IS ~1人連合艦隊ってすごくね~   作:シトリー

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どもども、お久しぶりです。

一応日常回です。

本当ですよ?


では本編どぞー


IS学園編~スイッチ~

生徒会室前

 

青年はその後の授業を程よくスルーしつつ受け、終わり次第即移動していた。後はこの扉をくぐるだけなのだが、青年は何故か躊躇していた。

 

  「(アポ取ってないけど良いのかな? それに今相当忙しそうだし。)」

 

青年の前にある無駄に重厚感溢れる扉から声が漏れていた。少し耳を凝らしてみると。

 

  「お嬢様! サボらないでください。」

 

  「サボってないわよ! 仕事が多過ぎて処理が間に合ってないだけよ!」

 

  「じゃあ、今見ているスマホを見せてください。」

 

  「い、嫌よ。だって個人情報だもの。」

 

 

 

要約するとこのような具合である。これを聞いてずかずか踏み込むほど青年はKYではない。しかし、今回の案件は早急に終わらせておいた方がいいのも事実である。暫し悩み、1度入ってから決めようと青年は考えた。

 

扉を4度ノックして中からの応答があり、入室する青年。するとそこには、

 

  「(なんとまぁ。)」

 

山としか形容できない量の書類と、それが乗せられている机の奥に居る生徒会長。

 

紅茶セットを片手に生徒会長がいると思われるところへジリジリと近寄っている庶務。

 

少し離れたところで、机に突っ伏して気持ち良さそうに熟睡するダボ袖少女。

 

控えめに形容してもカオスと言える程の状況だった。

それから暫くして、落ち着いた2人は揃って青年の前に来た。

 

  「ようこそ、生徒会室へ。知っていると思うけど、生徒会長の更識楯無よ。」

 

  「説明は要りませんね。私は、一応庶務と会長の補佐をしています。」

 

そんなありふれた自己紹介後2人は素早く青年の肩を物凄い力で掴んできた。

 

  「……あの、私何かしました?」

 

  「いやー、他人に知られたくない一面って誰にでもあるじゃない?」

 

  「まぁ、そうですね。貴方であれば察していただけるかと。」

 

  「…意中察しました。」

 

  「そういう事よ。」

 

  「すいません、お手数おかけします。」

 

そう言って、青年の肩から手を離す2人。先程のことを要約すると「誰にもこの事は言うな。」ということであるのだが、今言わなくてもいずれはバレるのでは?と青年は考えていた。

 

 

  「さて、今回来た理由は何かしら?」

 

そんな青年の考えを無視するように、話を進めていく生徒会長。気が付けば、相対する様に座っており、いつの間にか紅茶とほんのりいい香りのするスコーンが置いてあった。

 

  「なんて事は無いですよ。取り敢えず、この書類と動画を見て頂きたいのですが、宜しいですか?」

 

手元から、例のルーズリーフと送られてきた動画を表示した。

初めは、興味深そうに見ていたが、例のシーンに入った瞬間顔が変わった。ひどく真面目で、不快感を隠そうともせずに顔を歪ませた。

 

  「なるほどね。貴方の言いたい事は解ったわ。で?どうしたいの?」

 

  「別に。私自身はどうもしませんよ。私がここにこれを最初に持ってきたのはただの保険です。」

 

  「保険?」

 

  「ええ。保険です。学園の九割九分九厘以上から嫌われている私が直接職員室へ持ち込んだ所でイチャモン付けられて揉み消されるのがオチです。であるなら、(ある程度)信頼出来る場所を経由して提出した方が有効打に成りうると判断しました。」

 

  「ふーん。なるほどね。」

 

  「会長、何が写っていたんですか?」

 

  「人の醜さよ。」

 

そう言って、スマホを庶務に渡した。それを見て、生徒会長と同じ様に顔を歪めた。

 

  「これが以前言っていた?」

 

  「ええ、本当はもっと時間が掛かる予定だったんですけどね。」

 

  「確かに、これは頭痛の種ですね。」

 

見終わったのかスマホを青年に返却した。

 

  「私が要求するのは、この情報を元に調査を行い、差違が見つからなかった場合学園の規則に則った罰を。ということだけですね。私からそれ以上の要求はしません。」

 

