賑やか家族Diary♪   作:犬鼬

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久しぶりなdiary。
今回は皆さんがウミガメのスープというアナログゲームで遊ぶようです。

ウミガメのスープというのは言ってしまえば一種の謎解きゲーム。ということで書き方に工夫を入れてあります。

問題を読みながら謎を解くというのもこのお話を楽しむ方法でしょう。
もし謎を自力で解きたい場合は少しずつお読みください。

また、途中で

A finishing question

という文字が出たら答えが出てくる合図です。
自力でとかない限りは先を見たくない。そんな方はこの先に進まないようにして解いてから先をお読みください。

さて、長いまえがきはこの当たり。

では特注のウミガメのスープ、どうぞご賞味くださいませ……


36話 ご賞味あれ、ウミガメのスープを

「んん〜……疲れた〜」

 

土曜日の朝。

珍しく夜更かししなかった昨日もあってか朝早くから起きていた僕は少しパソコンで作業していた。

まあ作業って言ってもそんなに大したことじゃなくて軽い趣味の創作活動なんだけどね。

時間にしても一二時間ほどだから滅茶苦茶疲れたってほどでもないし。最も……

 

「……お腹はすいたな」

 

寝起き弱いはので朝食は相変わらず抜き。

多分みんなも食べてないだろうから作られてないだろうしね。

とは言ってももう11時半。そろそろ起き始める人は起きてくるし、加奈姉なんかはお昼ご飯を作ってたりするんじゃないかな?

ぐぅ〜っと腹の音も鳴いてきたことだし下に降りて腹ごしらえでもしようかな。

階段をおりてリビングへ。

部屋の中から物音はしなけど電気とかエアコンの稼働音は聞こえるし多分みんないるのだろう。

ガチャっとドアをあけてみんなに挨拶!

 

「みんなおはうぇぇぇぇ!?」

 

「「「「…………」」」」

 

物の見事に全員で机に顔を突っ伏していた。

 

「あ、百斗……ご飯そこね……」

 

「う、うん……」

 

リビング横のキッチンにあったフレンチトーストを貰って1口。

うん、流石加奈姉。とても美味しい。……んだけど、さっきから突っ伏してるみんなが気になってあまり集中できない……。

 

「え、えと……みんなどうしたの?」

 

「「「「暇なの察して!!」」」」

 

怒鳴られた。

 

「いやそんな無茶な……」

 

「「「「見てわかって!!」」」」

 

理不尽。

 

「まあ退屈してるってことはよく伝わったよ……」

 

「わかったらなにか暇つぶしできるの出してよ〜……」

 

「暇つぶしかぁ〜……」

 

こっつーの言葉に色々思考を巡らせる。

きっとみんなのことだから今すぐにできることの方がいいよね〜……

少し考えてそう言えば最近面白いの見つけたなと思い提案。

 

「じゃあウミガメのスープなんてどう?」

 

「ウミガメのスープ?」

 

「ご飯ならもう食べたけど……」

 

加奈姉とふうから疑問の声が上がった。

結構メジャーだと思うけど意外と知られてなかったりするのかな?

それでも梓兄は知ってたみたい。サークルのメンバーと遊んだことでもあるのかな?

 

「水平思考パズルゲームか」

 

「難しそう……」

 

梓兄の言葉にこっつーが首をかしげながら言う。

まあこう言われると難しいけどルールはいたって単純。

 

「全員参加型の謎解きクイズで出題者が問題を提示。それに対して回答者がみんなで質問を出題者に出していくアナログゲームだよ。ただし質問の内容は『Yes』か『No』で答えれるものに限られる。質問してそこから貰える情報を元にどんどん推理していくゲームだよ。ああ、質問回数に限度はないよ。20の質問と違うところだね」

 

「なぞなぞっぽいやつ?」

 

「なぞなぞと違って質問が許されるほど理不尽な答えが用意されてるのが特徴だな」

 

「なるなる〜」

 

僕と梓兄の説明で加奈姉は納得。

こっつーとふうもなんとなーくは理解出来たみたいで一応頷いてくれた。

 

「ま、習うより慣れろだよ。まずはやってみよう。その方が理解しやすいしすぐ分かるよ」

 

「ふーん、なんか面白そう!」

 

「問題はあるのか?」

 

「まぁ何問か……いきなりきついのやっても仕方ないし少し簡単なのやってみよっか」

 

僕の一言にみんなが頷いて問題を待つ。

うん、たとえ家族でも視線集めるのはちょっと緊張するね。

 

「じゃあ第1問。

 

とある果物販売を営んでいる男性が朝から『みかんを盗まれた』と騒いでいた。

しかしみかんが盗まれた事実はなかった。男は何故そう騒いでいるのでしょう?

