この話へ跳んできた方へ、
今回は同日に2話投稿しているので前話から読まれることを
お勧めします。
やっと、試合です。
青年はどうなるのかな?
では、本編です。
ガラガラガラガラガラッ
車椅子の分が想像以上に重く、全身に衝撃を貰いながら、青年は落ちていった。そして、当たり所が悪かったのか、角に当たり、
ゴキン!
「(まずい! 今の音、骨折れたぞ。痛みから考えて左上腕骨か?)」
骨が折れた。
顔袋のせいで視界が暗く、拘束もあるため、自身の状況が痛みでしかわからない中動かせる範囲内で、損傷具合を確かめていく。
「(今のところ、大きい被害は左腕だけか?見えないとリグも使えん。)」
そうこうしている内に、
『四十川さん!大丈夫ですか!?』
副担任が戻ってきた。
「とりあえず起こしてもらっていいですか?」
起こしてもらい、袋が外されるとそこには、涙目の副担任がいた。ただひたすらに、自分のせいだ、目を離してしまったせいでこんなことになってすいません。と、謝っていた。見かねた青年は、
「とりあえず、職員室へ連れて行ってもらっていいですか? ここでは何も出来ません。」
『…はい。』
落ちていた眼鏡を付け、2人は職員室へ移動を再開した。その道中は2人とも無言だった。
「(やっぱり、か。)」
青年はいつものように眼鏡で状況を調べていたのだが、そこには…
“左上腕骨…骨折 頬骨…左右共に亀裂あり”
ある意味青年の予想通りの結果がそこにあった。
「(考えた作戦が全部無駄になりそうだな。さて、どうすっべ。)」
そうこうしている内に、2人は職員室に到着し予定通り荷物を回収したのだった。
『あの、四十川さん身体大丈夫ですか?』
「大丈夫じゃないんですか? 中で青痣が出来ているくらいでしょう。そうだ、中に痛み止めが入っているので、取ってもらっていいですか?」
『あの…これですか?』
「そうです。それです。」
副担任が荷物の中から取り出したビンの中には、綺麗なエメラルド色に光るカプセルが多数入っていた。
『あの…これ本当に薬なんですか?色が人に飲ませるものとは思えないんですけど。』
「薬ですよー、これを使うと、痛みが治まります。副作用で激痛が走りますけどね。」
『それ本当に痛み止めですか!?』
「用法と用量さえしっかり守れば大丈夫ですよ。(経口摂取の場合はね。)」
そういう青年に薬を数錠と水を渡した。
「(今回は2錠でいくか。) すいません、水無しの奴なんで、2錠そのまま口に入れてください。」
そういうと、鳥の雛のように口をあけて待機する青年、そこに2錠分の薬が入った。
“携帯型修復剤の投与を確認。完全治癒まで30分。”
その後は、痛みに苦しむ青年を心配しつつ、第2アリーナへ移動を再開するのだった。
第2アリーナ内出撃準備室
青年たちが到着すると、もう既に参加者と担任そして何故かポニテ娘がいた。
『遅いぞ。もう全員集まっている、後は貴様だけだ。』
「間に合っているならいいじゃないですか。」
『渉は15分前行動を知らないのか?』
『全くですわ。』
『男なのだから、それぐらい守れ。』
「あら、四面楚歌ですか。そうですか。それはそうと、試合順はどうなっているんですか?」
『そうか、貴様はまだ知らなかったな。初戦はオルコットと織斑。次はオルコットと四十川。最後が四十川と織斑だ。』
