IS ~1人連合艦隊ってすごくね~   作:シトリー

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まだ、序章なんですよコレ。


幼少期~小学生編

 青年はありとあらゆるものを聞き、話し、体験し、仲間と喜びを分かちあい、悲しみを分けあい、時には裏切られ、ある時には血を流し、そして、涙した。

 

 幾千幾万もの経験を繰り返し、そして青年は最後に壊れてしまいました。

 

 

 

 

 神様からの加護を受け、ようやく転生が終えた青年。

「(オイ、あの糞野郎…転生とは言ってたが、まさか赤ん坊から始まるのかよ!)」

 実際は青年が忘れていただけなのだが、やり場の無い怒りをもう見ることが出来ない神へ向けてひたすら漏らしていたところに、赤茶色の髪をした一人の女性が青年へ向けて哺乳瓶を向けてくる。その顔には笑顔が浮かべられており、心の底から青年に対して愛情を向けていた。

 その女性の名は、四十川久美子。今抱えている青年を生んだ張本人であり、歪んだの子を得てしまったこの世界における、最初の被害者である。

「(こんなのただのセルフ罰ゲームじゃねーですk)」

 哺乳瓶を口に突っ込まれたことで言葉が中断させられ、少しもがく青年。当たり前ではあるがそれに、女性は全く気づかない。寧ろ、喜んでいると思い、猫撫で声を繰り返していた。

 この時、青年が無事に転生し終え、数年が経過していた。

 

  中略

 

 少年は小学生になった。そして

「(全く、毎日が暇で暇でしょうがないぞっと。後、ISって何だっけ? 調べても出てこんぞ?)」

 重要なことを忘れていた。一応調べてみたのだが出てこないことに疑問を感じていた。

 今の少年にはわからないことではあるのだが、ISは歴史が非常に短くまだ世間に出ていないのだ。出ていないものを流石に調べることは出来ない。なので、少年は諦め、別のことについて考えることにした。

「(さてと~、今解っていることを一旦書き出してみるかねっと)」

 

・転生者

・今はまだ、使える技巧が限られている。

 

「(書きだしたけど、これだけで一体どうしろってんだよ)」

 少年は右手を凝視し、得た特典の一つを使ってみた。見た目には何も変化は無い。手が発光を始めるといった特別なことは一切わからない。しかし、少年にはわかった。使った右と使わなかった左を比べてみると、あくまでも感覚ではあるが明確な違いが感じられた。

「(暫くは、これの練習だな)」

 今後の方針をあらかた決めた少年は、意識を戻し、次の授業に備えた。

 

 

 唐突だが、少年は周り全てから疎ましく思われていた。

 小学生とは思えない知識、態度、立ち回り、どれを取っても異端だった。

「(まぁ、当然っちゃー当然だわな。自分のクラスメイトが全てを悟ったような目をしてたら、そら引くよ。自分でもそうするし)」

 少年はまったく気にしていなかったが、他には被害甚大だった。

「またあの子1人で変な事しようとしてるよ。気持ち悪い。ほんっとに気持ち悪い」

 何かしているとすぐこれである。それは妬みからでも、外見からきていることでもなく、ただただ単純に異端だからだった。

 そのことを正確に理解している人物はクラス内はおろか、学校全体で見ても少年ただ一人のみだった。それを理解している少年は特に事を荒げようとすることなく、大人しく日々を暮らしていた。

 そんな少年にも、少なからず欠点があった。それは、吃音症だった。ただ、吃音症といっても重度のものではなく、病院から正式な診断が下されたわけでもない。非常にゆっくり話せばそういった症状は一切出てこないのだが、他とは違う間延びする独特な口調などの目に見える違いが、より一層少年の異端さを際立てていた。

 それでも、青年はすくすくと成長し高学年になるころには吃音症を克服することに成功した。それにより調子に乗った少年は日本語だけでなく、英語、ドイツ語、フランス語、イギリス英語そして何故かロシア語を勉強していた。

 きっかけは何となくであったのだが、それでも少年自身が驚く速さで習得をしていき、小学校を卒業するまでには、5つの言語を日常会話レベルまでに習得することに成功するのだが、それはまた別のお話。

 

