IS ~1人連合艦隊ってすごくね~   作:シトリー

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ども、お久しぶりです。

何故かめっさ筆が良く進みました。

しかし、出来がいいかどうかは別の問題です。


ではでは、本編です。


IS学園編~フリーフォール~

  「どうも、お久しぶりです。知っているかも知れませんが、幾つか依頼があります。お願いしてもいいですか?」

 

 

  「うんうん。やっと束さんの出番だね。腕が鳴るよ〜。」

 

  「うん。取り敢えず、落ち着いて下さい。私の状況は知ってますよね?」

 

  「もちろんだよ。その携帯から妨害電波を同時に出してるから盗聴の心配もないし、偶然その部屋近辺には誰も居ないし。安心して!」

 

  「仕事が早くて助かります。では、依頼の内容も知ってそうですね。」

 

  「さーねぇ…君の事はこの束さんでもよく分からないからね〜。因みに君の骨を折った凡人の特定も終わってるし、制裁の準備も出来てるよ?」

 

  「実行内容は?」

 

  「まず、その凡人達の血族を社会的に叩き落として周りからの存在そのものの価値をなくす。そして、本人達から適性を返してもらう。その後は海外の売人たちに揃ってプレゼントする。取り敢えずこんな所かな? 君に言われた通り殺さないようにはしたよ。」

 

  「確かに殺してはいないですね。でもその案はダメです。」

 

  「何でさ!」

 

  「やり過ぎです。するなら、そうですね…学園の実技試験当日に限って何故か適性が変動し乗れなくなり。その結果試験を受けられず留年する。くらいですかね。」

 

  「何でそんな生温いものにするの?」

 

  「基本的に私はやられたらやり返す類の人間です。でも、倍返しはしません。それをする時は相当キレている時か、必要以上にやられた時だけです。

今回やられた事は、階段から落下による片腕骨折が主な内容ですけど、それによって被った被害は、計画の破綻と治療のみなんですね。どちらもリカバリー出来ましたし。

確かに階段落下による死亡の可能性もありましたけど、今回は運良く生きていたので、相手に与える復讐もどれだけギリギリであろうと、リカバリー出来る様なものにするのが適正だと私は考えました。もちろん、リカバリーするのも本人の強い意志と努力が必須ですけどね。」

 

  「なーんか納得出来ないなー。」

 

  「そうですか? 学園からの制裁と博士からの隠れた復讐が合わさると相当厳しいと思いますけどねぇ。特に今の生徒達は自尊心ばかりで努力をする奴が非常に少ないし、そんな奴らが留年に耐えられるとはとても思えないんですよね。自分のプライド的にも、周りからの視線的にも。」

 

  「精神的に潰すつもり? あの生温い学園が厳しい制裁をするとは思えないけど?」

 

  「実際そうでしょうね。せいぜい、2週間程度の自宅謹慎と反省文数十枚程度でしょう。それもかなり甘く見積もってです。でもこれでいいんですよ。貴方との関係が必要以上に漏れる事の方が問題です。」

 

  「そんなに神経質になる必要無いと思うけどなー。」

 

  「すいませんね、殆ど性分みたいなもんなんで。特に情報は時と場合によっては状況をひっくり返すことすら出来ます。特に貴方の情報はね。警戒し過ぎ位が丁度いいんですよ。何も起こらなければそれはそれでいいですし、起こったら素早く行動に入れますし。」

 

  「ふーん。まぁいいや。今回は君の案に従うよ。でもね、該当者に次は無いよ。」

 

  「その時は、任せますよ。さて、次に行きましょう。」

 

  「さて、次はなんだい?」

 

  「以前依頼した外套と手袋なんですけど、破損したので修理改修をお願いしたいんです。出来ます?」

 

  「愚問だね。」

 

  「そうですか、じゃあお願いします。出来れば外套には対ビーム加工もお願いします。」

 

  「まっかせなさい!イギリスのポンコツライフルに負けないようなの作るから期待してて!」

 

  「期待してますよ。後は、超小型のバススロットシステムを積んだ鞄を作って欲しいんです。」

 

  「作れるけどそんな物どうするのさ。リフレインにもバススロットはある筈だよ。」

 

  「まぁ、予備というか緊急手段用に色々詰め込んでおきたいんです。」

 