「そうですか。」
『はい、外し終わりましたよ。』
「あ、いつもありがとうございます。」
そうこうしている内に、青年の拘束が全て外されていた。とりあえず、身体を動かし何処まで治っているかどうかを確認していた。
「(骨自体はくっ付いているっぽいけど、衝撃を与えたらマズイな。ってことは、片腕縛りか。 もうやだ、帰りたい。)」
『よし、時間になったので、試合の説明を開始する。一度しか言わないので、良く聞いておくように。』
担任が、今回のルール等を説明始めた。要約すると
・基本的に国際ルールに則って試合を行う。
・過剰な攻撃、死体蹴りを禁止。
・試合の開始及び終了はブザーにて知らせる。
・ピットは複数あるが入退場を含めて好きなほうを使用していい。
・試合時間は10分
・試合終了条件は、相手もしくは自分のエネルギーシールド値の消失。試合時間が10分以上の経過。相手の戦闘行動不能状態に陥ったと確認できたとき。
・時間切れの場合は、エネルギーシールドの残量で決まる。
・試合後は、エネルギーシールドの補給と必要であれば武装の補充及び変更を行っても良い。
こんなところだった。
『全員異存は無いな。』
『いいぜ。』『わかりましたわ。』「ないっすよー。」
その発言後、各々が準備を始め、青年は待機していた。暫くすると、彼が青年に近づいてきた。
『よう渉。今日はいい試合をしような。』
「ええ、こちらこそお願いしますね。」
軽く言葉を交わすと、カタパルトに乗り、飛んでいった。その後、ブザーが鳴り、何か話し終わった後、試合を開始した。
「(あいつら、試合中に何会話してるの? 馬鹿なの?)」
そんな事を、モニターを見つつ考えていた。すると、
『あのー、四十川さん?』
「はい?」
副担任が声を掛けてきた。
『あの、四十川さん宛てに荷物が届いていますけど、どうします?』
「差出人は誰です?」
『篠ノ之束。と』
「じゃあ、お願いします。多分ですけど、軽いでしょ?」
『何でわかるんですか?』
「私が依頼したものですからね。」
そう言って、運び込まれた荷物を開けていく。それほど大きくないダンボールからは綺麗に畳まれた外套のようなものと靴、そして手袋が入っていた。
「あのやろー、いい動きしてくれるじゃないですか。」
『あのー、それなんですか?』
「今回使う小道具ですよ。」
そういって、靴と手袋をつけていく青年。そして、それは今まで使っていたものと思える程度に自身の身体のサイズに合っていた。
「さて、そろそろかね。」
青年が、モニターを見るとそこには、彼が淑女を追い詰めようとしているところだった。映像でもわかる程度に、彼の手のひらが執拗に開いたり閉じたりしていたが…
その後、青年は自身のISを展開することも無く。ただ、試合を見て急いで作戦を練り直していた。
「(ブルーティアーズの残り二つは、やはり予備兼奇襲用か。そこだけ弾道ミサイルにしているあたりいやらしいな。織斑さんは本当にブレオン機なんだね。でも、斬りつけるたびに相手のエネルギーが大きく減っているのは、ワンオフかな?)」
そうこうしている内に、試合終了を知らせるブザーが鳴った。しかし、双方ともISを解除されていないし、降参もしていない。時計を見ると、長針が丁度6分の1を過ぎたところだった。つまり…
時間切れにより、勝者 セシリア・オルコット!