 

さぁ、質問をどうぞ」

 

比較的簡単とは言ったものの閃きを問われるこの問題はちょっとハマるとなかなか抜け出せないタイプのそれだ。

さて、まずは1番の不安や嘘なんだけど……

 

「ふぅむ……」

 

顎に手を当てて思案顔になる梓兄。

 

(よしよし、梓兄の知らない問題みたいだ)

 

クイズもの全部に通る事だけど種が割れるとものすごくつまらないことになるからね。

とりあえず1番の懸念事項が消えてくれてよかったよかった。

あとはこっつーとふうが理解してくれるかだね。

 

「じゃあ質問、盗まれたのはみかんだけか?」

 

「『No』。問題にあるように盗まれた事実がありません」

 

「ほうほう……」

 

「なんかカッコイイ!」

 

「なるほど、そんな感じにやるんだね」

 

最初に手本として梓兄が質問することによってこっつーとふうも理解したみたいだ。

参加しながら周りへの説明も同時にこなす。さすがだね。

これで心置き無く出題者の仕事が出来そうだ。

 

「うーん……じゃあその店はみかんしか売ってなかったの?」

 

「うーん……恐らく『Yes』だけど関係はないかな?」

 

「売ってたものは関係ないのね……」

 

「盗まれたと思ったのはみかんの減った数と手持ちにあるお金にズレがあったから気づいたの?」

 

「勿論『Yes』だよ。基本の気付き方はそうでしょ?」

 

「じゃあじゃあ、犯行は夜行われたの?」

 

「まぁ……『Yes』、なのかなぁ。まぁ朝から叫んでるって問題文にもあるから夜行われたんだろうね」

 

「それもそっか……」

 

加奈姉、ふう、こっつーと質問をしていくけどまだ進展はないかな?

 

「えーっと、じゃあみかんを盗んだのは動物ですか?」

 

「『No』。動物は関係ありません」

 

「あらら、猪とか猿が勝手に食べたのかなって……」

 

「それは俺も思ったなぁ。でも動物だとどうやって入ったか気になるよね……屋根裏かな……?」

 

「あっ!」

 

加奈姉とふうの考えを遮るこっつー。

なにか思いついたのかな?

 

「みかんの値段はいくらでしたか?……ってこれじゃあYesNoで答えられないから……みかんは1個87円でしたか?」

 

「なんでそんなピンポイントな上にくっそ高騰してるの!?……『No』、というか値段は関係ありません」

 

「じゃあ!店の店主はお金の計算できない馬鹿でしたか?」

 

「ああ!!」

 

「身も蓋もないよね!?加奈姉も納得しないの!!『No』!!ちゃんと計算できるよ」

 

「ならこれしかない!!店主は老眼老害クソジジイだったんだ!!」

 

「さらに酷いわ!!『No』だよ!!」

 

「じゃあ店主は頭がパッパラ「店主障害者説から離れようか!?」はーい」

 

全く……やれやれと思わなくもないんだけどこの『ウミガメのスープ』においてはたまーにこういう質問がドンピシャな時もあるから可能性を潰すという意味では間違っては無いんだけど……

 

「んー……そもそもなんだが、店主は店の鍵をかけ忘れましたか?」

 

ふざけた質問から急にあず兄からの真面目な質問。

少しびっくりした……なんせ

 

「おお……少しいい質問だね。でも答えは『No』だよ」

 

「ん、進展ありなのか」

 

なかなかいい質問だからだ。

いい質問があったらちゃんとそういう。そうすることで少しずつ正解に導くというのも出題者の大事な役割だ。最もヒントの出しすぎもご法度だけどね。

 