  「予備? そんなもの必要ないんじゃないのかな? 私のISは完全無敵なんだから。」

 

  「いやまぁ、そうなんですけど。基本的にISを荒事に持ち込みたくないんですね。私。元々そういうものじゃあないですし。

仮に、街中で展開したときのことを考えてみてくださいよ。面倒臭いことになるのは火を見るより明らかじゃあないですか。」

 

  「うーん。ひとまず君の言い分はわかった。一応作ってみるよ。ただ、あんまり気乗りはしないね。」

 

  「ありがとうございます。」

 

  「ふふふっ。」

 

  「? どうかしましたか?」

 

  「君は本当に不思議な奴だなーと思ってね。今の奴らは絶対君には勝てないし、君自身それをよく理解している。そして、思考と欲を理性でコントロール出来ているし、私という大きな力を前にしてもそれが全くぶれない。君を選んで正解だったね。」

 

  「そりゃどうも。で、何時頃出来そうです?」

 

  「うーん、外套と手袋の方はすぐ出来るけど、鞄の方はたぶんISのコア作成から始まると思う。」

 

  「まぁ、予想してましたけどそうなりますわな。」

 

  「うんうん。だから2~3日欲しいな。」

 

  「十分です。」

 

  「おっけー。さーて、束さんの腕が鳴るぜぃ。あの作業に入るのは本当に久々だよ。」

 

  「そうですか。お願いしますね。では」

 

  「じゃーねー、バイビー。」

 

 

 

 

  「じゃーねー、バイビー。」

 

そんな言葉とともに手持ちの電話から耳を離す。

 

  「(頼んでおいてアレだけど、魔改造されてきそうですっごい怖いな。)」

 

青年はそんな事を思いながら、明日の準備を開始した。何度繰り返そうと学生は学生である。本分は勉強なのでそれを速やかにこなせる様にしていく。そんな中、ルームメイトが帰宅してきたのだった。

 

  「どうも。」

 

  「今日は、多大な迷惑をかけてしまってすいませんでした。」

 

部屋に入ってすぐの謝罪に青年は一瞬何のことか分からず、頭にハテナを浮かべていたが、すぐに思い出した。

 

  「別に気にしなくていいですよ。というか生徒会長ってもしかしていつもあんな感じなんですか?」

 

  「重要なところでは真面目になさるのですけど、何もないときはああなるときがあります。特に男性が入学してから、色んな意味で酷くなっています。確かに仕事が多くなっていて辛いのはわかりますけど、私も辛いんですよ…」

 

ポロポロと徐々に決壊していくように、普段押さえ込んでいる愚痴や、鬱憤が好機と言わんばかりに吐き出されていく。

止めるタイミングを完全に見失った青年は一先ず最後まで聞くことにしたのだった。青年自身も当たり障りのない範囲内で、彼との苦労自分自身の過去をを面白可笑しく話していった。

 

 

 

数時間後

 

 

 

  「いやー、お互いに苦労してますね。」

 

  「そうですね。でも、共感者がいて話を聞いて頂けるだけでも本当に助かります。本来はこれもお嬢様の仕事なんですけどね。」

 

多少なりとも気が楽になったのか、少しばかり晴れやかな顔でお互いに握手をしながら、友情とはあまり言えない類の関係が出来上がった。

 

  「それにしても、織斑先生の弟さんは、話を聞く限りでは相当な人物ですね。」

 

  「彼にも色々あったんでしょうけど、それでも…ねぇ…って感じですね。」

 

  「苦労人どうし、何かあれば可能なら助け合いましょう。」

 

  「そうですね。今週あたりにそちらにお伺いすると思うので、その時はよろしくお願いしますね。」

 

  「何かあるのですか?」

 

  「ええ。お互いにとっても頭痛の種に成りうるものです。」

 

そのセリフを聞いたルームメイトは、暫く考えるような姿勢になり、顔を上げた

 

  「分かりました。数日必要みたいですので、今は聞かないことにします。その時をお待ちしてますね。」

 

  「助かります。」

 

 

会話が終わり、時計を見て0時を回っているのを見て2人が急いで寝る準備を始めたものの、危うく明日寝坊しそうになるのは、また別のお話。

 

 

 

翌日 

 

今日は青年以外の生徒が待ち望んだ、実技授業の日である。気の浮き様は教室に入った瞬間わかるような状態となっていて、担任と副担任はそれを見て溜息を付いていた。

 

