Infinite possibility world ~ ver Servant of zero   作:花極四季

9 / 21
某勘違いネタを毎日更新している人は尊敬してたりする。


第九話

「武器を買いに行くわよ」

 

ギーシュとの決闘騒ぎから数日後のとある朝(ゲーム時間での)。

突然ルイズちゃんがそんなことを言い出してきた。

 

「突然だな」

 

「……前から考えていたことよ。貴方は私が魔法を使えなくても構わないと言ってくれたし、私も前より固執するつもりはない。だけど、それを抜きにしても私達の関係はあまりにも不当だわ。メイジと使い魔は本来対等ではないとはいえ、ただ護られるだけの関係なんて嫌。でも私にはその力はない。だからせめて、貴方の為に武器を与えるぐらいのことはしたかったの」

 

これはまさか、パートナーがいると武器や防具代は支払わなくていいってことなのかな。

いやそれともイベント武器入手フラグ?良く分からないけど、とにかくこれは嬉しい展開だ。

別に今の武器が嫌というわけでも、愛着が持てる程使っているわけでもないし、断る理由はない。

 

「なら、頼めるか?」

 

「―――ええ!とびっきり良い武器を買ってあげるわ」

 

「選ぶのは私なんだがな……」

 

妙に張り切っているルイズちゃんが可愛くて、思わず苦笑してしまう。

一人っ子だから良く分からないけど、妹ってこんな感じなのかなぁ、なんて思ったりして。

 

「それと、行くならばオールド・オスマンに許可を貰いフェイス・チェンジの魔法を掛けてもらわないといかんぞ」

 

「あ、すっかり忘れてた……。早く行かないと日暮れまでに帰ってくれないかもしれないから、急がないと」

 

日暮れかぁ。

ゲーム内時間はリアルの数倍の速度で進んでいるらしく、こっちで日暮れまで活動していたとしても一時間しか経過していないなんて仕組みで成り立っているらしい。

実際に何度もその差異に驚いたり、これ時差ボケとか起きないのかなぁ?とか疑問に思ったりもしたが、別段日常生活に支障を来してはいないので、その内僕は考えるのをやめた。

そんなもんだよ、人間なんて。

まぁとにかく。長旅になりそうだから気を引き締めないと。

パッと移動したいなぁ……中継地点からテレポート的なこと出来ないのかなぁ。

 

 

 

 

 

「ターバーサッ!」

 

そう勢いよく友人の名前を叫びながらその自室へと侵入する。

当然、アンロック済である。

手慣れた作業でその工程を為す様は、二人の関係を顕著に表しているようである。

 

「……あれ、どうしたの?」

 

キュルケが眼前の予想外な光景に目を見開く。

いつも通り一人静かに読書に耽っているものだと思っていたのだが、現実は今すぐにでも部屋の窓から飛び出さんと身を乗り出すタバサがいたのだから、驚くのも当然と言えた。

 

「二人がどこかに出かけた」

 

「二人って、もしかしてルイズ達のこと?」

 

「そう」

 

身を乗り出していた身体を、キュルケの方へと向ける。

身の丈以上の杖を背負っているその姿は、少なくとも今から部屋でくつろごうと考えているものとは思えない。

タバサの行動の理由と言葉を踏まえ、状況を整理する。

 

「もしかして、貴方も?」

 

無言で頷くタバサ。

互いに抽象的なやり取りの中、通じ合うものがあったらしい。

 

「それにしても、まさか貴方もねぇ……。そんなにヴァルディに思う所があったのかしら?」

 

それについては反応を返すことなく、目線を逸らすだけ。

しかしキュルケにはその初な反応だけでも充分だったらしく、ニヤニヤしながらタバサの頭を撫でる。

 

「そっか。成る程ねぇ~」

 

「そういう貴方は、いつもの病気?」

 

