二人がかりなら……これはもう、どんな快楽があるのか……!」

 

後半は無視した。和真が改めて言った。

 

「まぁとにかく、俺はなるべくアクアのレベルを上げてやりたいんだ。一応、最初から上級職についてるわけだし、育てりゃ強くなんだろ」

 

「まぁそれは分かるが、プリーストは一般的にレベル上げが難しい。何せプリーストには攻撃魔法がないからな。モミジはどうやってレベル上げしたんだ?」

 

「あ?俺?モンスターを杖でタコ殴りにしてたな。死ぬまで」

 

「……………」

 

「後は……あれだ。アンデッドに回復魔法かけまくってた。あいつら相手にゃ一番効くし」

 

「ああ、なるほど……。よし、じゃあアンデッド族を狩ろう。だが、問題はダクネスの鎧が戻ってきてないことなんだが……」

 

そう言う通り、今日のダクネスは鎧を修理に出してるからか、タイトな黒のスカートに黒のタンクトップと革ブーツだ。

 

「大丈夫だろ、俺の魔法もあるし」

 

「うむ。伊達に防御スキルに特化してるわけでもないしな。鎧無しでもアダマンマイマイより硬い自信がある。何より、殴られた時は鎧なしの方が気持ちいいしな」

 

「………お前今殴られると気持ちいいって言ったか」

 

「………言ってない」

 

「言ったろ」

 

「めぐみんはこうなってくれるなよ……」

 

「モミジ、そのよく分からない親目線やめて下さ……ちょっと頭撫でないでください。それより、あとはアクアにその気があるかじゃないですか?」

 

めぐみんが言うように、全員はアクアに視線を向けた。

 

「おい、いつまでもめそめそしてないで会話に参加しろよ。今、お前のレベルのこと……」

 

和真がアクアに手を伸ばして肩を叩こうとした時だ。

 

「……すかー………」

 

いびきが聞こえた。すると、和真もダクネスもめぐみんもモミジを見た。

モミジはうなずき返すと、しゃがんで、机の下にあるアクアの足を掴んだ。

 

「パワーバーストレベル5」

 

ギルドの天井から、青い流星が悲鳴を上げて空を駆け上がった。

 


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