そして、SHRが終わり、其々がISスーツに着替えようとした。そこで問題になるのは、彼らのみが男性であり、実質的に女子高であるIS学園に男性用の更衣室の場所が非常に限られているのである。その結果、実技授業の度にグラウンド傍に突貫で作られたプレハブ小屋で着替える必要があるのだが…

 

  「渉ってどこで着替えるつもりだ?」

 

  「秘密です。」

 

  「いいだろ、教えてくれよ。」

 

  「すいません。遅刻してあの出席簿をもらいたくないので先に行っていますね。」

 

彼はそのことを聞いていなかったようで、最終的にトイレで着替え、汗だくで遅刻をし、出席簿をもらっていた。

因みに青年は運動着着用の上、何食わぬ顔で参加している。理由としては、彼にISスーツが必要ないというのもあるが、スーツをオーダーしていないので持っていないというのが一番の理由である。

補足ではあるが、その件についてきちんと担任と副担任に確認を取り、許可をもらっている。周りからは怪異の目で見られているが青年は特に気にしないことにした。

 

  「何で着てないんだよ。」

 

  「必要ないからですよ。」

 

  「そうなのか?」

 

  「織斑君、あいつはISの適正が低すぎるからスーツを作ってもらえなかったらしいよ。」

 

  「マジかよ。「おい、貴様ら。私の授業より世間話の方がしたいのか?」すいませんでした。」

 

一応担任によって収まったものの、周りとの格差は埋まらないようである。そして、授業が開始された。

 

 

  「それでは、授業を開始する。まず手始めに、ISの機動力を間近で見せておこう。織斑、オルコット。前へ出ろ。」

 

その声に彼は思わず疑問を出した。

 

  「千冬姉「織斑先生だ。」織斑先生、渉の奴は出さないのか? 確かあいつも専用機を持っていたはずだ。」

 

  「奴は色々特殊すぎて参考にならん。第一今回の目的は別にある。よって却下だ。」

 

担任の言葉の真意を理解できている人物は、実際に模擬戦を行った3人だけであり。曲解した生徒たちは、青年を嘲笑するような顔で見ていた。

納得したのか、彼と淑女が前に出てこちらに向き直り横に並んだ。

 

  「よしそれでは、ISを展開しろ。展開タイミングは私がやれと言ってからだ。わかったな。」

 

  「わかったぜ。」

 

  「わかりましたわ。」

 

  「よし。やれ!」

 

担任の言葉通り、号令に合わせるように素早く展開する淑女。時間で見れば1秒から2秒程度だった。しかし、

 

  「遅い。最低でも今の半分程度にしろ。」

 

  「はい…。分かりましたわ。」

 

駄目出しを貰い、シュンとする淑女。

 

  「それに比べ、お前は何がしたいんだ。」

 

  「俺だってわかんねぇ!」

 

今の彼の状態を表すなら。戦隊ヒーローが変身する際に自身の体を隠す光がずっと出ている状態といえばいいのか。つまり、彼の首から下が常時光っている状態になっているのだ。

 

  「遅すぎるぞ織斑。展開するときのコツを教えたはずだ。それを思い出して落ち着いて実行しろ。」

 

姉の言葉は偉大で、冷静さを取り戻した彼の体から発していた光が次第に収束していき、光が消えるとそこには純白の装甲を纏った彼が立っていた。

 

  「やっとできたか。来週までに1秒以内に展開できるよう練習しておけ。」

 

  「わかったよ。千冬姉。」

 

彼の言葉に溜息をつく担任、その姿を見た青年はほんの少し同情しそうになった。

 

  「さて、それでは2人には飛んでもらう。そうだな、この学園を始点として上空2km地点まで上昇しろ。到着次第山田先生にオープンチャンネルで連絡しろ。わかったな。」

 

  「わかったぜ。」

 

  「分かりましたわ。」

 

  「では、見学する生徒は少し離れろ、衝撃波に巻き込まれるぞ。」

 

その言葉を聞き、ゾロゾロと離れ始める生徒たち。

 

  「では、離れたな。よし、飛べ!」

 

担任の言葉と同時に急上昇を始める2人。青年は、AIの協力のもとなんとか目視できていたが、ほかの生徒たちはすぐに見えなくなった2人を必死に探していた。

 

  「(空中機動力では部が悪いな。この問題点の改善が当面の課題かな?)」

 

  “そうですね。幾つかプランを考察しましたが?”

