俺、アークプリーストです   作:アリオス@反撃

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騎士の鏡

 

 

「な、何でよおおおおおおお‼︎」

 

アクアの喧しい声が、ギルド内に響いた。

 

「だから、借りたオリは私が壊したんじゃないって言ってるでしょ⁉︎ミツルギって人がオリを捻じ曲げたんだってば!それを、なんで私が弁償しなきゃいけないのよ!」

 

と、ギルドの職員に何か説得しようとしてる。胸ぐらを掴んでユサユサと揺さぶる。が、しばらく話した後、諦めたように肩を落として引き返してきた。

 

「………今回の報酬、壊した檻のお金を引いて十万エリスだって……」

 

「………どんまい」

 

モミジですら同情していた。

 

「まぁ、金は次にあのミツルギとかいう奴締め上げて金搾り取ればいいだろ?」

 

「………そうね。あの男、今度会ったら絶対ゴッドブローを食らわせてやるわっ!そして、オリの弁償代払わせてやるから‼︎」

 

そうギリギリとメニューを握りしめながら歯ぎしりするアクア。

すると、ちょうどいいタイミングで聞きたかった声が掛かった。

 

「ここにいたのかっ!探したぞ、佐藤カズ……」

 

「フルバーストレベル3ィッ‼︎」

 

「グボァッ‼︎」

 

魔法を使ったモミジがアクアを投げ付け、御剣の顔面に叩き付けた。

 

「め、女神様を……いやそれ以前に女の子を武器にするなんて……!最低だな佐藤和真!」

 

「なんで俺⁉︎」

 

「大丈夫ですか?女神さ……」

 

「ゴッドブロー‼︎」

 

「グブエッ⁉︎」

 

さらに殴り飛ばされた。混乱した表情の御剣の胸ぐらをアクアは掴んだ。

 

「ちょっとあんたオリ壊したお金払いなさいよ!おかげで私が弁償することになったんだからね!三十万よ三十万!」

 

「はい」

 

サッと素直に金を払う御剣。直後、アクアは急に上機嫌になって、カエルの唐揚げを注文した。

コホンと咳払いしてから、御剣が和真に言った。

 

「……佐藤和真。あんなやり方でも、僕の負けは負けだ。そして何でも言うこと聞くと言った手前、こんなことを頼むのは虫がいいのも理解している。……だが、頼む!魔剣を返してくれないか?」

 

「売ったけど」

 

「あれは君が持っていても……今なんと?」

 

シレッと言うモミジに、聞き返す御剣。

 

「だから売ったって。半分ずつ俺とカズマで分けた」

 

「ちくしょおおおおおおおおおおおおお‼︎」

 

泣きながら御剣は去って行った。その直後だ。

 

『緊急!緊急!全冒険者の皆さんは、直ちに武装し、戦闘態勢で街の正門に集まって下さい‼︎』

 

「またかよ……?最近多いな、緊急の呼び出し」

 

他人事のように和真が呟いた時だ。

 

『特に、冒険者サトウカズマさんとその一行は、大至急お願いします!』

 

「………………えっ」

 

 

 

×××

 

 

 

正門。和真、アクア、めぐみん、ダクネス、モミジの五人が集まった。門の前にいたのはデュラハンだ。

 

「なぜ城に来ないのだ、この人でなしどもがああああッ‼︎」

 

相当怒ってるのか、叫んだ直後、黒いオーラを全身から放つ。

誰も応対したがらなかったが、やがて和真が聞き返した。

 

「………なんで行かなきゃいけないんだよ?あと、人でなしって何だ。もう爆裂魔法だって撃ち込んでないのに……」

 

「爆裂魔法を撃ち込んでいない?撃ち込んでもいないだと⁉︎何を抜かすか白々しいっ!そこの頭のおかしい紅魔の娘が、あれからも毎日欠かさず通っておるわ!」

 

直後、モミジがめぐみんをデュラハンの前に放り投げた。

 

「ちょっ……モミジ⁉︎」

 

「じゃあこいつあげるから帰ってくんない?」

 

「モミジィ⁉︎酷くないですかそれは⁉︎」

 

「うるせぇ!」

 

めぐみんのセリフに反応したのは和真だ。

 

「大体、お前魔法撃ったら動けなくなるだろうが!てことは、一緒に行った共犯者がいるだろ!モミジじゃねぇだろうな?」

 

「ちげーよ。俺じゃない」

 

「と、なると……」

 

すると、突然アクアが目を逸らして、吹けてない口笛を吹き始めた。直後、モミジはアクアもめぐみんの横に投げた。

 

「そいつもやる。だから帰ってくんない?」

 

「ちょっとー!捨てないでよー!助けてカズマー!」

 

「そうだな。女神に戻りたいならいっそ死ねばいいじゃん」

 

「そんなこと言わないでよおおおおおお‼︎」

 

が、デュラハンが黒いオーラをより一層強くしたことで、全員黙った。

 

「この俺がここに来たのは爆裂魔法の件だけではない!貴様らには仲間を助けようという気はないのか?不当な理由で処刑され、怨念によりこうしてモンスター化する前は、これでも真っ当な騎士のつもりだった。その俺から言わせれば、仲間をかばって呪いを受けた、騎士の鏡のようなあのクルセイダーを見捨てるなど……!」

 

そう言いかけた時、和真達の後ろからダクネスが、照れたように頬を赤くしつつ、ぽりぽりと掻いて現れた。

 

「………や、やあ……」

 

「…………あ、あれえーーーーーーっ⁉︎」

 

兜の隙間から見えている目が完全に見開いていた。すると、モミジがまとめるように言った。

 

「……まぁ、そういう事だ。俺たちは仲間も見捨ててないし、爆裂魔法の件はそこの転がってる2匹をお前の性奴隷にするなり性玩具にするなりしていあから謝る。だから、もう俺たちに関わらないでくれ」

 

「「も、モミジイイイイイイ‼︎」」

 

すると、デュラハンが肩を震わせて怒鳴った。

 

「俺が一番気に入らないのは貴様だアークプリースト!自分達のために仲間を犠牲にし、前に来たときだって平気で不意打ちするわ、モンスター相手とはいえ甚振って殺すわ、何を考えてるこの悪魔め‼︎」

 

「いや悪魔なのお前」

 

「とにかく、俺は貴様を許さん。貴様を仕留めるまで、俺は城に帰らんぞ‼︎言っとくけどな!俺はお前を倒すために城にいる間、コツコツとレベル上げをしたんだ!前までの俺と思うなよ‼︎」

 

「あれ?これ立場逆じゃね普通?」

 

「それな」

 

「と、とにかく!俺は貴様を殺す!行くぞ‼︎」

 

デュラハンは剣を抜いて襲い掛かった。

 

 


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