今回は後書きを別の方にお任せしました。
どこかでみたことあるぞ~?
そしてもうひとつ。
番外編をすべてナンバリングに変えました。
さすがに多すぎてもういいやってなりましたww
では本編、どうぞ!!
「今日集まってもらったのは他でもない。明日に控える一大イベントの為、一致団結を」
「長いし、部室の電気消してカーテンまで閉めて何してんのさ」
真っ暗な部室、そこの電気スイッチを入れつつ、呆れた視線を部長席に座る民に向ける。
現在部室にいるのは文研部の男子だけ。昨夜急に民から緊急招集をタイトルに連絡が来たんだけど、なんかデジャブを感じるんだよね。それに導入からそんなに大事な案件じゃなさそうだし。
「それで?なんで俺たちを集めたの?」
「ああ、明日ってなんの日か知ってるでしょ?」
「明日ですか?」
民の質問に春一が首を傾げるも、何人かは納得のいった表情を浮かべていた。もちろん俺も納得側の人間。ていうか前言を撤回させてもらう。これは大事な案件だ。
「民さん、今日この場を設けてくれて感謝します」
「良いってことよ。俺とお前の付き合いじゃん」
「それで、結局何するんです?」
友和と民の二人が握手してる中、夏生が冷めた目で見ながらこの集まりの意味を聞く。今いる中で分かっていそうなのは主催者の民と俺、友和に秋太だけか。いつまでも教えられない二人がなんだか可哀想だからそろそろ教えるか。
「春一、夏生。明日ホワイトデーだよ」
「あぁ!」
「そう言われてみれば」
「お前ら本気で分かってなかったのかよ……」
二人の反応にガックリと肩を落とす民。
「だって今までそういう事と無縁でしたし」
「僕も海里姉に貰ったのは今年が初めてですし」
「そうか。まぁというわけで、バレンタインのお返しとして今から明日渡すもの作るぞー」
民の言葉にパラパラと拍手が返される。そんな中、秋太が手を上げる。
「なぁ民。作るの良いんだけど、どこで作るんだ?」
「先に言っておくけどウチは無理だからね?」
「大丈夫心配しなさんな。場所はちゃんと考えてあるって。んじゃ今から移動するぞ〜」
民は部室の扉を開けると外に出るように促す。皆は貴重品だけを手に部室を出ていく。
「ほれ梓。早く出た出た」
「はいはい」
俺が出ると民は鍵を閉め、先頭に立って歩き出す。なぜか隣に俺を置いて。
「それで? なんで急にこんな事を提案したのさ」
「そりゃお前あれだよ。サークル内の男女仲を考えてだな」
「さいで。それで本当は?」
「今年は思ったよりも人数が多かったから、お前がいたら作るのが比較的楽かなと思って」
やっぱりか。でも民は知らないんだろうな。こういうお菓子作りなら俺よりも光樹の方が上手いということを。
「まぁそう悲観的になるなって。よく考えてみ? 今日家で作ったとして、そこに姉妹が帰って来たらと」
「別にあの二人ならそこまで大騒ぎしないけど」
リクエストとかなら大いにありそうだけど、あってその程度。邪魔とかはしてこないから特に家で作っても問題なかったんだよね。
「でもまあ今年は量があるからね、助かるのは否定しないよ」
「ほうほう」
「……なんだよ」
「べっつに~」
なんか民の笑顔にイラッと来たので脇腹に肘を入れる。横で民が悶えてるけど普通に歩けてるから問題ないか。後ろの皆は慣れてる目で逸らしてるし。よく訓練されてるなぁ。
横腹を押さえている民を連れて目的地であろう調理室に着く。
「さ、材料の準備は既にしてある。各々作りたいものを作れぇい!」
タァーンと勢いよく扉を開け放つ。なんか扉からしちゃいけない音がした気がするけど気のせい気のせい。
さて何作ろうか……皆にはクッキーでいいかな? 手間かからないし。かな姉たちにはキャラメルでいいかな。遥は個別でくれたからこっちも個別で返した方がいいよ。
「梓さん何作るんですか?」
「ん~クッキーでも作ろうかなーと」
「その割には材料多くないですか?」
春一に言われ集めた材料を見る。今俺の手元には薄力粉、アーモンドプードル、ごま油、パウダー各種、粉砂糖、粉糖、牛乳、マーガリン、卵白、グラニュー糖、食紅、アーモンドパウダー。確かに多いな。まぁ作るものが作るものだからこんなもんだろ。ていうか民はどこからこれらの材料をかき集めたんだろうか。
「春一は何作るの?」
「僕はクッキーですかね」
「なるほど」
春一と話しながら砂糖、牛乳、マーガリンを小鍋に入れて中~強火で煮始める。
「そういえばホワイトデーのお返しってなんか意味あってりすんのか?」
「なんで俺に聞いてくる」
