IS 一夏は俺のライバルだ!   作:SINSOU

19 / 24
長い間待たせてしまい、申し訳ありませんでした。


俺のIS事情

空気を読まずに自推しようとしたら、推薦されてしまった『如月あきらだ』

のほほんさんのインターセプトにより、俺の手は中途半端に止まってしまった。

やっべぇ、みんなが俺を見てるよ。すっごい見てるよ。

セシリアさんや一夏に、織斑先生と山田先生も見てるよ。

 

みんなの視線を一身に受け、俺は手を挙げようにも挙げれないし、下そうにも下せない。

すっごい恥ずかしい。顔が熱くなるってほんとなんだな・・・。

手を挙げようとしたのは俺だけど、そんなに見ないでください。

 

「そうか。

 如月、推薦されたということで、

 お前も織斑やオルコットと戦うことになるが、本当に良いんだな?」

 

千冬さんは俺の目を見ながら言ってきた。

まるで、最後の確認のように。

 

「ああ、もちろんだ。俺は言ったはずだ。

 一夏を馬鹿にする奴を、俺は許さないってな!」

 

ニヤリと口元を歪め、セシリア・オルコットを見返す。

 

「それに、国の専用機持ちと戦えるんだ。

 これはまたとないチャンスじゃん!

 だったら、俺はそのチャンスをものにするつもりだぜ!」

 

俺の言葉に、セシリアは「あら?」と俺を面白そうに見てきた。

俺の言葉に思うところがあったのか、

千冬さんは「そうか、ならいい」と言った後、クラス代表を締め切った。

 

 

「なぁ、あきら、お前本当によかったのか?」

 

「何が?」

 

放課後になり、一夏が俺の所にやってきて、開口一番にそう言ってきた。

そんな俺の言葉に、一瞬呆けた一夏だが、すぐに真顔になった。

 

「なんか俺が巻き込んじまったような感じがして、

 もしかしたら、本当は嫌なんじゃないか?って思ってさ。

 もしそうなら、俺が千冬姉になんとか・・・」

 

「てい」

 

俺は一夏の言葉を遮ろうと、一夏の頭にチョップする。

 

「いきなり何するんだよ!」

 

「ばーか、お節介なんだよ。言っただろ、俺はお前を馬鹿にする奴を許さないって。

 お前とライバルの俺が、強敵に立ち向かうってのも、悪くないだろ?」

 

俺の言葉に、一夏は苦笑いしながら「なんだよ、それ」と言ってくる。

 

「イギリス代表候補生とやり合えるなんて、凄い事じゃん。

 いきなり世界のレベルを知られる、またとないチャンスってことだ。

 それに」

 

俺は、一夏の顔に顔を近づけ、真顔で言う。

 

「千冬さんを守りたいんだったら、こんなことで躓いてる暇はないぜ」

 

俺の言葉に、一夏は顔を引き締め、「そうだな!」と答える。

うん、良い顔になったじゃないか。これで俺も頑張れるってもんだ。

 

 

「な、なにを二人で内緒話をしているんだ!もう少し距離をとれ!」

 

「え、いや内緒話って訳じゃ・・・」

 

顔を真っ赤にした箒ちゃんが、声を上げながら近づき、戸惑う一夏を引っ張る。

いや、そこまで気にすることでは無いでしょうに。

 

「箒ちゃんは可愛いなぁ」

 

「な、バ、バカにするなぁ!」

 

からかう俺に対し、まるで熟れたリンゴのような顔になった箒ちゃんに、

さっきの話を説明した。

 

「ま、まぁ、事情は解った。

 ところで本当に二人はどうするつもりなんだ?