「へぇ、いい質問は褒められるんだ〜」

 

「じゃあ頑張って考えなきゃね」

 

梓兄の質問結果にみんなのやる気が少し上がる。

こういう少しずつ真実にたどり着くってやっぱりワクワクする所があるよね。

 

「いい質問ってことは鍵が関係あるの?」

 

「でも店の鍵をかけ忘れたわけじゃないよね?じゃあレジの鍵……?百斗兄、レジの鍵はかけ忘れましたか?」

 

いい質問。でもこれも『No』だね」

 

「じゃあそもそもレジに鍵なんてなかった!!」

 

「これもいい質問なんだけど『No』かなぁ……」

 

「うぅ、Noばかりだと進んだ気がしないよ〜……」

 

加奈姉の言葉にふうとこっつーが質問するけど同じような質問であまり進展はない。

ううん、こう悩んでる妹と弟を見ると凄くヒントを出したくなるなぁ……

 

「ちょっと見てるところが違うかなぁ……鍵が大事なのはそうなんだけど……」

 

「うん、鍵がキーなのは分かるんだがな……」

 

「は?」

 

「え?」

 

「ん?」

 

「梓兄、寒い」

 

「ひど過ぎないか?」

 

だっていきなり寒いギャグ言うから……ほら、部屋の気温が5°くらい下がった。

 

「と、とにかくだ。鍵は大事な単語なんだよな?」

 

「重要とまでは行かなくても関係はあるよ」

 

「うーん、待って。そもそもなんだけどさ……レジの鍵って言ってる時点でこう解釈しちゃってたけど……そもそもこれってみかんが盗まれたんじゃなくてお金が盗まれたの?」

 

「おお、加奈姉凄くいい質問!!答えは『Yes』。盗まれたのはお金の方だよ」

 

「あ、盗まれたのはお金って言うのは合ってたんだ」

 

「それを早く行ってよ百斗兄!!」

 

「最初のあず兄の質問でも言ったしそもそも問題文にも盗まれた事実はないって言ってるんだけど……」

 

こっつーの言葉に苦笑いで返す。

僕はてっきり最初からそう気づいてるものばかりと思ってたんだけどね……。

 

「じゃあ盗まれたのはお金として……ってあれ?これもう答え出てない?」

 

「まだ出てないよ?だって問題文はみかんが盗まれだ事実がないのに盗まれたと騒いだ理由……現段階でみんなの分かってる言葉を使うのならみかんじゃなくてお金が奪われてるのになんでみかんが盗まれたと騒いでるの?って聞かれてるんだもの。まだその謎は分からないでしょ?」

 

「あ、そっか……そもそも聞かれてる部分が違うんだ」

 

「そういうこと。でも大分真実には近づいてるよね」

 

「……あれ?ってことはこの男の人ってそもそもお金を盗まれたとは考えすらしなかったの?」

 

「うんうん、いい質問。答えは『Yes』。だからこそ騒いでたわけだしね」

 

加奈姉とふうの質問のおかげで何を解かなきゃ行けないのかがかなり明確になってきた。

これはもう答えまではあと一息かな?

 

「ふむ……じゃあ前提に戻るんだが……この売ってるみかんってのはダン〇ン〇ンパの罪木〇柑のフィギュア……」

 

「なんでゴール手前からブラジルまで吹っ飛ぶような回答が出るかな!?その脚力をゴールに使ってよ!!『No』!!」

 

「ではこのみかんを作ったのは高海家の……」

 

「学園偶像は関係ありません!!『No』!!」

 

「じゃあ……このお店がある村には人狼がいた?」

 

「『No』……人狼だったらお金じゃなくてこの店主の命を盗みそうだよ……」

 

「じゃあこのお店のある村の人達が全員クズだった!!」

 

「だったら商売しようという考えすら思いつかばないでしょ!!っていうかさっきからこっつー口悪くない!?」

 

あず兄から始まり加奈姉、ふう、こっつーとネタばかりの質問。

真面目にやる気はあるのだろうか?