生徒会長は青年の言葉を聞き暫し考えていた。確かに受け取った情報も完璧と言っても差支えが無いほど揃っており、今すぐにでも実行することも不可能では無かった。

しかし、そんな事はどうでも良かった。生徒会長が1番知りたいのは、誰の協力のもとこの情報を入手したのか。というものだった。

 

  「貴方の言い分は理解したわ。生徒会長 更識楯無の名にかけて対象者に相応しい罰を与えることを約束します。」

 

  「そうですか。」

 

  「ただ、この情報は誰から貰ったのかな? おねーさんすごーく興味があるなー。」

 

  「佐藤田中って言う友人のハッカーが一晩してくれました。」

 

  「ふーん、そう。」

 

息を吐くかのように嘘をつかれ、一先ず質問を終える生徒会長。

 

  「まぁ、こちらからの用件は以上ですね。」

 

  「あらそう? おねーさんはもっと貴方のことを知りたいなー。」

 

  「そうですか。では、失礼します。」

 

生徒会長の言葉を聞くな否や、さっさと荷物をまとめ、生徒会室を退出する準備を始めた。

準備が終わり、ソファーから立ち上がり扉の前に着いたとき

 

  「結果がわかったらまた知らせるわ。」

 

  「解りました。」

 

ガチャッ

 

顔すら向けず青年は、生徒会室を退出した。

 

 

 

 

 

 

………side

 

ガチャッ  バタンッ

 

今日一番の事件を持ってきた生徒が部屋から退出した。私は、あの生徒に対して違和感を覚えていた。

見た目や年齢と、行動が全く一致しないのだ。確かに大人びている子供は幾らでも居るし、私自身も何度も見てきた。それでもだ。

 

  「彼は一体何者なんですか?」

 

私の心境を知ってか私の親友が声を掛けてきた。どうやら、親友も同じ考えを持っているようだった。

 

  「私も前に同じ質問をしたわ。尤も、唯の一般人としか帰ってこなかったけどね。」

 

  「絶対違うと思います。根拠は全くありませんけど、何故か断言できそうです。」

 

  「だと思って、家の力も使って調べてみたわ。確かに、いくつかの事件に巻き込まれたりしてはいるけど、基本的には一般家庭だったわ。強いてあげるなら、天涯孤独だったのに、孤児を養子として迎え入れているくらいかしら。」

 

  「不明瞭な点が多すぎますね。」

 

  「それに私達生徒会は、あくまで保険らしいわよ。」

 

  「みたいですね。」

 

2人の視線の先には、庶務が青年に出した紅茶とスコーンが全く手付かずの状態で置いてあった。

 

  「(想像以上に手強い相手ね。)」

 

青年が手をつけなかった理由は不明だ。だからこそ様々な考察が出来る。

ただ一つはっきりしていることがある。それは何か、

 

彼は教員を含めたIS学園に在籍している人物全員に対して一切の特殊感情を抱いていない。という点だ。

 

今でこそ、山田先生や虚ちゃんがかなり接近できているけど、それでも成果は無い。あくまで、他の人物に比べ会話が出来ている程度だ。

 

  「(全く、2年で足りるかしら。)」

 

  「虚ちゃん。悪いけど気合が入りそうなキツイ一杯をもらえる?」

 

  「はい。かしこまりました。」

 

虚ちゃんが簡易給仕室に行くのを見守り、姿が見えなくなると彼のことについて考えていた。しかし、

それは余りにも非科学的な考えなので、誰にも言っていない。あくまでも一個人としての考えだ。

 

私は彼の中には恐らく、何人たりとも理解できないであろう化け物が居座っていると考えている。

 

彼の前では自身の行動がほぼ全て無に帰す。親友にも許可を貰った上で盗聴器を仕掛けてみたところ、二日ほどで全て取り外されてしまった。他にも思春期の男子だったらまず反応するであろう行動にも大きな反応は見受けられなかった。

かといって、他を一切合財拒否しているわけでもなく会話が始まれば話しかけられたことに対して的確に返答し、会話を継続させることが出来る。

彼のデータを一度でも見た人は不屈の精神の持ち主だ、鋼の心を持っている。だの言っていたが、それらの言葉は適切ではないと私は考えている。

 

