IS ~1人連合艦隊ってすごくね~   作:シトリー

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ども、お久しぶりです。

何とか一月以内に更新できました。

なるべく月一更新以内を維持したいと思う今日この頃です


ではでは、本編です。


IS学園編~就任パーティー~

  「取り敢えず、寝ません?」

 

鼻にティッシュを詰めた青年の提案に先輩は

 

  「そうですね。」

 

賛成し、それぞれ眠りにつくのだった。

 

 

翌日

 

  「起きて下さい。遅刻しますよ。」

 

  「眠い…、寝たい…、休みたい…。」

 

  「ダメです。」

 

色々事情があるとは言え、青年は中々起きられず先輩にいきなり激励を貰っていた。それでもSHRまでにはだいぶ余裕があるのだが、それぞれ共通する理由の為朝早く起きる必要があった。それは何故か、

 

  「布仏先輩、後ろ跳ねてます。」

 

  「えっ?どこですか?」

 

  「櫛貸してください。梳きますから。」

 

  「すいません。お願いします。」

 

2人に共通する点とは、長髪で寝癖直しの為に朝に時間が掛かるというものだった。

 

  「四十川さんも結構跳ねてますけどいいんですか?」

 

  「今日は面倒くさいので、括って誤魔化します。」

 

  「普段はどうしているんですか?」

 

  「大体シャワーからのドライヤーでどうにかしていますね。」

 

そもそも青年自身が目覚ましを使っても起きれない類で、予め先輩にその旨を伝えていたのだが、想像以上だったらしく、予定よりも遅れてしまうのだった。

 

 

 

教室

 

  「(なんとか間に合ったか。)」

 

そんな事を思いながら、自身の席に座る青年。そんな青年の姿を見てクラスメイト達が騒ぎ始めるも。

 

  「(何騒いでるんだ? あいつら。)」

 

青年にはその理由が全くわからなかった。

しかし、ある意味では当然とも言える。何故ならIS学園において授業が開始してから誰一人として青年の五体満足な姿を見た生徒は誰もいなかったのだから。

必ず車椅子に乗り、必ずベルトで全身を拘束されている状態だったのだ。それがいきなり普通の制服姿で現れておいて驚くな、騒ぐなというのも無理な話である。

 

そんな中、見知った顔が教室に入ってきて、こちらを見て少し驚いていた。

 

  「おはようございます。やっとベルトから解放されたようですね。良かったです。」

 

  「おはよー。そうだよ、やっとだよ。雫さんも経験してみる?中々経験できないよ?コレ。」

 

  「遠慮しておきます。」

 

やはりというか、普段と変わらず毒の吐き合いがいきなり始まり、

 

  「さて、冗談は置いておいてお仕事のお時間だ。」

 

  「なんでしょう。例の件ですか?」

 

別の話題へ移り始めた。

 

  「昨日の放課後、私の車椅子に接触した人物を洗い出して欲しい。」

 

  「いいですけど、何かありました?」

 

  「計画が頓挫したってだけだよ。何も気にしなくていいし、雫さんは裏をとってきてくれればいいから。」

 

  「なんとなくですが分かりました。こちらで動いてみます。」

 

  「ん。頼んだよ。詳細はリグから聞いておいて。」

 

  「分かりました。」

 

そんな会話の後、

 

キーンコーンカーンコーン

 

SHRのチャイムが鳴り、彼と、ポニテ娘が息を切らしながら教室に入り、それを見ていた担任が彼とポニテ娘にヘッドショットをかましていた。

 

 

 

 

  「さて、みなさんに連絡があります。1組のクラス代表は織斑一夏君に決定しました。あ、一繋がりで縁起が良さそうですね。ですので、皆さん拍手ー」

 

 

副担任のそんなセリフとともに、教室がまたもや騒ぎ始める。皆彼がクラス代表になることを確信していたかのように喜んでいた。

 

  「………。」

 

本人は全くの無言で、暗い雰囲気を醸し出していたが…

 

  「あのー、織斑君? そんな顔してどうしたんですか? どこか具合でも悪いですか?」

 

それに気がついた、副担任は彼に対し声を掛けていく。そのセリフに対し、彼は非常にオブラートに包んだ質問をした。

 

  「あの、何で俺がクラス代表になっているんですか? クラス代表なら俺に勝ったセシリアがふさわしいと思うんですけど。」

 