誰も気付かない位ほんの僅かに歪む、タバサの表情。

しかしキュルケはその機微に気付きながらも、何も言わない。

この少女の事を知っているからこそ、その僅かな反応が貴重な事を理解している為、それに茶々を入れるのは憚られたのだ。

 

「病気って、辛辣ねぇ。うーん、確かに彼は紳士的で知的で剣術もとっても強くてはっきり言ってあの子には勿体ないぐらいなんだけど……私、本命には手は出さない主義なの」

 

「……?」

 

「わからないかしらねぇ。ま、いいわ。兎に角、私は彼には手は出さないわよ。本気ではね。でも、そういう素振りで接してあの子をからかうぐらいはするけどね」

 

妖しげに微笑むキュルケ。

タバサはその様子を見て小さく嘆息する。

 

「って、こんなやり取りしてる場合じゃないわね。タバサはシルフィードに乗って追いかけようとしていたんでしょう?私も乗せて!」

 

「構わない」

 

タバサは口笛を吹き、それに呼応し風竜シルフィードが現れ窓際に身体を寄せる。

 

「さ、行きましょう!どっちに行ったかわかる?」

 

「確認済。足止めがなければ既に合流できていた」

 

「もう、そんなに根に持たないの。会いたい気持ちはわかるけどね」

 

キュルケの言葉に一瞬の間を置き、何事も無かったかのようにシルフィードに指示を出す。

 

「……馬二頭。食べちゃ駄目」

 

そんな様子を暖かくキュルケは見守る中、ルイズ達との合流を果たさんとシルフィードは飛翔した。

 

 

 

 

 

馬に乗り進むこと数刻、私達は王都トリスタニアに到着する。

何事もなく辿り着くかと思っていたが、予想外にもヴァルディが馬に乗ったことがないらしく、騎乗に難航している様は何でも出来るイメージがあった彼に取っ付きやすさを感じさせる貴重な体験だった。

 

「ここが王都トリスタニアよ。トリステインで最も活気のある場所で、ここでなら何でも揃うわよ。武器だって例外じゃないわ」

 

説明を聞いているのかいないのか、興味深く周囲を見渡すヴァルディ。

オールド・オスマンのフェイス・チェンジによって、彼の耳は人間のものと相違ない外観に変化している。

それによる問題が起きないとはいえ、その長身と美貌で嫌でも目立ってしまうのは最早どうしようもない。

一般成人男性より頭ひとつぶんぐらい高いって何なのよ。

 

「有り得ないとは思うけど、スリに物を盗まれないようにね。活気があるからこそ、人混みに紛れてそういう輩も出てくるから」

 

説明した通り、活気があるからこそ起こる問題も少なくない。

繁栄の裏側には、いつだって薄暗い事情が蔓延っているものだ。

久しぶりに訪れたトリスタニアは、その辺りも含めてまるで変わっていなかった。

 

「……表の活気とは比べるべくもないな」

 

路地裏を見つめ、そう零すヴァルディ。

その表情は、どこか険しく感じられる。

遠巻きからも漂う悪臭に顔をしかめているのではなく、眼前の惨状に思うところがあるのだろうと何故か理解することができた。

 

「人通りの少ない場所は、必然的にこうなるのよ」

 

「何故だ?」

 

「何故って、そんなの必要ないからよ」

 

「必要ない訳がないだろう。不衛生な要素を残せば、そこから病気が蔓延する。これ程まで表通りが密集していれば一人ここを通ればそのまま拡散していく。風に運ばれてだって有り得るし、ここを通らない者達にとっても決して人事ではない。だからこそ、何故清掃しないのかと疑問に思ったのだ」

 

「それは、お金が掛かるからじゃない?」

 

「都が清潔になれば、それだけ人が集まりやすくなる。もしトリステイン以外もこのような現状だと言うならば、尚更宣伝効果も期待できるだろう。金銭問題など、その未来を見据えた投資と思えば安いものだ。人手だって、先程スリが横行していると言っていたが職にあぶれるような状況さえなければそんなことも起こりえないのだから、清掃業を仕事として斡旋すればいいだけだろう?」

