影を失った光が、新たな影に再び出会った話   作:ゆう☆彡

1 / 10
どうぞお付き合い下さい。


新生!桐皇学園高校!!

 

 

 

「誠凛高校VS桐皇学園高校!

 

101対100で誠凛高校の勝利!!」

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「ありがとうございましたっ!!」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ウィンターカップ』

 

三年生にとっては最後の大会。

 

 

その初戦、誠凛高校VS桐皇学園高校。

 

試合は高校生のレベルをはるかに超えていた。

 

 

お互いのエースが、選ばれたものだけが入れるゾーンに達し、どちらが勝ってもおかしくない試合。

 

 

 

それでも、勝利の女神は“全員で”戦った誠凛高校に微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

「……。」

「ふぅ、終わったねー。いやぁ、見てるこっちが疲れてきちゃう試合だったねー。」

「そうだね。」

「……でも、なんで見に来たの?そうくん、ここの高校の偏差値知らないの??」

「……。」

 

 

二階席から見ていた二人の中学生。

 

一人はポニーテールにした黒髪に、ブレザーを可愛く着崩す女子生徒。

一人は自然な長さの茶色の髪に、ブレザーをきちっと着た男子生徒。

 

 

 

《誠凛高校VS桐皇学園高校》

 

 

その試合は、“天才と呼ばれたゆえの孤独な少年”と“気づかれずの天才だったゆえの孤独な少年”を出会わせる試合だった。

 

 

「雪、帰ろう。」

「いい息抜きになった?」

「……うん。誘ってくれてありがとう。」

 

 

いい高校見学になったよ。

 

 

「帰ってバスケしよっかなー。」

「そうくん、勉強は~!?」

「もーいいやー。」

「えぇぇぇ!?なんでーーー!?」

 

 

 

あんなの見たあとに勉強なんてする気になんないや。

 

それよりも……

 

 

「早くやってみたいなぁ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――春―――

 

それぞれの学校から三年生が去り、

 

一年生は二年生へ、二年生は三年生へ。

 

 

新しい学校生活に心を踊らせる新一年生。

そして、始まる部活勧誘。

 

 

 

「もぉぉ!!大ちゃんっ!部活行くよー!」

「うっせぇなぁー、俺は今忙しいんだよ。」

「ダラダラしてるだけじゃないっ!!」

 

そんな初々しい空気から離れ、屋上で寝ているのはバスケ部エース青峰大輝。起こしに来ているのはマネージャーの桃井さつき。

 

「今日は新一年生が来るんだよー!!」

「俺と張り合えるヤツいんのかよ。」

「……さぁ?」

「…ったく、めんどくせーな。」

「じゃあ、大ちゃんの大事にしているグラビア雑誌は焼却炉いきね♡」

「ああ!?ざけんなっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんやかんや言いながらも、体育館にやってきた青峰。

 

「おせぇぞ!青峰っ!!」

 

怒鳴るのは主将の若松孝輔。

 

「後はお前と桃井だけだ、早く自己紹介しろ。」

「はーい。二年マネージャー、桃井さつきです。よろしくね。」

 

 

「「「「「「「「よ、よろしくお願いしますっ!」」」」」」」」

 

顔を真っ赤にして答える一年生。

 

 

「あー、青峰大輝だ。」

 

「「「「「「「「よろしくお願いしますっ!」」」」」」」」

 

一年生も、順に自己紹介していった。

 

 

奇跡の世代を前にして、緊張気味の一年。

しかしその中に、一つも緊張していない一年生が一人いた。

 

 

「……。」

「東京都花崎(はなざき)第一中学から来ました、真宮(まみや)棕佑(そうすけ)です。」

「花崎第一!?あの屈指の進学校のっ?」

 

桃井がすかさず食いついた。

 

「そんなすげーとこなのか。」

「そうだよ、大ちゃんは死んでも行けないね。」

「どういうことだっ。」

「そのまーんまの意味よーだ!」

 

 

「うるせーぞ、そこー。

 

まぁ、一年はあったばかりかもしんねぇけど、実力も測りてぇしとりあえず、試合すんぞー。」

 

主将の若松が適当に一年を二つのチームに分ける。

 

「勝った方は、二年とやるからなー。青峰にももちろん出てもらうぞー。」

「はぁ!?ふざけんなよ、めんどくせー。」

「……。

 

今年の一年はお前の出身中学の帝光中が三人。

それ以外も名の知れた中学出身のやつばっかだ。

 

誰かかれかは強ぇだろ。」

「ちっ……。」

 

なんだかんだ言いつつ、ちゃっかりしてる。

 

 

 

 

―――ピーーっっ!!

 

 

一年の試合が始まった……が、

 

 

「あれ?大ちゃん??」

 

青峰の姿がなかった。

 

「……あの野郎っ!どこ行きやがった!!」

「あ、青峰さんなら!そ、その、見たらつまんなくなるからっ言って出て行きました……。」

「止めろや!桜井!!」

「すっ、すみませんっっ!!」

 

 

とりあえず、桃井が探しに行くことになった

 

 

しかし、青峰は意外とすぐに見つかった。

 

「なーんだ、結局試合見てんじゃない。」

 

青峰は体育館のロビーから見ていた。

 

 

「さつき。

 

花崎第一中のやつのデータとかねぇの?」

「んー?あるよー。あそこの中学には声かけてたから!」

「あいつのデータは?」

「真宮くん?あの子はー、、、試合出てないんじゃないかな?データは無いから……。」

 

 

―――そんなはずはない。

 

青峰にはわかっていた。あの動きは試合経験者の動きだと。

 

「花崎第一中の成績は?」

「最後の中体連、ベスト8で帝光とあたって負けてる。

 

 

……って、どうしたの?大ちゃんがデータを求めるなんて珍しい……??青峰くん?」

 

桃井は横で試合を見ている青峰の顔に、驚きを隠せなかった。

 

 

 

 

 

『テツっ!パスよこせっ!!』

 

 

 

 

 

まだ能力が開花してない、純粋に楽しんでいた時の顔に似ていた。

いや……それよりももっと前。

 

 

“黒子テツヤ”という素晴らしい相棒を見つけた時と……

 

 

 

 

 

同じ顔をしていたから。

 

 

 

「真宮……棕佑……。

 

さつきがデータを手に入れられなかった選手は二人目だな。」

「……??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光は影がなければ、それは光とは言わない。

 

影があってこそ、その光は眩しく輝くものなのだ。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。