 

  「じゃあ、後で聞かせてもらうよ。」

 

  “承知しました。”

 

青年が脳内会話をしていると、目的地点に到着したようで、副担任が応対していた。今回は、オープンチャンネルであり、装着者でない担任の指示が聞こえるようにマイク、スピーカー共に外に漏れるようになっていた。つまり、彼と淑女の笑い声や楽しそうな会話もダダ漏れになっているのだ。それを聞き、苦笑いをする副担任と静かに溜息をつく担任、何故か先程からイライラしっぱなしのポニテ娘。

すると、ポニテ娘が何を思ったのか突如副担任へ向かって歩き出し、マイク兼スピーカーとして使用している端末を奪い取った。呆気に取られている大多数を置き去りにしたポニテ娘は息を大きく吸い込み始めた。

それを見た青年、少女、担任、副担任の4人は一瞬で察し耳を塞いだ。残りは唖然としており、息を吸い込み終えたポニテ娘は

 

  「一夏ぁぁぁ!! そんなところでフラフラしてないでさっさと戻ってこんかぁぁぁ!!!」

 

叫んだ。

 

怒りの咆哮と言えるレベルの叫びに、先程の4人以外は驚いていた。そして、

 

  「篠ノ之。気持ちは解らんでもない。だが、勝手に端末を奪うな!」

 

担任からのお叱りとヘッドショットを頂戴して悶えていた。

担任のそばで蹲り、声にならない叫びを上げているポニテ娘を放置し、担任は授業を再開していく。

 

  「さて、手段はどうあれ、先程篠ノ之が言っていた事は間違いではない。到着したら連絡しろとは言ったが、私語を許可した覚えは無い。するなら授業後にしろ。」

 

  「わ…解った。」

 

  「わ…解りましたわ。」

 

  「よし、それでは貴様ら戻って来い。そこを始点にし私の右10m地点を到着点とする。」

 

その指示を聞き、降り方のレクチャーを淑女から受ける彼。それを聞いていた担任はふと思いついたように、条件を付け足すのだった。

 

  「どうせだ、完全停止ポイントを地面から10cm以内とする。出来るな?」

 

  「解りましたわ。」

 

  「わかったぜ。」

 

  「そうか。それでは、降下のタイミングは貴様らに任せる。但し、k」ブツンッ

 

担任が言葉を言い切る直前オープンチャンネルが切れた。暫くすると上空から二重に重なる点が落ちてきた。

 

  「雫さん、雫さん。私の目にはほぼ同時に降りてきているように見えるのですけど。気のせいですよね。」

 

  「気のせいでは無いと思います。若干開きはあるようですけど、あれじゃあ、殆ど誤差の範囲内でしょう。」

 

  「避難しておいたほうがいいですかね?」

  

  「そうですね。私はもう少し下がります。山田先生も若干距離を離していますし。」

 

前を見ると、担任のみその場から動いておらず、副担任は10m程距離をとっていた。すると、案の定と言うかなんと言うか。

 

  「貴様ら! 死にたいのか! もっと距離を取れ! 離れるんだ!」

 

担任が避難警告をし始めた。

その言葉を聞いた生徒たちは一目散にその場を離れ、距離を取り始めた。先に距離を取っていた2人は、とっくに避難を終えて待機していた。

 

ギイイィィィィィィン

 

暫くすると風を割く音が重なって不協和音となりこちらに近付いてくる。近くなり、ようやく色での判別がつけられるようになった。

先が青、その後ろに白がいた。

 

  「織斑さん、何処で減速するつもりでしょうか? オルコットさんは既に姿勢制御を終えてるのに…。」

 

  「あ、今デッドライン超えました。彼ではあそこから持ち直すのは無理だと思います。」

 

独特の音を奏でながら落ちてきた、先に落ちてきた青と淑女は担任の指示通り、地面から10cm(恐らく)以内に停止していた。その上には白とそれに乗る彼が全く減速することなく地面へ向かっていた。

 

  「つまり?」

 

  「激突します。」

 

どぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!