 

饒舌に語るヴァルディの言葉に、ただただ感心する。

確信を持って語られたそれは、理に適った内容だ。

普段はあまり喋らない彼だが、だからこそいざ饒舌になった際に出る言葉の重みが半端ではない。

 

私達貴族にとって王都は活気ある場所ではあるが、基本的に表通りぐらいしか活用しないし、頻度も平民と比べれば圧倒的に少ない。

それこそ使用人に遣いを頼めば済むレベルの事ならば、文字通り自らの足を使う必要はないのだから。

だからこそ、見えないものもある。

この世界の権力を握っているのは、メイジだ。

そして魔法を扱えない平民を顎で使える彼らは、先程言った通り必要以上に行動する必要がない。

自ら足を運ばない所を清潔にしたいなんて、余程の物好き以外考えないだろう。

対して平民は、昔からこういう場所で生活してきたからこそ、その当たり前が定着して改善するという発想に至らないのではないだろうか。

だからこそ、ヴァルディの考え方はどこまでも合理的で穴のないものだと強く認識できる。

私の中で、彼の評価が更に上方修正されていく。

たった数秒見ただけの光景に対して、あそこまで的確な発言ができるなんて、凄いとしか言いようがない。

メイジや平民両者の常識から外れているからこそ、そういう発想に行き着けるというのもあるのかもしれないが、その柔軟な思考力は賢者という言葉がしっくり来る。

トリステイン王国の宰相で、国の為に多大なる貢献をしているとされているマザリーニですらそのような発想には至らなかったのだと考えると、その凄さがより分かり易く理解できる。

メイジが権力を握っている以上、メイジ本意に世界が構築されていくのは必然だ。

だからこそ、彼のような視点を持つ存在がこれからは必要になってくるんだと、先程の会話から強く感じた。

 

「そうね……。今度機会があればそれとなく進言してみるわ」

 

「その方が良い」

 

会話はそこで一度区切られ、私達は路地裏を進む。

今まで目を背けてきた光景を改めて見据える。

見れば見るほど、この光景は世界の縮図ではないかと思い知らされる。

そんなことを思いながら歩いていると、武器屋へと辿り着く。

質素で目立たない場所に配置されているそれは、単純にその必要性を現しているともいえた。

 

「へいいらっしゃ―――き、貴族様?ウチはまっとうな商売しておりまして、目をつけられるような商売は決して………」

 

「客よ。彼が扱う武器を買いに来たわ」

 

「へ、へぇ。そうでありますか」

 

短く腰が低い店主に告げる。

ヴァルディに関しては、既に武器を見回っている。意外と遠慮がないのね。

いや、単に関心のない事柄に関しては文字通り無関心なんだろう。

 

「店主。何か珍しいものとかはあるか?」

 

そんな事を考えていると、おもむろに店主に話しかけるヴァルディ。

 

「ち、ちょっとお待ちくだせぇ」

 

ヴァルディに萎縮しながら奥へと引っ込んでいく店主。

貴族らしい格好はしていないけど、あれだけの美丈夫がまさか平民だなんて思わないだろうし、仕方のない反応ではある。

フェイス・チェンジを掛けているとはいえ、作用しているのは耳だけなのだから。

 

「……お持ちしました。ですが、私としてもあんまりオススメはできないですが」

 

必死の形相で店主が運んで来たそれは、まさに驚愕の一言に尽きるもの。

 

 

 

――それは、確かに剣の形をしていた。

 

――しかしそれは 剣というにはあまりにも大きすぎた。

 

――アクセントに刻まれた音符のような絵と、小さな剣型のくぼみすら愛嬌を出すには意味を為さない程に、大きく、分厚く、重く、そして大雑把過ぎた。

 

 

 