 相手はイギリス代表候補生で、お前たちは素人同然だ。

 普通に考えたら、万に一つも勝機はないぞ」

 

「ですよねー」

 

箒ちゃんの言葉を肯定する俺に、一夏が驚く。

 

「え、そんなにヤバいのか・・・?」

 

「例えるなら、国の代表アスリートに挑む、小学生ってレベルだ」

 

「いや、逆に分かりづらくないか?」

 

俺の説明にすぐさまツッコミを入れてくる一夏。

うん、調子が戻ってきて俺は嬉しく思うぞ。箒ちゃん、俺を睨まないでください。

 

「さて、問題が多過ぎて手の付けようがないのだが、

 とりあえず目先のことに目を向けなきゃな」

 

「なんだよそれ」

 

俺の言葉に一夏が首を傾げる。箒ちゃんも頭に?が浮かぶのが見える。

 

「俺たち、ISに数回しか乗ってないから、どうにかしてISに慣れる必要がある」

 

その言葉に、二人はなるほど!と納得した顔をする。

取りあえず、一夏には「納得するな」と再びチョップを軽くした。

 

現状、ISに慣れている、慣れていないという差は、戦うに辺り大きな差になる。

それこそ、使い慣れた道具を使う職人と、道具を扱いなれていない素人ならば、

その使い方に差が出るのは当たり前だ。

況してや、相手は専用機を与えられ、訓練を受けている訳だ。

だったら戦うに辺り、最低でも俺たちも道具の使い方に慣れる必要がある。

 

というわけで、1つ目の目的は、『ISの訓練をしてISに慣れよう』だ。

ぶっちゃけ、使い方も知らない物を持たされて、戦うなんて、どうあっても無謀です。

それこそ、訓練もなしに実戦で大活躍!なんて、アニメやゲームの世界だ。

これライトノベルで、アニメ化やゲーム化もしたけどね!

ゲームの方はギャルゲーっぽいけどな!

 

話を戻すが、

原作では、箒ちゃんとの剣道と他生徒に追い付くための勉学だけで、

ISに触れたのは、決戦を含めて数回というね。

決戦にしたって、ちゃんとした処理もされてなくて、中途半端のままで戦うっていうね。

あのね、確かにゲームやアニメでは燃えそうな展開だけど、

リアルに考えたら、どう見ても問題だらけだよね?

そして、それに負けかけるイギリス代表候補生。

あれ?セシリアさんの株がどんどん落ちていくんですけど・・・。

 

うん、気にしない。なぜなら今の彼女は敵だから!

敵の心配をするとか、相手の侮辱になってしまうからね。

というか、自分たちの方が大変だから!

 

「というわけで、俺と一夏はIS操縦の訓練をする必要がある」

 

「え、俺、千冬ねぇから、俺の専用機が作られてるみたいだから、・・・」

 

「てい」

 

再び俺は一夏に手刀をするが、今度は受け止められた。

ふ、やるな一夏!

 

「一夏、お前はテストをする時、テストが制作中だからと、勉強をしないのか?」

 

俺の言葉に、一夏は首を振る。

 

「同じことだ。ISだって、性能は違えど大まかな機能は同じ。

 動かす要領は、どんなISでも同じなはずだ。

 だったら、訓練機で基礎を修得しておけば、それを専用機にも応用できる・・・と思う。

 それに、一夏の訓練データなんて、開発側からすれば垂涎ものだよ」

 

それこそ、白式がパワーアップするんじゃないかな?と思えるほどに。

 

ぶっちゃけ、専用機と称して、搭乗者のデータも取ってないのに、

自分たちが作った機体を渡すのも問題だし、

素人にブレードオンリーの機体を渡す時点で頭がおかしいのに、

専用武装がEN馬鹿喰いでバリアー貫通とか、どうみても虐めとしか思えないんです。

 

開発者ぁ(原作者ぁ)!一夏を虐めて楽しいのかコンチクショー!

 

「というわけで、俺と一夏は今日からIS訓練を開始する・・・・と言いたいんだけど、

 手続きを申請しないといけないから、今日は無理なんだよねー」

 

俺の言葉に胸を撫で下ろす一夏。

だが、安心するのはまだ早いんだな、これが。

 

「ところで一夏、勉強の方はどうだ?」

 

「あー・・・それなんだけどさ・・・」

 

「うん?どうしたんだ・・・?」

 

俺の言葉に、目を逸らす一夏。そしてそれを見つめる箒。

原作だと、一夏はうっかりで電話帳と間違えて、教本を捨てるというミスをしてしまい、

一週間(セシリアとの決戦まで)で、内容を把握するという苦行を強いられることになる。

いや、なんで間違えるんだろうか?表紙とか見ないのかな?