確かに、不屈の精神、鋼の心と言えば聞こえはいいが、非常に硬い精神は心を機械人形にしてしまう。だから上善は水の如しなんて言葉もあるくらいだ。それほどに精神面のバランス取りは難しい。そんな中、私の知る限りで1つ思い当たるものがあった。それは、

更識の始祖、初代盾無のみがたどり着いた精神の極致。

 

軸を非常に硬く、その周りをやわらかい膜で包む。というものだ。

 

要約すると、強い自我とスルースキルを両立させろって事らしいけど。まだ私はそれの体現に至っていない。

 

  「こんな所にいるなんてね。」

 

  「お嬢様、どういうことですか?」

 

手に紅茶と茶請けを持った虚ちゃんが戻ってきていた。考えることにに没頭し過ぎて周りが見えなくなるなんて何時ぶりかしら。

 

  「なんでもないわ、独り言よ。気にしないで。」

 

  「わかりました。」

 

彼は、今のところ敵ではないようだが今後はどう転がるか全く予想できない。私の予想と違い、博士との接点も持っていたようだし、彼に対する警戒度合いは鰻上りね。全く。

でも、今私がするべきは目の前に増えた仕事を早急に終わらせることね。どう考えても、学園の沽券に関わりかねない案件だし、最低でも彼の公表前には終わらせておく必要があるわね。全く嫌になっちゃうわ。

 

  「虚ちゃん。これから忙しくなるわよ。しっかり付いて来てね。」

 

  「はい。かしこまりました。」

 

 

 

その発言の後、先程とは人が変わったように次々と仕事を処理していった。

流石に全て終わらせることは出来なかったようだが、それでも此処最近で最高の状態だったと、後に庶務が嬉しそうに青年に話していた姿が他の生徒に見られよからぬ噂が立ちかけるが、それはまた別のお話。

 

 

Side out

 

 

 

 

青年が、生徒会室で用事を済ませてから数日が経過した。あれ以降特に大きな問題も連絡もなく、良くも悪くも普通に過ごしていた。今日は偶々天気がよかったので散歩がてら樹木が乱立している謎の庭にいた。

ただ、問題とはいつも向こう側から突如やってくることをそのときに限って青年は頭から抜けていた。

 

 

  「ちょっと! あんた!」

  

青年の丁度後ろ辺りで、誰かを呼び止める聞きなれない声が聞こえてきた。青年は、その台詞と妙に聞きなじみのある声を聞いて、一瞬で全てを察し、聞こえない振りをしてその場を去ろうとした。が、

 

  「ちょっとあんた! 聞こえてないの! そこのあんたよ!」

 

  「(聞こえてない聞こえてない。私は唯の他人私は唯の他人。)」

 

青年は必死に現実逃避をしながら、妙に早い歩幅でその場を去ろうとした。しかし、現実とはそう簡単に事が運ばないようで、

 

  「(リグ、後方警戒しといて。)」

 

  “なら朗報です。後ろの方こちらに向けて全力で走ってきています。接触まで約2秒。”

 

  「(はぁ…)」

 

青年は溜息を付きながら、後ろの人物と接触する瞬間がわかったので接触する直前に真横に1歩だけ横にずれた。

 

  「止まれって! いってるでしょおぉぉおお!?」

 

青年の横をとび蹴りをするつもりだったのか、足を前に突き出した状態ですり抜け、対象が突如避けたことで、着地点が大幅に変更され、叫び声が突如悲鳴に切り替わり、その結果…

 

  「ぎゃん!」

 

地面とキスをしていた。

 

  「(頭からいったな。)」

 

  “対象に外傷無し。むしろ絡まれる可能性が極大です。速やかに去ることをお勧めします。”

 

  「(そうしたいのは山々なんだけどね。)」

 

青年がそういい終わる頃には顔を土と芝生まみれにしたツインテールの少女が怒り心頭で既に立ち上がっていたからだ。

 

  「あんた、何で避けたのよ。」

 

  「呼ばれていたようなので振り向いただけですけど? それで、用件はなんですか?」

 

