原作を弄ってしまっているので、違和感があると思います。
みんな~!幼稚園の友人により、幼稚園の黒歴史が暴露された、
『如月あきら』こと、『アキリン』だよ~!
よろしくね~!
とりあえず弾は、腹パンするから覚悟しとけよこの野郎。
あと笑ってる一夏と数馬、お前らも追加注文をご希望だな、こん畜生。
弾のせいで俺の黒歴史が広まり、
俺は周りから『アキリン』『アッキー』と呼ばれるようになりました。
待て、なんであだ名がもう一個増えてるんだよ!
キグルミさんはまだここにはいないはずだよね!?
やっぱ弾よ、もう一度腹パンさせろ。
さて、こうした一夏の友達もとい、馬鹿集団の一員となってしまった俺だが、
そこで燻っている俺じゃぁないんだぜ?
俺は俺の未来のために成長するのだぁ!
というわけで、来るべきIS学園入学に向けて、おれは将棋について勉強をし始める。
なんで将棋だって?
いやぁ、昔から培われてきた戦略養成ゲームじゃない?海外におけるチェスみたいなものじゃん?
よく頭がキレるキャラって、大抵は将棋やったり、チェスをやっている映像が出るじゃない。
だから、俺もそれにあやかろうというわけだ。
全く解らないんだけどな!
それにIS学園って、よくもまぁ無人機に襲われるわ、テロリストに襲われるわと、
箱庭作品ゆえか、まったく警備なんて杜撰すぎるもの。
ならばそこで俺が生きるためには、頭が物事を分析できる力が必要になるってことだ。
一夏等は主人公補正やヒロイン補正で生き残るだろうが、俺、ぶっちゃけモブだもん。
しかも、本来いない存在だし。
だから、本来想定できない事態でさようなら~!は絶対に嫌なの。
ゆえに、俺は自分の持てる武器は自分で見繕わなきゃダメなのだ。
「あきらー、なにしてるの?」
「なんだいちか、おれはしょうぎをしているのだよ」
「しょうぎ?」
「ああ、これでおれはあたまをきたえるのだ」
「よくわからないけど、やらせてー」
「ふっ、おれにかてるとおもうてか」
そして数十分後・・・
「ば・・・ばかな!?おれがまけるだと!?」
「なんかよくわからないけど、おれのかちなの?」
盤上の状態を見て、俺は衝撃を受けた。
一通り手解きをしてからの初戦だが、はっきり言おう。
一夏は何も考えてねぇ!あらやだ、直感で行動してるよこの子!
俺は頭を捻りながらうつのに対し、一夏は本当に直感といってもいい。
「うーん、これ」と言いながらうってくるせいで、予想がつかないのだ。
結果、その奇抜さに振り回されて、俺の負けということだ。
おのれぇ!こいつは普段から何にも考えてない癖に、
直感だけは酷いとかどんなアニメ主人公だよ!こいつ主人公だった!
ぐぬぬ・・・と唸る俺に対し、
一夏は「なんか、あきらっておもしろいよな。おまえといるとたのしい」なんて言いやがった。
おのれラノベ主人公!俺はお前のライバルだから!攻略対象じゃねえから!
俺はお前からヒロインを奪うつもりなんだからな!
俺は一夏に振り回されたせいで、その夜はどっと疲れに襲われた。
その後、俺と馬鹿集団との小学校生活が続くが、しばらくすると一夏の様子が変わった。
どこか陰を落としたように、あまり元気ではなくなっていたのだ。
俺は原作記憶を思いめぐらすと、ある記憶に思い至った。
そう言えば、この時だっけ?一夏の両親が失踪したのって。
何か、原作だと両親に見捨てられたみたいだが、
近所付き合いのあった俺からすると、そんなことをする人じゃない印象なんだがなぁ・・・。
まぁ、そこは原作故に仕方なしってことか。
で、そこから織斑姉弟は苦労することになり、
姉が修羅ったり、弟が主夫の道を歩む羽目になったんだっけ?
しかし、俺からすると、こう、なんだ、暗い一夏を見ていると嫌なんだよなぁ。
俺、あいつのライバルだし。ライバルには元気でいてほしいものなのだ。
弱った相手を叩き潰すなど、それは弱いもの虐めと変わらない訳で。
勝つからには正々堂々でありたいものだ。俺、転生者で特典持ってるけどな!
というわけで、俺は両親に何かできないか聞いてみた。
俺のママもパパも、織斑家の事情については哀しく思っているものの、
他の家庭の事情ゆえに、口を出せないというのだ。
だが、何かしら力になってやりたい故に、俺はママとパパにお願いをした。
一夏にとって、両親はとても優しかったと思う。
自分の頭を撫でてくれたり、微かに残る笑顔が記憶にあると言ってもいい。
だが今はその両親はおらず、姉だけが残った。
千冬姉から「これからは私とお前で生きていくんだ」と言われた。
最初はよく解らなかったが、家に帰っても誰もいない日々が続けば嫌でも理解していしまう。
両親が、もういないということに。
そこからは、一夏にとって家に帰ることは辛いことになった。
誰もいない家に「ただいま」ということ、一人で食べる御飯、千冬姉の力になれないことなど、
それは少しずつ一夏の心を蝕んでいた。
一夏は持ち前の主人公特性のせいか、表面的には耐えることは出来るものの、
身近な友人たちには、その病み具合が知られていることを解っていなかったが。
そうした日々を過ごしたある日、一人でご飯を食べようとした時、家の玄関の呼び鈴が鳴った。
扉を開けると、そこにはあきらがいた。なぜかタッパを持って。
「わるい、いちか。おれのママがりょうりをつくりすぎたせいであまってさ。
にくじゃがなんだが、もらってくれないか?」
一夏は突然のことに驚くが、あきらはさらに捲し立てた。
「でさ、あじのかんそうをきいてこいってこまってさ。
とりあえず、いえにあがっていいか?」
「え、いまごはんたべてて・・・」
「ならちょうどいいぜ。たべるまでまってるから、あじのかんそうくれ」
そう言って、あきらは家に上がってきた。
なし崩し的に家に上がられた一夏は焦るも、あきらは気にした様子が無い。
とりあえず、あきらは帰る様子が無いので、一夏は諦めてご飯を食べだした。
「おい、にくじゃがくえ。おれのママのおてせいだ」
「うん」
一夏は、あきらが持ってきたにくじゃがを食べた。
うん、ちょっと甘い。でも、なぜだろうか、おいしい気がした。
「ちょっとあまい」
「そうか」
「でも、おいしい」
「そうか」
ただの数回の会話。でも何故だろうか、一夏は御飯を美味しく感じた気がした。
そうして一夏は、あきらが見守る中、ご飯を食べた。
「わるいな、きゅうにきてさ」
「いや、べつよかったけど」
「そうか、あじのかんそう、いっとくからな」
「うん」
そうして玄関を出ようとしたあきらが、振り返った。
「なぁ一夏。多分、俺のママは料理をたくさん作っちゃうから、
時折お前の家に持ってくかもしれないけど、良いか?」
「うん、まってる」
「そうか、なら良かったぜ」
そういってあきらは玄関を出て行った。
どうしてだろうか、一夏は・・・泣いていた。
音楽の力は偉大なり。