 

「……ふーん、なるほどね?じゃあ聞くよ?お店のある村にいる人たちはみんな優しい人たち?」

 

「……『Yes』。凄くいい質問だね」

 

ちょっと喋りすぎたなぁ……ボケのツッコミに集中しすぎてヒントを言ってしまったみたいだ。

こっつーの質問に対する答えから足がかりを掴んだ感じだね。

加奈姉はまさかこれを狙って……?んなわけないか。

 

「優しいのがいい質問なの?」

 

「いい質問だよ。優しい人たちばかりじゃなかったらこの人は販売して無いはずだ」

 

こっつーの言葉に首肯して言葉を返す。

そう、村人たちはみんな優しくないとこれは成り立たない。

 

「……大分見えてきたかも?」

 

加奈姉が目を光らせる。

……これは答えわかったかな?

 

「質問、行くよ?」

 

「どうぞ」

 

「商品は商品棚に陳列されてますか?」

 

「『Yes』。普通の店と同じように陳列されてます」

 

「男性は商品やお金のやり取りをその人の手で行っていますか?」

 

「『No』。男性自身の手は使われていません」

 

「そのお店はバイトや店員は雇っていますか?」

 

「『No』。自営業なのでしょう、誰も雇ってないみたいだよ」

 

「「「……あぁっ!!」」」

 

……うん、これはチェックメイト。かな?

加奈姉はボクのこの答えによって確信を得たのかそっと微笑む。

梓兄、ふう、こっつーも答えにたどり着いたようだ。

 

「じゃあ最後の質問……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A finishing question

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「男性のお店は無人販売ですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………『Yes』。……では、答えをまとめてくださいませ」

 

「OK!

 

男性は無人販売のお店を経営していた。無人販売は周辺に住んでる人たちとの信頼関係があって初めて開くことの出来るもの。そんな中ある日料金箱と自分が出品しているみかんの数を確認するとその数字に誤差があった。無人販売であったがために男性は料金が減ったみかんの数から計算して少ないことをみかんが盗まれたからだと勘違いしてしまった。そのため盗まれた事実がないのに男性は朝から騒いでいた。……どう?」

 

「……お見事。正解だよ」

 

「ふぅ……よかった〜」

 

「さらに解説を入れる余地もない完璧な回答だね。流石加奈姉」

 

「無人販売か……なるほどな」

 

「確かにそれならおかしくないよね」

 

あず兄もこっつーも納得してくれたみたいだ。

たまーにこういう問題って解かれても納得出来なかってりするんだよね〜。

 

「でも気になることがひとつ……鍵とレジのくだりっていい質問だったの?関係なさそうだけど……」

 

「鍵がいい質問なのは料金箱に鍵がかかってないからこの事件が起きたから。レジに関してはそもそもレジ自体が存在しないからだね。だから僕はそのふたつの質問に関してはNoと答えてるはずだよ?レジがなくて鍵もないだと一気に無人販売まで絞れるからね」

 

「あ、そっか……一応他にもあるかもだけどほぼ絞れちゃうね……」

 

ふうもこれで納得したみたい。

良かった良かった。

 

「まあ質問への回答に若干の意地悪を混ぜた感は否めないけどね」

 

「なんでそんないじわるするの〜」

 

「そんなの簡単だよ?」

 

頬を膨らませながら言ってくる妹に向けてちょっと意地悪な笑顔を浮かべながら返してやる。

 

「だって、聞かれてないもん!」

 

「うぐっ……」

 

そう、レジと鍵の有無については一言も聞かれてない。

なら質問されてない僕に答える義務も権利も無いもの。

この一言にみんなが一本取られたなという顔をした。こういうのが出題者の1番ゾクゾクするところだよね!!

 

性格悪い?少しくらい悪くならなきゃこういうのは面白くないのさ!!

 

「さて、じゃあ2問目する?」

 

「したい!!」

 

「今度はギャフンの言わせる!!」

 

「ま、まだ時間あるしな」

 

「今度はもっと早く答えてあげるよ〜」

 

こっつー、ふう、あず兄、加奈姉、みんなやる気満々だ。

 

「よし、じゃあ行くよ〜

 

第2問

 

昨夜の夏祭りのことを覚えていた瑞希ちゃんは、私がやきそばを食べようとするのをやめさせた。

 

一体なぜ?