 少年が成長するにつれて、周りのいじめがさらに過激になっていった。原因は見た目である。

 元々中性的だった見た目が、成長によりさらにわかりにくくなってしまったのだ。どれほどかを説明するなら、初見の相手からは一発で性別を当てられることは無いほどだった。

 

「おーい、男女。コレ片付けておいて」

「こっち見るな、男女。お前は絶対男じゃない」

「ちょっと!、近寄らないで、気持ち悪い」

「あいつに近づくと変なエキスが移されるぞ。ヒソヒソ」

「(最初の頃は、先生も助け舟を出してくれることが多かったんだけどなぁ。やっぱり、教師は生徒を見て授業をするんじゃなくて、その奥にいる親に向けて授業をしてるな)」

 少年は小休憩として小説を読みながら、そんなことを考えていた。

「(これが一段落したら、ハロでも作ってみるか)」

 しかし、1年弱かけて作成したハロが原因で親からも疎ましく思われてしまうようになる。

「(まぁ、そうなるわな)」

 反省の色が全く無い少年である。

 

 ある休日。少年は自身の予想が正しいのか一応確認を取るためにある場所へ行こうとした。

「さて、コナン君風伊達眼鏡も、ハロの調子も大丈夫だな。母さん、ちょっと出かけてきます」

「車に気をつけてねー」

「はーい」

「(まぁどうにかなるでしょう)」

 少年は以前から考えていた事を確認するために本屋へ向かった。ただ、その本屋までは距離が非常にあり、今の少年の体力と移動スピードを鑑みると、どう少なく見積もっても1時間は掛かりそうだった。

「とうちゃーく。さて、漫画を探しに行くとしようか」

 少年は何度か休憩を挟みつつも、何とか1時間前後で目的地に着くことに成功した。着いた少年は自身の目的を果たす為に行動を開始した。

 少年が本屋に到着してから2時間程が経過した。すると少年は店から出て、首を傾げていた。

「(やっぱり、自分の知る漫画が全く無い。これはそういうことなのか?んー考えても埒が明かないな、帰るか)」

 以前から、自分の知っているアニメや漫画などが見受けられないことは知っていたのだが、どうにも納得できず、自分の足で探しに来たのだ。しかし、それは徒労に終わってしまう。似たようなものは多くあった。似たような設定のものも多くあった。ただ、根本的に何かが違っていた。

 戦隊を組み大人数で強力な悪と戦う、特殊なデバイスを用いて一人で多くの悪と戦う。所謂、日朝ヒーロー的なもの等は存在する。ただ、その場に陳列してあった名前は、そのいずれも少年には見たことも聞いたこともなかった。

 

 少年は下を見ていてあることに気が付く。握りこぶし程度の小さな影が自分の目の前を不規則に動いているのだ。

「(なにこれ?影ってことは上か?)」

 少年は上を見て驚愕した。人の形をした何かが空を縦横無尽に飛び回っているのだ。

「(全体的に白く無骨なフォルム…何だあれ、早すぎて見えん。となると、コレでなら見れるか?)」

 少年はポケットの中に入れていた伊達眼鏡を取り出し、掛けた後一言呟いた。

「オーグメントモード起動」

“認証しました。サーチ開始。…………… サーチ終了。正体不明強化外骨格型飛行物体、以後UPEと呼称し、結果を報告します。搭乗者、織斑千冬。外骨格内に計測できないエネルギー体を探知、内部エネルギーを用いて行動している模様。その他全て不明です”

「(計測できないってどういうこっちゃい。)記録したデータをハロに送っとけ」

“承知しました。オーグメントモード終了します”

「(UPEは消えたか。この先めんどくさいことになりそうな予感がする)」

 少年はぼんやりとそんな事を考えていたのだが、残念ながらその予想は的中してしまう。

 だが、それはまだ先のお話です。

 

小学生編終了

 




UPE…Unidentified Powered Exoskeletonの略
コナン君風伊達眼鏡…MGRのオーグメントモードを眼鏡を通して再現できるもの。度は入っていない。バッテリー式の為、連続で30分しか持たない。充電には4-5時間必要。
ハロ…緑色。今はまだしゃべらせてない。機能はほぼ原作と一緒だが、簡易的な記録媒体となる。動力は電気。


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