「梓なら知ってそうだから?」
鍋を見張ってると秋太が話しかけてくる。ていうか疑問形なのね。でも返しの意味か……
「確かバームクーヘンが「あなたとの関係が続きますように」とかだっけ?」
「あー、結婚式の引き出物によくありますもんね」
「引き出物の時は木の年輪にかけて長寿繁栄も含めてるらしいな」
「なんだ、秋太も知ってんじゃん」
「他にもあんだろ? 今二人が作ってるものとか」
今作ってるものっていうとキャラメルとクッキーか。前にネットで調べた時にチラッと見たな。
「キャラメルが「あなたは一緒にいると安心する人」で、クッキーが「あなたは友達」だよ」
「やっぱり知ってるじゃないか」
「偶々だよ偶々」
「偶々でも勉強になりましたよ。あれ? でも梓さんそれ姉たちに渡すんですよね?」
「いやいや。俺のは家族とその周りの人用だよ。皆に渡す用は別に用意する予定」
じゃないとあんなに材料とらないしね。
周りの声を聴きながら火を止めた鍋の中からクッキングシートを敷いたバットに薄く平らに伸ばすように入れ、冷蔵庫に入れる。
さて、これであとは固まるのを待つだけと。次はどっちを作ろう……クッキーの生地を先にしようかな。えーと最初はごま油と粉砂糖を混ぜてっと。
「あれ? 梓さんバター使わないんですか?」
「使わないでも作れるレシピがあるからね。今回はそっちでいこうと思ってるんだ」
「そんなレシピもあるんですね」
まぁ俺も調べるまでは知らなかったけどね。前に一度こっつーと叶音ちゃんにせがまれた時に作ろうとして、ちょうどバターが切れてた時に調べたんのが功を奏したよね。
「……よくさ、ホワイトデーは三倍返しって聞くけど、あれって何を基準の三倍なんだろうな」
「量とか?」
「普通に考えたら義理の場合は値段とかじゃない?」
薄力粉とアーモンドプードルを入れ混ぜた生地の四分の一にわけ、それぞれに抹茶、キャラメルパウダー、ブラックココア、イチゴパウダーを入れて混ぜながら二人の会話にも混ざる。あ、今のはパウダーを混ぜると会話に混ざるをかけた……誰に言ってるんだろう。
「梓さんって考えが時々酷い方向に行きますよね」
「失礼な。じゃあ春一は量と値段じゃない場合は何が三倍になると思うんだよ」
「う~ん、速さ、とか?」
「でもよ。渡された時の速さなんか誰か覚えてるのか?」
「覚えてないんじゃないでしょ。っと、これで良し」
混ぜ終わった生地をラップで包んで冷蔵庫で休ませて、っと。その間に最後のお菓子も作ろう。えっと、アーモンドパウダーと粉糖をふるいにかけて食紅を入れる。
「そういえばさっき調べたら出てきましたよ」
「調べたって何を?」
「ホワイトデーのお返しの意味ですよ」
「してその結果は?」
「外れ枠でマシュマロが存在するみたいです」
「外れ枠ってなんだよ、外れ枠って」
お返しに外れもあたりもないでしょ。あって相手がそれを好きか嫌いかくらいでしょうに。
「なんでもマシュマロの意味は「あなたのことが嫌い」らしいですよ」
「「そりゃあ確かに外れだ!!」」
あれ? でもマシュマロって他にもいい意味合いがあったはず。そうそう確か……
「「あなたの愛を純白で包みます」ってのもなかったっけ?」
「へ~そんな意味もあんのか」
「前にマシュマロに豚足突っ込んでる友達がいましたね」
「「豚足!?」」
え、春一の友達何入れてんの? マシュマロに豚足って、豚足って!
「なんでもバレンタインの時にサプライズでカエルの肉入りチョコをもらったらしく、そのお返しとばかりに作ったそうです」
「にしても豚足って」
「コラーゲンがたっぷりなマシュマロになってそうだな」
「仮に誠意込めててもカバーしきれませんって」
春一の友達の話に恐怖を覚えながらも卵白とグラニュー糖を加え作ったメレンゲに最初にふるったものを数回に分け入れ、つやが出てきていい感じになるまで混ぜる。次にクッキングシートに直径3~4㎝になるくらいに絞り出す。
「あとはこれを冷ましてる間にクッキーでも焼いて、こっちを焼いてちょいちょいすれば完成かな?」
「なんだか梓さん手慣れてましたね」
「そう? まぁ普段から料理とかしてるからそれが関係してるのかもね」
「よ。こっちはもう終わりか?」
使っていた容器とかを洗っていると民が声をかけてきた。
「あとは焼きあがるのを待つだけな状態」
「民さんたちの方はどうです?」
「ま、順調かな。あとは夏生だけだ」
民たちのほうで料理できるのって友和だけだった気が。それに比べてこっちは春一もできるから比較的楽だったのかな?