 

……では質問どうぞ」

 

「はい、やきそばを食べるのを止めたのは夏祭りが関係しますか?」

 

「『Yes』だね」

 

「じゃあ夏祭りに行った先で起きたことが原因で止めたんだ」

 

「これも『Yes』。問題にもあるけど覚えてたから止めたんだ」

 

「じゃあもし夏祭りに行かなかったらやきそばを食べるのを止めなかったのか?」

 

「うーん……ちょっといい質問。でもこれは『No』だね。もしかしたら行かなくても止められたかもしれないよ」

 

「はいはい、夏祭りの会場でやきそばを食べたことに関係はありますか?」

 

「『No』。関係ないね」

 

こっつー、ふうが前提を固めて梓兄と加奈姉が周りを掘っていく。

うんうん、もう慣れてきたみたいだ。流石みんなだね。

 

「じゃあ……瑞希ちゃんは焼きそばの無人屋台を運営してましたか?してましたね!!Yes!!」

 

「『No』!!してないから!!勝手に断定しないで!?」

 

と思った瞬間にこっつーからまたボケがっ!!

 

「いや、可能性はある……瑞希ちゃんはお金が盗まれたのにやきそばが盗まれたと勘違いしましたか?」

 

「してねぇよ!!『No』!!梓兄まで乗らないで!?ていうか料理の屋台で無人販売ってなに!?作り置き置いてあるだけ!?そんなの冷めて美味しくないでしょ!?」

 

「え?人がいないままで鉄板にやきそば置いてあって焼かれてるだけでしょ?」

 

「Yesだ。キヨ君」

 

「Yesじゃねぇよ!!焦げてるだけだろその焼きそば!!」

 

「あ、じゃあブラックやきそばはその夏祭りで1番売れましたか?」

 

「かっこよく言い換えないで加奈姉!?『No』だよ」

 

1人ふざけたらみんなふざけるんだから……ツッコミが足りないよ。

ここに遥さんや飛鳥ちゃんがいたらさらにカオスになってただろうな〜……

 

「うーん……じゃあそもそも屋台は関係ない……とか?」

 

「そうだね……『Yes』だよ。屋台は関係ない」

 

「じゃあプログラムか!!」

 

「うん、いい質問。『Yes』だよ」

 

ふうとあず兄の質問でようやく真面目モードに。

さて、今度はボロを出さないように気をつけなきゃね。

 

「夏祭りの行事……って言ってもそんなに沢山ないよね?」

 

「こっつんの言う通りあまりなさそう……私たちの近所で考えるなら盆踊りと花火と浴衣コンクールと屋台選挙……かなぁ?」

 

「屋台は関係ないって言ってるから最後は除外でいいよね」

 

「じゃあ残り三つなんだが……どれもやきそばと繋がる気がしないんだが……」

 

ここで2問通して初めての長考タイム。

むしろ今までこれがなかったことがびっくりだ。

確かにここから答えにたどり着くのはちょっと厳しいと思う。まぁこの場合の突破方法はとにかく色々聞くしかないんだけどね。

それに踏み込んだのかこっつーが口を開く。

 

「夏祭りからだとこの先進まなさそうだから別のこと行く!!ズバリ、瑞希ちゃんはバカですか!!」

 

「「ぶっ」」

 

いきなりのトンデモ質問に吹き出すふうとあず兄。

ここに来てまたこっつーの毒舌質問が来たら確かに面白くて吹き出しちゃうよね。でも……

 

「……いい質問だね。答えとしては『No』だけどなかなか鋭い質問だよ」

 

「「嘘だっ!!」」

 

「うるさいレナブラザーズ」

 

まさかの僕の回答に荒れる男性2人

耳元で叫ばれたらうるさいでしょうが!!