まぁ、教本を失くしたのなら、俺の物を貸してやらんでもないがな。

 

俺と箒の視線の中、一夏は頭を掻きながら、

 

「いやー、一応読んだんだけどさ、

 専門用語が多すぎて、内容が入らないっていうか、正直半分くらいしか解らないんだ」

 

と答え、

 

「それでは授業に付いて行くのも大変ではないのか?」

 

「それが心配なんだよなぁ・・・」

 

箒の言葉に、一夏は苦笑いをする。

 

だが俺はその言葉で頭に衝撃が走った。

 

「なん・・・だと・・・?」

 

俺は混乱した。

一夏が教本を無くさない・・・だと?しかも一通り読んでいるだと?

い、一体何が起きたというんだ!?どういうことだ、原作と違うじゃないか!

いやそれを言ったら、既にめちゃクチャなんだけどね?

 

「どうしたんだよ、顔なんか強張らせて」

 

「いや、なんでもない。なんでもないのデス」

 

「?」

 

内心パニック状態の俺は、なんとかその場を取り繕うことが出来たと思う。

そんな状態な俺に、首を傾げる二人。

だが、直ぐに一夏の話に戻った。

 

「しかし、本当にどうするつもりだ一夏。このままでは授業に支障が出るぞ?」

 

「そうなんだよなぁ。

 先生に教えて貰うにも、山田先生は忙しそうだし、千冬姉に頼るのはなぁ・・・」

 

山田先生、今すぐここに来てください。ここに困っている生徒がいますよ。

先生として大活躍が出来ますよ。先生と生徒の個人授業ですよ。

というか、山田先生なら寧ろバッチコーイ!だと思うぞ?

まぁ、千冬さんは、断わるだろうけど、内心では心配してると思うし。

 

「いや、山田先生なら多分だ「誰かに教えて貰うにしても、知り合いは箒とあきら位だし」

 

「私も教えてやりたいのだが、いかんせん、一夏と同じで専門用語が少し・・・」

 

「箒もそうなのか、なら俺と一緒かぁ。やっぱ俺と箒は通じ合う仲だなぁ」

 

「な、なななな!?一夏!お前は何を言っているのだ!?」

 

「あきら、箒はどうして慌てているんだ?」

 

「お前は自分のルックスと発言をもう少し考慮するべきと、俺は言っておく」

 

一夏、首を傾げるんじゃない。お前を殴りたくなるから。

 

「となると、やっぱ頼みの綱はアキラになるのか」

 

「ふむ、そうなるな」

 

「いや待て、何で俺が教えるのが決定してるの?」

 

「え、駄目?」

 

まるで想定外な風に驚く一夏。

 

「なんで俺が教えなきゃいけないんだよ。

 大体、無条件で教えて貰おうとか、俺は都合の良い存在じゃないんだが。

 それに、教えて貰うにしても、ちゃんとした態度があるだろ」

 

「よろしくお願いします!あきら教官!」

 

「!?」

「「「「!?」」」」

 

一夏の言葉に俺は満足げに頷く。

頼られるのは嫌いじゃないけど、自分から教わりたいと思わなければ、

教えている側だって熱が入らないと思うんだ。

 

「よろしい!では明日から、打倒イギリス代表に向けての特訓を行う!

 では行くぞ、織斑一夏訓練生!今日から体力向上のためにランニングを行う!

 終わったら明日に向けての予習を行う!覚悟しておきなさい!」

 

「了解しました!」

 

「ふ、二人とも、一体どうしたんだ!?」

 

俺と一夏の変貌に混乱する箒ちゃんを余所に、俺たちは続ける。

 

「では今からランニングだ!俺につづけぇ!」

 

「イエッサー!」

 

「騒がしいぞ馬鹿者共がぁぁぁぁ!」

 

織斑先生に絞られました。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。