判定勝ちだった。
暫くすると、2人とも何故かこちらに戻ってきた。お姫様抱っこで。
淑女は頬をほんのりと染め、彼は相手に対し意地を見せられた為か満足そうな顔をしていた。
『では、これより10分間の休憩の後、第2試合を開始する。参加者は準備すること。』
『あの…四十川さん、無理はしないでくださいね。』
「わかってますって。」
『では一夏さん、補給を終えたら私も行ってきますわ。どうか私の戦いを見ていてくださいまし。』
『ああ。セシリアもがんばれよ!』
後ろで桃色空間を形成しそうな2人を放置し、青年は外套を持つと、カタパルトではなく階段を下りた予備の出撃ゲートへ向かった。
『あら、なぜそっちへ向かうのです? まさか棄権でもする気ですか?』
「歩いていきたい、それではだめですか? 出撃の際は必ずカタパルト使用しなくてはならないなんてルールも無かったはずですよ。」
『………。』
それだけ言うと、青年は部屋を退出し階段を下り、地上からアリーナへ入る為の扉へ向かった。その道中で青年は普段とは違う眼鏡を装着し、ポケットに入っている懐中時計を握り、呟いた。
「ready」
その直後、青年を光が包んだ。そして、光が収まる前に自身の身の丈ほどもある外套を羽織り、外套の穴に右腕のみを通した。暫くすると、青年を包んでいた光は収まり、右手で外套についていたフードを被るのだった。
「(見た感じだと外套だったけど、着てみるとこれは二重廻しって言ったほうが良いな。)」
「リグ、コード【A.C.T.I.S.】起動。」
“エクストラコード 認証しました。マザーリグとの同期を開始します。………完了しました。これよりバトルシークエンスを開始します。”
青年が普段掛けているような伊達眼鏡ではなく、インカムが装備されているゴーグルに様々な情報が表示されていく。
“バトルシークエンス完了。これより戦闘体制に入ります。ご武運を。”
その声を聞いた直後、アリーナへ繋がる最後の扉へたどり着いた。そして、自身に用意されていたコードを打ち込むことで、目の前の扉が開いていく。そこには、
『ずいぶんと遅かったですわね。本当に逃げ出したのかと思いましたわ。』
20数メートル先の上空に今回の対戦相手、セシリア・オルコットが愛機を纏い待ち構えていた。
かなりの人数が入るであろうアリーナの観客席には人一人いない。いるのは、フード付きの二重廻しを羽織った青年と、こちらを蔑むような目で見ている、ブルーティアーズを纏った淑女だけだった。
青年がある程度進むと、アナウンスが入る。
『四十川、貴様そんな機体で本当に戦う気か?』
よほどのことが無い限り、特に戦闘事に関しては放任主義の担任が口を出す程度には青年の専用機は異端だった。ISとは、装着するとほぼ例外無く全長が大きくなる。何故なら、脚部にPIC発生装置があるためである。しかし、青年はISを装着している今の時点で、目測で170センチ前後、どう大きく見積もっても、190センチもなかった。しかし、青年の回答は、
「愚問ですね。」
全てを理解している。というものだった。
『そうか、それは失礼した。では、これより第2試合を開始する!』
そのアナウンスの直後、
ビーーーーーーーーーーーーー
試合が始まった。
ビーーーーーーーーーー
「コード【結】」
ブザー音隠れるように小声で青年は以前、コアが見せた透明な板を再現した。自身と相手を結ぶ少し距離の離れた階段のように。以前と同じように見えていない淑女は、ご高説を述べ始めた。
『さて、貴方も知ってのとおり私はイギリスの代表候補生です。なので、このままいけば私が圧勝するのは自明の理。なので、最後のチャンスを差し上げますわ……
相手の話を全く聞いていない青年は、駆け始めた。目の前の板に乗りつつ残像を残しながら加速していく。そして、
土下座して謝罪なさるのなr「ダイナミックエントリー!」キャアァァァ!』
ズガンッ!という音と共に淑女の顔面に跳び蹴りをかますのだった。
蹴られた淑女は、壁まで一直線に吹き飛び、めり込んだ。蹴った青年は足の裏から飛び出ている棘を仕舞いつつ、地面へ軟着地し相手を見ていた。
「(博士特製のパイルシューズつえー。何が強いって、理論上無限に使えるってのがいいね。)」
そうこう考えていると、
“ブルーティアーズの展開及びロック確認、囲まれています!”