 

「レナブラザーズ……すごいパワーワードだね……じゃなくて……バカでいい質問……あっ!もしかして、瑞希ちゃんは子供ですか?」

 

「これもいい質問。『Yes』。瑞希ちゃんは子供です。小学生低学年くらいの子を想像して貰っていいよ」

 

「つまりこの子は知識が足りなかった、もしくは何かしらの勘違いをしちゃった!!」

 

「うんうん、ディ・モールト。ベネ。いい質問。答えは『Yes』。瑞希ちゃんはだからこそやきそばを食べるのを止めたんだ」

 

「じゃあこの瑞希ちゃんと私って言うのは親子関係?」

 

「うん、『Yes』だよ」

 

「ありがと〜こっつんのおかげで少し分かってきたかも〜!!」

 

「あそこからここまで話を広げられる加奈姉も凄いもん!!」

 

お互いにスキンシップし合う2人。とても微笑ましい光景である。

 

「うん……納得できないが進展あったならそう認めよう。だがまだイマイチその勘違いと夏祭り、やきそばの3つが繋がらないんだが……」

 

「結局なんでなんだろう……あ、百斗兄。やきそばを食べるのを止めたのはなぜですか?」

 

「それはね〜ってそれが問題だって言ってるでしょうが!!考えなさい!!」

 

「ちぇ〜っ。百斗兄なら口滑らせると思ったのに」

 

やはり僕はみんなに下に見られてるのでは……?

 

「うーん……でも確かに繋がりが分からないのは確かなのよねぇ……まだあと1つか2つピースが足りない感じ」

 

「でもでも加奈姉のあの質問のおかげで……答え、なんか喉まででかかってる気がする……」

 

こっつーが少し真相に近づき始めてるかな?

……正直、この問題を1番答える確率が高いのはこっつーだと思ってるからちょっと期待。

 

「うーん……夏祭りを覚えてたからやきそばを食べるのを止めたんだよね?なら夏祭りの時に勘違いしたの?……あ、また決めつけちゃってた……えっと、百斗兄。そもそもこれは勘違いなの?まだ勘違いか知識が足りなかったからかわかんなかったから……」

 

「え〜っと……順番に答えるね?まず夏祭りの時に勘違いをしたかって話だけど……これは『No』。別に夏祭りの時に勘違いをした訳じゃないんだ。そして次の勘違いなのか?という質問に関しては……」

 

「Yesだろ?1つ目の質問に対して夏祭りの時にした訳じゃないと言ってるし……」

 

「それが『Yesとも言えるしNoとも言える』んだよ。というのも勘違いをした理由が知識が足りなかったから。だからね」

 

「う〜ん……?どういうことなの?」

 

「簡単に言えば両方当てはまってたからやきそばを食べるのを止めたんだ」

 

「……?」

 

うーん、ちょっとふうが混乱し始めたかな?

あず兄も少しまとめるためか黙ってるし……加奈姉も少し考え事をしてる。

さて、1番期待してるこっつーは……?

 

 

 

 

 

 

 

 

「……小学生特有の教えて貰ったものをそのまま受け取りすぎて……勘違いしちゃった……とか?だから知識が足りないから勘違いもしたって言う表現だった……どう?百斗兄」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……やばい、凄くゾクッとした。

こんなにもこっつーがかっこよく見えたのは初めてかも……。

 

「……今日一で1番いい質問だよ。素晴らしい。答えは『Yes』、その通りだ」

 

「私、加奈姉たちに沢山教えて貰って色んなこと勉強したけどたまに間違えて覚えたり勘違いすることがあったから瑞希ちゃんもそうだったのかなって」

 

「そう言われたら確かにそんなこともあったなぁ……」

 

「買い物言った時もそういうことあって周りの人から柔らかい視線向けられたこともあったっけ」

 

「も、もう!あず兄もキヨ兄も思い出させないでよ!!……何もしなくてもたまに思い出して恥ずかしくなるんだから……」

 

ああ、あの時は商品買う時に読み込むバーコードを見て不思議がってたこっつーに加奈姉が「これを機械が読み込んだらこれから買う物の値段を教えてくれるんだよ」って説明した時にちょうど店員のお姉さんさんがレジの責任者登録するために首から下げてるカードのバーコードを読み込ませてて……それを見たこっつーが「お姉さんも買っちゃうの!?お姉さんはいくらなの?」って大きな声で言っちゃって周りに柔らかい空気が流れたことあったっけ。

子供らしい可愛い勘違いで加奈姉だけじゃなくて周りの人も何人かがノックアウトしてたのは割愛するけど……

 

「と、とにかく!!……私、そういうの色々あったからだからこうかなって。で、もし私の予想がほんとに当たってたなら……答え、分かったかも!!」

 