  「ああ、それについてだが、オルコットから皆に言いたいことがあるようだ。心して聞くように。」

 

彼の質問の答えがそこにあると言わんばかりに、淑女を話題に出す。それを聞いた淑女は意を決して、立ち上がり。そして、

 

  「皆様大変申し訳ありませんでした。」

 

謝罪とともに頭を下げた。

 

試合前の印象からかけ離れた行動にクラスメイトが思わず唖然とし、それを見てか淑女は言葉の続きを紡いでいく。

 

  「私は、自分よがりな価値観から皆様に多大な不快感を与えてしまったことを、一夏さんが他の男性と違うということを、今回の模擬戦を通じて身を持って知ることができました。ですのでクラス代表は、今後の一夏さんの成長に期待するという点、皆様に誠意のある行動を示したいという点から、私セシリア・オルコットは代表を辞退させていただきます。」

 

  「というわけでだ、推薦が同票だったオルコットが辞退した結果お前がクラス代表になったんだ。理解したか?」

 

  「じゃあ、渉の奴はどうなんだ?」

 

  「あいつは、駄目だ。理由は明かせないが奴を代表にする事は出来ない。残念だが決定事項だ。」

 

  「………。わかったよ。俺も腹を括るよ! これからクラス代表を務めますので、皆よろしくな!」

 

彼の台詞と共に教室内に拍手が響く。意外なことに青年もしていた。

 

極一部の人物が顔を僅かに歪ませていたが、誰一人として気が付くものはいなかった。

 

 

いつものように、担任の鶴の一声によって教室に静寂が戻る。

 

  「さて、連絡事項の続きだが、明日から皆が待ち望んでいたISを用いた実技授業だ。全員第一グラウンドにISスーツ着用の上名列番号順に四列縦隊で待機しておくこと。スーツを忘れたものは指定水着で受けること。それも忘れたものは…まぁ、下着でもかまわんだろう。恥をかきたくないなら準備を忘れないことだ。

そして、実技授業は2組と合同で行われる。以前も言ったがISは兵器だ。操作を間違えると人を挽肉する事は指一本で出来る様な代物だ。我々教師の注意を良く聞き、安全を第一とした行動をすること。以上だ。」

 

  「(男性が居る事考慮しているのかねぇ…。下手したらこっちがセクハラで訴えられかねんのだが。)」

 

青年の考えなど全く知らずと言わんばかりに、話が先に進んでいくのだった。そして、今までと同じように彼が数回ヘッドショットを貰いつつ授業が進んでいった。

一応食らう回数は減ってはいる。一応。

 

 

 

 

授業が終わり、昼休みに入った。青年は今まで食べられなかった学食に向かう為、机の上を片付けていた。そんな中。

 

  「なぁ、渉。」

 

彼が話しかけてきた。

 

  「何でしょう?織斑さん。」

 

  「何で、あの時棄権したんだ?」

 

  「…何故といわれましても、織斑先生に伝えた通りですよ。クラス内の変ないざこざを起こさない様に考えた結果です。何か問題でも?」

 

  「そうか。じゃあ、次は手を抜く余裕なんて無いくらい強くならないとな。覚悟しとけよー、お前なんかすぐに追い抜いて見せるからな。」

 

  「そうですか。そんな日が来ることを適度に願ってますよ。では」

 

そう言い、片付け終えた青年は食堂へ移動を開始した。

 

 

食堂

 

  「(すげーな。マジで色んな食事があるぞ。国の力ってすげーな。)」

 

青年は券売機の前で正直に驚いていた。券売機には青年の知る料理から、全く知らない料理まで幅広くあり、この中に無いものはアルコールが残る料理位と言ってしまっても差支えが無いほどだった。

 

  「渉さん。後ろがつっかえてます。早く選んだほうが良いかと。」

 

偶然居合わせた少女に言われ、目の前にあった親子丼を注文する青年だった。

 

 

 

 

  「(ん~、美味い。これを作った人は相当経験を積んでるな。)」

 

そんなことを思いながら、食事を進めていく青年。すると、

 

  「すいません、隣良いですか?」

 

  「かんちゃん~、はやいよ~。」

 

見知った人物が声を掛けてきた。

 

  「ええ、良いですよ。」

 