 

「これは……」

 

ヴァルディも驚きを隠せずにいる。

無理はない。こんなもの、扱えるものか。

確かに珍しいが、店主がオススメしないと言ったのも頷ける。

 

「見た目通り、これは両手で持つのすら困難なんでさぁ。屈強な大男ですら、常時使用するのは困難だって嘆くレベルですからね」

 

「こんなものどうしてあるの?」

 

誰もが思ったであろう疑問をぶつける。

 

「……これは、とある女騎士様と、うちにあったやかましいインテリジェンスソードとの交換の末に手に入れたものでさぁ。なんでも、ある遺跡の調査中に発見したものらしく、貴族様と協力してここまで持ってきたんでありやす」

 

「インテリジェンスソード?そんな珍しいもの……そっちの方がよかったわ」

 

「珍しさだけで言えばそうかもしれませんが、四六時中喋りまくるもんだから、結局深いな思いをするだけですぜ。とはいえ、売れないって意味ではこっちもあっちも同じなんですがね。物珍しさに許可したはいいけど、なんでこうなるんですかねぇ……」

 

深く嘆息する店主に対し同情を隠せない。

ハズレとハズレを交換したというのだから、ぬか喜びにも程がある。

 

「――――」

 

無言で剣を見つめるヴァルディ。

ただの無骨すぎる剣に、彼は並々ならぬ関心を注いでいるのがわかる。

そして、おもむろに柄を握り始める。

 

「ちょ、そんな無茶をしなくても――――」

 

無謀とも思える光景を前に慌てて止めに掛かる店主。

 

しかし、奇跡は眼前に現れる。

 

「う、そ――――」

 

ヴァルディは、持ち上げていた。

顔色ひとつ変えず、片手一本で。

何の冗談だ、と思う。

彼を除くこの場にいる誰もが、白昼夢に晒されているのではないかと思ったことだろう。

しかし、紛れもなくこれは現実に依る光景であり、幻想でもなんでもない。

 

「――――確かに重いな」

 

涼しい顔でそんな言葉を零す様子は、冗談にしか聞こえない程。

改めて彼の特別性――いや、異常性を垣間見た気がする。

 

「だ、大丈夫なの?」

 

「恐らく、問題はない。店主、試し切りできる場所はあるか?」

 

「へ、へい。こちらに」

 

そう言って店の裏手に案内される。

あの大剣を振り回しても問題ない程の広さは確保できており、試し切り用の的があちこちに置かれている。

その中心で、ヴァルディは大剣を構える。

 

――そこからの光景もまた、圧巻だった。

理不尽な大きさの剣から放たれる暴力の嵐は、まさに悪夢と言えた。

剣などと銘打ってはいるが、あんなものが当たれば斬れるのではなく引き千切られる方が早いだろう。

その光景を自分に投影し、軽く吐き気を催す。

あれが自分に向くことは恐らく無いではあろうとはいえ、恐ろしいことに変わりはない。

……間違いなく彼は、あれを望むだろう。

本来、もう少し普通に凄そうな剣程度のがあれば重畳っていう考えだったからこそ、この出会いはあまりにも運命的だ。手に入れるべくして手に入れたと言ってもいい。

その女騎士には感謝しよう。心の中でだが。

 

「店主、これを買おう。幾らだ」

 

「は、はい!その剣は貴方にしか扱えないということも込みで、これぐらいで如何でしょう?」

 

明らかに怯えた様子で金額を掲示する店主。商魂たくましいわね、我が身かわいさにタダとか言いそうだと思ったけど。

しかしその金額は結構良心的なもので、手持ちだけでも事足りるので即買いとなった。

実際、持ち歩きには不便だが、あれを一般的な長剣と同じ感覚で振るえると言うなら、これ以上とない武装と言えるだろう。

結果として、両者共に満足のいく買い物だったことで帰路への足並みが軽くなっていた、のだが――

 