青年を狙う、子機が射撃を開始しようとしていた。しかし、
「コード【十式対熱多層防護盾】」
青年は盾を呼び出し、全て防いでいた。身の丈を超える円形の物理盾を、右腕1つで器用に取り回し、後方からの攻撃すら防いでいた。
『ふ、ふふ、やはり男と言うのは、下劣な存在ですのね。一夏さんのような方がいらっしゃることは理解しましたが、貴方のような存在には、円舞曲は似合いません。ですので、私セシリア・オルコットとブルーティアーズが奏でる鎮魂曲でこの世界から退場なさい!』
壁から抜け出した淑女が、顔を真っ赤にし、青年に対し、猛攻を始めた。威力の高いライフルで注意を引き、死角を的確にブルーティアーズで打ち込んでいくというスタイルだった。初戦と似てはいたが、攻撃密度が段違いなのは誰の目から見ても明らかだった。しかし、
“12時方向ライフル弾着1秒後。その後、ティアーズ3時、8時、10時、4時の順に弾着 3秒、5秒、9秒、10秒後。”
全て、回避もしくは防がれていた。
「(盾耐久値表示。)」
“損傷率約2% 耐熱パネル破損数5枚”
「(想定よりも威力が低いな。こんなもんなのか? でも、油断は禁物だけどね。)」
そう考える青年は、左下に表示されている自身のエネルギーシールド値と淑女の斜め上になるように投影されている数値を見比べていた。
左下には 200/200と
向こうには 752/1000と
この数値が表す意味はただ1つ。
「(シールド値平均が1000前後の世界に200っておかしいでしょ。嫌でもオワタ式とか死ねるわ。)」
青年の専用機は自身のシールドエネルギー値が200しかないという、とんでもなくピーキーな機体だった。もし相手の攻撃が直撃すれば、絶対防御を容易く貫き青年の命の灯を消してしまえる。掠りでも、場合によっては致命傷になりかねない。危険なんて言葉が生温く聞こえる程度に狂った機体だった。
『ああ、もう!何で当たらないんですの!』
「(いやいや、当たったら死ぬからね、こっち。)」
青年は必死に攻撃を捌いていく。そんな中、相手の行動に変化が出てきた。
“ブルーティアーズ起動数追加を確認、総数6。”
「(まじかよ。)」
『これで、終わりですわ!』
淑女は、奇襲用に残しておいた弾道型も投入してきたのだった。戦い方も変化してきており、数を利用した多角型攻撃ではなく、ミサイルの爆発を用いた範囲攻撃による面での制圧を用いてきた。仮にかわされたとしても、巻き起こった土煙で視界を遮り、次の攻撃を予測しにくくする効果もあった。しかし、
“弾道型7時、3時の順に弾着1.5秒、4秒後。11時方向ライフル4連射弾着4秒、5秒、6秒、7秒後。レーザー型5時、1時、8時、10時の順に弾着3秒、4秒、5秒、5.5秒後。”
「(同時に3つか!)」
青年のもう1つの目が、全ての攻撃を情報として伝えてくれるので、何とか防御、回避が間に合っている状況下だった。
「(もうそろそろ、4分位か。そろそろ攻勢に入りたいよね。)」
そんなことを考えている中、とある情報が入ってくる。
“ブルーティアーズ全機撤退を確認。バッテリー切れかと思われます。”
それを聞いた青年は、未だ収まりを見えない土煙の中で呟いた。
「コード【幼稚園】、コード【ガーレ】」
Side ………
「(何であんなポンコツに乗っているのに、私の攻撃を避け続けられるんですの?)」
オルコットもハイパーセンサーで相手のシールドエネルギー値を見ていた。その少なさに最初は驚きをしたものの、今はカモが来たとしか考えていなかった。
「(その結果がこれとは、悪い夢でも見ている気分ですわ。)」
上空から、土煙の中にいる相手を見つつ、ブルーティアーズの急速充電を行っていると、突如、中から動体反応が増えたことをセンサーが探知した。