 

少女の予言どおり、彼はそのまま地面へ激突しグラウンドへ大きなクレーターを(意図せず)生成した。

周りは激突の際発生した衝撃で土煙が舞い上がり、先を予想できた4人以外は衝撃波でこける等の被害が出ていた。

青年と少女は匍匐状態になり、可能な限り衝撃波を回避し、副担任と担任は慣れているのか、立ち状態で飛んでくる土煙から顔を守っていた。

 

  「いてて。」

 

クレーターの中央には犯人が座っており、本人に傷は無いものの機体は土塗れになってしまっている。そこに向かう、担任。

顔が見えたわけではないが、大変ご立腹であることは背中から見てもわかるほどだった。

 

  「なぁ織斑。私は貴様らに地面すれすれで止まれとは言ったが、地面に穴を開けろとは言っていない。」

 

  「うっ…。」

 

  「自分で開けた穴は授業後きちんと塞いでおく様に。」

 

  「わかったよ。」

 

  「それでは、授業を再開する。

これが、貴様ら一般人と代表候補生との差だ。たとえ、どれほど口が悪かろうと、横暴であろうと、代表候補生というだけで最低この程度の実力は持っている。皆も技術面など学ぶ面も多いだろう。ある程度の参考にするように。」

 

  「「「はい!」」」

 

 

その後は、担任と副担任による説明、解説。淑女と彼による実体験談。訓練機の特性、制限、各武装の優位性、劣位性、の説明等、何故外でする必要があるのかわからない青空教室を体験してきた。

 

 

  「それでは、授業を終了する!」

 

  「「「ありがとうございました。」」」

 

担任の掛け声と共に、皆が教室に戻り始めた。そんな中、

 

  「なぁ、渉。手伝ってくれよ。」

 

青年が何故か巻き込まれた。

 

  「何故です?」

 

  「何故って、クラスメイトだし、同じ男だし、仲間だろ。なら、困っている奴を助けるのは当然じゃないか。」

 

  「………。」

 

  「横暴ですね。」

 

傍にいた少女がぼそりと零す。

 

  「横暴って酷いなー。」

 

青年は、ふと時間を見た。

 

  「すいません。私はこれから別件があるので失礼しますね。」

 

  「なっ、そんなもの後でもいいだろ。こっちを先に手伝ってくれよ。お互いを助け合う、それが仲間ってもんだろ。」

 

  「そうですか。それでは失礼します。」

 

  「なっ、おい! 待てよ!」

 

青年は彼の言葉に耳を傾けることなくその場を後にした。

 

  「別件とは何ですか?」

 

教室に戻ろうとする際、少女に声を掛けられた。

 

  「そんなもの無いよ。」

 

青年は、何事もなかったかのように否定した。

 

  「私はてっきり例の件かと」

 

  「その件はもうチョイ先。」

 

  「情報が不足してました?」

 

  「いや、君ではあの辺が限界だと思うし、あれ以上首を突っ込むのは私だけでいいよ。」

 

  「…そうですか。」

 

そう言うと少女は先に教室へ戻った。理由は不明だが。

 

 

青年も教室に帰ろうとした際、ケツポケに入れていた携帯が何かを受信した。

 

  「(何ぞ?)」

 

一応周りを見て、近くに誰もいないことを確認してから内容を確認した。

 

 

宛名:博士

件名:キーアイテム。

本文:君が必要としている人物の情報を渡すの忘れてたよ。とりあえず関係者のリストと実際に君を階段から落とした瞬間の監視カメラの映像をサルベージしておいたから、君の携帯に送っておくよ。

有効に使ってね。

 

 

添付ファイル

xxx.pdf

xxx.mp4

 

 

青年はその画面を見た瞬間、すぐさま男性用トイレの個室に駆け込み、内容を確認した。そして、

 

  「(まさか嘘が真になるとは思わなかったな。本当に用事が出来るとは…。)」

 

そのまま時間を確認すると、もう少しで次の授業が始まりそうな時間だった。

 

  「放課後…だな。」

 

青年は教室に戻り、彼の批判を聞き流しつつ授業を終え、放課後に生徒会室へ向かうのだった。

 




ども、最後まで読んでいただいてありがとうございます。

書いてから思ったんですけど、この時代にpdfとかってまだ使われているんですかね?

私は特に気にしないことにしました。



これからものんびりと更新していきますので、
気長にお待ちください!


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