「なにはともあれ何事もなくてよかったよかった。んじゃ後片付けまでよろしくな。て言わなくても大丈夫か」
民はそれだけ言って夏生と友和のもとに戻っていく。
そして一時間後。机の上にはラッピングされたクッキーやらチョコやらと様々なお菓子が並べられていた。
「で、これどうするの?」
「部室の冷蔵庫に入れておいて明日渡す」
「よーし皆で運ぶぞー」
民の言葉を最後まで聞かすに秋太が手を叩く。といってもそんなに量があるわけじゃないから、それぞれが作ったものを手に持ち部室に戻るんだけどね。っと持ち帰るやつまで入れないようにしないとね。
翌日の部の様子を簡単にまとめると俺らの用意したものに女性陣の皆は喜んでくれた。特に海里が泣きかけてたのには驚いたよね。早く付き合えばいいのに。
さて、やることやったし帰りますか。
「遥。俺帰るけどどうする?」
「ん~? 私もそろそろ帰るよ」
「そんじゃまた今度な~」
「まったね~」
遥とともに部室を出ていつもの通学路を二人で歩く。平日の昼近くだというのに通子人は俺たち以外の誰もいない。
「遥」
「何?」
「はいこれ。バレンタインのお返し」
俺はカバンからマカロンの入った袋を取り出して横を歩いている遥に渡す。遥は少し驚いたように目を開くも、しっかりと渡した袋を手に持つ。
「ねぇ、ちょっと公園に寄ってもいかない?」
「ああ、いいぞ」
遥の提案ですぐそこにある公園のベンチに並んで座る。座った並びは偶然なのか、一か月前と同じだった。
「ねえ梓。先月私に言ったこと、覚えてる?」
「先月っていうと「遥が彼女なら彼氏が幸せだね」って話?」
「う、うん。覚えてくれていたんだ……」
「まぁね」
ニュアンスは少し違うだろうけど、確かに似たセリフは言ったはず。ちなみにその時遥が言った言葉も覚えている。
「俺は遥が彼女でも嬉しいし、幸せだよ」
「……!?」
「だからさ遥。俺と付き合ってください」
「…………」
「……遥?」
突然告白をしてしまってもしかしたら失敗したのかと不安になり、遥の顔を覗き込もうとする。あ、顔逸らされた。
「遥?」
「……るい」
「え?」
「そんな突然告白だなんてずるいよ」
「ははは、ごめんね。でもいうなら今かなって思ってさ」
「本当に私でいいの」
「もちろん」
「それじゃあ、これからもよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくね」
俺たちは頭を下げたあと、お互いの顔を見て笑い出す。俺たちの関係は付き合っても今までとそんなに変わらないんだろう。俺は遥を抱きしめながらそう思った。
【だいありー】
梓「これ何?」
遥「君の元になった作者が許可を取って催しているなんの変哲もないキャラ同士のメタ発言の場所だよ!」
梓「お前自由すぎだろ」
遥「まぁまぁそんなこと言わずに。何から話していく? 今回の私と梓のイチャイチャ回? それとも
梓「そこまで俺らイチャついてないだろ。前回はほかの作家さんにも言われてたけど、今回と前々回はイチャついてはいないだろ」
遥「それにしてもAZさ……梓。前回のホワイトデーの回でのこつめちゃんに「さりげなく彼女作ってそう」って言われてたけど、本当にサラッと彼女にしたよね」
梓「なんで他人事なんだよ。俺とお前の話でしょうに」
遥「えーだって恥ずかしいじゃん」
梓「恥ずかしいも何もその回の出来事を話していくんだろうに」
遥「実は前話までのネタが多くあるからそれ話しても全然構わないよね! ってね!」
美「お姉ちゃ~ん!」
梓「おっとここでまさかの美咲ちゃん登場だね。いらっしゃい」
遥「さすが私の妹。本編で登場する前にあとがきの茶番で登場するなんてね」
美「あ、どうも皆さん初めまして。存在自体は17話のあとがきで登場していた田口遥の実妹の田口
梓「にしても美咲ちゃんみたいにあとがきに先に出るキャラって初めてだよね」
遥「あ、本文中に出てきたレシピは量とかそこらへんかなりテキトーに書いてるから、真似したら大惨事間違いなしだから注意してね」
美「それにしてもお姉ちゃんと梓さんがくっ付くなんて」
梓「意外だった?」
美「いえ、お姉ちゃんが登場した時から決まっていた展開なので特に驚きはしませんでしたよ」
遥「あっはー! かなりメタいね!」
梓「てなわけでそろそろ時間だから、終わりにするよ」
遥「また次の話でも出てくるかもね~」
美「次はだれになるんでしょうね! 私気になります!」