青年の返答を聴いて、青年の右隣に眼鏡少女が座り、その更に右隣にダボ袖少女が座った。

 

  「あ~、わたるんだ~。車椅子はもういいの~?」

 

  「ええ、色々と事情がありましてね。もう大丈夫ですよ。それにしても、お2人は知り合いなんですか?」

 

  「本音は私の友達。」

 

  「かんちゃんは私の友達だよ~。」

 

  「そうですか。」

 

  「そうですか。」

 

他愛のない会話をしつつ、動かす箸を止めない青年。

 

  「試合の件は残念でしたね。」

 

  「まぁ、こんなもんでしょう。これ以上目立っても仕方がないですし。」

 

  「ねーねー、わたるん~。この前はごめんね、特に何か目的があってあんなことをしたわけじゃあないんだよ~。」

 

  「あんなこと?」

 

  「あー、そんなこともありましたね。別にいいですよ。何か実害があったわけでもありませんし。」

 

  「本音、何したの?」

 

  「何もしてないよ~。ねーわたるん。」

 

  「ええ、何もしていないですね。ただ、質問を受けただけです。」

 

  「本音、何をしてるの。」

 

青年の言葉を聞き、ジト目を向ける眼鏡少女。そして、アハハと乾いた笑い声を上げるダボ袖少女。それを間近で見ていながらも一切の干渉をせず黙々と食事を続けていく青年。というプチ修羅場が食堂の一角に生成されていた。

 

 

 

  「(あー、美味かった。おっさん大満足っと。)」

 

 

最終的にそんなおっさんじみた事を思いながら、青年は教室に戻るのだった。

因みに、彼は淑女とポニテ娘の間で起こった争いに巻き込まれており、次の授業にに間に合わずもはや恒例となりつつあった担任から彼へのヘッドショットが敢行されたのだった。

 

 

 

 

放課後

 

授業が終わり、各々がそれぞれの行動をしようとしていた。特に込み入った用もない青年は自室に戻り、読書でもしようかと思っていた矢先、

 

  「なぁ渉。今日の夕方クラスメイトがパーティーをするらしいんだけど、渉も来いよ。」

 

  「すいません、今回は遠慮させていただきますね。」

 

  「そんなこと言うなよ。皆で食べたほうが絶対美味しいしクラスメイトとの友好も深める。クラスで浮いている渉でも、問題ないだろ。だって俺と同じ男性操縦者だし、渉だけ呼ばれない道理はない。というわけで来いよ。」

 

そう言った後、食堂で見た2人に連れて行かれた。おそらく訓練をするのであろうが、傍から見ると死刑執行人に見えて仕方がなかった。取り残された青年は呟く。

 

  「私まだ返答してないんですけど。」

 

  「災難ですね。」

 

一部始終を聞いていた少女が青年を慰める。

 

  「全くですよ、雫さんは行かれるんですか?」

 

  「ええ、出ますよ。ああいったところは情報収集をするのにもってこいです。それで? 参加するんですか?」

 

  「面倒だから参加しないでおきます。年上が1人混じってもいい事はないし、何より場所と時間を教えてもらってませんし。」

 

  「…分かりました。」

 

会話が終わった青年は、そのまま寮の自室に戻るため移動を開始した。が、

 

  「(そういえば、部屋の飲み物が切れてたな。買っていくか。)」

 

用事を思い出し、飲み物を購入してから帰るのだった。

 

自室前

 

青年が、部屋に入る前妙に嫌な予感がして、ふと扉に付いている部屋番号を確認していた。自分の持つ鍵で開けられている時点で間違えようが無いのだが、それでも何ともいえない感覚を味わっていた。

 

  「(…まぁ、入ってみたらわかるか。)」

 

意を決したのか、扉を開け中に入る。青年を迎えたのは、ルームメイトではなく、

 

  「お帰りなさい。お風呂にします? ご飯にします? それともわ・た・し?」

 

裸エプロンのような格好をした生徒会長が妙なポージングで迎えてくれた。青年自身が望んでいるかどうかは別問題として。

 

  「………、はぁ。」

 

数秒のフリーズから復活した青年は、溜息を付きながら中へ移動し、生徒会長のことを全く意にも返さず、鞄の中から小説を取り出し、読書を始めた。

 

  「(何処まで、読んだっけ?)」

 

