賑やか家族Diary♪   作:犬鼬

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お待たせしました14話です!

今回は過去の話です。
いったい誰と誰の過去でしょうか?

ではどうぞ!!


14話 私とお姉ちゃん

「これ、どうするの? 黒愛おねえ……黒愛ちゃん」

 

お掃除中、何気なく黒愛ちゃんを呼んだ私は呼び方をあわてて変える。

 

「叶音ちゃんがそう呼ぶの久しぶりだね。前はいつもそう呼んでくれてたのに」

 

「だって、さすがに恥ずかしいし、それに……中学生になったし」

 

「独り立ちしてくのをみるの、お姉ちゃんはうれしいような悲しいようなだよ」

 

「もう! からかわないでよ!」

 

そういった私の手が整理してたものの山にあたってちょっと崩れた。

崩れた山の一番上にあったアルバムが落ちてとあるページを開く。

そこには涙でぬれた顔で笑顔で手をつないでる私と黒愛ちゃんの写真があった。

 

「懐かしいね、かのんちゃんが初めて私のこと、お姉ちゃんって呼んでくれた日」

 

そういわれて私もそのことを思い出す。

確か幼稚園の年中くらいの時のことだったはず。

実はそのころ、私と黒愛ちゃんは今みたいに仲良かったわけじゃないんだよね。

いっつも喧嘩ばっかしてたなぁ……

 

 

 

 

 

 

私が3歳か、4歳になった年、私は初めてお母さんに頼まれてお使いに出ることになった。

その時ついてくることになったのが年が近かった黒愛ちゃんだったの。

その時一生懸命一人で行くってお母さんを説得したのを今でも何となく覚えてる。

今考えるとなんでそんなに黒愛ちゃんのこと嫌ってたんだろって感じだよね。

でも当時の私はなんでか黒愛ちゃんのこと嫌ってて、それでどうにか一人で行こうとしたんだけど、結局押しきられて黒愛ちゃんと2人で行くことになった。

 

「そうそう、私はなんでか叶音ちゃんに嫌われてたんだよねぇ」

 

「うん、本当になんでだろうね。私もわかんないや」

 

「う~ん、たぶんだけど、同じくらいの年で同じ性別で、同じくらい可愛がられてたから嫉妬してたんじゃないかな」

 

「そう、なのかな……? だとしたらすごく恥ずかしい……」

 

「私もそういうふうに思ったことあるしそうなんじゃないかな? 小さい頃はよくあることだーって加奈ねえが言ってた」

 

「へぇ、そうなんだ。加奈さんって本当にいろんなこと知ってるよね」

 

「まあ加奈ねえだしね。それにしても叶音ちゃん、私と映ってる写真、みんなぶすっとしてるね」

 

アルバムをめくりながらそういう黒愛ちゃん。

私も少し気にしてるのにぃ~!

 

「ところで、黒愛ちゃんは私のお使いについていくってどんな風に言われたの?」

 

「私? 加奈ねえについてってあげてって言われただけ……あ、あと仲良くなるチャンスとも言われたかも?」

 

「そうだったんだ」

 

「でも実際についってたら何にも会話してくれなかったよね。ずんずん先歩いて行っちゃったし」

 

「そうだっけ?」

 

「そうだよ。まあでも、極めつけはあれだよね」

 

そういわれて私は少し悲しい気持ちになる。

 

「うん……」

 

歩いて15分くらいのところにあるコンビニに買い物に行った私と黒愛ちゃんは頼まれてた朝ごはん用のサラダとソーセージを買ったんだけど……

 

『なんでかのんがとるっていってのにとっちゃったの!』

 

『叶音ちゃんじゃ、あそこはとどかなかったでしょ』

 

『かのんだってとれたもん! かのんひとりでできたのに!』

 

『無理だったよ! だって黒愛だってぎりぎりだったんだから!』

 

『できたもん! くろめのばか!』

 

『ばかって言ったほうがばかなんだからね! もうしらない!』

 

今でもよく覚えてる最後の大ゲンカ。っていってもただの子供のけんか過ぎて今考えるとなんでそんなことでって思っちゃうんだけど、お互いムキになっちゃったんだよね。

それで黒愛ちゃんは先に帰っちゃって、私はそのまま帰るのがなんか悔しくてサラダとソーセージを持ったまま無我夢中で走っていったらいつの間にか自分がどこにいるのかわからなくなっちゃって。

周りを見渡しながらなんとか帰ろうとしたけど結局どこにいるかわからなくて、すごく寂しくなって、私は泣きながら歩き回ってた……気がする。その辺記憶があいまいなんだよね。

 

「で、迷子の私を探しに来てくれてのが黒愛ちゃんだよね?」

 

「そうだよ。先に帰ったら加奈ねえやみんなからすごく怒られてね、仕方ないから買いに行ったコンビニに戻ったら叶音ちゃんがいなくて。で、そのときに加奈ねえから言われた『叶音ちゃんが迷子になったらどうするの!』ていうのを思い出して。あとは必死に走って探した。名前呼んで、駅の方行ったり、商店街行ったり……最後は私も泣いちゃってた気がする」

 

「そういえばそうだった! 誰かに呼ばれた気がするって思って振り向いたら泣きながら走ってくる黒愛ちゃんがいて、そのままギュって抱きしめてくれたんだよね」

 

「見つかったときは多分すごく安心したんじゃないかな、よく覚えてないけど」

 

あれ、もしかしてすごいことだと思ってるの私だけ?

黒愛ちゃんにとってはそうでもないことなのかな……

 

「だって、小さくて消えちゃいそうな声で黒愛お姉ちゃんって言ってくれたのが嬉しすぎたんだもん!」

 

不安だった私の心がぱぁって明るくなった。

私、ほんとにひどいこと言っちゃってたもんね。

 

「そのあとしっかり手をつないで、少し迷子になりながら帰ってすぐ撮った写真がこれ、だよね」

 

「うん! 私と黒愛ちゃんがちゃんと仲良くなった記念の写真!」

 

お使いのあと、私はすっかり黒愛ちゃんと仲良くなって、いつもくっついてるようになった。

今までが何だったんだろうっていう感じにいつもべったりになったんだよね。お母さんたちにちょっとびっくりもされたっけ。

 

「ねえ、叶音ちゃん、もうお姉ちゃんって呼んでくれないの?」

 

「たまになら……黒愛お姉ちゃん」

 

私もなんだかんだでこっちの方がよびなれてるしね。つい呼んじゃいそうになるけど……学校で呼んじゃったりすると恥ずかしいし! 

だから黒愛お姉ちゃん、じゃなくて、黒愛ちゃん。

いつまでも頼ってちゃだめだと思うし。

 

「叶音ちゃん、好き!」

 

「私も、大すきだよ、黒愛お姉ちゃん!」




というわけで黒愛と叶音の過去でした。

この小説での癒し枠ですね~
今後も二人が癒してくれそうですww

ではまた次回!!


追記

ごめんなさい‼
前回まで出てきてたキャラ紹介を忘れてました‼

広瀬亮一

加奈の会社の上司でクールなイケメン。
どんな仕事もそつなくこなすエリートだがそれを表に出さず、驕ることもしない真面目人。
公私混同しないために呼び方も気を付けている。
加奈が想いを寄せている相手。

以上です‼
申し訳ありませんでした‼

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