「消えなさい!」
先手必勝といわんばかりのライフルでの速射。しかし、今までと違いレーザーが別方向に飛んでいった。
「(弾かれた? まさか、あんな男にそんなことが出来るはずはありませんわ。)」
そう思い、何度もライフルを打ち込むが結果はいずれも、土煙の中に入った瞬間に別方向へかっとんでいった。唖然としていると、対戦相手を含めて7つの動体反応が煙の範囲外へ出てきた。そこには。
『提督、あいつだな。』
『提督ったら、いつもトラブルの中心にいますもんねー。』
『電の本気を見るのです!』
『ypaー(低音)』
『まったく、私がいないとだめなんだから。』
『ちょっと雷!私の台詞取らないでよ!』
「誰?」
眼帯を付けてたり、頭に天使の輪のようなものを浮かべていたり、小学生中頃程度の子供たちだったりとあるが、全員に共通しているのはよく判らない機械を腰につけているところと、武装している所だった。
『待たせたね、此処からはこっちのターンだよ。』
最後に青年が、土煙の中から出てきて宣言するのだった。
Side out
「(ギリギリ間に合ってよかった。此処まで時間が掛かるとは思わなかった。。)」
青年は、盾といつの間にか背中で回転運動をしているドーナツ状の物体を装備し、仲間にゴーグルを渡していく。
「おい、とりあえずこれつけろ。」
『何だこれ。』
「iイルミネーターって奴でね、要するに情報伝達装置だ。これを装着後、蔓から伸びているコードを艤装に接続しろ。」
そういって、全員に青年が付けているものと同じ物を全員に渡し、接続した。
「リグ、コード【iイルミネーター】」
“認証しました。これより同期を開始します。………完了しました。軽巡洋艦 天龍 龍田 駆逐艦 暁 電 雷 響 との同期を開始します。情報展開します。”
そこには、今回の作戦及びその全てが表示されていた。
「内容は理解したな。残り時間はあまり無い、この煙の中から脱出後作戦行動を開始する。」
その直後、
“7時方向ライフル弾着2秒後。”
それを聞いた青年が防御行動を取る前に、その攻撃そのものを天龍が弾き飛ばした。
『へっ、この程度でこの天龍を討ち取れると思うなよ。』
『天龍ちゃん、楽しそうー。私も偶には天龍ちゃんと一緒に戦ってみたかったのよねー。』
そう言いながら、その後2人で数回飛んでくるレーザーを全て弾き飛ばし、全員煙の範囲外へ移動を開始した。そして、
『提督、あいつだな。』
『提督ったら、いつもトラブルの中心にいますもんねー。』
「望んでないけどね。」
『電の本気を見るのです!』
『ypaー(低音)』
「声低っく。」
『まったく、私がいないとだめなんだから。』
『ちょっと雷!私の台詞取らないでよ!』
「待たせたね、此処からはこっちのターンだよ。」
その言葉と同時に、刀と薙刀を持った2人が急接近を始めた。レーザーなら、近接武器で弾き、ミサイルなら射撃兵装で相殺し、空中で飛び跳ねるように接近していく。
『何なんですの!この人たちは!』
『俺様は天龍だ!覚えとけ!』
『私は龍田よ~、以後お見知りおきを。また会うことがあれば…ね?』
「おし、天龍龍田以外は全員援護だ、対空兵装でティアーズをあいつらに近づけさせるな。」
『『『『了解!』』』』
前衛で、青年の張った足場を頼りに近接攻撃を仕掛ける2人。淑女もそれを止めるために、ティアーズを含め全てを使い、何とか捌いている状況だった。
『貴方!多対一なんて卑怯だと思わないのですか!?』
「思わない。」
何とか、青年に攻撃を当てようとするも、ライフルは移動射撃が出来ない淑女には構えることが出来ず、ブルーティアーズは、いくら動かしていても、取り巻きの4人に射角の妨害をされて、イメージどおりの場所に撃てなった。そして、じりじりと追い詰められ、シールドエネルギーが減少を始めたとき。