そんなことを考えながら、小説をベッドに凭れながら捲っていると、顔を真っ赤にした生徒会長が目の前にいた。

 

  「ヨヨヨ。何で何も反応してくれないのよー。お姉さん悲しいわ。内に水着着たら見破られるかと思って本当に裸エプロンしたのに… 凄く恥ずかしいのよコレ!」

 

  「じゃあ、服来て下さい。更識生徒会長。」

 

  「にしても、ちょっと位反応してくれてもいいじゃないの。」

 

  「じゃあ、その格好のまま首輪をつけて私と一緒に寮を散歩するなら、付き合いますけど?」

 

本を閉じ、顔を向け真顔でとんでもないことを言い始める青年。

その言葉を聴いた瞬間。生徒会長は顔を真っ赤にし、腕で自分の身体を隠すようにしながら部屋の隅へ後ずさった。

 

  「冗談ですよ。そんなことしたら只でさえ低い私の立場が地の底へ落ちてしまいますからね。」

 

  「目が、本気だったわ。」

 

  「そう思うならそうなんでしょう。どうします? 大人しく服を着るか、このまま散歩に行くか。選んでください。あ、着替えるなら風呂場でどうぞ。」

 

逃げるように、制服を持って風呂場へ入る生徒会長を見てから、AIへ指示を出す。

 

  「(とりあえず、サーチ開始。)」

 

  “生徒会長のですか?”

 

  「(部屋のだよ。)」

 

  “了解しました。サーチ開始。……………完了しました。盗聴器数5 その他変更点多数存在しています。”

 

  「(下手に外したらばれるよな。)」

 

  “恐らく。”

 

返答を聞きハァーと溜息をつきながらベッドに横になる青年。拘束は解除されても、青年が超危険人物扱いというのは変わる訳もなく、以前より遥かに数は減らされているものの監視は継続されていた。

 

  「(心の休まる間が寝ている時くらいしかないな。)」

 

  “外しますか?”

 

  「(そうだね。盗聴器だけでも逐一外して行こう。)」

 

そんな会話をしていると、

 

  「おまたせ。」

 

生徒会長が制服姿で出てきた。

 

  「じゃあ、自分の部屋に帰ってください。」

 

  「えー、そのそっけない態度はおねーさん悲しいなー。」

 

反省してるの貸してないのか、腰をクネクネさせながらこちらに寄ってくる生徒会長。

 

  「ちょーっと出鼻は挫かれちゃったけど、おねーさんもっと君の事知りたいなーと思っててね。おねーさんとお話しない?」

 

  「昨晩の模擬戦で会ったでしょうに。下手な会話よりよっぽど意義のあるものを見せたつもりですけど?」

 

青年の言葉に反応するように、目に冷たさが入り始める。感情が読みにくく、ゆっくり近付いてくるのも合わさって、相手に威圧感を与えることを考えれば有効手であると言えた。

 

  「やっぱり気付いていたのね。因みにどこで気が付いたの?」

 

  「態々言うわけ無いじゃないですか。」

 

それでも、青年は本から一切眼を離すことなく会話をしていく。見たら壷に嵌るのなら見なければいいと言った具合に、ながら会話を続けていく。

 

  「態々隠す理由必要ある?」

 

  「何を今更。」

 

会話をしていると突如、生徒会長が青年の座っているベッドの下に潜り始めた。

 

  「変なことする前に帰ってください。」

 

  「ごめん! ほんの少しで良いから匿って!」

 

その直後、コンコンと部屋の扉を叩く音がした。

 

  「誰ですか?」

 

  「布仏です。今大丈夫ですか?」

 

  「どうぞー。」

 

本物のルームメイトが帰ってきた。何故かイライラしながら。

青年はとりあえず、質問をしていく。

 

  「で、どうしたんです?」

 

  「大変申し上げにくいのですが、生徒会長を見ませんでした?」

 

  「生徒会長って更識さんでしたっけ?」

 

  「ええ。更識盾無お嬢様です。」

 

念のため確認をすると、青年は先ほど隠れたベッドの下を覗き込みながら、

 

  「生徒会長さん。お迎えですよ。」

 

  「ちょっとぉぉぉ!」

 