「え、ほんとに!?」

 

さっきと違って誰もまだ答えにたどり着いてないままこっつーが正解宣言。

 

「うん。だってこの勘違いもその……私、したことあったから……」

 

……うん、出題者の僕だから分かる。

これは正解しそうだなぁ……。

 

「いいよ、おいでこっつー。こっつーの予想が正解かどうか確かめてあげる!!」

 

「うん!!じゃあ質問行くよ!!」

 

大きく息を吸って……吐いて……こっつーが口を開く。

 

「夏祭りのプログラムで重要なのは花火ですか?」

 

「『Yes』」

 

「瑞希ちゃんはお母さんと花火についてお話ししましたか?」

 

「『Yes』」

 

「瑞希ちゃんが覚えていて、そして勘違いしたのはその花火の話が関係ありますか?」

 

「『Yes』だよ」

 

「……うん、多分これで間違いない!!百斗兄、次が最後!!」

 

いやはや、これはお見事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A finishing question

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お母さんが次の日に食べたやきそばはカップやきそばですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うん、『Yes』だよ」

 

「え?なんでカップやきそば……」

 

「「あ……ああ!!」」

 

ふうはまだだけど加奈姉とあず兄は理解したみたいだね。

 

「さぁこっつー、答えをまとめて!!」

 

「うん!!

 

昨夜の夏祭り、瑞希ちゃんはお母さんと花火を見に行ってて花火を見てた。その花火を見て疑問に思った瑞希ちゃんが「どうして花火は光って大きな音がなるの?」って聞いてそれに対して多分お母さんは『火薬』を沢山使って爆発させてるってニュアンスで教えたんだと思うの。

で、翌日お母さんがカップやきそばを作ろうと中に入ってるひらがなで『かやく』って書かれた文字の袋を空けてやきそばに入れようとした所を見た瑞希ちゃんが昨夜の花火の話を思い出して『加薬』と『火薬』を勘違いしちゃって、お母さんが爆発すると思ってお母さんを止めた!!

 

……どう?」

 

「……うん、大正解!!お見事だよ」

 

「やったあああ!!」

 

両手をあげて思い切り喜ぶこっつー。

うんうん、とても微笑ましい。

 

「子供の気持ちになるのが大事な問題だったんだよ」

 

「なるほどね〜……確かに昔私がカップやきそばを作ってた時にこっつんに「やめて!!加奈姉爆発して死んじゃう!!やだぁ!!」って泣きながらひっつかれたことあったっけ〜」

 

「あれからしばらくこっつーの前でカップやきそばを作らないようにって家族会議したっけな……懐かしいな」

 

「もー!加奈姉もあず兄もぶり返さないでよ!!……うう、恥ずかしい」

 

「でもあのこっつんも可愛かった……ふふふ……」

 

「と、百斗兄……加奈姉が怖い」

 

「あ、あれはほっておこう、ね?」

 

黒いもやみたいなのも見えたし触らぬ神に祟なしだよ。うん……

 

「さて、暇つぶしはこれくらいでいいかな?」

 

気づけば大分時間が経っていた。

そろそろ家事とか色々した方がいい時間だろう。

 

「楽しかった〜!!」

 

「次は他の人も誘いたいね〜」

 

「俺たちは答えられなかったから次はリベンジだな」

 

「出題者になるのもいいかも」

 

「楽しんでくれたようで何よりだよ」

 

うん、本当によかった。

出題者冥利に尽きるってものだ。

 

「さて、僕もこの後は……ん?」

 

部屋に戻って掃除でもしようかななんて思ってたら携帯にLINEが。

 

『これから遊べませんか!!』

 

飛鳥ちゃんからのお誘いだ。

 

「全く、急だなぁ……」

 

でも嫌いじゃない。

ふと周りを見ればみんな各々部屋に行ったりでもう解散していた。

 

(じゃあ僕も、好きにしようかな!!)

 

暇つぶしのアナログゲームを終えた僕達は、こうしてまた日常へと戻っていった。




というわけでいつもとはちょっと変えてみました。
いかがでしたでしょうか?
また気が向けば更新しますのでその時またお会いしましょう。
ではでは

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