『全く哀れですわね!あんな最低な男に使われるなんて、貴方たちには人を見る目が無いのでは!?』
『なぁ龍田、あいつ何か訳わからない事言っているぞ。』
『そうね。でも天龍ちゃん、提督を侮辱したことは確かみたいよ。』
『じゃあ、やる事は1つだな。』
『そうね~。』
『『徹底的に叩き潰す。』』
『ひぃ!』
攻撃の密度が上がり、距離を離す淑女。そして、ブルーティアーズも自分の周りに再展開し、その場で射撃を開始した。
「動かせないなら、動かずに射撃ってか?」
盾で攻撃を防御していく青年、その付近には駆逐4人もちゃっかり隠れている。
『提督、攻撃の密度が上がり過ぎて近づけねぇ。援護できるか?』
「すまん、こっちも防御中、今は無理だ。なんで、一度後退して息を整えるぞ。龍田もだ。」
『『了解。』』
一度、全員が盾の裏に集まった。青年はライフルやティアーズからの攻撃を受け止めつつ、場所を確保する。
「さて、残り時間はもう2分切りつつある。相手の目的は判定勝ちだ。」
そう言った青年の視界には、
501/1000
と言う数字が見えていた。ルール的には、このままだとこっちは負けてしまう。そう考えた青年は、
「仕方がない、総員二手に別れ突撃する。」
『割り振りは?』
「天龍、雷、暁は左から攻めろ。龍田、電、響は右から、私は中央から突撃し、注意を引く。異論は?」
青年の言葉に皆頷き、作戦が開始された。
青年が盾を前面に構えたまま、空中へ突撃をしていった。それを、淑女が止めるためにブルーティアーズを主人公に向けて射出した直後
「(総員突撃。)」
左右から、接近する敵を見て自身の失策を悔いる淑女。しかし、そこで思考停止することなく、青年に向けライフルで盾の上から殴りつけ下に落とし、
『インターセプター!』
40センチ程度のナイフを両手に取り出し、左右からの攻撃を受け止める。そして、射出したブルーティアーズを向け直し、左右に向け射撃していく。
『この程度で、私に勝てるとでも思いましたか!』
2本のナイフを使い、近接攻撃をギリギリではあるが捌いていく淑女。追い詰められても尚、代表候補生としてのプライドが敗北することを拒む。あと1分。それだけ捌けば、この試合は勝てる。それだけが、淑女を限界以上まで引っ張る思いだった。その直後、
「やーっと、私から視線を外してくれたね。」
背後から、下に落としたはずの青年の声がした。そして、振り向く間もなく青年が淑女の肩に乗り、
「これで、落ちろ!」
両足で、淑女の首を絞め始めた。
『ごっ、がっ、ぎぎぎ。』
二重廻しごと被さっている為、視界が暗くなり完全に不意打ちだった上に、両手は他の攻撃を捌いていた為使えない。
そして、淑女の身体から力が抜け、落下を始めた直後
ビーーーーーーーー
試合の終わりを告げるブザーが鳴った。
そしてアナウンスにて、
セシリア・オルコット失神による戦闘不能の為 勝者 四十川 渉
青年は勝利した。
ふと、落下が止まり上を見ると落下しないように、青年の外套を掴んでいる仲間がいた。
『提督~、後のこと考えなさ過ぎですよ~。』
「いつものことじゃないか。」
『そんなこと言う悪い子は、このまま落としますよ~。』
「死にはしないけど、やめて。」
青年は自身のエネルギーシールド値を見てみると、
200/200
となっていた。
ども、最後まで読んでいただいてありがとうございます。
片腕、ノーダメ縛りだと、この辺が限界です。
さて、他の作品要素が目に見えて多くなってきましたが、わかる人は何人居るんでしょう。
次回は、一夏戦と延長戦です。
ストックを使い切ったので、また何時になるかはわかりません。
コメント(理不尽な批判以外)、質問、代替案、どしどしお待ちしてます