あっさりと裏切った。

裏切ったという言い方は適切ではないかもしれない。何故なら青年は匿うことを了承していないからだ。

それはさておき、2人してベッドの下を覗き込むと怯えた顔をしてカタカタ震えている生徒会長がいた。青年が疑問に思っていると、ふと隣を見て納得した。

 

苦労と呆れと畏怖が入り混じったとっても素晴らしく良い笑顔のルームメイトの横顔が見えたからだ。

 

  「う、虚ちゃん? こ、これはね海より深い事情があるのよ? 本当よ。」

 

  「そうですか。今日が締め切りの書類ほっぽり出して行くぐらい大事な用件なんですね? 何ですか?」

 

  「えっと…、男性操縦者との会話をk…。」

 

  「大丈夫です。後でいくらでも出来ますから、今は急いで仕事してください。期限までそんなに余裕ないんですから、これ以上仕事を増やさないでください。」

 

  「いやーーーーー!」

 

襟首を掴まれ、物理的に引き摺っていこうとするルームメイト、それほどまでに仕事をしたくないのか、本気で嫌がっている顔をしながら必死に抵抗する生徒会長。

その光景を見て、ほんの少しだけ生徒会長に同情しそうになった。しかし、面倒くさいのでやめた。

 

そうこうしていると、生徒会長が助けを要求してきた。

 

  「渉君。ちょっとおねーさん助けてくれないかな! あんな量の書類なんて今日中に終わらせるなんて無理だから!」

 

  「仕方がないですね。」

 

よいしょっといいながら立ち上がる青年。それを見て、好機と言わんばかりの顔をする生徒会長。しかし、

 

  「布仏さん、これ何処に運べばいいですか?」

 

  「案内するので、生徒会室にお願いします。」

 

  「ちょっと! 渉君! 助けてくれるんじゃないの!?」

 

猛烈に暴れる生徒会長を荷物のように肩に担ぎ上げ、移動を開始する青年。

 

  「さっきから言っているじゃあないですか、さっさと自分の部屋に帰ってくれって。そんな状況下で貴方を手伝うわけないでしょう。」

 

 

道中何度か変なものを見る目で見られたものの、青年は特に何も感じることなく生徒会室へ到着した。

 

  「手伝ってくださってありがとうございます。非常に助かりました。」

 

  「まぁ、利害の一致があっただけですよ。」

 

会話をしながら不満たっぷりの生徒会長を一応丁寧に降ろし、その場を後にした。

 

 

生徒会室からの帰り、青年はふと思った。

 

  「ついでだ、晩飯も済ませてしまおう。」

 

そう思った青年は一度部屋に戻り、眼鏡と財布を取りに戻り食堂へ向かうのだった。

 

 

食堂

 

  「(しくじった。良く考えてみれば回避できた事じゃないか。)」

 

青年が非常に苦い顔をしながら食堂の中にいた。そこは、

 

  「織斑君、もっと食べようよ!」

 

  「織斑君こっち向いてー!」

 

 

クラスで一応誘われた、パーティーなるものが開かれていた。さらに、奥の壁に貼られている垂れ幕には、

 

  【織斑一夏君クラス代表就任パーティー】

 

とあった。

それを見て、食堂が通常運用されていない事を悟り、さっさと食事だけ済ませて撤退しようと思っていた。しかし、現実は非情なもので

 

  「おーい! 渉こっちだ! こっち!」

 

彼に見つかってしまうのだった。

 

最初は聞こえない振りをして、食事を取ろうとしたが。

 

  「照れんなよ! 皆で食事しようぜ!」

 

という謎の言葉と共に中央まで連行された。青年にとって最悪としか形容できないほど、気分が悪いものだったものの、顔には出さず、終始無表情でひたすら食事に徹していた。

可能な限り。

 

そんな中、青年自身も忘れていたのだがとある人物が来た。

 

  「ちわーっす。新聞部の黛薫子でっす。」

 

マスコミだった。

 

青年は、彼を身代わりにしフェードアウトするように中央から離れた。中央では、彼が質問攻めにあっている。途中で何度か茶化されたり、からかわれていたりしていた。

そんな中、少女を見つけた青年は口直し代わりに会話していく。

 

  「結局来たんですか?」

 

  「いや、来るつもりはなかった。全く意図していなかったんだ、食堂を全部占拠して行うなんて予想全くしてなかったからね。」

 

  「そうですか。丁度いいのでコレをお渡ししておきます。」

 

