中学3年生になった『如月あきら』だ。
あと1年、これでようやくこの世界の原作が始まる。
まぁ、何か原作と変わっちゃった部分もあるけどな!もうそんなの知りません!
いやね、まさかの転生が赤ん坊から始まったわけだが、
こうして今まで俺は、一夏のライバルとなってあいつと競争してきた。
もちろん、俺の野望である、ヒロインズと仲良くなるためだ。
だというのに、なぜか初対面だと警戒されるんだよね。
なんで?
なんというか、オーラとかいうの?
まさか俺の気付かない内に、俺の出る邪な気持ちが滲み出てるの?
それだったら駄目じゃないですかー!俺はヒロインとイチャイチャしたいのにー!
まぁ、そんな俺でも、箒ちゃんと鈴音と仲良くなったわけだし!
束さんから黒歴史名だけど、愛称で呼ばれているし!
千冬さんからは何故か一夏を任されちゃったわけだしな。鈴音からもだけど。
で、問題は一夏だ。
なぜ一夏は、俺に対して笑うのだろうか。
俺はあいつのライバルであって、仲良し子良しの関係じゃない。
だというのに、俺が勝負を仕掛ければ普通に受けるし、
俺に負けても笑顔でいやがる。
おい一夏、主人公がライバルに負けてへらへらしてるんじゃねぇよ!
悔しがれよ!俺を倒すとかそう言った気持ちを持てよ!
これじゃライバルの俺が馬鹿じゃねぇか!
いや待て、なんで一夏の心配をしているんだ?
あいつが成長しないままの方が、俺にとって良いんじゃないのか?
・・・・・・違う。
そんなの絶対におかしいだろ。そんなの絶対に駄目だ。
だってそんなことしたって、俺が情けなくなる。
あいつの本気を倒してこそ、俺はあいつのライバルになれるんだ。
でもなぁ・・・、一夏の奴、俺に対していつもダレてるからなぁ。
一体どうしたらいいんだろ・・・?
だったら、あいつを俺のライバルに相応しい存在にすればいいんじゃね?
そうだよ!あいつを俺のライバルに相応しい奴にすれば、
一夏に対する俺も相対的に凄くなるんじゃね?
なんてことだ、俺は凄い名案を思い付いちゃったよ!わーい!
ならばすぐさま実行しなければ駄目だよね。
「というわけで一夏、3年生になったということで、将来についての勉強をするぞ」
「それよりもあきら、そっちの英語ノート見せてくれ」
「はい、これ」
「いやー、あきらの授業ノートは解りやすくてマジ感謝だ」
「だったら弾、今度お前のとこで飯を食いに行くから、野菜炒めをただにしろ」
「勘弁してくれ・・・前はデザートと交換したばっかじゃねぇか」
「ならノートを見せてやらん」
「あきら、勘弁してやってくれよ。弾も困ってるしさ」
「ダメだ一夏、これは交換条件だ」
ところで、俺はいったい何をやっているんだ?
なんで一夏と弾等に授業ノートを見せているのだ?
確か、あと少しで一期の中間テストが来るから、
奴らが俺に勉強を見せてくれと頭を下げに来たんだっけ?
まぁ、ちょくちょく見てやっているが、こいつらは本当に馬鹿か?
俺のように、予習、復習でまとめをすればそこまで難しい問題じゃねぇんだが。
特典を使えば、教科書やノートを見直すだけで、頭の中に入っちゃうけどな。
細かいミスがあるから、そこまで優秀じゃないけど。
俺?学年最上位でございます。一夏や弾は、たいてい中の中だ。
あれ?なんかライバルとして恥ずかしくなってきた・・・。
だがしかし!この1年で無茶だとは理解しているが、俺は一夏を鍛え上げる。
体力に関しては、あの千冬さんの弟とあってか、悪くはない。
問題は頭の方だ。
直感を全振りに回しているせいで、論理的なことには弱い。
だったら、俺はそこを補佐する形で鍛え上げればいいだけだ。
ふふん、これで一夏はスーパーワンサマーと化し、
俺はそれに対するライバルとして、相対的に地位が向上するというわけだ。
「ところであきら、お前、告白されたんだっけ?」
「え、マジか!?」
「弾よ、お前は毎回唐突に爆弾発言をするな!?どこから聞いた!?
答えなければ、蘭ちゃんにお前の悪行を言うぞ」
「やめろぉ!俺が死ぬわ!
あのな、お前みたいな奴を放っておく奴なんて普通はいないぞ?
で、どうだったんだ?」
「断ったよ。あれは俺じゃなくて、俺に憧れを抱いている奴の目だった。
勝手な俺の幻想に惚れられても嬉しくねぇわ」
「ありゃまー、手厳しいことで」
「なぁ、興味本位で悪いけど、あきらの好きな奴ってどんな感じ?」
「一夏も唐突だな!?まぁ、何でもいいから俺を越える奴だな」
「そりゃ無理じゃね?」
「あきらに勝てる奴なんて、そうそういないと思うぞ?」
「お前らノートを返せ。今から抜き打ちテストをしてやる」
まぁ、俺の目的はヒロインズと仲良くなりたいわけで、
女尊男卑に染まった女の子や、俺に勝手な幻想抱いて惚れる奴等なんて、
正直仲良くもなりたくもねぇわ。
なんだよ、私の騎士になってください!って。
俺は千冬さんじゃねぇぞ!
今はそんなことよりも、一夏をこの1年でスーパーワンサマーにしなきゃいけない訳から、
余裕なんてないと思うけどな。
今日から俺がみっちり鍛えてやるから覚悟しろよ?
「弾、お前はもう少し基礎を勉強しろ。それが出来れば応用もいける。
一夏は直感で解いてる感じがするから、もう少し文章を読んで内容理解が必要だ」
まぁ、今は目の前の中間テストに向けての勉強会だな。