俺、アークプリーストです   作:アリオス@反撃

12 / 17
多勢に無勢

 

 

デュラハンがモミジに突撃した。剣で正面からモミジを切り捨てる。それを横に回避した。

 

「『クイックトレード』」

 

「むっ!」

 

デュラハンは頭をしまって両手に石ころを持った。直後、デュラハンの石と、モミジの石が入れ替わる。

 

「あっ」

 

「やはりな……。その技は座標の入れ替えがタネか。こんな時のために、石ころを馬鹿みたいに持って来た」

 

おそらくドヤ顔してるであろうデュラハンは、腰巾着に入った石を自慢げに見せ付けてきた。

 

「………おい。モミジ。あいつ全然中ボスキャラっぽくないぞ。それどころか、冒険者を倒すためにの技対策までしてきてるぞ」

 

隣に立ってる和真が呆れた声で声を掛けてきた。

 

「それな。それだけ前回に頭ボコボコにされたのトラウマになってるんだろ」

 

「余所見をするなぁッ‼︎」

 

続いて攻撃してくるデュラハン。それでもモミジは慌てなかった。

 

「クイックトレード」

 

直後、モミジの姿が消えて、ダクネスが現れた。

 

「プロテクトバーストレベル5」

 

硬さがアップしたダクネスが、デュラハンの一撃をガードした。

 

「だから貴様!仲間を盾に……!」

 

「余計なことをするなモミジ!」

 

「そうだ、お前からも言ってやれ!」

 

「余計な魔法をかけるな!魔法無しの方が気持ち良い!」

 

「そこじゃねぇだろ‼︎」

 

あいつはもうダメだな、といった目線を全員がダクネスに向ける中、デュラハンは手を上にかざした。

 

「ふん、貴様がそのつもりならいい。こちらもこうさせていただく」

 

そう言うと、掲げた右手を振り下ろした。直後、アンデッドナイトの大軍が出てきた。

 

「街の連中を。……皆殺しにせよ!」

 

アンデッドナイトの集団はワラワラと街の方に向かう。そこに、アクアが立ち塞がった。

 

「『ターンアンデッド』ー!」

 

アンデッドナイトの1匹に直撃した。かなり効いたように見えたが、アンデッドナイトは消滅しない。代わりに、全員がアクアを睨んだ。

 

「あっ」

 

そして、全員がアクアを追いかけ回した。

 

「わ、わああああーっ!なんで私ばっかり狙われるの⁉︎私、女神なのに!神様だから、日頃の行いもいいはずなのに!」

 

「ああっ⁉︎ずっ、ずるいっ!私は本当に日頃の行いは良いはずなのに、どうしてアクアの所ばかりアンデッドナイトが……っ!」

 

神様らしくないことを叫ぶアクアと、どうしようもないことを叫ぶダクネス。その様子を見ながら、モミジは和真に言った。

 

「カズマ、あっち任せた」

 

「いいのか?それだとあのデュラハンの思うツボなんじゃ……」

 

「大丈夫だろ。なんとかする」

 

言うと、モミジはデュラハンの前に立った。

 

「ふん、ようやく一対一の勝負が出来るな。貴様ごときを殺すのにどれだけの鍛錬を積んだか……」

 

「『マジックキャンセラー』『追加ダメージ』『対異常耐性強化』『微ダメージ無効化』『魔力ブースト』『スペル詠唱破棄』『パワースピードバーストレベル4』『オートリペア』『アンデッドキラー』」

 

「えっ?」

 

デュラハンが声を漏らす間に、その場にいたモミジ以外冒険者全員の足元に複数の魔法陣が現れ、光で体を包んでいく。「なんだこれ……?」「あれ、なんか力が湧き出てるような……」と、冒険者達が声を漏らす中、モミジが全員に言った。

 

「よーっし、お前ら。とりあえず全員チートだから。思う存分暴れろい」

 

「えっ」

 

聞き捨てならない一言に、デュラハンが声を漏らす。すると、冒険者達は邪悪に微笑んだ。

 

「掛かれェ〜ッ!」

 

冒険者のうちの一人が号令をかけ、全員が突撃した。それをもはや見ることもなく、モミジは街へ引き返す。そのモミジに和真は言った。

 

「お前人任せかよ……デュラハンとはタイマンしないのか?」

 

「しねーよ。面倒臭ぇ。つーか、お前の方はアンデッドナイト倒せたのか?」

 

その直後だ。「エクスプロージョン!」の声と共に爆発音が響いた。めぐみんの爆裂魔法が、アンデッドナイトを一掃した音だ。清々しい顔で倒れるめぐみんを、モミジがおんぶした。

 

「……大丈夫か?」

 

「は、はい……カズマのお陰で、気持ちよく撃てました……」

 

「そいつぁ、良かったな」

 

そのまま和真達はダクネスもアクアも合流し、帰ろうとした。その時だ。後ろから鋭い音が響き渡った。

 

「⁉︎」

 

「な、何⁉︎」

 

振り返ると、ボロボロのデュラハンが、倒れた冒険者達の真ん中に立っていた。

 

「舐めるなよ駆け出し冒険者風情どもが!貴様らがどれだけ魔法でドーピングしようが、俺の敵ではない‼︎」

 

そう言うと、デュラハンはボロボロの剣を和真達に向けた。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。