「あら、ヴァリエールじゃない」

 

「…………」

 

帰り道で、キュルケとタバサと出くわした。

こんな運命的要素、いらない。

 

「あら、ヴァルディ。その剣どうしたの?」

 

「武器屋で手に入れた」

 

「こんなものがあるの?凄いわね……」

 

二人してじろじろとヴァルディの剣を眺めている。

主である私を余所に彼に執心なのは、わかっていても少しムカツク。

 

「これ、扱えるの?」

 

「問題ない」

 

「へぇ……こんな細腕なのに、豪腕なのね。ますます気に入っちゃったわ」

 

そんな事をいいながら、あろうことかキュルケはヴァルディの腕に抱きついたのだ。

 

「ちょっと!何しているのよ!」

 

「あら、見て分からないのかしら」

 

「見て分かっているから、抗議しているんじゃない!」

 

「まさか、独り占めなんて彼の主気取り?やーねぇ、メイジが狭量だと使い魔の品格まで疑われるわよ?」

 

「なんで、ヴァルディを軸に置いた評価方法なのよ!」

 

「自分の胸に聞いてみたら?」

 

そんなやり取りと共に、学院に帰る羽目になった。ホント、最悪!

――でも、唯一嬉しかったこともあった。

キュルケに抱きつかれても表情ひとつ変えるどころか、反応すらしなかったヴァルディ。

なんとなくは予想していた反応ではあったけれど、それでもキュルケに下世話な思いを抱くことのないヴァルディに気高い精神を感じずにはいられない。

いや、そもそも人間をそういう対象として見ていない可能性もある。

……私に対してもそれは例外じゃないと言っているようなものだが、それは考えないでおこう。うん。

 

 

 

 

 

どういうことなの……から始まる私です。

それもそうだ。だって、そう思わざるを得ない出来事が連続していたんだもん。

 

まず、王都トリスタニア、だっけ。あそこに武器を買いに訪れたんだけど、第一印象は――狭っ!だった。

あと、表通りはそこそこ綺麗にされていたけど、裏路地が酷い有様だった。

でも、どちらも昔のヨーロッパ辺りでは結構当たり前の光景だって歴史で習った気がする。

知ってる?ハイヒールって、道端に平然と汚物が落ちているからって踏まないようにと開発されたものなんだぜ……。

そこまでしないといけない程の酷さを思うと、表通りだけでも清潔にしている分ましだと思う。

しかし、そこは現代日本人の感性。世界一清潔に気を遣う国の生まれとしては、あの惨状は無視できるものではなかった。

だから、つい思ったままの事をルイズちゃんにぶつけてしまった。

それによって何かが変わるとは思えないけど、それでも言わずにはいられなかったのだ。

 

そんな愚痴に近い思いを吐き出した後、武器屋に辿り着く。

ここでも驚くことパート2。

なんと、あれがあったのだ。テンコマンドメンツ。

何それ?と思った人は、調べるといいよ!

兎に角、それは漫画に出てくる剣なんだけど、とあるアイテムと合体することで多種多様な属性の剣に変質するのだ。

そのキーとなるアイテムまでは流石になかったけど、これがあるということは、そっちもある可能性は少なからず有り得る。

なんでこんなものが?とも思ったけど、あるっていうことはタイアップコラボか何かでもしてるんだろう、と勝手に納得する。

そんな毒にも薬にもならぬ情報よりも、目の前にある現実だ。

店主は重いと言っていたが、これを扱ってる主人公だってただの青年だったけど、平然と両手持ちしてたし。

実際に持ってみたけど、多少の重量感はあれど決して振り回せないなんてことはないレベルだった。

いやー、テンション上がりすぎて無我夢中で振り回してたけど、案の定店主にもルイズちゃんにさえも引かれていた。ですよねー。

 

