IS 一夏は俺のライバルだ!   作:SINSOU

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本編
俺の宣戦布告


俺の名は「如月あきら」、転生者だ。

神様のうっかりのせいで死んでしまい、そのお詫びとして好きな世界に転生した存在だ。

好きな世界に転生できる上に、特典まで付いてくるなんて、神様のうっかりに感謝だな。

俺が転生した世界は、インフィニット・ストラトスというライトノベルで、

織斑一夏を主人公とした、ハーレムラブコメディだ。

俺は織斑一夏はどうでもいいが、そのヒロインとは仲良くなりたい。

だから俺は、この特典を使って、織斑一夏を出し抜いてやろうと狙っている。

織斑一夏を俺の栄光の為の犠牲にするって算段だ。

待ってろよ、俺のヒロインたち!

 

 

 

 

 

 

 

というわけで、俺は転生して新たな生を得た。

赤ん坊から始まるというのは、すっげぇ辛かったぜ。

なにせ、思考は前世のままなのに、身体は言うことは聞きやしない。

ママに為すがままにされるのは、羞恥プレイも真っ青なほどで泣きたくなった。

でも、ママの大変そうな姿と俺を大切にしてくれる笑顔を見せられて、

俺は本当に申し訳なさと、ありがたさに感謝した日々だった。

 

俺の新たな家族は、両親(パパとママ)と俺の3人で、

お金持ちでもなければ貧乏でもない、普通の中流家庭だった。

綺麗というよりも、可愛いと思うような小柄だが、

怒らせたら鬼よりも恐ろしいママと、

顔立ちは少し怖くて、牛のように大きな体だが、

見た目に反して優しいパパ。

俺は本当に幸せだ、自分の両親に感謝の想いが尽きないぜ。

そして、こんな幸せの巡りあいをしてくれた神様にありがとう!

 

さて、幼稚園の上った時に、俺は当初の目的の為に行動を起こした。

この作品の主人公である、織斑一夏を探し出した。

あいつを打ち負かすことが俺の目的であり、そのために転生したんだからな。

そして俺は織斑一夏を見つけた。偶然にも、一夏は俺と同じ幼稚園にいた。

どうやら、俺の住んでいる家と一夏の住んでいる家は、案外近かったようだ。

探すのに無駄な時間を取らなくて済んだというものだ。

やったぜ、これで俺の栄光への道が開かれるぜ。

 

俺は、俺の輝かしい未来にほくそ笑みながら、一夏の方へ歩いて行った。

幼稚園の一夏は、年齢通りの餓鬼だが、

子供でありながら、周りとは違う雰囲気を漂わせていた。

流石、後にハーレムをつくっちまう主人公だ。

俺はそんな雰囲気に嫌気をさしながら、

その座を奪い去る未来の為に一歩ずつ進んだ。

 

一夏は、向かってくる俺を見て首を傾げる。

そりゃそうだろ、なにせ知らない奴がこっちに来たんだからな。

だが、お前が知らなくても、俺はお前を知っているんだぜ。

 

そして一夏の目の前まで行き、俺は一夏を指して宣言した。

 

「おまえはおれのらいばるだからな!」

 

どうだ織斑一夏!俺の渾身のライバル宣言を!

 

一夏は俺の宣言に驚いたのか、なにも言わずに黙ったままだ。

俺の恐ろしさにびびったんだな。この勝負は俺の勝ちだ!

そうして勝ち誇った俺は、後ろから来た、笑顔が怖いママに拳骨をくらった。

目から星が出たんですけど。

 

「いきなり何をしているのかな~?この子は~?」

「ひ・・・ま、ま・・・?」

 

いかん、今のママは完全に悪鬼モードである。これは完全に怒ってる。

 

「ママ、言ったわよね~?皆と仲良くしなさいって~?」

「ち、ちがうのママ!おれ、このことなかよくしようとおもって・・・」

「だったら言い方が違うでしょ~?仲良くしたいならね~?」

 

ママの口元が更に吊り上る。笑顔なのに怖いよ。

俺は一夏を向き直した。一夏は、なにが起こっているのか解らない顔をしていた。

くそ!なんでお前はビビらないんだよ!恐いだろ!俺のママ!

俺はそんな一夏を内心で恨みつつ、俺は言ってやった。

 

「おまえはおれのらいばるだからな!ぜったいにまけないからな!」

 

俺はもう一度目から星を出した。

 

 




屑な転生者とはこうではないのか?

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