第２回モンドグロッソをテレビで見ている『如月あきら』だ。
うん、これはスポーツじゃないよね？
これはどう見ても戦争だよね？
弾けるミサイル！飛び散る薬莢！切り飛ぶ装甲！うん、これは兵器ですよ。
画面越しに映る恐ろしい映像（スポーツ）に、俺は内心ではビビってます。
これは参加者のメンタルケアは必須ですね。
まぁそんな中、俺が注目しているのは個人戦だ。
ようは、原作における一夏が拉致られて、
千冬さんが決勝戦を放棄して誘拐犯らを血祭りにあげる流れである。
誘拐には亡国機業（原作の敵？）が関わっていたらしいが、問題は話の流れだ。
ドイツが独自に入手した情報で一夏を助け、
その借りを果たすために、千冬さんはドイツに行ってラウラと出会うわけだ。
その後、千冬さんにヤンデレと化したラウラが、一夏を恨んでしまうというわけである。
で、棄権した理由は未発表のままと。
あのね？これは拙いんじゃなくて？
そもそも大会で優勝候補の身内が誘拐とか、これ凄いスキャンダルなわけよ。
まぁ隠蔽しようとする気持ちは・・・解っちゃだめだ。
クリーン（）なモンドグロッソが、実は真っ黒でした！になりかねないから。
実際、モンドグロッソ自体が真っ黒だけどなぁ！
話を戻すが、詳しくは忘れたけど、これで考えられるのは、
・日本政府、またはドイツが要人を護衛できなかった
・モンドグロッソに対して賭博が起きている可能性
・亡国機業が強過ぎぃ！
・スポーツマンシップ？なにそれ食べれるの？
・ドイツ、実は始めから知っていた？等
原作の歪みっぷり半端ないですね！
いかん、少し変な方向に頭が行ってしまったぞ。
まぁようは、隠蔽しないで発表しろやＩＳ委員かーい！と。
あのね、原作だと話題に出なくなったけど、実際はそう問屋が卸さない訳ですよ。
実は不正がありました。でもＩＳ委員会はそれを知っていて隠蔽しました。
はいこれ特大ネタのスキャンダール！ネタに期限は（割と）ありません。
『優勝候補である初代ブリュンヒルデの疑惑の棄権。その裏に身内の誘拐が行われていた！？』
『優勝候補の家族を誘拐！？問われるモンドグロッソの公平性』など
話題になること間違いなし！
まぁ、それは置いといて、問題はその後の一夏の状態だ。
あいつは何かと責任感があるから、自分を責めなきゃいいんだけどなー無理だよなー。
そんなことを思いながら、俺は順調に勝ち進む千冬さんを見ていた。
そして迎えた決勝戦。
会場が盛り上がるなら、俺は別の意味で胃が痛くなっていた。
決勝戦は原作と同じく、相手はイタリア代表のアリーシャ・ジョセスターフ。
赤毛が目立つ・・・というか赤髪って実際・・・いるの・・・？女性だ。
さて、原作では一夏を奪還するために棄権するわけだが、どうなるんだろうな。
テレビ画面に穴が開く程にじっと展開を見つめる中、なにやら会場が騒がしい。
ああ、やっぱり原作通りになったんだなーと俺は思った。
その考えは、上空から一夏を抱きかかえて降りてきた千冬さんによって打ち砕かれた。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！？」
俺は叫んだ、当たり前だ。こんな展開を俺は知らない。
よくある二次創作ならば、日本政府が誘拐を隠蔽し、それを知らずに千冬さんが決勝戦に出場。
姉弟の関係が崩れ去る流れだったり、一夏がどっかの世界に飛んで行ってしまう、
なんて流れだったりする。
だが、ＩＳに乗った千冬さんが、決勝戦直前に一夏を奪還する流れなんて知らない。
ましてや、そのまま会場に戻ってくるとか意味不明。
というか、原作にもまったく沿っていない展開になっている。
え、これどうなってんの！？
というか、一夏は原作通りに誘拐されてたのね。何してんだよ護衛の方々！
そんな俺の叫びなんて届く訳もなく、
千冬さんは一夏を下し、二人ともスタッフに駆け寄られている。
そして数分後、ＩＳ委員会から連絡が入った。
内容は、千冬さんのＩＳのメンテナンスとエネルギー供給が完了次第、
決勝戦が行われるということだ。
歓声に湧きあがる会場に反して、俺の頭は思考を放棄していた。
「あはははは・・・ナニコレ」
俺は、一夏に応援され、もはや勝利しか目に入っていない千冬さんと、
千冬さんに対して全力で戦ってご満悦な笑顔の相手が映し出され、
鍔迫り合いで盛り上がっているテレビを見ながら、そう呟いた。