ほくほく顔であとは帰るだけ、と思っていたがここで更なるどういうことなの……なことが。

帰り際、キュルケとタバサ先生に会ったのだ。そこまではいい。

あろうことか、キュルケが僕の腕に抱きついてきたのだ。

おおおおおお落ち着け、まだあわ、あわわわわわわわ。

彼女いない歴=年齢の自分にとって、その感触は未知のもでありながら、人を惹きつける魔力を内包していた。

自分でも訳の分からないこと言ってると思う。少なくとも、まともな思考力と表現が出来る程、あの時の自分は冷静じゃなかったとだけは言える。

幸い、うちの自律型ヴァルディはそんな精神を余所に、きちんと学院まで帰っていたんだけどさ。

 

そして、最後。

なんか僕の剣技が見たい、なんてタバサ先生が言ったもんだから、鑑賞会みたいなことになったんだ。

僕のそれは剣技と呼べるものではない。実際、あの時も思うがままに振るっていただけだしね。

そのことを説明しても聞き入れてくれないものだから、今に至るのだ。民主主義には勝てなかったよ……。

仕方ないので、半ばやけくそでいいからやってやろう――そう思っていた時、それは訪れた。

 

大地を揺るがす振動。

日も落ち月が世界を照らす中、僕達の前に影を落としたのは、異常なまでの大きさの土人形――いや、ゴーレムだった。

……これ、もしかしてオワタ?と思ったけど、なんかこっち無視して学院を攻撃し始めた。

何故?と思ったが、どうやらあそこは宝物庫らしい。

そして、あれは最近巷で話題になっている義賊、土くれのフーケだと言う。

フーケがここにいる理由と行動を見れば、目的は一目瞭然だった。

とはいえ、ぶっちゃけあんなでかいのに勝てる気がしません。明らかにレベル不足です、本当にありがとうございました。

ルイズちゃんが戦おうとしていたけど、キュルケに足止めされていた。

そりゃあそうだ。あんなでかいのを相手に、この面子で勝てるとは思えない。

いや、実際にみんなの実力を見た訳じゃないけどさ?学院に所属しているってことは、だいたいスキルだって同レベルだって考えるのが自然だ。

仮にトライアングルクラス?の実力がここにいる全員に備わっていたとしても、果たして勝てるのか。

これが普通のゲームなら、試しに掛かってみるのも悪くないと思ったけど、攻撃を喰らえばこっちだって痛い筈だ。味覚とかも再現されているんだし、その辺りも完全にってことは有り得ないけど再現されていなければおかしいのだから。

あんな奴のパンチ、一発でも食らってみろ。おぞましくて想像すらできない。

そんなこんなで、フーケが宝物庫に侵入を果たし、〝破壊の剣飾〟なるものを奪われて、この騒動は幕を閉じることになる。

 

――閉じる、と思ったんだけどなぁ。

まさか、フーケから破壊の剣飾を奪還するクエストに参加せねばならないとは。

……僕、きちんと生きて帰れるの?ゲームとはいえ、心配になってきたよ。マジで。

 

 




最後の方、変に駆け足で半端な場所で終わったと思うけど、ルイズ視点でフーケ逃走後の話から始まるよ。
ヴァルディの視点は次話で殆ど出ないor出ないぐらいの気持ちでやるから、少しだけフライングさせちった。

そんなこんなで、前回同様テンコマンドメンツを採用。しかし登場時の表現はドラゴン殺しって言うね。
もう、テンコマンドメンツとか派生形態の名称丸々使う気だから、もし規制に引っかかったらもう知らん。いっそ自分のHPでも作るかもね、それなら自由だし。
とはいえ、このレベルで規制掛けたら二次創作って時点でアウトだと思うから、あまり懸念してはいないけど。
あと、デルフは誰に引き取られたんでしょうねー(棒)
だって、こっちあればデルフいらないし……下手に会話に参加させないといけない要因とか邪魔だし……。

カグラの立ち回り辛いんだお……。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。