  「あんた1度も振り返ってないでしょ!」

 

  「そんなことより、用件は何ですか?」

 

  「そんなことって、そもそもあんたが大人しく私の言うとおりに止まっていたらことはすぐ済んだのよ! 第一、何であんた女なのに男性用のズボンを穿いてるのよ。」

 

  「スカートを穿く趣味はないからです。で、用件はなんです?」

 

  「全く、覚えてなさいよ。用件は、私を学園の事務室に案内しなさい。」

 

  「あの辺行けばわかりますよ。」

 

そういって青年はある方向を指差すが、その先には

 

  「只の電工掲示板じゃないの!」

 

  「ええ、そこで調べて頂ければ一発かと。」

 

  「そういう事を言っているんじゃないの! そもそもアンタが大人しく案内すれば良いじゃない。」

 

  「お断りします。」

 

さっさとこの場を去りたい青年はそれだけ言って立ち去ろうとした。が、

 

  「何勝手に帰ろうとしてんのよ。まだ話は終わってないわよ。」

 

腕を掴まれ、動こうにも動けなかった。

 

  「そうは言ってもですね。」

 

そうこうしていると、少女が偶然通りかかったのかこちらに来た。

 

  「何をしているんですか?」

 

  「チャイニーズマフィアに絡まれています。助けて下さい。」

 

  「誰がチャイニーズマフィアよ!」

 

そこで行われていた茶番を説明した結果、少女から呆れ声と共に案内を申し出てくれた。

 

  「ありがとね。助かったわ。」

 

  「事務室でしたっけ? こっちですよ。」

 

そう言って少女がツインテール少女を案内していった。その場に残された青年は散歩を継続しその後部屋に戻った。

因みに、翌日少女から小言を言われ、それを宥めるために学食でデザートを奢ることになったのだが、それはまた別のお話。

 

 

 

 

翌日

 

 

珍しく遅刻をしなかった彼はクラスメイトと楽しく談笑をしていた。暫らくすると、そこに淑女とポニテ娘が加わり、話の規模がなかなか大きくなっていった。

そんな中、青年にとって妙に聞き覚えのある声が、具体的には昨日聞いた声が会話を遮った。

 

  「その情報、古いよ。」

 

  「お前…鈴か? なんだそのダッサイポーズは?」

 

  「うっさいわね! 全く、相変わらずね一夏。」

 

  「おう、俺は元気だぜ。それにしても久しぶりだな、小学校のとき以来か?」

 

  「そうね。中国のニュースにあんたの事が出た時は開いた口が塞がらなかったんだから。ISを動かすなんてあんた一体何なの?」

 

  「俺はそこにあったものに触っただけなんだけどな。」

 

もう突っ込みどころ満載の会話が繰り広げられていて、青年は静かに溜息を吐いた。他人事だと思い青年はちょっと眠ろうとしていた。ところが

 

  「おーい、渉。ちょっとこっち来てくれ。」

 

飛び火した。

 

  「(気のせい気のせい)」

 

もう面倒臭さしかない青年は寝たふりでやり過ごそうとするも、

 

  「なんだ、寝てるのか。おーい、起きろ。」

 

普通に身体を揺すられ、強引に参加させられた。

 

  「……何です?」

 

  「なんだ渉、寝不足か? 夜更かしはダメだぞ。」

 

清々しいほどの見当違いな注意を貰い、青年の頭は逆に冷静になってしまった。

 

  「ご忠告どうも。要件は何です?」

 

  「そうだ。俺のセカンド幼なじみが転校してきたから、渉にも紹介しておこうと思ったんだよ。」

 

  「セカンド幼なじみ?」

 

  「ああ、小5から中2までの間クラスメイトだったんだ。まぁ、3年に上がる時に中国に帰っていったんだけどな。」

 

  「実際にあっていたのは約3年だけですか? 文通とかは?」

 

  「あー、しようとは思ったんだけど鈴の住所を聞くのを忘れててな。出来なかった。」

 

  「(幼馴染みかソレ?)」

 

  “幼馴染とはちょっと言えないですね。言ってしまえば、ただのクラスメイトかと。”

 