青年は少女から、数枚束になったルーズリーフを受け取った。

 

  「こいつは例のものと思っても?」

 

  「ええ。此処で会話していたら一発でした。というより自慢してました。私達があいつに天誅を下したから千冬様の弟はクラス代表になれた。と言った具合に。」

 

  「おーおー、ひっでーの。これが本当に誇るべきIS学園生か。真実は残酷だね。」

 

へらへらと笑いながら、受け取ったルーズリーフに目を通していく。そうこうしていると、

 

  「おーい、渉! 写真取るらしいから、こっち来いよ。」

 

という台詞と共に青年が連行されていった。

 

  「じゃあ、あなたお願いね。」

 

そして、新聞部からそんな言葉と共にデジカメを渡された。

 

青年を置き去りにして、少女以外が彼を中心にして集まっていく。

 

  「渉、準備いいぞ。頼んだ!」

 

非常にいい声で指示を出していく彼に押され、やむなく写真を撮る青年。

 

  「じゃあ、1、2の3でいくよ。」

 

  「早くしなさいよ!」

 

  「123!」カシャ!

 

青年は要望どおり速く撮った。デジカメで確認してみると、大多数が半目や真横を向いているなど集合写真としては最低のものとなった。ある意味では味があるが、案の定

 

  「何してるのよ、この愚図! こんなの取り直しに決まってるでしょ!」

 

  「そうよそうよ!」

  

  「渉、コレはだめだろ。取り直してくれ。」

 

不満が上がり、声が大きくなってきたとき、入り口付近から突如破裂音がした。

 

一瞬の内に部屋が静寂に包まれ、全員が入り口に立っている人物を見た。そこには、額に血管を浮かび上げ辛うじて我慢している状態の寮長こと担任が仁王立ちしていた。

 

  「貴様ら、騒ぐなとは言わない。だが、時間を考えろ。」

 

そう言われ、察した青年と少女は逃げるように食堂を退避する。残された面子は各々の腕時計や壁につけられた時計を見る。すると

 

  「やばい! 寮の門限まであと30分切ってるぞ!」

 

  「皆のもの! 急げーーーー!!」

 

それからというもの、蜘蛛の子を散らすように急いで片付けか敢行されたものの、時間に間に合うことはなく、青年と少女以外の残った全員に反省文が渡された。

 

 

 

 

 

自室

 

 

  「酷い目にあった。」

 

そんなことを言いながらベッドに座る青年。手には少女から渡されたルーズリーフがある。これだけでは押しが弱いことは、何となくではあるが青年は理解していた。なので、

とある人物に依頼することにした。青年は、ガラケーを取り出しとある人物に電話を掛けた。

 

 

  「どうも、お久しぶりです。知っているかもしれませんが幾つか依頼があります。お願いしてもいいですか?」

 




ども、最後まで読んでいただいてありがとうございます。

今回ちょっと中途半端ですが次回に持ち越しってことで許してヒヤシンス

その代わりと言っては何ですが2人の就寝時の補足を

就寝の癖 

虚:基本的に静か。ただ、よく寝返りをする上に、時折エロい声で寝言or喘ぎ声を言う。因みに本人に自覚なし。仰向けで寝始めるが、起きるとうつ伏せになっていることが多い。極稀にベッドから落ちる。何かあると即起きて行動が取れる。目覚ましが必要ない人。疲労がたまると、起きれなくなる。徹夜が苦手で、どこかで必ず睡眠を取らないと不機嫌になる。寝間着は普通のパジャマ

渉:超静か、耳を澄まさないと呼吸音すら聞こえない。超低血圧のスーパーロングスリーパー、一度寝たら基本的に何をしても起きないし、一度寝ると最低8時間は自力で戻ってこれない。最長は不明。何故か起きるとエルヴィス・プレスリー状態になっていることが多い。必ず猫のように丸まって寝る癖がある。目覚ましを幾つ鳴らしても起きれない人。実家では雫かリグに力技で起こしてもらっていた。徹夜が超余裕で、2徹、3徹程度なら普通にこなせる。5徹まで行くと死にそうになる。寝間着は浴衣っぽい和服。ライナス症候群持ち。


これからものんびりと更新していきますので、
気長にお待ちください!


コメント(理不尽な批判以外)、質問、代替案、どしどしお待ちしてます

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