AIと会話しつつ、彼の会話を聞き流していく。どうやらポニテ娘も幼馴染みらしく、あちらはファースト幼馴染みらしい。

すると、目の前にツインテ娘が来てこちらを見た瞬間。

 

  「あーー!! あんたは!」

 

  「最悪。」

 

叫んだ。声が教室中に響き渡り、中にいた人が一斉にこちらに向いた。

 

  「なんだ、鈴。知り合いか?」

 

  「知り合いも何も、昨日私が道を訪ねても無視するのよ。」

 

  「渉、それは本当か?」

 

ツインテ娘の声のボリュームが全く下がっていないので、全員がその事を知ることとなり、クラス内における青年のそこまで高く無い株が降下した。

クラス内には青年を貶める声が響き始め、青年はなにも聞こえてないふりをした。

 

  「本当ですよ。こちらにも別件があったんですよ。」

 

  「そんなの関係ねぇよ。そんな物後にしてでも、困っている人を助ける。それが人付き合いってもんだろ? そんな事ばっかしてるから友達が俺以外出来ないんだよ。」

 

  「友達? 誰がですか?」

 

  「誰って俺とお前だよ。他に誰がいる?」

 

青年は彼の言葉を聞いた瞬間絶句した。何をどう勘違いすればその答えにたどり着けるのか、逆に興味が出てくる程度には驚いていた。

青年のことがわからない彼は話を続けていく。どうやらツインテ娘に青年の説明をしているらしいが、男性であることを聞いた瞬間。

 

  「はぁあ!?」

 

叫んでいた。

どうやら、青年がツインテ娘に対して嘘をついていたと思ったらしく、凄まじい荒れっぷりだった。

しかし、青年の弁論に反論できず、一応最終的には和解出来てはいた。

 

  「ハァ。もういいわ。凰鈴音よ。鈴でいいわ。」

 

  「四十川渉です。凰さんも宜しくお願いしますね。」

 

  「なによ、硬っ苦しいわね。鈴でいいわよ。」

 

  「性分なもんで。お気になさらず。」

 

  「面倒臭い性格してるわね。」

 

その後は、クラス代表戦だの、練習相手を淑女とポニテ娘と争っていたりしていたが、SHRのチャイムと同時に現れた担任によって強制解散となった。

 

担任が召喚されたことでクラス内の空気が引き締まる。担任は周りを見渡し、欠席者がいないことを確認した後SHRに入った。

 

  「さて、皆も知っているが来週はクラス対抗戦だ。優勝したクラス全員に学食のスイーツが半年間半額になる特殊パスが送られる。皆もがんばれば見返りがある。

実際に試合に参加するのは織斑だが、それ以外の人物にも役目はある。各々考えて行動すること。以上だ。」

 

担任が連絡事項を伝え終えると、クラス内が一気にざわめき始めた。主にスイーツのことで。

 

  「織斑君がんばってね! 私達にスイーツパスを与える為に!」

 

  「君だけが頼りだよ!」

 

  「みんなの為に頑張って!」

 

実に欲に素直な連中である。それはさておき、クラス内が無法地帯になることを担任が認可するはずもなく、

 

  「貴様ら! そんなに元気があるなら今から学園の外周を5週ほどしてくるか? 許可は出すぞ?」

 

その言葉を聞いた瞬間、クラス内が一瞬で静かになった。当然である。学園の敷地は相当広く、走れる範囲内で一周するだけでも80kmは下らないのだ。つまりそういうことである。

 

  「全く。さて、四十川。貴様には連絡がある。SHR終了後職員室に来るように。連絡は以上だ。」

 

言うだけ言うと担任は教室を出て行った。青年もそれを追いかけるように教室を退出した。

周りから含みのある笑い声が聞こえてきたが、青年には全く興味がなかった。

 




どもども、最後まで読んでいただきありがとうございます。

チャイナ娘の回です。まぁ、出会いは最悪なんですけどね。

でもよくよく考えてみたら、初回からまともな接触をした人物って
2人くらいしかいなかった様な気がします。なので通常運転だと思います。


これからものんびりと更新していきますので、
気長にお待ちください!


コメント(理不尽な批判以外)、質問、代替案、どしどしお待ちしてます

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